22 / 155
22. フィーナ母side 娘の安否
しおりを挟む
フィーナが罪をかけられて出て行ってしまった翌日、私は熱を出して寝込んでいました。
お医者様によると普通の風邪なのだそうですが、心労で弱っていたから酷くなっているそうです。
「ソーラス……」
私は部屋に入ってきた夫の名前を弱々しく呼び、起き上がろうとしました。
それを「無理しなくていい」と言われてしまいましたわ。
でも、温もりを感じたくてソーラスの手を借りて起き上がりました。
「必ずフィーナが帰ってこれるようにするから待っててくれ」
私の手を握りそう口にするソーラス。
私は微笑みながら見送りの言葉を口にしました。
「分かりましたわ……。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくる」
哀しげな表情になったソーラスと抱擁を交わして、ベッドの上から見送りました。
夫が王宮に行った後は、侍女に持ってきてもらった軽めの朝食をとってから眠りにつきました。
フィーナの無事を祈って。
お昼もあまり食欲がありませんでしたが、料理人さんが私の分だけ食べやすいように別で作ってくれたお陰でしっかり食べることが出来ました。
そのおかげか、夜にはある程度熱が下がっていました。
でも、家族には「まだゆっくりしていなさい」なんて言われています。
翌日、家族や使用人の看病のお陰ですっかり良くなった私は、お茶会のお誘いに参加するとのお返事を送りました。
もちろん、遊びではなく味方を付けるためです。
ソーラスが頑張ってるのに私が休んでて良いはずがありませんもの。
夕方、執事が私に手紙を持ってきました。
「奥様、お嬢様からお手紙が届きました」
「フィーナから⁉︎ 無事だったのね……!」
受け取った封筒に書かれている宛名は確かにフィーナの文字で、嬉しくて涙が流れてしまいました。
「無事で良かった……うぅっ……」
「奥様⁉︎」
嬉しくて泣き出してしまい、執事さんが驚きの声を上げました。
私、普段は涙なんて流さないから余程驚いたのでしょう。
いつから私はこんなに涙脆くなってしまったのかしら……?
この後、ソーラスが帰ってきてから使用人と家族全員に手紙の内容を見せました。
みんな落ち込んでいただけに、大喜びしたのは言うまでもありませんね。
「アトランタ家には感謝しないとな」
「そうですわね。フィーナの命の恩人ですもの」
交易も盛んなアトランタ家との関係は良好ですし、当主さんとそのご家族は好感が持てる方なので、そこで保護してもらっていると聞いて安心しました。
それに、フィーナが向こうで落ち着けているのは字を見れば分かりますもの。
フィーナがここに戻ってこれるように、かけられた罪をなんとかしないといけませんね。
お医者様によると普通の風邪なのだそうですが、心労で弱っていたから酷くなっているそうです。
「ソーラス……」
私は部屋に入ってきた夫の名前を弱々しく呼び、起き上がろうとしました。
それを「無理しなくていい」と言われてしまいましたわ。
でも、温もりを感じたくてソーラスの手を借りて起き上がりました。
「必ずフィーナが帰ってこれるようにするから待っててくれ」
私の手を握りそう口にするソーラス。
私は微笑みながら見送りの言葉を口にしました。
「分かりましたわ……。お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ、行ってくる」
哀しげな表情になったソーラスと抱擁を交わして、ベッドの上から見送りました。
夫が王宮に行った後は、侍女に持ってきてもらった軽めの朝食をとってから眠りにつきました。
フィーナの無事を祈って。
お昼もあまり食欲がありませんでしたが、料理人さんが私の分だけ食べやすいように別で作ってくれたお陰でしっかり食べることが出来ました。
そのおかげか、夜にはある程度熱が下がっていました。
でも、家族には「まだゆっくりしていなさい」なんて言われています。
翌日、家族や使用人の看病のお陰ですっかり良くなった私は、お茶会のお誘いに参加するとのお返事を送りました。
もちろん、遊びではなく味方を付けるためです。
ソーラスが頑張ってるのに私が休んでて良いはずがありませんもの。
夕方、執事が私に手紙を持ってきました。
「奥様、お嬢様からお手紙が届きました」
「フィーナから⁉︎ 無事だったのね……!」
受け取った封筒に書かれている宛名は確かにフィーナの文字で、嬉しくて涙が流れてしまいました。
「無事で良かった……うぅっ……」
「奥様⁉︎」
嬉しくて泣き出してしまい、執事さんが驚きの声を上げました。
私、普段は涙なんて流さないから余程驚いたのでしょう。
いつから私はこんなに涙脆くなってしまったのかしら……?
この後、ソーラスが帰ってきてから使用人と家族全員に手紙の内容を見せました。
みんな落ち込んでいただけに、大喜びしたのは言うまでもありませんね。
「アトランタ家には感謝しないとな」
「そうですわね。フィーナの命の恩人ですもの」
交易も盛んなアトランタ家との関係は良好ですし、当主さんとそのご家族は好感が持てる方なので、そこで保護してもらっていると聞いて安心しました。
それに、フィーナが向こうで落ち着けているのは字を見れば分かりますもの。
フィーナがここに戻ってこれるように、かけられた罪をなんとかしないといけませんね。
27
お気に入りに追加
5,258
あなたにおすすめの小説
侯爵家のお飾り妻をやめたら、王太子様からの溺愛が始まりました。
二位関りをん
恋愛
子爵令嬢メアリーが侯爵家当主ウィルソンに嫁いで、はや1年。その間挨拶くらいしか会話は無く、夜の営みも無かった。
そんな中ウィルソンから子供が出来たと語る男爵令嬢アンナを愛人として迎えたいと言われたメアリーはショックを受ける。しかもアンナはウィルソンにメアリーを陥れる嘘を付き、ウィルソンはそれを信じていたのだった。
ある日、色々あって職業案内所へ訪れたメアリーは秒速で王宮の女官に合格。結婚生活は1年を過ぎ、離婚成立の条件も整っていたため、メアリーは思い切ってウィルソンに離婚届をつきつけた。
そして王宮の女官になったメアリーは、王太子レアードからある提案を受けて……?
※世界観などゆるゆるです。温かい目で見てください
【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。
しろねこ。
恋愛
「君との婚約を解消したい」
その言葉を聞いてエカテリーナはニコリと微笑む。
「了承しました」
ようやくこの日が来たと内心で神に感謝をする。
(わたくしを盾にし、更に記憶喪失となったのに手助けもせず、他の女性に擦り寄った婚約者なんていらないもの)
そんな者との婚約が破談となって本当に良かった。
(それに欲しいものは手に入れたわ)
壁際で沈痛な面持ちでこちらを見る人物を見て、頬が赤くなる。
(愛してくれない者よりも、自分を愛してくれる人の方がいいじゃない?)
エカテリーナはあっさりと自分を捨てた男に向けて頭を下げる。
「今までありがとうございました。殿下もお幸せに」
類まれなる美貌と十分な地位、そして魔法の珍しいこの世界で魔法を使えるエカテリーナ。
だからこそ、ここバークレイ国で第二王子の婚約者に選ばれたのだが……それも今日で終わりだ。
今後は自分の力で頑張ってもらおう。
ハピエン、自己満足、ご都合主義なお話です。
ちゃっかりとシリーズ化というか、他作品と繋がっています。
カクヨムさん、小説家になろうさん、ノベルアッププラスさんでも連載中(*´ω`*)
私の頑張りは、とんだ無駄骨だったようです
風見ゆうみ
恋愛
私、リディア・トゥーラル男爵令嬢にはジッシー・アンダーソンという婚約者がいた。ある日、学園の中庭で彼が女子生徒に告白され、その生徒と抱き合っているシーンを大勢の生徒と一緒に見てしまった上に、その場で婚約破棄を要求されてしまう。
婚約破棄を要求されてすぐに、ミラン・ミーグス公爵令息から求婚され、ひそかに彼に思いを寄せていた私は、彼の申し出を受けるか迷ったけれど、彼の両親から身を引く様にお願いされ、ミランを諦める事に決める。
そんな私は、学園を辞めて遠くの街に引っ越し、平民として新しい生活を始めてみたんだけど、ん? 誰かからストーカーされてる? それだけじゃなく、ミランが私を見つけ出してしまい…!?
え、これじゃあ、私、何のために引っ越したの!?
※恋愛メインで書くつもりですが、ざまぁ必要のご意見があれば、微々たるものになりますが、ざまぁを入れるつもりです。
※ざまぁ希望をいただきましたので、タグを「ざまぁ」に変更いたしました。
※史実とは関係ない異世界の世界観であり、設定も緩くご都合主義です。魔法も存在します。作者の都合の良い世界観や設定であるとご了承いただいた上でお読み下さいませ。
【完結】貧乏令嬢は自分の力でのし上がる!後悔?先に立たずと申しましてよ。
やまぐちこはる
恋愛
領地が災害に見舞われたことで貧乏どん底の伯爵令嬢サラは子爵令息の婚約者がいたが、裕福な子爵令嬢に乗り換えられてしまう。婚約解消の慰謝料として受け取った金で、それまで我慢していたスイーツを食べに行ったところ運命の出会いを果たし、店主に断られながらも通い詰めてなんとかスイーツショップの店員になった。
貴族の令嬢には無理と店主に厳しくあしらわれながらも、めげずに下積みの修業を経てパティシエールになるサラ。
そしてサラを見守り続ける青年貴族との恋が始まる。
全44話、7/24より毎日8時に更新します。
よろしくお願いいたします。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
いくら政略結婚だからって、そこまで嫌わなくてもいいんじゃないですか?いい加減、腹が立ってきたんですけど!
夢呼
恋愛
伯爵令嬢のローゼは大好きな婚約者アーサー・レイモンド侯爵令息との結婚式を今か今かと待ち望んでいた。
しかし、結婚式の僅か10日前、その大好きなアーサーから「私から愛されたいという思いがあったら捨ててくれ。それに応えることは出来ない」と告げられる。
ローゼはその言葉にショックを受け、熱を出し寝込んでしまう。数日間うなされ続け、やっと目を覚ました。前世の記憶と共に・・・。
愛されることは無いと分かっていても、覆すことが出来ないのが貴族間の政略結婚。日本で生きたアラサー女子の「私」が八割心を占めているローゼが、この政略結婚に臨むことになる。
いくら政略結婚といえども、親に孫を見せてあげて親孝行をしたいという願いを持つローゼは、何とかアーサーに振り向いてもらおうと頑張るが、鉄壁のアーサーには敵わず。それどころか益々嫌われる始末。
一体私の何が気に入らないんだか。そこまで嫌わなくてもいいんじゃないんですかね!いい加減腹立つわっ!
世界観はゆるいです!
カクヨム様にも投稿しております。
※10万文字を超えたので長編に変更しました。
「君以外を愛する気は無い」と婚約者様が溺愛し始めたので、異世界から聖女が来ても大丈夫なようです。
海空里和
恋愛
婚約者のアシュリー第二王子にべた惚れなステラは、彼のために努力を重ね、剣も魔法もトップクラス。彼にも隠すことなく、重い恋心をぶつけてきた。
アシュリーも、そんなステラの愛を静かに受け止めていた。
しかし、この国は20年に一度聖女を召喚し、皇太子と結婚をする。アシュリーは、この国の皇太子。
「たとえ聖女様にだって、アシュリー様は渡さない!」
聖女と勝負してでも彼を渡さないと思う一方、ステラはアシュリーに切り捨てられる覚悟をしていた。そんなステラに、彼が告げたのは意外な言葉で………。
※本編は全7話で完結します。
※こんなお話が書いてみたくて、勢いで書き上げたので、設定が緩めです。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる