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33. 余命8日③
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「これだけ……ですの?」
「ええ。早く終わらせてお茶会にでもしましょう」
にわかに信じられなくて問いかけてみれば、そんな答えが返ってきた。
「分かりましたわ」
返事をして、早速メモ用の紙とペンを手に取る私。
するとこんな言葉をかけられた。
「ここから下は私がやりますわ」
「分かりましたわ」
それからはお互いに無言でペンを動かし続け、20分くらいはかかると思っていた計算は10分程で全て終わってしまった。
そして……
「申し訳ありません。レストランが混んでいて遅れてしまいましたわ」
「もう仕事は終わらせましたわ」
「「も、申し訳ありませんでした」」
……遅れてやってきた方々の声が重なった。
「こういうのはお互い様ですから、気にしなくていいですわ。
そんなことより、今日は暇だからお茶会でもしませんか?」
「いいですわね!」
「私、茶葉を用意してきますわ」
「私はお菓子を」
そんな感じでメリアさんと私以外は仕事を自ら引き受けていき、私達は待っているだけになってしまった。
私も何か手伝おうとしたのだけど「仕事を任せてしまったお詫び」と言われてしまい何も出来なかった。
待っているだけというのは退屈なのに……。
そう思っていたのだけど、1分も経たずに全て揃ったから杞憂で済んだ。
「レティシアさん、お茶淹れてみませんか?」
「私がですか?」
「ええ。レティシアさんが淹れるお茶、気になりますの」
「泥水みたいな味でも知りませんわよ?」
侯爵邸にいる時に何回かお茶を淹れさせられたことはあるのだけど、毎回「泥水の方がマシね」とお母様に言われていた。
だから美味しく淹れられるように練習したりもしたのだけど、結果は散々。
自分で飲んでみると普通の味かそれよりも美味しく感じたのだけど、それでも不味いと言われていた。
だから……お母様の舌がおかしいと証明するためにも、みんなに飲んでもらおうと思った。
「メリアさんよりはマシだと思いますわ」
「あれは酷かったですわね……」
メリアさんはお茶を淹れるのが上手くない。
そんな余計な知識を増やしながらお茶を淹れると、早速お茶のいい香りが漂ってきた。
「どうぞ」
「「いただきます」」
皆さんが揃ってお茶に口をつけた瞬間、揃いも揃って全員黙り込んでしまった。
そんなに不味かったのかしら……?
そう思ったのも束の間、今度はこんな言葉をかけられた。
「すごく美味しいですわ」
「不味いのではなくて?」
少し信じられなくて、でも安心して。もう一度問いかけてみる私。
「これが不味かったら王宮で出されるお茶全てが不味くなってしまいますわ」
お母様の舌がおかしかったのね……。
「私が淹れたお茶は泥水の方がマシだって言われてましたのに……」
「泥水の方がマシというのは、こういう味のことを言いますのよ?」
そう言いながらティーカップを差し出してくるメリアさん。
躊躇うことなく受け取って、少しだけ口に含むと、何とも言えない味が広がった。
それはもう、思わず吐き出したくなるような渋さとなんとも言えない味が混ざっていた。
「なんですか、これ……」
「お茶ですわよ」
「わたくしが淹れたお茶ですわよ。恐ろしいですわよね、お茶がこんな味になるのですから」
笑いながらそう言われて、反応に困ってしまった。
でも、クロエさんがタイミングよくフォローしてくれて。
「メリアさんのお茶は絶望的な味ですけど、お菓子を焼くのは上手ですのよ」
「そこまで上手くは無いですわ。でも、久しぶりに焼くのもいいですわね」
私が気合いで最悪な味のお茶を飲み切っていると、そんな話が進んでいて。
お昼までみんなでお菓子を作ったりして過ごすことになった。
でも、お昼過ぎに私はお暇させて頂くことになってしまった。
陛下に謁見するようにとの手紙が、私宛で届いたから──。
「ええ。早く終わらせてお茶会にでもしましょう」
にわかに信じられなくて問いかけてみれば、そんな答えが返ってきた。
「分かりましたわ」
返事をして、早速メモ用の紙とペンを手に取る私。
するとこんな言葉をかけられた。
「ここから下は私がやりますわ」
「分かりましたわ」
それからはお互いに無言でペンを動かし続け、20分くらいはかかると思っていた計算は10分程で全て終わってしまった。
そして……
「申し訳ありません。レストランが混んでいて遅れてしまいましたわ」
「もう仕事は終わらせましたわ」
「「も、申し訳ありませんでした」」
……遅れてやってきた方々の声が重なった。
「こういうのはお互い様ですから、気にしなくていいですわ。
そんなことより、今日は暇だからお茶会でもしませんか?」
「いいですわね!」
「私、茶葉を用意してきますわ」
「私はお菓子を」
そんな感じでメリアさんと私以外は仕事を自ら引き受けていき、私達は待っているだけになってしまった。
私も何か手伝おうとしたのだけど「仕事を任せてしまったお詫び」と言われてしまい何も出来なかった。
待っているだけというのは退屈なのに……。
そう思っていたのだけど、1分も経たずに全て揃ったから杞憂で済んだ。
「レティシアさん、お茶淹れてみませんか?」
「私がですか?」
「ええ。レティシアさんが淹れるお茶、気になりますの」
「泥水みたいな味でも知りませんわよ?」
侯爵邸にいる時に何回かお茶を淹れさせられたことはあるのだけど、毎回「泥水の方がマシね」とお母様に言われていた。
だから美味しく淹れられるように練習したりもしたのだけど、結果は散々。
自分で飲んでみると普通の味かそれよりも美味しく感じたのだけど、それでも不味いと言われていた。
だから……お母様の舌がおかしいと証明するためにも、みんなに飲んでもらおうと思った。
「メリアさんよりはマシだと思いますわ」
「あれは酷かったですわね……」
メリアさんはお茶を淹れるのが上手くない。
そんな余計な知識を増やしながらお茶を淹れると、早速お茶のいい香りが漂ってきた。
「どうぞ」
「「いただきます」」
皆さんが揃ってお茶に口をつけた瞬間、揃いも揃って全員黙り込んでしまった。
そんなに不味かったのかしら……?
そう思ったのも束の間、今度はこんな言葉をかけられた。
「すごく美味しいですわ」
「不味いのではなくて?」
少し信じられなくて、でも安心して。もう一度問いかけてみる私。
「これが不味かったら王宮で出されるお茶全てが不味くなってしまいますわ」
お母様の舌がおかしかったのね……。
「私が淹れたお茶は泥水の方がマシだって言われてましたのに……」
「泥水の方がマシというのは、こういう味のことを言いますのよ?」
そう言いながらティーカップを差し出してくるメリアさん。
躊躇うことなく受け取って、少しだけ口に含むと、何とも言えない味が広がった。
それはもう、思わず吐き出したくなるような渋さとなんとも言えない味が混ざっていた。
「なんですか、これ……」
「お茶ですわよ」
「わたくしが淹れたお茶ですわよ。恐ろしいですわよね、お茶がこんな味になるのですから」
笑いながらそう言われて、反応に困ってしまった。
でも、クロエさんがタイミングよくフォローしてくれて。
「メリアさんのお茶は絶望的な味ですけど、お菓子を焼くのは上手ですのよ」
「そこまで上手くは無いですわ。でも、久しぶりに焼くのもいいですわね」
私が気合いで最悪な味のお茶を飲み切っていると、そんな話が進んでいて。
お昼までみんなでお菓子を作ったりして過ごすことになった。
でも、お昼過ぎに私はお暇させて頂くことになってしまった。
陛下に謁見するようにとの手紙が、私宛で届いたから──。
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