水巫女はハレムで溺れる

愛月なみ

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アクアナ神殿の外

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 エルザさんから教えてもらったガルダシャーン帝国の皇帝、皇子には後宮があって、一夫多妻制ということがわかったけど、一般人は一夫一妻らしいのでほっと一安心。

 日本人としては、一夫一妻でないと落ち着かない。

 女神様のお願い「ガルダシャーン帝国の城下町に水をひいて水の精霊の力をつよめてほしい」をかなえるためにガルダシャーン帝国にはいかなくちゃいけないけど、聞く限り治安も比較的よさそうだし、暮らしやすそう。
 とにかくお願いごとは早目に片づけてしまいたいから、ひとまずの目標はガルダシャーン帝国の帝都へいって、水をひくこと。
 
 その次はどこで生活していくか、考えよう。
 
 交通事情を考えると他の国を気軽にみてまわることは難しそうだし、ガルダシャーン帝国でそのまま暮らすことになる可能性が高そう。
 
 お仕事みつけて、そのうち彼氏みつけて結婚する!!
どうしてもみつからなかったら、水の精霊の力でお水はだせるから、農家の嫁とかウェルカムにならないかなぁ~

 とにかく、がんばろう!!
 


 そんな決意をした翌日、午前中はいつものように泉のそばで水の精霊様と練習。
 
 もう泉がなくても安定して呼び出せるようになったけれど、それでも基本ということで水のそばで、たっぷりの水気を感じながら練習。
 
 れいかちゃんも安定してできるようになっていた。
 
 ただ、どうやら私の精霊の力のほうが強いようで、だせる水の量など見た目でそれがわかってしまうのでそれでれいかちゃんがイライラしていて、ちょっとつらい。
 
「もう!私だってもっとできるはずなんだから!!」

 泉のうえに噴水のように水しぶきをあげながられいかちゃんがプンプンしている。
 
 アイラちゃんは「レイカ様、すごいです!!最初のころよりずっと水が大量にふってきます!!」と大絶賛しているけれど、それでおさまるはずもなく「今日の練習はおしまい!!」と建物にはいってしまった。
 
 アイラちゃんもあわててついていく。
 アイラちゃんってれいかちゃんのことが本当に大好きみたいで、いつも賞賛してちょこちょこ後ろをついていくのが可愛くて私はツンツンしているれいかちゃんとキラキラした目でみているアイラちゃんのペアをいつも微笑ましくながめている。

「アンナ様もお部屋に戻られますか?午後からのお出かけの準備もありますし」

 エルザさんに声をかけられたので、私も部屋へ戻ることにした。
 
 
 午後は初めての神殿の外!!

 ちょっとわくわく!!
 
 日差しがそれなりにあるとのことで、薄いヴェールのようなものを頭のてっぺんからかぶせられた。
もちろん色は水色で、ワンピースと同じ。
靴は神殿内でも履いている、革製のサンダルのようなもの。

 れいかちゃんも当然私と同じく頭のてっぺんから水色づくし。
 
 白い石造りの神殿から出ると、その外には河がながれ、川沿いにはヤシの木のような背の高い木が並んでいる。
ところどころに茶色い石造りの平屋の建物があり、色鮮やかなテントが前にでているところもある。
砂漠のような茶色い地面に鮮やかな色がよく映えている。

 以前テレビでみた砂漠のどこかの国のオアシスみたいな光景。

「すごい!砂漠の中に神殿はあったんですね?!」

 エルザさんに聞くと、ガルダシャーン帝国との間に広がる砂漠の端っこにあるのがこのアクアナ神殿とのことで、この砂漠をいく商隊や旅人たちがこのアクアナ神殿に立ち寄り、水の精霊様の加護が少しでもあるようにとお祈りしてから出発するらしい。
 
 砂漠の中では水はかなり大切なものだから納得。

 そのため、その商隊や旅人のためのお店や宿屋、食事処もあるそうで、そこそこにぎわっているらしい。
 
 鮮やかなテントは商隊の人たちの仮設店舗らしい。
 
「私、お店みたい!!」

 午前中はちょっとご機嫌斜めだったれいかちゃんも、テンション高めにテントを指さしてニコニコしている。
 
「いいね!エルザさん、お店にどんなものがならんでいるのか、見ていいですか?」

「もちろんです。気に入ったものがあれば言っていただければ購入いたしますので、遠慮なくお声掛けくださいね」

 そうだった!!
 私、こちらの通貨もってなかった……
 
 れいかちゃんはそんなこと気づかずに走ってお店まで行ってしまった。
 でも、気持ちわかる! 異国、というより異世界でのお買い物、テンションあがっちゃうよね!
 
 れいかちゃんが楽しそうにアイラちゃんとみているお店へ行くと、そこにはキラキラきれいな小粒の石がたくさん色別に並べられていた。
 
「こちらはアクセサリーを作ったり、ヴェールを飾るのにつかわれる石ですね」

 私とならんだエルザさんが教えてくれる。
 れいかちゃんとアイラちゃんは石を指でつまんで太陽の光にかざしてキラキラさせて喜んでいる。
 
「ねぇ!この石をヴェールとかこのワンピースにつけたらかわいくない?!」

 透明なガラスのような石を持ったれいかちゃんがアイラちゃんに話しかけているのをみると、女子高生たちが学校帰りに買い物しているように見えてくる。
 
 「そうですね!レイカ様、私がぬいつけます!」
 
 「れいかちゃん、その石、買うの?」
 
 色選びに夢中で私たちが来たことにも気づかなかったれいかちゃん、私たちの姿をみてはっとした顔になる。
 
 「そういえば、アンナさん、私、ここのお金持ってなかった!」
 
 やっぱり、お金がないことに気づいていなかったみたい。
 
 「大丈夫、エルザさんがかわりに買ってくれるらしいよ」
 
 「はい。あまり高価なものは無理ですが、ある程度は水巫女様のお給金としてお預かりしております」
 
 なるほど!お給金、お給料か!
 衣食住面倒みてもらっているのに、さらにお給料までいただけるなんて……
 ありがたい。
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