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11. 余命12日②
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あれから数分経たずに写真を集め終えた私達は、私の家の馬車に向かった。
御者に家には帰らないことを伝えるために。
でも、馬車寄せに馬車は止まっていなかった。
「止まっていませんわね……」
「きっと母の仕業ですわ」
「それなら、遠慮なく私の家に来れますわね」
馬車が来ていなかったら話にならないから、一旦シエル様のサウルスタ公爵邸に向かって、そこで手紙を書くことに決めた。
「お嬢様、こちらの方は?」
「ルードリッヒ侯爵家のレティシアさんよ」
側に止まっていた馬車から降りてきた御者さんと言葉を交わすシエル様。
それを見て、私はこう口にした。
「レティシア・ルードリッヒと申しますわ。今日からお世話になります」
「お話は聞いています。御者のレイクです。宜しくお願いします」
恭しく頭を下げるレイクさん。
この後すぐに馬車に乗って、私はシエル様との雑談を楽しんだ。
でも、それもあっという間で、気が付けば公爵邸に着いていた。
「「お帰りなさいませ、お嬢様。いらっしゃいませ、レティシア様」」
馬車から降りると、大勢の使用人さんに出迎えられた。
床は一面大理石で造られていて、両端には弧を描くような階段があった。
そして何よりも目を引くのが、3階の高さの天井から下がる巨大なシャンデリア。
調度品は派手すぎない程よいもので、豪華ながらも落ち着いた雰囲気になっていた。
「レティシア様。早速ですが、お部屋の方に案内させていただきます」
「案内はしなくて良いわ。私が案内するから」
使用人さんを制して、そんなことを口にするシエル様。
玄関の空気を楽しむ間も無く、早速部屋に向かうことになった。
「では、行きましょう」
「お願いしますわ」
お互いに荷物を使用人さんに預け、左側の階段を登っていく。
どちらも柔らかい真紅の絨毯が敷かれていて、もし転んでしまっても大怪我はしなさそうだ。
「基本的にこの階段が私達が使うことになっていますの。向こうの階段は、荷物を運ぶためのものなので、使わないでくださいまし」
「分かりましたわ」
実際、大きな荷物を運んでいる使用人さんは向かい側の階段を使っていて、本当に使い分けがされているのだと分かった。
2階に着くと、すぐに左に曲がって真紅の絨毯を進んでいく。
そして、突き当たりの手前の部屋の前で止まった。
「この部屋ですわ」
そう言って扉を開けるシエル様。
すると、天蓋付きのベッドがまず目に入った。
天蓋付きのベッドなんて、うちにもなかったのに……流石は公爵家ね。
「こんなに豪華なお部屋、本当に使っていいのですか……?」
「ええ、お姉様が元々使っていたのだけど、レティシアさんになら使ってもらって構わないと言ってもらえましたの」
シエル様のお姉様とは去年、学院の生徒会で付き合いがあった。でも、関わりがあったのはそれだけ。
それなのに、そんな風に言ってもらえるなんて……。
「そうでしたのね。大切に使いますわ」
今は伯爵家に嫁いでしまってここにはいないけど、またお話したいわ……。
ふと、そんなことを思った。
「お荷物はこちらに置いておきますね」
「分かりましたわ」
使用人さんに場所を示されて、慌てて頷く私。
この後はすぐに夕食のために食堂に移動することになって、部屋をゆっくり見るのは後でということになった。
食堂に着くと、公爵夫妻が楽しそうに雑談をして待っていて、私達が姿を見せると笑顔で出迎えてくれた。
「部屋は気に入ってくれたかな?」
「ええ、とっても」
「それは良かった。ここは家だと思って過ごしてもらって構わない。専属の侍女も付ける」
そう口にする公爵様。
どうやら思っていた以上に歓迎されているらしい。
理由は全く思い当たらないけれど……。
「もう遅いし、細かい話は後にして夕食を始めよう」
「分かりましたわ」
この日は、すごく久しぶりにお腹を満たすことができた。
御者に家には帰らないことを伝えるために。
でも、馬車寄せに馬車は止まっていなかった。
「止まっていませんわね……」
「きっと母の仕業ですわ」
「それなら、遠慮なく私の家に来れますわね」
馬車が来ていなかったら話にならないから、一旦シエル様のサウルスタ公爵邸に向かって、そこで手紙を書くことに決めた。
「お嬢様、こちらの方は?」
「ルードリッヒ侯爵家のレティシアさんよ」
側に止まっていた馬車から降りてきた御者さんと言葉を交わすシエル様。
それを見て、私はこう口にした。
「レティシア・ルードリッヒと申しますわ。今日からお世話になります」
「お話は聞いています。御者のレイクです。宜しくお願いします」
恭しく頭を下げるレイクさん。
この後すぐに馬車に乗って、私はシエル様との雑談を楽しんだ。
でも、それもあっという間で、気が付けば公爵邸に着いていた。
「「お帰りなさいませ、お嬢様。いらっしゃいませ、レティシア様」」
馬車から降りると、大勢の使用人さんに出迎えられた。
床は一面大理石で造られていて、両端には弧を描くような階段があった。
そして何よりも目を引くのが、3階の高さの天井から下がる巨大なシャンデリア。
調度品は派手すぎない程よいもので、豪華ながらも落ち着いた雰囲気になっていた。
「レティシア様。早速ですが、お部屋の方に案内させていただきます」
「案内はしなくて良いわ。私が案内するから」
使用人さんを制して、そんなことを口にするシエル様。
玄関の空気を楽しむ間も無く、早速部屋に向かうことになった。
「では、行きましょう」
「お願いしますわ」
お互いに荷物を使用人さんに預け、左側の階段を登っていく。
どちらも柔らかい真紅の絨毯が敷かれていて、もし転んでしまっても大怪我はしなさそうだ。
「基本的にこの階段が私達が使うことになっていますの。向こうの階段は、荷物を運ぶためのものなので、使わないでくださいまし」
「分かりましたわ」
実際、大きな荷物を運んでいる使用人さんは向かい側の階段を使っていて、本当に使い分けがされているのだと分かった。
2階に着くと、すぐに左に曲がって真紅の絨毯を進んでいく。
そして、突き当たりの手前の部屋の前で止まった。
「この部屋ですわ」
そう言って扉を開けるシエル様。
すると、天蓋付きのベッドがまず目に入った。
天蓋付きのベッドなんて、うちにもなかったのに……流石は公爵家ね。
「こんなに豪華なお部屋、本当に使っていいのですか……?」
「ええ、お姉様が元々使っていたのだけど、レティシアさんになら使ってもらって構わないと言ってもらえましたの」
シエル様のお姉様とは去年、学院の生徒会で付き合いがあった。でも、関わりがあったのはそれだけ。
それなのに、そんな風に言ってもらえるなんて……。
「そうでしたのね。大切に使いますわ」
今は伯爵家に嫁いでしまってここにはいないけど、またお話したいわ……。
ふと、そんなことを思った。
「お荷物はこちらに置いておきますね」
「分かりましたわ」
使用人さんに場所を示されて、慌てて頷く私。
この後はすぐに夕食のために食堂に移動することになって、部屋をゆっくり見るのは後でということになった。
食堂に着くと、公爵夫妻が楽しそうに雑談をして待っていて、私達が姿を見せると笑顔で出迎えてくれた。
「部屋は気に入ってくれたかな?」
「ええ、とっても」
「それは良かった。ここは家だと思って過ごしてもらって構わない。専属の侍女も付ける」
そう口にする公爵様。
どうやら思っていた以上に歓迎されているらしい。
理由は全く思い当たらないけれど……。
「もう遅いし、細かい話は後にして夕食を始めよう」
「分かりましたわ」
この日は、すごく久しぶりにお腹を満たすことができた。
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