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148. 積み込まれる王子
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王子がイストリア帝国送りになることが決まってから2週間が経つ今日、いよいよ王子がイストリアに行く日になった。
今日はリーシェ様と王子が送り出される様子を見に行くことになっているから、いつもより忙しい朝になっている。
「今日は商人の娘風なのだけど、こんな感じで大丈夫かしら?」
「なぜお忍びの格好をされるのですか?」
「見つかって縋られるのが嫌だからよ。リーシェ様と合わせることにしているの」
「なるほど、姉妹風にするんですね」
王子に気付かれないように、髪型もいつもとは違うものにしてもらっている。
ちなみにだけど、王子が馬車に乗せられるのは城の前ということになっているから、かなりの人が集まると思う。
だから普段通りの格好でも見つかることはないと思うけど、万全にしておきたいのよね……。
「お嬢様、出来ましたよ」
「ありがとう。まだ時間あるから庭に行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
それから十数分後、リーシェ様がやって来て私達はうちのお忍び用の馬車で王城に向けて出発した。
ちなみに、リーシェ様の服のデザインは私の着ているものとは違うものだけど、雰囲気は似ているものになっている。
幸いにも、髪の色は似ているから姉妹と言っても疑われることはないと思う。
「フィーナ様、陛下から王子と会って欲しいって言われたと聞きましたけど、本当ですか?」
「本当ですわよ。昨日手紙で言われて驚きましたわ」
「実は、私にもこんな手紙が届きまして……」
そう言って手紙を差し出すリーシェ様。
その手紙に目を通すと、信じられない内容が書かれているのが分かった。
私にも手紙は送ったけど、会って慰めてくれない可能性が高いから説得してくれだなんて……そんなことを頼む神経が分からないわ!
私を怒らせて何が楽しいのかしら?
「もう言いたいこと全部言おうかしら……」
「その方がスッキリしていいと思いますわ」
「見つかったらそうしますわね」
この後は他愛ない雑談をして、間もなく王城前に到着した。
そこには……
「思ってたよりも人が少ないですわね」
「ええ、これの倍はいると思ってましたのに……」
……思っていたよりも小さな人だかりが出来ていた。
ちなみに、私達は王城に出入りしている商人を装って王城の中から見ることにしているから、そのまま門の中に向かった。
そして予定していた位置に着いてから十分後、手を後ろに縛られた王子が武装した騎士さん達に囲まれて姿を見せた。
その直後、王子の目線がこちらに向いて……
「フィーナ、助けてくれ! 今までのことは謝るから頼む!」
……そんなことを叫び始めた。
「離れましょう」
「ええ」
私の言葉に頷くリーシェ様。
「行かないでくれ! 雰囲気は違うけど、顔も胸も足もフィーナで間違いないんだ……! 何故無視する!」
「一体どこ見てたのよ……変態……」
「フィーナ様……ご愁傷様です」
「まだ死んでないわよ⁉︎」
そんな会話をしていると、王子が突然こちらに向かって駆け出した。
こちらの方が3メートルくらい高くなっているから来ることはできないはずだけど、何をされるか分からないから私は攻撃魔法の準備をした。
「フィーナ、頼む! 許してくれれば僕は解放されるんだ!」
「罪人が私に何の用ですか?」
「嘘……だろ?」
「フィーナ様は貴方に無実の罪をかけられたショックで貴方のことを覚えていませんのよ。フィーナ様の記憶にあるのは貴方に襲われて、大切な物を奪われそうになったことだけ。
あとはもう、分かりますね?」
示し合わせたわけでもないのに、そう合わせてくれるリーシェ様。
「そんな……フィーナの中では僕はただの罪人だと……。嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「罪人が馴れ馴れしく私に話しかけていいと思っていますの? 早く私の目の前から消えなさい」
私がそう告げると、王子だった人は糸が切れたように地面に倒れ込んで、騎士さんたちに無理矢理立たせられていた。
これだけショックを受けていれば、もう話しかけてこないわよね?
今日はリーシェ様と王子が送り出される様子を見に行くことになっているから、いつもより忙しい朝になっている。
「今日は商人の娘風なのだけど、こんな感じで大丈夫かしら?」
「なぜお忍びの格好をされるのですか?」
「見つかって縋られるのが嫌だからよ。リーシェ様と合わせることにしているの」
「なるほど、姉妹風にするんですね」
王子に気付かれないように、髪型もいつもとは違うものにしてもらっている。
ちなみにだけど、王子が馬車に乗せられるのは城の前ということになっているから、かなりの人が集まると思う。
だから普段通りの格好でも見つかることはないと思うけど、万全にしておきたいのよね……。
「お嬢様、出来ましたよ」
「ありがとう。まだ時間あるから庭に行ってくるわ」
「行ってらっしゃいませ」
それから十数分後、リーシェ様がやって来て私達はうちのお忍び用の馬車で王城に向けて出発した。
ちなみに、リーシェ様の服のデザインは私の着ているものとは違うものだけど、雰囲気は似ているものになっている。
幸いにも、髪の色は似ているから姉妹と言っても疑われることはないと思う。
「フィーナ様、陛下から王子と会って欲しいって言われたと聞きましたけど、本当ですか?」
「本当ですわよ。昨日手紙で言われて驚きましたわ」
「実は、私にもこんな手紙が届きまして……」
そう言って手紙を差し出すリーシェ様。
その手紙に目を通すと、信じられない内容が書かれているのが分かった。
私にも手紙は送ったけど、会って慰めてくれない可能性が高いから説得してくれだなんて……そんなことを頼む神経が分からないわ!
私を怒らせて何が楽しいのかしら?
「もう言いたいこと全部言おうかしら……」
「その方がスッキリしていいと思いますわ」
「見つかったらそうしますわね」
この後は他愛ない雑談をして、間もなく王城前に到着した。
そこには……
「思ってたよりも人が少ないですわね」
「ええ、これの倍はいると思ってましたのに……」
……思っていたよりも小さな人だかりが出来ていた。
ちなみに、私達は王城に出入りしている商人を装って王城の中から見ることにしているから、そのまま門の中に向かった。
そして予定していた位置に着いてから十分後、手を後ろに縛られた王子が武装した騎士さん達に囲まれて姿を見せた。
その直後、王子の目線がこちらに向いて……
「フィーナ、助けてくれ! 今までのことは謝るから頼む!」
……そんなことを叫び始めた。
「離れましょう」
「ええ」
私の言葉に頷くリーシェ様。
「行かないでくれ! 雰囲気は違うけど、顔も胸も足もフィーナで間違いないんだ……! 何故無視する!」
「一体どこ見てたのよ……変態……」
「フィーナ様……ご愁傷様です」
「まだ死んでないわよ⁉︎」
そんな会話をしていると、王子が突然こちらに向かって駆け出した。
こちらの方が3メートルくらい高くなっているから来ることはできないはずだけど、何をされるか分からないから私は攻撃魔法の準備をした。
「フィーナ、頼む! 許してくれれば僕は解放されるんだ!」
「罪人が私に何の用ですか?」
「嘘……だろ?」
「フィーナ様は貴方に無実の罪をかけられたショックで貴方のことを覚えていませんのよ。フィーナ様の記憶にあるのは貴方に襲われて、大切な物を奪われそうになったことだけ。
あとはもう、分かりますね?」
示し合わせたわけでもないのに、そう合わせてくれるリーシェ様。
「そんな……フィーナの中では僕はただの罪人だと……。嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……」
「罪人が馴れ馴れしく私に話しかけていいと思っていますの? 早く私の目の前から消えなさい」
私がそう告げると、王子だった人は糸が切れたように地面に倒れ込んで、騎士さんたちに無理矢理立たせられていた。
これだけショックを受けていれば、もう話しかけてこないわよね?
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