31 / 155
31. 家族からの手紙
しおりを挟む
アルディアさんに乗ってジーク様の家に戻る途中のことだった。
「ねえ、あれって何?」
背中に馬車のようなものを乗せた白い竜と人が乗っている青い竜7頭とすれ違い、気になった私はアルディアさんに尋ねてみた。
『白竜と青竜だよ。ああ見えて、白竜は僕達黒竜と同じ種なんだ』
「正反対の色なのに⁉︎」
思わず驚きの声を上げてしまった。
確かに体の形は似ていたけど、色が違いすぎて同じ種とは思えなかったから。
『正反対の色だけど、同じ種だよ。雄は黒竜に、雌は白竜になるんだ』
「そうなのね。不思議だわ……」
最後の呟きはすごく小さな声になったからアルディアさんにも聞こえなかったみたいで、特に反応は無かった。
ジーク様の家にたどり着いて中に入ると、玄関までティアナさんが出迎えに来てくれた。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。わざわざ出迎えてくれてありがとう」
「これくらい大した事ではありませんから、お気になさらないでください。
昼食の用意は出来ておりますので冷めないうちにダイニングまで来てください」
「もう出来てるのね。すぐに行くわ」
遠慮がちにそう口にするティアナさん。
昼食が出来ていると聞いた私は急いでダイニングに向かった。
着替えは後でいいよね……? ご飯、冷めちゃうと申し訳ないもの。
ダイニングに着くと、並べられている料理からは湯気が上がっていた。
ジーク様の姿は無く、並べられているのも私の分だけだった。
ちなみに、アルディアさんは一日二食だからお昼は食べない。
だから、必然的に一人で食べることになったのだけど……
「寂しいわ……」
いつもはお話ししながら食べていたから、虚無感がすごくて思わず呟いてしまった。
『僕で良かったら話し相手になるよ?』
「大丈夫よ。ジーク様のところに行かなくちゃ行けないのでしょう? 私のことは気にしなくていいから早く行ってあげて」
これくらい耐えられるから、私はアルディアさんの羽毛を撫でながらそう口にした。
『分かったよ。じゃあ、行ってくるね』
アルディアさんはそう言って、窓から飛び出していった。
それから少しして、部屋に戻った私はお父様からの手紙をようやく確認することが出来た。
手紙にはお母様が寝込んでしまったことが書かれていた。
一日で良くなったみたいだけど、すごく心配させてしまったみたいで申し訳なかった。
意外なことに、私を支持する人が多いらしいということも書かれていた。
突然現れて王太子妃になろうとしているレイラ様を良く思わない人と、殿下が私を捨てた行動に不満がある人が多いみたい。
よく考えてみたらそうなるよね。いくら男性や王族が有利でも限度というものがあるもの。
ちなみに、私と殿下が仲直りして欲しいっていうか声もあるみたいだけど、私は二度と関わるつもりは無い。
私が殿下にものすごく怒っているというのもあるけど、仲直りしたところでまた捨てられるのが目に見えてるもの……。
「ねえ、あれって何?」
背中に馬車のようなものを乗せた白い竜と人が乗っている青い竜7頭とすれ違い、気になった私はアルディアさんに尋ねてみた。
『白竜と青竜だよ。ああ見えて、白竜は僕達黒竜と同じ種なんだ』
「正反対の色なのに⁉︎」
思わず驚きの声を上げてしまった。
確かに体の形は似ていたけど、色が違いすぎて同じ種とは思えなかったから。
『正反対の色だけど、同じ種だよ。雄は黒竜に、雌は白竜になるんだ』
「そうなのね。不思議だわ……」
最後の呟きはすごく小さな声になったからアルディアさんにも聞こえなかったみたいで、特に反応は無かった。
ジーク様の家にたどり着いて中に入ると、玄関までティアナさんが出迎えに来てくれた。
「お帰りなさいませ」
「ただいま。わざわざ出迎えてくれてありがとう」
「これくらい大した事ではありませんから、お気になさらないでください。
昼食の用意は出来ておりますので冷めないうちにダイニングまで来てください」
「もう出来てるのね。すぐに行くわ」
遠慮がちにそう口にするティアナさん。
昼食が出来ていると聞いた私は急いでダイニングに向かった。
着替えは後でいいよね……? ご飯、冷めちゃうと申し訳ないもの。
ダイニングに着くと、並べられている料理からは湯気が上がっていた。
ジーク様の姿は無く、並べられているのも私の分だけだった。
ちなみに、アルディアさんは一日二食だからお昼は食べない。
だから、必然的に一人で食べることになったのだけど……
「寂しいわ……」
いつもはお話ししながら食べていたから、虚無感がすごくて思わず呟いてしまった。
『僕で良かったら話し相手になるよ?』
「大丈夫よ。ジーク様のところに行かなくちゃ行けないのでしょう? 私のことは気にしなくていいから早く行ってあげて」
これくらい耐えられるから、私はアルディアさんの羽毛を撫でながらそう口にした。
『分かったよ。じゃあ、行ってくるね』
アルディアさんはそう言って、窓から飛び出していった。
それから少しして、部屋に戻った私はお父様からの手紙をようやく確認することが出来た。
手紙にはお母様が寝込んでしまったことが書かれていた。
一日で良くなったみたいだけど、すごく心配させてしまったみたいで申し訳なかった。
意外なことに、私を支持する人が多いらしいということも書かれていた。
突然現れて王太子妃になろうとしているレイラ様を良く思わない人と、殿下が私を捨てた行動に不満がある人が多いみたい。
よく考えてみたらそうなるよね。いくら男性や王族が有利でも限度というものがあるもの。
ちなみに、私と殿下が仲直りして欲しいっていうか声もあるみたいだけど、私は二度と関わるつもりは無い。
私が殿下にものすごく怒っているというのもあるけど、仲直りしたところでまた捨てられるのが目に見えてるもの……。
32
お気に入りに追加
5,278
あなたにおすすめの小説
初夜に大暴言を吐かれた伯爵夫人は、微笑みと共に我が道を行く ―旦那様、今更擦り寄られても困ります―
望月 或
恋愛
「お前の噂を聞いたぞ。毎夜町に出て男を求め、毎回違う男と朝までふしだらな行為に明け暮れているそうだな? その上糸目を付けず服や装飾品を買い漁り、多大な借金を背負っているとか……。そんな醜悪な女が俺の妻だとは非常に不愉快極まりない! 今後俺に話し掛けるな! 俺に一切関与するな! 同じ空気を吸ってるだけでとんでもなく不快だ……!!」
【王命】で決められた婚姻をし、ハイド・ランジニカ伯爵とオリービア・フレイグラント子爵令嬢の初夜は、彼のその暴言で始まった。
そして、それに返したオリービアの一言は、
「あらあら、まぁ」
の六文字だった。
屋敷に住まわせている、ハイドの愛人と噂されるユーカリや、その取巻きの使用人達の嫌がらせも何のその、オリービアは微笑みを絶やさず自分の道を突き進んでいく。
ユーカリだけを信じ心酔していたハイドだったが、オリービアが屋敷に来てから徐々に変化が表れ始めて……
※作者独自の世界観満載です。違和感を感じたら、「あぁ、こういう世界なんだな」と思って頂けたら有難いです……。
公爵令嬢の辿る道
ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。
家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。
それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。
これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。
※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。
追記
六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。
性悪という理由で婚約破棄された嫌われ者の令嬢~心の綺麗な者しか好かれない精霊と友達になる~
黒塔真実
恋愛
公爵令嬢カリーナは幼い頃から後妻と義妹によって悪者にされ孤独に育ってきた。15歳になり入学した王立学園でも、悪知恵の働く義妹とカリーナの婚約者でありながら義妹に洗脳されている第二王子の働きにより、学園中の嫌われ者になってしまう。しかも再会した初恋の第一王子にまで軽蔑されてしまい、さらに止めの一撃のように第二王子に「性悪」を理由に婚約破棄を宣言されて……!? 恋愛&悪が報いを受ける「ざまぁ」もの!! ※※※主人公は最終的にチート能力に目覚めます※※※アルファポリスオンリー※※※皆様の応援のおかげで第14回恋愛大賞で奨励賞を頂きました。ありがとうございます※※※
すみません、すっきりざまぁ終了したのでいったん完結します→※書籍化予定部分=【本編】を引き下げます。【番外編】追加予定→ルシアン視点追加→最新のディー視点の番外編は書籍化関連のページにて、アンケートに答えると読めます!!
王太子殿下が私を諦めない
風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。
今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。
きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。
どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。
※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
大好きな旦那様はどうやら聖女様のことがお好きなようです
古堂すいう
恋愛
祖父から溺愛され我儘に育った公爵令嬢セレーネは、婚約者である皇子から衆目の中、突如婚約破棄を言い渡される。
皇子の横にはセレーネが嫌う男爵令嬢の姿があった。
他人から冷たい視線を浴びたことなどないセレーネに戸惑うばかり、そんな彼女に所有財産没収の命が下されようとしたその時。
救いの手を差し伸べたのは神官長──エルゲンだった。
セレーネは、エルゲンと婚姻を結んだ当初「穏やかで誰にでも微笑むつまらない人」だという印象をもっていたけれど、共に生活する内に徐々に彼の人柄に惹かれていく。
だけれど彼には想い人が出来てしまったようで──…。
「今度はわたくしが恩を返すべきなんですわ!」
今まで自分のことばかりだったセレーネは、初めて人のために何かしたいと思い立ち、大好きな旦那様のために奮闘するのだが──…。
大嫌いな幼馴染の皇太子殿下と婚姻させられたので、白い結婚をお願いいたしました
柴野
恋愛
「これは白い結婚ということにいたしましょう」
結婚初夜、そうお願いしたジェシカに、夫となる人は眉を顰めて答えた。
「……ああ、お前の好きにしろ」
婚約者だった隣国の王弟に別れを切り出され嫁ぎ先を失った公爵令嬢ジェシカ・スタンナードは、幼馴染でありながら、たいへん仲の悪かった皇太子ヒューパートと王命で婚姻させられた。
ヒューパート皇太子には陰ながら想っていた令嬢がいたのに、彼女は第二王子の婚約者になってしまったので長年婚約者を作っていなかったという噂がある。それだというのに王命で大嫌いなジェシカを娶ることになったのだ。
いくら政略結婚とはいえ、ヒューパートに抱かれるのは嫌だ。子供ができないという理由があれば離縁できると考えたジェシカは白い結婚を望み、ヒューパートもそれを受け入れた。
そのはず、だったのだが……?
離縁を望みながらも徐々に絆されていく公爵令嬢と、実は彼女のことが大好きで仕方ないツンデレ皇太子によるじれじれラブストーリー。
※こちらの作品は小説家になろうにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる