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20. ジークside 騙されかけた話

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リクエストを頂いていたので、ジークさんが禁術を使った人に騙されかけた時のお話を書いてみました。
内容が少しだけアレになってしまいましたが、ご容赦ください。



***************


「いいかジーク。婚約者を決める時は、まず相手を裸にして怪しいところがないか観察しなさい」


 今から3年前、父にそう言われた俺は困惑した。
 

「我が家の権力欲しさに禁術を使い身体を変えている者がいるかもしれない。それを確認するためだ。
 付き合う前になんとかして確認しろ」

「ですが父上、初日に胸を見るのは問題になりませんか?」

「見るくらい問題にならないだろう。わざわざ触る必要はないからな」

「簡単に見れる位置にあるのですか? 先生は両胸の真ん中に出来るとおっしゃっていましたが……」


 もしも父の話が正しければ、先生を変えてもらうようにお願いしないといけないな……。

 そう考えながら父の言葉を待った。


「確かにその位置に出来るが、普通は時間がかかるから谷間の外にも少しだけ伸びている。だから見えるというわけだ。
 かかった時間に応じて跡が大きくなるのは知っているだろう?」


 そう言われ、俺は頷くのだった。


 その日から1月ほど経ち、俺は気になっていた1人の令嬢と付き合うことにしていた。
 彼女は普通の令嬢のような傲慢さがなく、身分の低い者でも蔑まない心優しさがあった。

 俺はそんな彼女の性格に惚れかけていた。
 小柄で可愛らしい容姿は好みでもあった。


 そんな彼女から告白された俺は当然断るわけもなく、そのままデートすることになった。


「ごきげんよう、ジーク様」


 先に待ち合わせ場所に来ていた彼女は珍しく胸元が開いたドレスを着ていた。
 谷間は上着のリボンが邪魔で見えないが、膨らみはしっかりと見えていた。

 このままでは跡が無いか確認出来ない。


「待たせてしまったか?」

「いいえ、私が早く来てしまっだけですわ」


 そう口にする彼女に寄り添い、馬車へとエスコートする。
 そして、馬車に乗り込んでからの俺の目は彼女の胸に釘付けだった。

 決して彼女の胸に惹かれている訳ではない……と思いたい。
 どうにかして谷間を見れないか必死だったのだ。

 男の欲求では無いはずだ……。


 結果から言うと、触れずに見ることは不可能だった。
 だから、こっそり背中に手を回してリボンをどかすことにした。

 手に触れたリボンほどの幅の布を持ち上げると、同時に彼女の胸が持ち上がった。


「ジーク様……?」


 しまった……。触れてはいけないものに触れてしまったようだ。

 俺は素早く手を引っ込めた。


「もしかして、私の胸に興味がおありなのですか?」

「ああ……。嫌いになったか?」


 言い逃れは出来ないと悟った俺は頷いた。これも確認するためだ。
 すると、彼女はドレスのボタンを外し、さらに下着まで外してこう言うのだった。


「触ってもいいですわ。あまり強くしないでくださいまし」

「ああ。失礼する」


 そう口にして、俺は彼女の胸を掴み谷間を見るのだった。


「あっ……」


 そこには、しっかりと禁術の跡が刻まれていた。


「これはなんだ?」

「前に体型を変える魔法を使ったらついてしまいましたの……」


 この女、馬鹿だ。自分から禁術を使ったことを言ったぞ。


「それは禁術だ。悪いが、貴女とは付き合うことは出来ない。禁術を使った罪でこの場で拘束させてもらう」

「そ、そんなっ……あれは禁術でしたの⁉︎」


 この女が何かを隠す様子が無かったのは禁術だと知らなかったからなのか……。
 そう納得したが、少し可愛そうになった。


 後の調査で分かったことだが、彼女は名前を偽っており、本当の名前は大変ふくよかな身体で知られる令嬢だった。
 そんな令嬢と付き合う事にならなくて良かった。

 俺は心の中で父に感謝を告げた。


 ちなみに、俺は太っ……ふくよかな人は嫌いだ。

 だから、この日から禁術を以前よりも警戒するようになった。
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