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11. まだ続くようです
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午前中の授業が終わり、お昼休み。
相変わらず、私に向けられる視線は冷たいものばかりです。
けれど、朝お話をした5人からは畏怖のこもったような視線を向けられています。
冷たい視線よりは良いのですが、少し悲しいです。怖がられることは望んでいませんから。
それに、問題自体はまだ解決していません。
「シルフィーナさん、何かありましたの?」
「またペン入れが無くなってしまって……」
忽然と姿を消したペン入れを探していると、カチーナさんに声をかけられました。
「また盗まれましたのね……」
「ええ……」
あの5人とエドガー様以外に、私に嫌がらせをする人がまだ存在してしまっています。
もう荷物を全て持ち歩くしか手は無いのかしら……?
なんて不安に思っていると、カチーナさんが何かの魔法の詠唱を始めました。
私がまだ知らない魔法のようです。
「場所、分かりましたわ」
「今の魔法で見つけましたの?」
「ええ。探知魔法を昨日練習しておいて良かったですわ」
「昨日……? 1日で習得しましたの?」
私が驚いた様子を見せると、恥ずかしそうに頷いてくれました。
私も1日で習得出来るかしら……?
「ペン入れってこれですわよね?」
机の下を覗きながら尋ねてくるカチーナさん。
言われて確認してみると、確かに私のペン入れはありました。
机の天板の裏にテープで取れないように固定されています。
周囲を見回しても見つからない訳です。ちなみにですが、こういうのを東国の慣わしで『灯台下暗し』と言うそうです。
「随分と手の込んだ嫌がらせですわね……」
「ええ。この労力を他に使って欲しいですわ……」
何はともあれ、見つけたところで今の状態では使えません。
だから、水魔法でテープの糊を剥がすことにしました。
「それ、水魔法ですわよね? ペン入れが濡れないって……どうなっていますの?」
「風魔法も使っているからですわ」
「2つの属性を同時に……!?」
「ええ、一応そうなりますわ」
一応、私の家であるアストライア家の人間はほぼ全員が複数の魔法を同時に使えます。
ですが、普通は1つ使うのが限界です。
学院内や社交界の一部の方々からは何故か私の能力は下に見られていますが……。
「戦ったら絶対に強いですわよね……?」
「他人と戦ったことが無いから分かりませんわ。お兄様との模擬戦ではいつも負けていますし……」
お兄様の魔法の威力と使える数は異次元ですから、勝てる気がしません。
「アストライア家の魔法事情って……」
カチーナさんが引き気味に呟いています。
フォルム家の魔法事情も凄いことになっているのですが……それは気にしない方が良さそうですね。
「なんとか取れましたわ……。探知魔法、ありがとうございました」
「また何かあったら、いつでも頼ってくださいね」
カチーナさんがそう口にした時でした。
「シルフィーナ様とは関わらない方がいいですよ」
サザント侯爵家のアベルさんがそんなことを言ってきました。
相変わらず、私に向けられる視線は冷たいものばかりです。
けれど、朝お話をした5人からは畏怖のこもったような視線を向けられています。
冷たい視線よりは良いのですが、少し悲しいです。怖がられることは望んでいませんから。
それに、問題自体はまだ解決していません。
「シルフィーナさん、何かありましたの?」
「またペン入れが無くなってしまって……」
忽然と姿を消したペン入れを探していると、カチーナさんに声をかけられました。
「また盗まれましたのね……」
「ええ……」
あの5人とエドガー様以外に、私に嫌がらせをする人がまだ存在してしまっています。
もう荷物を全て持ち歩くしか手は無いのかしら……?
なんて不安に思っていると、カチーナさんが何かの魔法の詠唱を始めました。
私がまだ知らない魔法のようです。
「場所、分かりましたわ」
「今の魔法で見つけましたの?」
「ええ。探知魔法を昨日練習しておいて良かったですわ」
「昨日……? 1日で習得しましたの?」
私が驚いた様子を見せると、恥ずかしそうに頷いてくれました。
私も1日で習得出来るかしら……?
「ペン入れってこれですわよね?」
机の下を覗きながら尋ねてくるカチーナさん。
言われて確認してみると、確かに私のペン入れはありました。
机の天板の裏にテープで取れないように固定されています。
周囲を見回しても見つからない訳です。ちなみにですが、こういうのを東国の慣わしで『灯台下暗し』と言うそうです。
「随分と手の込んだ嫌がらせですわね……」
「ええ。この労力を他に使って欲しいですわ……」
何はともあれ、見つけたところで今の状態では使えません。
だから、水魔法でテープの糊を剥がすことにしました。
「それ、水魔法ですわよね? ペン入れが濡れないって……どうなっていますの?」
「風魔法も使っているからですわ」
「2つの属性を同時に……!?」
「ええ、一応そうなりますわ」
一応、私の家であるアストライア家の人間はほぼ全員が複数の魔法を同時に使えます。
ですが、普通は1つ使うのが限界です。
学院内や社交界の一部の方々からは何故か私の能力は下に見られていますが……。
「戦ったら絶対に強いですわよね……?」
「他人と戦ったことが無いから分かりませんわ。お兄様との模擬戦ではいつも負けていますし……」
お兄様の魔法の威力と使える数は異次元ですから、勝てる気がしません。
「アストライア家の魔法事情って……」
カチーナさんが引き気味に呟いています。
フォルム家の魔法事情も凄いことになっているのですが……それは気にしない方が良さそうですね。
「なんとか取れましたわ……。探知魔法、ありがとうございました」
「また何かあったら、いつでも頼ってくださいね」
カチーナさんがそう口にした時でした。
「シルフィーナ様とは関わらない方がいいですよ」
サザント侯爵家のアベルさんがそんなことを言ってきました。
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