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151. 心配事

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 ドレスが完成してから1ヶ月、私は家族と共にアトランタ邸に来ていた。
 今は空が赤く染まり始めた頃で、私はジーク様とテラスでお茶をしている。


「いよいよ明日だな」

「緊張するわ。お客様もたくさん来るから……」

「そうだね。その全員の前でキスすることになるけど、心の準備は大丈夫?」

「少し心配だわ……」

「それなら、周りから見えにくいようにしよう。明日はこの辺りにお客様がいるから、こんな感じにすれば目立たないよ」


 そう説明してから、本当に口付けをしてくるジーク様。
 この行為にはもう慣れたから今更赤くなったりはしないけど、突然されたから少し驚いたわ。


「そうね……。これなら大丈夫だと思うわ」

「他に心配な事はある?」

「あとは大丈夫よ」


 それから、念のためにと二人で明日の動きを再確認した。

 この後は、ジーク様の家族と私の家族を含めた全員で夕食をとり、私は明日に備えていつもよりも早めにベッド入った。



 そして翌朝。いつもとは違ってそわそわした雰囲気の朝食を終えると、私は早速侍女さん達に囲まれてあれこれされ始めた。
 血色を良くするためのマッサージから始まり、メイクだったりをされていく私。

 それが終わると、ウェディングドレスを着るために必要な下着を着て、それから侍女さん達の手を借りてドレスを着ていく。
 そんな感じで、数十分かけて準備が終わった。


「お待たせしました」

「フィーナ……綺麗だよ……」


 お父様……もしかしなくても、泣いてる?

 ちなみにだけど、私とジーク様は最後の準備のために少しだけ早く会場に向かうことになっている。


「もうっ、今生の別れじゃないんですから、泣かないでください」

「これは嬉し泣きだよ……」

「どう見ても寂しくて泣いてますわよね⁉︎」


 表情が嬉し泣きとは全く違うから間違いないわ……!


「フィーナは寂しくないのか?」

「私だって家族と離れるのは寂しくないと言ったら嘘になりますけど、永遠に会えなくなる訳じゃないから大丈夫ですわ」

「そうか……」


 お父様はそれしか口にしなかったけど、色々な思いがあるはず。
 だから、私はお父様をそっとしておくことにした。

 ジーク様も同じ考えみたいで、私の手を握ってこう口にした。


「そろそろ行こう」

「うん」


 手を繋いだまま馬車に向かう私達。
 そして、玄関に着いた時だった。


「少し失礼するよ」


 ジーク様がそう言ったかと思うと、あっという間に抱き上げられていた。


「ジーク様⁉︎」

「ドレスが地面にすると汚れると思って」

「魔法があるから大丈夫よ……。でもありがとう」


 突然のことに少し驚いたけど、ジーク様の気遣いは素直に嬉しかったわ。
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