76 / 155
76. 婚約①
しおりを挟む
「い、今は別の部屋に行きましょう……」
「そういうことなら、夕方にフィーナのご両親に話をするよ」
「その方が上手く話が進むと思いますわ」
ジーク様はキーファス様が殴られても気にしないみたいだったけど、お父様がキーファス様を殴るのは見ていて心配になるのよね……。
だから、落ち着いて話をできることになって安心した。
「あの殴り合いはふざけてやってるだけだから大丈夫だよ?」
「それにしては痛そうな音がしてましたけど……」
そんな会話をしながらジーク様の部屋にあるテラスに移動した私達。
そこにはすでにお茶が用意されていた。
「変なこと聞いても良いかな?」
「答えられることならいいですよ」
「フィーナは剣振れる?」
これのどこが変なことなのかしら?
少し疑問に思いながら、私はこう口にした。
「軽めの剣なら多少は扱えますわ」
「明日、軽く手合わせしてもらえないかな? フィーナの実力を知っておきたいんだ」
「お手柔らかにお願いしますね?」
そんなことを話していると、下の方からお父様とキーファス様の声が聞こえてきた。
「よし、庭に出ろ!」
「分かった!」
お父様の言葉にそう返すキーファス様。
「覚悟はいいか?」
「いつでも来い!」
「よし、歯を食いしばれ」
その次の瞬間、お父様が手に持った銀色のものをキーファス様の肩に振り下ろした。
あれは練習用の模造剣だけど、本気で叩かれたら骨にヒビが入るくらい頑丈に出来ていたはず。
だから、キーファス様は無事では済まないと思うのだけど……
「腕、鈍ったな。そんなんで拷問が務まるのか?」
…….心配の必要は無さそうね。普通に肩を回してるわ……。
なんとも言えない光景に驚いていると、不意にジーク様に抱きしめられてこう囁かれた。
「もう一つお願いしていいかな?」
「いいですよ」
「俺には敬語を使わないでもらえないか? 結婚してからは……いや、今もフィーナとは対等の立場でありたいんだ。
敬語だと上下関係を感じてしまうからね」
「ど、努力しますわ……」
頼まれたそばから敬語になってしまったわ……。
「ゆっくりでいいから、慌てないで」
「うん……」
なんとか敬語にならずに答えられた時だった。
お父様と目が合ってしまった。
今の私はジーク様に抱きしめられているから、お父様に見られたらかなりまずいと思うのよね……。
「フィーナ! いつから彼に体を許すようになったんだ⁉︎」
恥ずかしいから大声で叫ばないで欲しいのだけど……。
「恥ずかしいから大声で言わないでください!」
お父様、少しは空気を読んで欲しかったわ……。
「ジーク様、中に戻りましょう」
お父様の邪魔が入ってしまうので、ジーク様の部屋の中でお話をすることにした。
お父様に向かって叫んでからは背中しか見せてないけど、項垂れてても知りません!
「そういうことなら、夕方にフィーナのご両親に話をするよ」
「その方が上手く話が進むと思いますわ」
ジーク様はキーファス様が殴られても気にしないみたいだったけど、お父様がキーファス様を殴るのは見ていて心配になるのよね……。
だから、落ち着いて話をできることになって安心した。
「あの殴り合いはふざけてやってるだけだから大丈夫だよ?」
「それにしては痛そうな音がしてましたけど……」
そんな会話をしながらジーク様の部屋にあるテラスに移動した私達。
そこにはすでにお茶が用意されていた。
「変なこと聞いても良いかな?」
「答えられることならいいですよ」
「フィーナは剣振れる?」
これのどこが変なことなのかしら?
少し疑問に思いながら、私はこう口にした。
「軽めの剣なら多少は扱えますわ」
「明日、軽く手合わせしてもらえないかな? フィーナの実力を知っておきたいんだ」
「お手柔らかにお願いしますね?」
そんなことを話していると、下の方からお父様とキーファス様の声が聞こえてきた。
「よし、庭に出ろ!」
「分かった!」
お父様の言葉にそう返すキーファス様。
「覚悟はいいか?」
「いつでも来い!」
「よし、歯を食いしばれ」
その次の瞬間、お父様が手に持った銀色のものをキーファス様の肩に振り下ろした。
あれは練習用の模造剣だけど、本気で叩かれたら骨にヒビが入るくらい頑丈に出来ていたはず。
だから、キーファス様は無事では済まないと思うのだけど……
「腕、鈍ったな。そんなんで拷問が務まるのか?」
…….心配の必要は無さそうね。普通に肩を回してるわ……。
なんとも言えない光景に驚いていると、不意にジーク様に抱きしめられてこう囁かれた。
「もう一つお願いしていいかな?」
「いいですよ」
「俺には敬語を使わないでもらえないか? 結婚してからは……いや、今もフィーナとは対等の立場でありたいんだ。
敬語だと上下関係を感じてしまうからね」
「ど、努力しますわ……」
頼まれたそばから敬語になってしまったわ……。
「ゆっくりでいいから、慌てないで」
「うん……」
なんとか敬語にならずに答えられた時だった。
お父様と目が合ってしまった。
今の私はジーク様に抱きしめられているから、お父様に見られたらかなりまずいと思うのよね……。
「フィーナ! いつから彼に体を許すようになったんだ⁉︎」
恥ずかしいから大声で叫ばないで欲しいのだけど……。
「恥ずかしいから大声で言わないでください!」
お父様、少しは空気を読んで欲しかったわ……。
「ジーク様、中に戻りましょう」
お父様の邪魔が入ってしまうので、ジーク様の部屋の中でお話をすることにした。
お父様に向かって叫んでからは背中しか見せてないけど、項垂れてても知りません!
2
お気に入りに追加
5,221
あなたにおすすめの小説
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
今日も旦那は愛人に尽くしている~なら私もいいわよね?~
コトミ
恋愛
結婚した夫には愛人がいた。辺境伯の令嬢であったビオラには男兄弟がおらず、子爵家のカールを婿として屋敷に向かい入れた。半年の間は良かったが、それから事態は急速に悪化していく。伯爵であり、領地も統治している夫に平民の愛人がいて、屋敷の隣にその愛人のための別棟まで作って愛人に尽くす。こんなことを我慢できる夫人は私以外に何人いるのかしら。そんな考えを巡らせながら、ビオラは毎日夫の代わりに領地の仕事をこなしていた。毎晩夫のカールは愛人の元へ通っている。その間ビオラは休む暇なく仕事をこなした。ビオラがカールに反論してもカールは「君も愛人を作ればいいじゃないか」の一点張り。我慢の限界になったビオラはずっと大切にしてきた屋敷を飛び出した。
そしてその飛び出した先で出会った人とは?
(できる限り毎日投稿を頑張ります。誤字脱字、世界観、ストーリー構成、などなどはゆるゆるです)
hotランキング1位入りしました。ありがとうございます
妹に全てを奪われた伯爵令嬢は遠い国で愛を知る
星名柚花
恋愛
魔法が使えない伯爵令嬢セレスティアには美しい双子の妹・イノーラがいる。
国一番の魔力を持つイノーラは我儘な暴君で、セレスティアから婚約者まで奪った。
「もう無理、もう耐えられない!!」
イノーラの結婚式に無理やり参列させられたセレスティアは逃亡を決意。
「セラ」という偽名を使い、遠く離れたロドリー王国で侍女として働き始めた。
そこでセラには唯一無二のとんでもない魔法が使えることが判明する。
猫になる魔法をかけられた女性不信のユリウス。
表情筋が死んでいるユリウスの弟ノエル。
溺愛してくる魔法使いのリュオン。
彼らと共に暮らしながら、幸せに満ちたセラの新しい日々が始まる――
※他サイトにも投稿しています。
妹に婚約者を結婚間近に奪われ(寝取られ)ました。でも奪ってくれたおかげで私はいま幸せです。
千紫万紅
恋愛
「マリアベル、君とは結婚出来なくなった。君に悪いとは思うが私は本当に愛するリリアンと……君の妹と結婚する」
それは結婚式間近の出来事。
婚約者オズワルドにマリアベルは突然そう言い放たれた。
そんなオズワルドの隣には妹リリアンの姿。
そして妹は勝ち誇ったように、絶望する姉の姿を見て笑っていたのだった。
カクヨム様でも公開を始めました。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
【完結】結婚しておりませんけど?
との
恋愛
「アリーシャ⋯⋯愛してる」
「私も愛してるわ、イーサン」
真実の愛復活で盛り上がる2人ですが、イーサン・ボクスと私サラ・モーガンは今日婚約したばかりなんですけどね。
しかもこの2人、結婚式やら愛の巣やらの準備をはじめた上に私にその費用を負担させようとしはじめました。頭大丈夫ですかね〜。
盛大なるざまぁ⋯⋯いえ、バリエーション豊かなざまぁを楽しんでいただきます。
だって、私の友達が張り切っていまして⋯⋯。どうせならみんなで盛り上がろうと、これはもう『ざまぁパーティー』ですかね。
「俺の苺ちゃんがあ〜」
「早い者勝ち」
ーーーーーー
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定です。
完結しました。HOT2位感謝です\(//∇//)\
R15は念の為・・
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる