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125. 宴会は大変です②

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 公爵令息様6人とダンスをし、精神的にも肉体的にも疲れた私は会場の端の方でイリーナ様とアイセア様、それに他の公爵令嬢様3人に囲まれていた。

 側から見れば、私が公爵家の方々に虐められているように見えるみたいで、憐れむような目で見てくる人が目についた。

 もちろん、私は虐められてるわけではなく、ただ質問攻めにされているだけ。
 1年経たないうちに公爵家の仲間入りをする私のことを知って、仲良くするのが目的なのは顔を見れば分かるけれど、既に互いをある程度知っているアイセア様とイリーナ様以外の3人の質問に丁寧に答えるのは結構疲れる。


「少し休憩にした方がよろしいですわよ? フィーナ様が疲れ切ってしまいますわ。
 フィーナ様、お茶をいただいてきましたわ」

「ありがとうございます」


 アイセア様のお姉様にお礼を言う私。
 お茶で喉を潤すと、今度はアイセア様のお姉様とお話しすることになって、お互いにいくつか質問し合った。

 その後は、私がさっきの3人にお手紙や誕生日のプレゼントを送るのに必要な質問をした。

 私が質問をし終えると、アイセア様がこんなことを口にした。


「少しゲームをしませんか?」

「「どんなゲームですか?」」


 アイセア様の提案に聞き返す私達。


「このマフィンの中に1つだけ激辛のものがありますの。皆さんと一緒に食べたら楽しいと思いまして」


 そう口にしながら笑みを浮かべるアイセア様。
 それを見た私は、何か恐ろしいことが起きるような気がして思わず身震いした。


「その激辛マフィンって、どのくらい辛いのですか?」

「殿方でものたうち回るほどの辛さと聞いておりますわ」

「「……」」


 遠い目をしながら黙り込む私達。
 それを打ち破ったのはイリーナ様だった。


「そんなに辛いもの……私達を殺す気ですの?」

「これ、私に当たる可能性もありますのよ?」

「なんでそんなに恐ろしいものにしましたの⁉︎」

「その方が楽しいからですわ!」

「分かりましたわ……。では、いただきますわね」


 そう言ってマフィンを1つ手に取って口に運ぶイリーナ様。


「それは一口で食べてくださいね」


 アイセア様がそう口にした直後、イリーナ様はマフィンを口に入れた。
 そして、次の瞬間……口を押さえた。


「まさか、いきなり当たりを引きましたの⁉︎」

「流石王宮のシェフ、とても美味しいですわ」

「外れでしたのね……」

「次は私がいただきますわね」


 そんな感じでお皿の上のマフィンは数を減らし、私が手に取る頃には残り2つになっていた。


「フィーナ様、辛くないのを引いてくださいね!」

「私のことはどうでもいいですの?」

「アイセア様に当たったら面白いからですわ」

「これにしますわね」


 そう言ってアイセア様の近くにあった方のマフィンを手に取る私。
 皆の視線を感じながら口にすると、次の瞬間控えめな甘さが口の中に広がった。


「うん、美味しいですわ」


 私がそう口にすると、アイセア様は乾いた笑みを浮かべた。


「次はアイセア様ですね」


 イリーナ様がそう言った時には、アイセア様はマフィンを口の中に入れていて、涙を流しながら口を押さえていた。


「当たらなくてよかったですわ……」

「ええ、本当に」

「痛そうですね……」


 本当に辛いみたいで、うずくまるアイセア様を憐れむような目で見る私達だった。
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