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第九話 「人間にしかない力」
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「ユーがあの日青いジュースを飲んでねむったとき、マミークリスティーン様にいわれたの。ミス・サクラに人間として前向きにがんばる気持ちがわいてきたら、この赤いジュースを飲ませて人間にもどしてあげなさいってね」
「それ、本当? ありがとう。なんてやさしい人形の精」
「その人形の精からのメッセージを伝えます。『あなたがた人間には、人間にしかない苦労があります。でもそれをのりこえる力もまた、人間にしかない力なのですよ。人形にはそれがありません。苦労もなければ、力もありません』ユーアンダスタン?」
「アイ……アンダスタン」
「グッド。じゃあ飲みなさい。二度とわたしになりたいなんていったらだめよ。あなたは人間なのだから。人間として生きていくのだから」
サクラッチはコップをうけとると「勇気よ、勇気」とつぶやいて、その赤い液体を一気にのみほした。すると眠くなった。ひさしぶりに味わう気持ちいい眠気だった。
目がさめたら、サクラはなぜかアヤちゃんの家の前に座っていた。
サクラはおそるおそる手をのばしてみた。
足ものばしてみる
そして立ってみた。
サクラは思わずガッツポーズをした。
人間にもどれた。人間って、なんてすばらしいんだろう。サクラは大きくのびをして息をすい、ふうーっとはいた。
そのとき車のブレーキの音がした。
アヤちゃんは車の中からしばらくこっちを見ていたけど、すぐに顔をそむけた。たしかにまだけんか中だもんね。サクラは、サクラッチのことを思いだした。「勇気よ、勇気」。
サクラにはその言葉の意味がはっきりとわかる。
そして、手をのばして心のカーテンをあけてみた。それはほんの小さな勇気であけることができた。サクラは、一歩一歩車にむかって歩いた。
「それ、本当? ありがとう。なんてやさしい人形の精」
「その人形の精からのメッセージを伝えます。『あなたがた人間には、人間にしかない苦労があります。でもそれをのりこえる力もまた、人間にしかない力なのですよ。人形にはそれがありません。苦労もなければ、力もありません』ユーアンダスタン?」
「アイ……アンダスタン」
「グッド。じゃあ飲みなさい。二度とわたしになりたいなんていったらだめよ。あなたは人間なのだから。人間として生きていくのだから」
サクラッチはコップをうけとると「勇気よ、勇気」とつぶやいて、その赤い液体を一気にのみほした。すると眠くなった。ひさしぶりに味わう気持ちいい眠気だった。
目がさめたら、サクラはなぜかアヤちゃんの家の前に座っていた。
サクラはおそるおそる手をのばしてみた。
足ものばしてみる
そして立ってみた。
サクラは思わずガッツポーズをした。
人間にもどれた。人間って、なんてすばらしいんだろう。サクラは大きくのびをして息をすい、ふうーっとはいた。
そのとき車のブレーキの音がした。
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サクラにはその言葉の意味がはっきりとわかる。
そして、手をのばして心のカーテンをあけてみた。それはほんの小さな勇気であけることができた。サクラは、一歩一歩車にむかって歩いた。
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