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80. 罰です!

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 ジーク様と正式に婚約してから3日経つ今日のお昼過ぎ、ユリウスさんが少し豪華な封筒を手に私の部屋に来た。


「フィーナ様、リトニア公爵家からお手紙が届いております。急ぎではないのでお時間がある時にご確認ください」

「分かったわ。ソファーの前に置いておいてもらえる?」

「畏まりました」


 あと少しで終わりそうな刺繍の手を止めるわけにはいかなかったから、ソファの前のテーブルに置いてもらった。


 今やっているのは練習用のハンカチだけど、ティアナさんが言うには練習とは思えないほど上手いらしい。
 上手く出来たらジーク様にも見せてみようと思っている。

 ちなみに、刺繍自体は令嬢の嗜みの1つになっているからある程度のことなら家で練習させられていた。


 今までこういうものをジーク様に見せたことはないからどう反応されるかは分からないけど、喜んでもらえると良いな……。


 そんな期待をしながら針を進め、日が傾く前には完成させることが出来た。
 ティアナさん達に見てもらう前に手紙の中身を見てみると、お茶会の招待状が入っていた。

 早速、参加しても大丈夫かジーク様に聞きに隣の部屋に向かった。
 ……のだけど、ジーク様は部屋にいないみたいでドアをノックしても返事はなかった。


「フィーナ、何してるのかな?」

「ひゃっ⁉︎」


 突然後ろからそんな声が聞こえてきたと思ったら、振り向く前に抱きしめられてしまった。
 お陰で驚いて変な声が出てしまったわ……。


「もうっ、驚かさないでください!」

「ごめんごめん、あまりにも無防備だったからちょっと意地悪してみたくなったんだ」

「次やったら怒りますからね……」

「分かった、もうやらないよ。ところで、なんで敬語に戻ってるんだ?」

「意地悪してきた罰です!」


 本当に驚いたんだからね!


「……」

「ところで、来週は何か予定ありませんか?」

「特に無いけど、どうしたの?」

「聞いただけですわ」


 予定が無いと分かったから、すぐに部屋に戻って返事を書いてユリウスさんにローズさん宛に送るようにお願いした。
 それから、キーファス様には王都までの往復の準備をお願いした。



 夕方、ジーク様が私の部屋に来たので、テラスでお茶をすることになった。


「そういえば、茶会に誘われたんだって?」

「はい、この前お会いした時に約束していたので」


 私がそう答えると、ジーク様はこんなことを口にした。


「俺も行っていいかな? 王都まで一緒に」

「良いですよ。お茶会にはこないでくださいね?」

「分かってる。ところで、そろそろ普通に話してくれないか?」

「今日はダメです」


 もうやめちゃったら、罰にならないからね!
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