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144. 王都奇襲攻撃

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 あれから5日、昼食中の私達の元にこんな知らせが届いた。


「た、大変です! 王都が陥落しました!」

「どういうことだ? まだ包囲すらされていなかったはずだ。何が起きた?」


 今日はジーク様がグレイヴに戻る日だから穏やかに過ごしたかったのに……。
 なんでこうなってしまうのかしら?


「戻るのは延期するよ。こんな状況だからね」

「私達のせいで振り回してごめんなさい。でも、ありがとう」

「困った時はお互い様だよ」


 そう言って笑顔を向けてくれるジーク様。
 私の気持ちを察してくれたのか分からないけど、今はただ嬉しかった。


「ソーラス様、具体的な戦況は分かりますか?
 状況によっては我々も手を貸します」

「敵の砲撃が城に撃ち込まれ続けているようだ。中に居る者は無事だろうが、外で守っている兵士の被害が大変なことになっていると予想できる。
 空から敵陣に攻撃したいから予定通り竜を借してもらおうと思っているのだが、いいかな?」

「分かりました。すぐに飛び立てる準備をします」


 そう言って食堂を飛び出したジーク様。
 ふと視線を逸らすと、彼の席の前にあるお皿が全て空になっていて、私は目を丸くする羽目になった。


 そして10分後。


「みんな準備はいいか?」

「「はい!」」


 10分で戦う準備を終え、私達は竜に乗って王都を目指した。
 お昼は中断することになったから、料理長さん達に申し訳ない気持ちになる私だった。

 ちなみに、お父様はすごい速さで完食していたけど、あれを真似するのは絶対無理だわ……。


「ここからでも煙が見えるとはね……」

「相当酷い状況なのね……」


 前の方でかすかに見える煙を見てそう呟く私達。


「相手は空も攻撃できるって聞いたけど大丈夫かしら?」


 ふと、そんな心配が浮かんできて呟くと、間髪入れずにジーク様がこう口にした。


「問題ないよ」

「即答⁉︎」

「フィーナが相手なら分からないけど、普通の人に負けることはないからね。ああ、幽霊が相手なら少し心配だね」

「人を化け物みたいに言わないでっ! もし本当に幽霊とかが来たら魔法で対処出来るから大丈夫よ」


 ちなみに、私が乗っている竜ーーアルディアさんには他にジーク様しか乗っていない。
 お父様とお母様は白い竜に、お兄様とルシアは他の黒竜に乗っている。

 三方向から攻撃する作戦だから、私も敵を殺めることになってしまうから抵抗はある。
 でも、何もしなかったら私達の方が殺されてしまうかもしれない。

 だから、手を抜くなんて絶対にできないわ。
 本当の目的は怪我をした人たちの治療だから、安全を確保するために必要なのよね……。


「フィーナ、もしかして怖いのか?」

「違うわ。人を殺めるのに抵抗があるだけよ」

「要するに怖いんだね。無理なら代わりに攻撃するよ?」

「大丈夫よ……。ここで戦えなかったら、本当に危なくなった時に戦えないもの。私がやるわ」


 強気で言ったのはいいけど、人を殺めるのに抵抗があるのは変わらない。
 出来ればこんなことはしたくないけど、私がやらなかったら味方が殺されてしまうから……。


 だから、王都の上空に着いたとき、躊躇いながら魔法を放った。
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