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第六話

花の音楽会

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その日、郵便屋のアシナガバチは大いそがしでした。つぎつぎとよせられる羽電報をコンボじいさんにとどけるためです。羽電報には、ノンビ山の住人からのお別れの言葉、感謝の言葉など、いろいろ書かれていました。コンボじいさんはその一枚一枚に目をとおすと、

「とても返事を書く時間がないから、書いてくれた方々にお礼をいっておいてほしい」

とアシナガバチにつたえ、そのあと、かしこまってこういいました。

「今から、ナイムばあさんに花手紙を書く。今日中にとどけられるか」

「何とかするけど、今カミキリムシいないんじゃない?」

カミキリムシは、音楽会のパンフレットの清書でいそがしく、穴にこもっていました。

「自分で書ける。わるいが少しそこで待っていてくれ」

そういってコンボじいさんは、あまり上手でない字でゆっくり書きだしました。書く枝がふるえています。

『ナイムばあさんへ

このはなてがみ、じぶんで、かいています。ナイムばあさんは、じのれんしゅうをしているそうですね。だから、わたしもまけないように、れんしゅうしました。へたくそなじで、すみません。ところで、わたし、あした、きられることになりました。ぬのは「あか」です。きっと、りっぱな、かぐになってみせましょう。ナイムばあさんとは、てがみのこうかんを、つづけて、もうだいぶたちますね。いつもたのしいおてがみを、ありがとうございました。ナイムばあさんのことは、けっして、わすれません。それでは、これが、さいごの、てがみになります。いつまでも、おげんきで。

コンボじいさんより』

アシナガバチはなみだをこらえながらその花手紙を袋にいれて、ナイムばあさんの住む村に飛んでいきました。

花の音楽会はその夜、盛大に行われ、多くのお客がおとずれました。動物たちの楽器の演奏で、まず花たちが歌い、次に虫たちが歌い、鳥たちが歌いました。




ある日 小川のほとりで 歌ってた

たったひとりで 歌ってた

やがて だれかが やってきた 

わたしも なかまにいれて なかまにいれて

またまた だれかが やってきた

わたしも なかまにいれて なかまにいれて

いっしょに歌おう いっしょに歌おう

みんなでみんなで 手をつなごう

木も 花も 虫も 動物も

草も 魚も 鳥も 人間も 

みんなで歌おう ノンビ山の歌 ♪



最後に全員で手をつないで合唱しました。

コンボじいさんも、なみだをこらえながら歌いました。

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