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55. 竜の国の社交界②
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馬車で移動すること数十分、私達は大きな城壁で囲われたお城にある王宮に到着した。
馬車を降りると、早速王宮の方が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、アトランタ様。失礼でしたら申し訳ありませんが、そちらのお嬢様のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「フィーナ・アストリアです」
ペコリと頭を下げる私。使用人さんと何かの付き合いが出来る事は考えにくいから、名乗るだけに留めておいた。
ジーク様に「よろしくお願いしますって言わなくていいからな」と言われていなかったら、そうはしなかったけど。
「貴女様が……。お話は伺っております。
我が国ではフィーナ様を邪険に扱う者はおりませんので、どうぞパーティーをお楽しみください」
「そう言っていただけて安心しましたわ」
恭しく頭を下げるその殿方にそう返す私。
ちなみに、馬車を降りてから今までずっとジーク様に腰を抱かれている。
キーファス様とソフィア様はどうしてるのか気になって見てみたら、隣にいるだけでエスコートなんて全くしていなかった。
まだ会場の近くではないからこれが普通なのよね……。
ジーク様の手を離そうとしてみたら、抱く力が強くなってしまった。
「ここでエスコートする必要無いですよね?」
「してはいけない理由も無いよ?」
「確かにそうですけど……」
「なら問題ないな」
どうしよう、何も言い返せないわ……。
この後すぐに王宮の中へと案内されて、大きなシャンデリアが5つほどある場所に入った。
「こちらが本日の会場になります。では、失礼いたします」
そう言って案内してくれた殿方が頭を下げて離れると、ソフィア様がこう口にした。
「私達はお父様達と話をしてくるから、2人で自由にしてて大丈夫よ」
「分かった。フィーナ、友達にフィーナのこと紹介してもいいかな?」
「はい。変な事はしないでくださいね?」
「もちろんしない」
ジーク様はそう答えて会場の真ん中の方へと歩き出した。
ものすごく視線を感じるけど、悪意の籠もった視線が無いのが不思議だわ。
ジーク様、私から見てイケメンだから嫉妬する人もいると思っていたのだけど……。
むしろ、見守るような雰囲気なのは何故かしら?
私がそんなことを考えている間に、ジーク様は足を止めて殿方2人に声をかけた。
「久しぶり」
「うおっ⁉︎ 後ろから急に声かけるな」
「連絡が無いから死んだと思ってたぞ。生きてたみたいだな」
「いや、ひどくないか⁉︎ 勝手に殺さないでくれ」
ここ、社交界よね……? こんな打ち解けた感じで大丈夫なのかしら?
「連絡しないのが悪い。返事くらい書け」
「あっ、すまねえ……。忙しくてな」
「忘れてただけだろ」
「うっ……」
図星だったらしく、ジーク様のご友人らしき殿方が黙り込んでしまった。
「ジーク、久しぶりだな。そちらの彼女は? 社交界で見かけたこと無いが……」
「久しぶり。フィーナはローザニアから来たばかりだから知らなくて当然だ」
「そうなのか……。フィーナ嬢って、名前聞いたことあるぞ。確かローザニアの王太子に婚約破棄されたんだよな?」
まさかグレイヴの社交界にまでその話が広まっているとは思わなかったわ……。
もしかして、ここにいる全員が知っているのかしら?
もしそうなら、恥ずかしいから今すぐにこの場を離れたい。
そう考える私だったけど、3人のご令嬢に見える方達に囲まれてしまって離れることができなくなってしまった。
馬車を降りると、早速王宮の方が出迎えてくれた。
「お待ちしておりました、アトランタ様。失礼でしたら申し訳ありませんが、そちらのお嬢様のお名前を伺ってもよろしいですか?」
「フィーナ・アストリアです」
ペコリと頭を下げる私。使用人さんと何かの付き合いが出来る事は考えにくいから、名乗るだけに留めておいた。
ジーク様に「よろしくお願いしますって言わなくていいからな」と言われていなかったら、そうはしなかったけど。
「貴女様が……。お話は伺っております。
我が国ではフィーナ様を邪険に扱う者はおりませんので、どうぞパーティーをお楽しみください」
「そう言っていただけて安心しましたわ」
恭しく頭を下げるその殿方にそう返す私。
ちなみに、馬車を降りてから今までずっとジーク様に腰を抱かれている。
キーファス様とソフィア様はどうしてるのか気になって見てみたら、隣にいるだけでエスコートなんて全くしていなかった。
まだ会場の近くではないからこれが普通なのよね……。
ジーク様の手を離そうとしてみたら、抱く力が強くなってしまった。
「ここでエスコートする必要無いですよね?」
「してはいけない理由も無いよ?」
「確かにそうですけど……」
「なら問題ないな」
どうしよう、何も言い返せないわ……。
この後すぐに王宮の中へと案内されて、大きなシャンデリアが5つほどある場所に入った。
「こちらが本日の会場になります。では、失礼いたします」
そう言って案内してくれた殿方が頭を下げて離れると、ソフィア様がこう口にした。
「私達はお父様達と話をしてくるから、2人で自由にしてて大丈夫よ」
「分かった。フィーナ、友達にフィーナのこと紹介してもいいかな?」
「はい。変な事はしないでくださいね?」
「もちろんしない」
ジーク様はそう答えて会場の真ん中の方へと歩き出した。
ものすごく視線を感じるけど、悪意の籠もった視線が無いのが不思議だわ。
ジーク様、私から見てイケメンだから嫉妬する人もいると思っていたのだけど……。
むしろ、見守るような雰囲気なのは何故かしら?
私がそんなことを考えている間に、ジーク様は足を止めて殿方2人に声をかけた。
「久しぶり」
「うおっ⁉︎ 後ろから急に声かけるな」
「連絡が無いから死んだと思ってたぞ。生きてたみたいだな」
「いや、ひどくないか⁉︎ 勝手に殺さないでくれ」
ここ、社交界よね……? こんな打ち解けた感じで大丈夫なのかしら?
「連絡しないのが悪い。返事くらい書け」
「あっ、すまねえ……。忙しくてな」
「忘れてただけだろ」
「うっ……」
図星だったらしく、ジーク様のご友人らしき殿方が黙り込んでしまった。
「ジーク、久しぶりだな。そちらの彼女は? 社交界で見かけたこと無いが……」
「久しぶり。フィーナはローザニアから来たばかりだから知らなくて当然だ」
「そうなのか……。フィーナ嬢って、名前聞いたことあるぞ。確かローザニアの王太子に婚約破棄されたんだよな?」
まさかグレイヴの社交界にまでその話が広まっているとは思わなかったわ……。
もしかして、ここにいる全員が知っているのかしら?
もしそうなら、恥ずかしいから今すぐにこの場を離れたい。
そう考える私だったけど、3人のご令嬢に見える方達に囲まれてしまって離れることができなくなってしまった。
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