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24. 辺境伯邸②

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 翌日、着替えを終えた私は家の前に来ていた。
 ちなみに、移動は私1人だけらしい。

 アルディアさんに乗っていれば酔うことはあっても怪我をすることは無いらしいから護衛もいない。


『元の大きさになるから少し離れててね』

「うん」


 私が離れると、アルディアさんの体が大きくなっていった。
 触り心地の良かった羽毛は光に包まれて消え、代わりに艶やかな鱗に覆われた。


「こんな感じで変化するのね……」


 初めて見るアルディアさんの変化に目を奪われる私。
 呟きは流石に聞こえなかったようで、元の大きさになったアルディアさんが頭をすり寄せてきた。


『終わったから乗っていいよ』


 そう言ってしゃがんで片方の羽を地面につけるアルディアさん。
 羽を伝って乗ればいいのかな……?


「羽、踏んでも大丈夫……?」

『大丈夫だよ』


 返事を聞いて、私は羽伝いに背中へと移動した。
 羽は結構硬かったから、急な坂道を歩いてる感覚だった。


 羽だけは弱そうに見えるけど丈夫なのね。


「行ってらっしゃいませ!」

「行ってきます」


 ティアナさんにそう返す私。


『行くよー!』


 そんな声と共にアルディアさんが少しだけ助走してから空に舞った。


「私、場所分からないけど大丈夫?」

『うん。僕が分かるから大丈夫だよ』


 聞きてからアルディアさんが分からないはずが無いことに気付く私だった。


 それから数分で大きな町と立派なお屋敷が見えてきた。
 ほとんどの建物が白色で統一されていて、遠目でもおしゃれな雰囲気の町だと分かる。

 辺境って言うからもっと地味な感じだと思ってたのに、予想を裏切られたわ……。


『赤竜が来てしまったよ……。すぐ倒すから待っててね』


 不意に、そんな声が頭の中に響いた。

 周りを見ても、他の竜は見当たらないから不思議に思っていると、アルディアさんが上の方に首を曲げた。
 つられて私もその方向を見てみると、赤い竜が真っ直ぐ私達に急降下してきているところだった。


『耳おさえて!』

「う、うん」


 慌てて耳をおさえる私。
 次の瞬間、アルディアさんが口を開けて轟音と共に炎の柱を吹き出した。

 炎は赤竜の体を貫いて、そのままの勢いで空に抜けていった。


 赤竜は私達から逸れてそのまま地面に墜落した。


 突然すぎて頭がついていかない。

 今の、何よ……?


 驚きのあまり口を開けたまま固まってしまう私。
 側から見たら間抜けな女にしか見えないと思うけど、頭が考えるのを拒絶するほど今の光景は強烈だった。

 とりあえず、この間抜けな口を閉じて……。


『大丈夫……?』

「うん、少し驚いただけだから大丈夫よ」


 私がそう答えると、アルディアさんは安心したような仕草を見せて目的地に向かって羽ばたいた。
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