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【朝起きたら】人狼になったけど質問ある?生放送【イケメンに(ただし人外)】2

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新たな視聴者ケモナー達を向かえ、人狼の生放送は続く。
「さて、新たに来た皆さん皆さんから質問またはリクエストはある?可能な限り答えるよ」
 ────────────────────── 
|     前後左右が見たい!        |
|口の中が見たいです。            |
|      まだ下脱いで無いよ(にっこり)  |
| 職業は?                 |
|    人と獣の境界見せて!        |
|                尻尾!   |
|      とっととネタバラ視しろオラ!  |
|          これからどうすんの?  |
| よっしゃ!体以外に変わったことは?    |
 ────────────────────── 
 画面にすごい勢いで質問やリクエストが流れる。人狼はその一つ一つに丁寧に答えていく。
「そう言えばまだ正面からしか見せてませんでしたね」
 椅子に座ったまま、クルクルとその場を回って見せる。そして耳の中から瞼の裏などを色々と見せた。
「あー!こんはかんひでいいでふか?」
 カメラに向かい大きく口を開けて中をみせる。
「下ですか。まぁ海パン履いてますからいいですよ」
 ジャージ下を脱いでハーフパンツタイプの海パン一丁姿になった。
「職業は自宅警備員です!親の遺産で食ってます!」
「境界ってこのあたりかな?」
「残念。尻尾は無いんですよ」
「いやいや、事実なんですって。風邪引いて一昼夜寝込んだらこんなのになりました」
「どうしましょうか…。こんな格好じゃ外に買いにもいけないし、通販しても配達員に会わなきゃならないし…」
「変わった事といえば、外から聞こえてくる犬の鳴き声とかを聞くと大体どんな事を言っているのか分かるようになりましたね。うれしいとか悲しいとか遊んで遊んでとか。ああ、あと隣のチャ…犬がどうも僕の事が気になるみたいです。隣の部屋に近づくとワンワン吠えて来るんですよ。ねぇねぇねぇ居るんでしょねぇねぇねぇ!って感じで」
 ────────────────────── 
| 嘘だろ。家でもあんな特殊メイク不可能だぞ |
|    マジ物キター!           |
|    アーちょっと汚れてますねぇ     |
|   ガム噛めガム   犬用ガムなwww  |
| ニートかよ。←月は出ているか!      |
|          ←そのニートじゃねぇ! |
|       ブーメランじゃねぇのかよ   |
|          特殊能力;犬語理解   |
|     モテ期おめでとう(犬の)      |
 ────────────────────── 
 次第に時間はたっていき、人狼の住んでいる部屋の外から何か物悲しくなるような音楽が小さく聞こえてきた。
 人狼は耳が勝手にピコピコと動いてその方向に向く。
 これは地方自治地帯によって時間は異なるが、外が暗くなる頃に街灯にあるスピーカーから流れ子供達に帰宅を促す放送だった。
 人狼がディスプレイに端にある時計を見ると、放送を開始してちょうど二十五分位になっていた。
「ああ、もうこんな時間ですか、延長しましょうか?どうしましょう?」
 延長とは、この生放送を終了せずに放送を続行するかどうかを聞いているだ。
 ────────────────────── 
|     当然               |
| 耳がピコピコ動くのかわいいな!      |
|               延長!!   |
|     延長だ!             |
| 延長ぉぉぉぉぉぉ!!!!!!       |
|                      |
|     まだ聞きたいことは沢山ある!   |
|          延長しかないだろ    |
|                      |
 ────────────────────── 
 人狼は、少し嬉しそうに頷くと言った。
「分かりました延長しましょう!」
 ────────────────────── 
| よっしゃあああ              |
|               キターーー! |
|     まってました           |
|                      |
|        いぇえええええええええ!  |
|                      |
|    まぁそうなるな           |
|   キタキタキタキタァ!         |
|          延長しかないだろ    |
 ────────────────────── 
 一気に画面は盛り上がる。 
 コメントは加速し、質問が泉のように湧き出し来る。そして人狼はそれに出来る限り答えていった。
 いつしか、人狼とは好きなゲームは何とか関係ない質問が多くなっていた。
 そんな時、あるコメントが画面を流れた。
 ────────────────────── 
|そのゲーム俺も好きー            |
|    特定したbyケモナー         |
|          そうなんだー      |
|        今度やってみるか      |
|   俺はそれの初代が好き         |
|                      |
|                      |
|                 ファッ!?|
|                      |
 ────────────────────── 
 "特定したbyケモナー"
「えっ?」
 それは人狼にってありえないと思っていた最悪の事態だった。
 何故と言う疑問が人狼の頭の中を駆け巡る。このような事がない様に窓にはしっかりとカーテンを閉め、更には抱き枕カバーの暖簾を作って部屋の様子を分からないようにしたのだ。
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|      おおおおおおおおおお!     |
|   特定キター!             |
|      何処の誰だ!さぁいえ!     |
|               マジかよ!? |
|  嘘だろ。どうやって特定?        |
|       きたぁ!           |
|          なっなんだってー!   |
|                      |
|                      |
 ────────────────────── 
 一方画面の前に居る視聴者達も大盛り上がりだ。
「じょじょじょ冗談でしょ」
 人狼は思いっきり動揺して噛んでしまった。
 そう人狼が叫んだ時、玄関のほうからピンポーンと来客を告げるインターホンが鳴った。
「なななな何だ!?」
 ガタリと椅子を揺らし、更に動揺を加速させる人狼。
 ピンポーンと急かすように再びインターホンが鳴る。
 いつもなら居留守をする所だが、一旦画面から離れて落ち着こうと思い、出る事にした。どうせ誰が来ても適当に追い返すつもりだった。どうせ来たとしても人狼の家を訪れるのは、訪問セールスマンぐらいしか思いつかなかった。下手に居留守してインターホンを鳴らし続けられても放送に差し支える。
「…ちょっとごめん席外すよ。誰か来たみたい。追い返してくる」
 この時は、ドアホン越しに少し話すだけだと思っていたのも、その判断を押した一因だった。
 だが人狼が立ち上り、ロープににかかっていたジャージを着て振り返った時、画面に不敵なコメントが流れた。
 ────────────────────── 
|  どうせ嘘だろ              |
|       いてらー           |
|      今から凸るbyケモナー      |
|  うぉおおおおおおおお うろたえてるwww|
|                      |
|      ありえねぇだろ         |
|               凸だと!?  |
|        嘘だといってよっ!!!   |
|    この時間に来客?          |
 ────────────────────── 
 "今から凸るbyケモナー"
 その文字がさらにコメントを炎上させていく。人狼が気付かないうちに一気にお祭り騒ぎへと発展した。
 ────────────────────── 
| ん?今ベルが鳴ったよね?         |
|    凸キター!             |
|      ケモナーキター!!!!!    |
|     行動早すぎだろwww       |
|    ケモナーはぇぇ      やめろっ!|
|  出るな!出るんじゃない!人狼!!    |
|      どうせやらせだろ        |
|              罠だ!     |
|        さぁ扉を開けて…      |
 ────────────────────── 
 コメント欄は大体6:3:1の割合で、はやし立てる:人狼を静止する:その他のコメントが乱舞する。
 しかし、席を外している人狼はそのコメントを見ることが出来なかった。もし見ていたら、居留守でも何でも使って引きこもっていただろう。だが、彼はPCの前からはなれ、玄関へと向かってしまった。

 ピンポーン。
「はいはいっと」
 三度鳴るインターホン。人狼はせかされるように壁に据付られたインターホンの親機に近寄ると通話ボタンを押した。
「えっ?」
 親機の画面が映った瞬間人狼は驚いた。画面に映った人物は人狼の住んでいる部屋の斜め上の部屋に住んでいる少女だった。
 年は16歳で人狼の三歳年下の女子高校生だ。
 容姿端麗、文武両道、人当たりは良く、ご近所でも評判の黒髪ロングのお嬢さん。
 容姿残念、文武なにそれ、コミュ障で、ご近所でも警戒されている人狼とは180度間逆の存在。
 学校から帰ってきて着替えたのだろう。その女子高生はジーンズに片方の肩が出ている白いチュニックを着ていた。
 ---なんであの子が!?家の前に居るのっ!?
「ははははい、何でしょしょしょう」
 人狼は動揺して完全に噛みながらもドアの前に居る少女に向かって声をかけた。
「こんにちは。回覧板をお持ちしました」
 少女は元気良く挨拶をするとカメラの前に回覧板を差し出しながら言った。
---なんだ。うちに回覧板を持ってきただけか。
 人狼は少し考えると少女に向かって答えた。
「あっああ、申し訳ないんだけど、今ちょっとお風呂に入っていて人の前に出れる状況じゃないんだ。だから少しだけドアを開けるからそこから回覧板を差し込んでくれる?」
「はい、分かりました」
「なら、ちょっと待っててね」
 人狼はインターホンを切って二重にロックを掛けドアチェーンまで掛けてしっかりと施錠したドアに近寄ると、二重のロックを外しゆっくりと扉を開いた。
 「どうぞ。入れてください」
 だが、扉に差し込まれたのは回覧板では無かった。
 それはドアチェーンの限界までドアが開いた時、勢い良く突っ込まれた。
 扉の隙間から突っ込まれたのは、ボルトクリッパーだった。
 ボルトクリッパーとは棒状の金属や鉄筋、番線等を切断する為のてこの原理を利用した強力な鋏のような工具だ。
 それがドアチェーンをがっちりと挟み込む。
 ガキッ!バチン!
 「えっ!」
 人狼が気付いた時、それはドアチェーンに噛み付き一気に切断していた。切れたチェーンの破片が落ち、キンっ!と澄んだ音をたてる。
 ドアチェーンを切断するとすぐにボルトクリッパーは引き戻された。次の瞬間ドアに対してドンッ!と何かが体当たりした。驚いた人狼は何とかドアが開かないように咄嗟にドアを押し返した。
「何何何何何何何なんだよ!」
 幸い人狼となった体は通常の人間以上の力を発揮して、ドアを一気に閉めることに成功した。
 すかさず二つある鍵をを掛ける。それでも怖いので更に自分で扉を押さえつける。
 何が一番怖いかと言うと、扉の前に居た少女が扉のチェーンロックを切断するところから、扉を閉めるまで一切喋らなかった事だ。しかも扉を閉じた現在は外は物音一つしない。
 恐る恐るドアについているドアスコープをこの一週間でなれた狼の顔を横にしながらそ~っと覗き込む。扉の向こうにはもう彼女の姿は無かった。あまりにもすばやい撤収だった。
 人狼は思わずその場で崩れ落ちるように座り込んだ。
「怖かった~一体何なんだよ…あっ生放送……」
 そこで人狼は今自分が生放送中だったことを思い出した。
 ---今日はもうだめだ。放送をやめよう。事情を話せば視聴者も分かってくれるだろ。
「よっこいしょ」
 人狼は立ち上がると放送を続けている抱き枕カバーの暖簾の向こうへと移動した。
「あ~すいません。ちょっと面倒な事が起きたので今日の放送は……」
 もう終わりです。と言おうとした人狼の目にディスプレイが映った。
 ────────────────────── 
| 人狼逃げろ!!!             |
|       まじやばいって        |
|         もう逃げられない     |
|      ケモナーこえぇぇ        |
|                      |
|         人狼もうお前は詰んでいる |
|        奴は扉の向こうにいるお   |
|                      |
|    なんて策士だケモナー!?      |
 ────────────────────── 
「は?」
 ---何?放送で一体何があったんだ?
 画面では、しきりに人狼に逃げろと言っているものや、もうダメだと諦めているもの、そして何故かケモナーを賞賛(?)しているコメントであふれていた。
「一体何があったんです?」
 思わず椅子に座り画面の向こうにいるはずの視聴者に人狼は聞いてみた。
 ────────────────────── 
| 今扉の前に居るのがケモナーなんだ!    |
|       ケモナー凸するって言ってた  |
|        しかも凸の実況してた    |
|ヤバイヤバイ                |
|      アキラメロン          |
|         もうダメだー!      |
|           通報したほうが良い? |
|                      |
|            鍵を閉めれたのも罠だ|
 ────────────────────── 
「罠?」
 人狼がそうつぶやいた時、背後からガチャ・ガチャと二回音がした。一人暮らしではまず聞くことの無い外から鍵を開けた音。
 ---鍵が開けられた!?何で!?
 鍵が開けられると即座にドアは開かれ、誰かが部屋に入ってきた気配がした。侵入者は律儀に靴を脱いだのか多少玄関で多少もたつくと、ドタドタと足音を立てて進み、抱き枕で出来た暖簾を跳ね上げた。
 人狼もその気配を察して急いで振り向く。
 そして人狼と侵入者、二人の目があった。
 その瞬間二つの悲鳴が重なった。
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