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21. 襲撃①
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玉座の間に辿り着いた私達は、その場にいた騎士さんから状況を聞いていた。
国王陛下は指揮に集中するためにこの方法を取っているらしい。
「魔物の大規模な襲撃です。いくら攻撃しても倒れないので、防衛線が突破されるのは時間の問題です」
攻撃でなんとか拮抗させているらしく、状況が良くないのは私でも分かった。
「そうか……。分かった、僕も行こう」
「おやめください!」
「前線の後ろから魔法を撃つだけだ。それに、万が一が起きてもフィリアがいる」
そんな事を口にするアラン様。彼は怪我をする気は一切無いようで、強気の口調だ。
「はぁ……分かりました」
「アラン様、着替えてきますね。すぐに戻りますわ」
「分かった」
ドレスのままでは戦うことなんて出来ないから、動きやすい服に着替えに向かう私。
鐘の音は止まっているものの王城の中は慌ただしい雰囲気になっていて、普段は私を見かけると声をかけてきた人達も私に見向きすらしなかった。
「お嬢様、今日は遅かったですね」
「襲撃が起きているそうなの。今すぐ動きやすい服を用意して」
「分かりました」
そう言ってアイリスが探すことなく取り出した服は、ここグランディアの女性騎士が着用している制服に似たデザインのものだった。
この服はいざという時に私でも戦えるよう用意されているもので、予備の服も6着ほどある。
「これで大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう」
服を受け取って急いで着替える私。こんな時だからドレスを雑に脱ぎ捨ててしまったけど、アイリスは何も言わなかった。
それから髪飾りなどを外して部屋を出ようとした時だった。
「お嬢様、これを」
「ありがとう。行ってくるわ」
「お気をつけて」
差し出された剣を騎士と同じように腰に付けて、私は再び玉座の間へと急いだ。
ちなみに、この剣はお父様が万が一の時に備えて用意してくれたもので、神鉄製の高価なものになっている。
「お待たせしました!」
「全然待ってないから大丈夫だ。いやしかし……騎士のような格好で来るとは思わなかった」
驚いている様子のアラン様。そして腰に目をやり、こんな事を口にした。
「その剣はちゃんと振れるのか?」
「どう言う意味ですか?」
「剣で戦えるか聞いている」
「やってみましょうか?」
「そうしてくれ。戦う前に実力は知っておきたい」
そう口にするアラン様の表情は真剣そのもので、私は周りに人がいない事を確認してから剣を振るった。
「すごい……これなら問題無いな。よし、前線まで行こう」
「はいっ」
それから私達は馬で前線になっている場所に向かった。
王城のある丘を下っていると、王都の外側に無数の赤い点が不気味に光っていた。
国王陛下は指揮に集中するためにこの方法を取っているらしい。
「魔物の大規模な襲撃です。いくら攻撃しても倒れないので、防衛線が突破されるのは時間の問題です」
攻撃でなんとか拮抗させているらしく、状況が良くないのは私でも分かった。
「そうか……。分かった、僕も行こう」
「おやめください!」
「前線の後ろから魔法を撃つだけだ。それに、万が一が起きてもフィリアがいる」
そんな事を口にするアラン様。彼は怪我をする気は一切無いようで、強気の口調だ。
「はぁ……分かりました」
「アラン様、着替えてきますね。すぐに戻りますわ」
「分かった」
ドレスのままでは戦うことなんて出来ないから、動きやすい服に着替えに向かう私。
鐘の音は止まっているものの王城の中は慌ただしい雰囲気になっていて、普段は私を見かけると声をかけてきた人達も私に見向きすらしなかった。
「お嬢様、今日は遅かったですね」
「襲撃が起きているそうなの。今すぐ動きやすい服を用意して」
「分かりました」
そう言ってアイリスが探すことなく取り出した服は、ここグランディアの女性騎士が着用している制服に似たデザインのものだった。
この服はいざという時に私でも戦えるよう用意されているもので、予備の服も6着ほどある。
「これで大丈夫ですか?」
「ええ、ありがとう」
服を受け取って急いで着替える私。こんな時だからドレスを雑に脱ぎ捨ててしまったけど、アイリスは何も言わなかった。
それから髪飾りなどを外して部屋を出ようとした時だった。
「お嬢様、これを」
「ありがとう。行ってくるわ」
「お気をつけて」
差し出された剣を騎士と同じように腰に付けて、私は再び玉座の間へと急いだ。
ちなみに、この剣はお父様が万が一の時に備えて用意してくれたもので、神鉄製の高価なものになっている。
「お待たせしました!」
「全然待ってないから大丈夫だ。いやしかし……騎士のような格好で来るとは思わなかった」
驚いている様子のアラン様。そして腰に目をやり、こんな事を口にした。
「その剣はちゃんと振れるのか?」
「どう言う意味ですか?」
「剣で戦えるか聞いている」
「やってみましょうか?」
「そうしてくれ。戦う前に実力は知っておきたい」
そう口にするアラン様の表情は真剣そのもので、私は周りに人がいない事を確認してから剣を振るった。
「すごい……これなら問題無いな。よし、前線まで行こう」
「はいっ」
それから私達は馬で前線になっている場所に向かった。
王城のある丘を下っていると、王都の外側に無数の赤い点が不気味に光っていた。
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