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48. フィーナ父side 王国の危機

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「今日この時をもって、クラウス・ローザニアの国王代理を解任、代わってエレノア・ローザニアを国王代理に任命する」


 私達の前でそう言って任命書をエレノアに手渡す陛下。それを受け取った王妃殿下は早速私達に命令をしてきた。


「近衛隊長、クラウスを王室居住区の真ん中に入れないようにするから、私の護衛をお願いしますわ」

「はっ」


 近衛隊長にそう言った王妃殿下は私の方に振り向くと、こう口にした。


「クラウスの監視をお願いしますわ」

「既に近衛隊に監視させております」

「流石はアイリスの旦那様ね。仕事が早くて助かるわ。
 アランに話をしてくるから、あとは任せるわね」


 そう言って、王妃殿下は部屋から出て行かれた。
 部屋を出る直前に「アイリスごめんね。もうお茶どころじゃないから帰ってても良いわ」と付け加えて。

 殿下を見送ってから、私は陛下の近くまで行った。


「陛下、私も業務が残ってますのでこれで失礼します。
 お大事になさってください」

「私も失礼させていただきますわ。お大事になさってください」


 そこで私とアイリスは頭を下げて、陛下の部屋を後にした。

 ちなみに、陛下が倒れたのは過労が原因だ。
 改革を進めたり細かいところに気を配ってくださるのは良いのだが、ご自身の身体に不調が出ているのも厭わずに職務を続けられていた。
 そして、半月前に会議の最中に意識を失って倒れられて今に至る。

 何かあるとすぐに対処しようとされる陛下のことだから、王妃殿下を筆頭に私達家臣は陛下に対して過保護になってしまっている。
 ベッドから起き上がらせなかったりするのはそのためだ。

 疲労が原因なのだ。ここまで神経質になるのも当たり前だろう。



 陛下の部屋を後にした私は騎士団の本部に向かっていた。
 そこでアイリスからこんなことを言われた。


「ついて行ってもいいかしら?」

「兵部きょうの部屋に行かないと約束してくれるならな」


 あの部屋は色々な意味で危険だから、私も不用意に行ったりはしない。


「分かったわ」


 社交界ではないので腰を抱くスタイルのエスコートはしないが、お互い寄り添っている。

 婚約している時からこんな感じだったからか、アイリスに変な虫が寄り付くことは無かった。
 私がアイリスに執着しているといった噂が流れたこともあるが、事実なので否定はしない。


 他愛ない会話をしながら廊下を進み、自室に入ると部下が待ち構えていた。


「何かあったのか?」

「ソーラス様が部屋を出られてすぐにクラウス殿下がこれを持ってこられました」


 部下が差し出してきた手紙には、衝撃的な内容が書かれていた。


『フィーナ嬢の不敬罪を赦したから、彼女を抱かせてほしい。もちろん今までのようにフィーナが邸で暮らすことは許す』


 それを見た瞬間、頭に血が上るのが分かった。
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