113 / 155
113. 王都から王都へ②
しおりを挟む
翌朝、着替えを終えた私はジーク様の部屋に向かった。
その途中で剣を手にしたジーク様と出会い頭でぶつかりそうになってしまった。
「ごめんなさい……」
「こっちこそごめん。怪我はないか?」
「うん、大丈夫よ。ところで、今からどこに行くの?」
「移動で剣の練習が出来ていなかったから今からやろうと思ってたんだよ」
私の問いかけにそう答えるジーク様。
練習を実剣でするのは少し疑問があるけど、私が口を出すことでは無いよね……?
「少し相手をしてもらってもいいか?」
「実剣でやるのに……?」
「これは刃を潰してあるし、寸止めにするから大丈夫」
「分かったわ。剣を持ってくるから少し待ってて」
「先に訓練部屋に行ってるよ」
「うん、分かった」
そんな会話を交わしてから部屋に戻った私は練習用の剣を持ってジーク様の待つ訓練部屋に向かった。
移動のために動きやすいものを着ているから、着替えはしていない。
「お待たせー!」
「じゃあ早速始めよう」
「えっ⁉︎」
私が部屋に入ってドアを閉めて振り返ると、ちょうどジーク様が私に斬りかかってきているところだった。
慌てて剣を鞘から抜いてジーク様の攻撃を受け流す。
そこからすぐにカウンターの突きを放ったけど、ジーク様は既に体勢を立て直していて弾かれてしまった。
何回か模擬戦をしたことはあるけど、やっぱりジーク様は強いわ!
今度はジーク様が切り上げを放ってきたけど、私は体を捻って躱して反撃に移った。
そんな感じで攻防を続けること5分、息が上がってきていた私が体勢を崩してしまって、ジーク様の剣が腰の辺りに入ってきてしまった。
「やっぱりフィーナは強いな。ここまで俺と切り結べる人はなかなかいないからね。
付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。そろそろ朝食の時間だから一緒に行こう?」
「ああ」
ジーク様の横に並んで歩き出すと、不意に手を握られて振り返る私。
「手、繋いでもいいか?」
「もう繋いでるよね?」
そう言いながら手を握り返すと、ジーク様は笑顔を浮かべていた。
この後、朝食を終えた私達はそのまま竜に乗ってローザニアに向けて移動を始めた。
ちなみにだけど、ローザニアの建国記念祭は本当にお祭りみたいに活気に溢れる。
建国記念日までの3日間は休日になっているから貴族も平民も楽しみ方は違うけれど、お祭り気分を味わうことができる。
貴族は建国記念日に重たい正装を着て建国記念の式典に参加する義務があるから、それだけは楽しめないけどね。
殿方の服装はまだいいけど、私達は肩が痛くなってしまうから……。
そのことを空の上で話したら……
「それは大変だな……。頑張ってくれ」
……微妙な表情でそう言われた。
そして、この会話から5時間後の夕方には無事に王都に辿り着いた。
「「お帰りなさいませ、お嬢様! いらっしゃいませ、ジーク様!」」
使用人さん達に出迎えられながら屋敷に入る私達。
ちなみにだけど、ジーク様が呼び捨てなのは何年か前に「僕のことは名前で呼んでくれて構わない」と言ったかららしい。
「ただいま~!」
「お姉さま、お帰りなさい」
「うん、ただいま」
ルシアにそう返して抱きしめる私。
家族なら久々に会った時に抱きしめるのは普通のことだけど、ジーク様がルシアに嫉妬の視線を送っているのが見えた。
ルシアは私の妹なのに、なんで嫉妬するのかしら?
その途中で剣を手にしたジーク様と出会い頭でぶつかりそうになってしまった。
「ごめんなさい……」
「こっちこそごめん。怪我はないか?」
「うん、大丈夫よ。ところで、今からどこに行くの?」
「移動で剣の練習が出来ていなかったから今からやろうと思ってたんだよ」
私の問いかけにそう答えるジーク様。
練習を実剣でするのは少し疑問があるけど、私が口を出すことでは無いよね……?
「少し相手をしてもらってもいいか?」
「実剣でやるのに……?」
「これは刃を潰してあるし、寸止めにするから大丈夫」
「分かったわ。剣を持ってくるから少し待ってて」
「先に訓練部屋に行ってるよ」
「うん、分かった」
そんな会話を交わしてから部屋に戻った私は練習用の剣を持ってジーク様の待つ訓練部屋に向かった。
移動のために動きやすいものを着ているから、着替えはしていない。
「お待たせー!」
「じゃあ早速始めよう」
「えっ⁉︎」
私が部屋に入ってドアを閉めて振り返ると、ちょうどジーク様が私に斬りかかってきているところだった。
慌てて剣を鞘から抜いてジーク様の攻撃を受け流す。
そこからすぐにカウンターの突きを放ったけど、ジーク様は既に体勢を立て直していて弾かれてしまった。
何回か模擬戦をしたことはあるけど、やっぱりジーク様は強いわ!
今度はジーク様が切り上げを放ってきたけど、私は体を捻って躱して反撃に移った。
そんな感じで攻防を続けること5分、息が上がってきていた私が体勢を崩してしまって、ジーク様の剣が腰の辺りに入ってきてしまった。
「やっぱりフィーナは強いな。ここまで俺と切り結べる人はなかなかいないからね。
付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。そろそろ朝食の時間だから一緒に行こう?」
「ああ」
ジーク様の横に並んで歩き出すと、不意に手を握られて振り返る私。
「手、繋いでもいいか?」
「もう繋いでるよね?」
そう言いながら手を握り返すと、ジーク様は笑顔を浮かべていた。
この後、朝食を終えた私達はそのまま竜に乗ってローザニアに向けて移動を始めた。
ちなみにだけど、ローザニアの建国記念祭は本当にお祭りみたいに活気に溢れる。
建国記念日までの3日間は休日になっているから貴族も平民も楽しみ方は違うけれど、お祭り気分を味わうことができる。
貴族は建国記念日に重たい正装を着て建国記念の式典に参加する義務があるから、それだけは楽しめないけどね。
殿方の服装はまだいいけど、私達は肩が痛くなってしまうから……。
そのことを空の上で話したら……
「それは大変だな……。頑張ってくれ」
……微妙な表情でそう言われた。
そして、この会話から5時間後の夕方には無事に王都に辿り着いた。
「「お帰りなさいませ、お嬢様! いらっしゃいませ、ジーク様!」」
使用人さん達に出迎えられながら屋敷に入る私達。
ちなみにだけど、ジーク様が呼び捨てなのは何年か前に「僕のことは名前で呼んでくれて構わない」と言ったかららしい。
「ただいま~!」
「お姉さま、お帰りなさい」
「うん、ただいま」
ルシアにそう返して抱きしめる私。
家族なら久々に会った時に抱きしめるのは普通のことだけど、ジーク様がルシアに嫉妬の視線を送っているのが見えた。
ルシアは私の妹なのに、なんで嫉妬するのかしら?
0
お気に入りに追加
5,202
あなたにおすすめの小説
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放されました。でもそれが、私を虐げていた人たちの破滅の始まりでした
水上
恋愛
「ソフィア、悪いがお前との婚約は破棄させてもらう」
子爵令嬢である私、ソフィア・ベルモントは、婚約者である子爵令息のジェイソン・フロストに婚約破棄を言い渡された。
彼の隣には、私の妹であるシルビアがいる。
彼女はジェイソンの腕に体を寄せ、勝ち誇ったような表情でこちらを見ている。
こんなこと、許されることではない。
そう思ったけれど、すでに両親は了承していた。
完全に、シルビアの味方なのだ。
しかも……。
「お前はもう用済みだ。この屋敷から出て行け」
私はお父様から追放を宣言された。
必死に食い下がるも、お父様のビンタによって、私の言葉はかき消された。
「いつまで床に這いつくばっているのよ、見苦しい」
お母様は冷たい言葉を私にかけてきた。
その目は、娘を見る目ではなかった。
「惨めね、お姉さま……」
シルビアは歪んだ笑みを浮かべて、私の方を見ていた。
そうして私は、妹に婚約者を奪われ、屋敷から追放された。
途方もなく歩いていたが、そんな私に、ある人物が声を掛けてきた。
一方、私を虐げてきた人たちは、破滅へのカウントダウンがすでに始まっていることに、まだ気づいてはいなかった……。
妹に魅了された婚約者の王太子に顔を斬られ追放された公爵令嬢は辺境でスローライフを楽しむ。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
マクリントック公爵家の長女カチュアは、婚約者だった王太子に斬られ、顔に醜い傷を受けてしまった。王妃の座を狙う妹が王太子を魅了して操っていたのだ。カチュアは顔の傷を治してももらえず、身一つで辺境に追放されてしまった。
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
公爵令嬢を虐げた自称ヒロインの末路
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のレシアはヒロインを自称する伯爵令嬢のセラフィから毎日のように嫌がらせを受けていた。
王子殿下の婚約者はレシアではなく私が相応しいとセラフィは言うが……
……そんなこと、絶対にさせませんわよ?
お姉さまに婚約者を奪われたけど、私は辺境伯と結ばれた~無知なお姉さまは辺境伯の地位の高さを知らない~
マルローネ
恋愛
サイドル王国の子爵家の次女であるテレーズは、長女のマリアに婚約者のラゴウ伯爵を奪われた。
その後、テレーズは辺境伯カインとの婚約が成立するが、マリアやラゴウは所詮は地方領主だとしてバカにし続ける。
しかし、無知な彼らは知らなかったのだ。西の国境線を領地としている辺境伯カインの地位の高さを……。
貴族としての基本的な知識が不足している二人にテレーズは失笑するのだった。
そしてその無知さは取り返しのつかない事態を招くことになる──。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる