94 / 155
94. ローザニアへ
しおりを挟む
アトランタ領にあるお屋敷に戻ってから1週間、私は裁判に証人として出るためにローザニアに向かう準備をしている。
「フィーナ様、荷物はそれだけでいいのですか?」
「必要なものは家にあるもの。最低限で十分よ」
「そうでしたね……。旅行と同じ感覚で準備していました」
服を畳みながら苦笑いする侍女さん。
「普通はこんな状況にはならないもの。そうなるのも無理ないわ」
私がそう口にすると、侍女さんは「ありがとうございます」とだけ言って作業に戻った。
それから1時間もかからずに準備が終わり、暇になったのでジーク様を誘って中庭でお茶をして一日を終えた。
そして次の日、ジーク様と竜に乗ってローザニアに向けて出発した。
今回も護衛さん達が青竜に乗って周りを飛んでいる。
全員、私の身を案じたキーファス様が付けてくれた手練れの人達らしい。
「ジーク様、王子殿下が相手なのにこんなに護衛必要なのかな?」
「騎士団と戦うならこれくらいは必要だよ。無事に逃げる必要があるからね」
「騎士団と戦う想定だったのね……」
予想していなかった答えに何とも言えない気持ちになる私。
ちなみに、私が全く戦えない深窓の令嬢だったら今の倍の人数は必要になっていたらしい。
そんな会話の後、沈黙が続いて風の音だけが聞こえていた。
「……ナ。フィーナ?」
私を呼ぶ声が聞こえたと思ったら、突然体を揺すられて慌てて目を開ける私。
「ジーク様……?」
「おはよう」
「えっと……おはようございます? 勝手に寝てごめんなさい……」
いつの間にか眠ってしまっていたみたいで、慌てて体を起こして謝った。
それと同時に自分の身体に違和感を感じていたら。
「なんで謝るんだ?」
「なんとなく悪いと思ったの……」
「寝顔可愛かったし、怒るわけないから謝らなくていい。むしろ感謝してるくらいだ」
突然そんなことを言われて顔を背ける私。
その瞬間、さっきから感じている違和感の正体に気付いた。
下着の位置がズレてる……!
もしかしなくても、眠っている間にジーク様に何かされたのかな? でも、周りに護衛さん達がいるから堂々と出来るわけないし……。
「ジーク様、私が寝ている間に何かしました?」
「何もしてないけど、何かあったのか?」
「なんでもないわ」
ジーク様が嘘をついているようには見えなかったから、眠っている間にズレてしまったのね……。
この違和感をなんとかしたかったけど、ジーク様や護衛さん達が見ているから直せないまま数十分が過ぎ、うちの領都にある屋敷に到着した。
「「おかえりなさいませ、お嬢様!」」
竜から降りて庭から玄関前に行くと、使用人さん達が総出で出迎えてくれた。
「ただいま~!」
今回うちの屋敷に寄ったのは、王都にはあの数の青竜の居場所が無いから。
だから、ここで一旦お別れして馬車で移動することになっている。
昼食もここで取るから、私達はダイニングに向かった。
私だけ下着の位置を直すために空いてる部屋に寄ったけど。
昼食を終えた後は、馬車に乗って王都に向かって、夕方にうちの屋敷に到着した。
「フィーナ様、荷物はそれだけでいいのですか?」
「必要なものは家にあるもの。最低限で十分よ」
「そうでしたね……。旅行と同じ感覚で準備していました」
服を畳みながら苦笑いする侍女さん。
「普通はこんな状況にはならないもの。そうなるのも無理ないわ」
私がそう口にすると、侍女さんは「ありがとうございます」とだけ言って作業に戻った。
それから1時間もかからずに準備が終わり、暇になったのでジーク様を誘って中庭でお茶をして一日を終えた。
そして次の日、ジーク様と竜に乗ってローザニアに向けて出発した。
今回も護衛さん達が青竜に乗って周りを飛んでいる。
全員、私の身を案じたキーファス様が付けてくれた手練れの人達らしい。
「ジーク様、王子殿下が相手なのにこんなに護衛必要なのかな?」
「騎士団と戦うならこれくらいは必要だよ。無事に逃げる必要があるからね」
「騎士団と戦う想定だったのね……」
予想していなかった答えに何とも言えない気持ちになる私。
ちなみに、私が全く戦えない深窓の令嬢だったら今の倍の人数は必要になっていたらしい。
そんな会話の後、沈黙が続いて風の音だけが聞こえていた。
「……ナ。フィーナ?」
私を呼ぶ声が聞こえたと思ったら、突然体を揺すられて慌てて目を開ける私。
「ジーク様……?」
「おはよう」
「えっと……おはようございます? 勝手に寝てごめんなさい……」
いつの間にか眠ってしまっていたみたいで、慌てて体を起こして謝った。
それと同時に自分の身体に違和感を感じていたら。
「なんで謝るんだ?」
「なんとなく悪いと思ったの……」
「寝顔可愛かったし、怒るわけないから謝らなくていい。むしろ感謝してるくらいだ」
突然そんなことを言われて顔を背ける私。
その瞬間、さっきから感じている違和感の正体に気付いた。
下着の位置がズレてる……!
もしかしなくても、眠っている間にジーク様に何かされたのかな? でも、周りに護衛さん達がいるから堂々と出来るわけないし……。
「ジーク様、私が寝ている間に何かしました?」
「何もしてないけど、何かあったのか?」
「なんでもないわ」
ジーク様が嘘をついているようには見えなかったから、眠っている間にズレてしまったのね……。
この違和感をなんとかしたかったけど、ジーク様や護衛さん達が見ているから直せないまま数十分が過ぎ、うちの領都にある屋敷に到着した。
「「おかえりなさいませ、お嬢様!」」
竜から降りて庭から玄関前に行くと、使用人さん達が総出で出迎えてくれた。
「ただいま~!」
今回うちの屋敷に寄ったのは、王都にはあの数の青竜の居場所が無いから。
だから、ここで一旦お別れして馬車で移動することになっている。
昼食もここで取るから、私達はダイニングに向かった。
私だけ下着の位置を直すために空いてる部屋に寄ったけど。
昼食を終えた後は、馬車に乗って王都に向かって、夕方にうちの屋敷に到着した。
17
お気に入りに追加
5,278
あなたにおすすめの小説
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
婚約者の態度が悪いので婚約破棄を申し出たら、えらいことになりました
神村 月子
恋愛
貴族令嬢アリスの婚約者は、毒舌家のラウル。
彼と会うたびに、冷たい言葉を投げつけられるし、自分よりも妹のソフィといるほうが楽しそうな様子を見て、アリスはとうとう心が折れてしまう。
「それならば、自分と妹が婚約者を変わればいいのよ」と思い付いたところから、えらいことになってしまうお話です。
登場人物たちの不可解な言動の裏に何があるのか、謎解き感覚でお付き合いください。
※当作品は、「小説家になろう」、「カクヨム」にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる