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87. 公爵家でお茶会③

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 笑いが収まってから、私たちは窓際にあるテーブルまで移動した。
 その窓の向こうは中庭になっているみたいで、綺麗なお花が咲き誇る様子と煌めく小川が目に入った。

 こういうものを見る機会は滅多にないからつい見入ってしまった。
 とは言っても、ローズ様達の前だから数秒だけだけど。


「うちの庭、気に入ってくれた?」

「ええ。とっても」


 お庭に見入っていたのは気付かれていたみたいで、そう問いかけられてしまった。

 それから雑談をしていると、突然アエリア様からこんなことを聞かれた。


「そういえば、フィーナ様はジーク様と進展あったの?」

「発表はまだだけど……この前婚約したわ」

「「えぇっ、いつの間に⁉︎」」


 なんとなく恥ずかしくて小さめの声で答えると、ローズ様とテレーゼ様が声を上げた。


「これで全員婚約が決まったのね。今度お祝いパーティーでも開かない?」

「まだ婚約よ? 破棄でもされたら洒落にならないから遠慮しておくわ」


 テレーゼ様の提案を微妙な表情で断るアエリア様。
 アエリア様とその婚約者様の仲は良かったと記憶しているのだけど、何かあったのかな……?

 そう思ったのは私だけではないみたいで、テレーゼ様とローズ様もアエリア様を見つめていた。


「何かありましたの……?」


 心配だから問いかけてしまう私。
 この問いかけにアエリア様は衝撃的な、他人事ひとごととは思えないことを口にした。


「実は、ルイス様が若い女性と二人きりで会っていたという噂を聞きましたの……」

「それって、もしかしてなくても浮気なのかしら……?」

「フィーナ様、気持ちは分かるけどそう決めつけるのはまだ早いわ! こうなったら白黒はっきりするために調査しましょう!」


 私が浮気されたことがあるからって、アエリア様がそうとも限らなかったわ……。


「調査って今から?」

「ええ、もちろんよ!」


 一人で反省する私の前でそんな会話をするテレーゼ様とローズ様。

 それから30分程、お菓子を食べ終えた私達は護衛を引き連れて馬車で移動していた。
 ローズ様は思い立ったらすぐ行動する方みたいで、みんなこういうことには慣れているみたい……。


「まずは王城の方に聞き込みよ! 王城の方は噂に詳しいから!」

「私は侍女さん達に聞き込みをするから、ローズ様は騎士団当たって」

「ちょっと、私一人にあの暑苦しいところに行かせるつもりなの⁉︎」

「言い出したのはローズ様よね?」


 そんな感じで何も分からない私を置いて話は進んでいた。


 結局、この日はその目撃現場が判明しただけで、真相に辿り着くことは出来なかった。



 途中から何か違ったお茶会を終えてアトランタ家のお屋敷に戻ると、なんだか怒った様子のジーク様が出迎えてくれた。


「お帰り、フィーナ。
 いきなりで悪いんだけど、クソ王子が屋敷に来ているらしい。だから、戻るのはしばらく先にするけどいいかな?」

「もちろんよ。教えてくれてありがとう」


 怒っている原因が私じゃなくて安心したけど、なんでアノヒトがこの国に来たのか疑問に思う私だった。
 
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