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85. 公爵家でお茶会①

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 王都に到着してから2日目の朝、私はお茶会の準備のために部屋に引きこもっていた。

 重たいドレスではないから着替えは一人で終えたけど、メイクだったりは一人では出来ないからティアナさんにお願いしてやってもらっている。


 ただ、私が着替えに手間取ったせいで朝食の時間は過ぎてしまっている。

 そのせいか、部屋の外から声をかけられた。


「フィーナ、まだかかりそう?」

「うん。先に食べてて」

「いや、終わるまで待つよ」


 待たなくていいのに……。
 一瞬そう思ったけど、ジーク様が私と一緒じゃないと嫌なだけだというのに気が付いて少し呆れてしまった。


「まだかかりますから、先に食べててください」

「分かった……」


 私が慣れている話し方でそう言うと、ジーク様は暗い声でそう口にした。

 これはどうでもいい話だけど、出会った時から敬語で話していたから、打ち解けた話し方が未だに慣れていないのよね……。
 敬語で話すとジーク様は私が不機嫌だと思うみたいだから、今みたいな状況になったら敬語にしたりしている。

 そのせいで、うっかり敬語になってしまった時は「なんで怒るの⁉︎」ってなることもある。


「お待たせしました!」

「ありがとう。ジーク様を待たせてるから急いで行ってくるわ」


 そう言って、鏡で髪型を確認してから部屋を出る私。


「行ってらっしゃいませ」


 ティアナさんは微笑みを浮かべながら見送ってくれてた。


「お待たせ!」

「ッ……」


 ダイニングに入ってそう口にすると、ジーク様が嬉しそうな表情を浮かべたと思ったら口を押さえてそっぽを向かれてしまった。

 何か変なところでもあったのかな……?
 今はハーフアップにアクセントの三つ編みで飾る髪型だから変なところは無いはずなのだけど……。

 ちなみに、メイクの類はほとんど変化がないくらいにしかしていない。


「ジーク様……?」

「ごめん、フィーナが可愛すぎて直視出来なくなった」

「はい?」


 寝言は寝てから言ってください。まだ朝ですよ?


 とりあえず、コノヒトは放置して早く食べなくちゃ!

 出発まではまだ時間あるけど、ゆっくりしてたら遅れてしまうもの。


「いただきます」

「いただきます」


 私の声に少し遅れてジーク様もそう口にして、いつも通りお話をしながらの朝食になった。
 もちろん、口の中に食べ物が入ったまま喋ってませんからね!



 それからしばらくして……


「行ってきま~す!」


 ……私はジーク様や使用人さん達に見送られながら馬車でお屋敷を後にした。

 ローズ様と直接お話ししたのはまだ1回だけだから少し緊張してるけど、お手紙でやりとりはしていたから大丈夫よね……?
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