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悪の魔女
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目の前でレオナルドを殺されて怒りで頭が支配される。
色々あったとはいえ、今では心を入れ替えた彼に前のような忌避感はない。
それどころか人は変われるのだと彼が証明してくれて、最近ではとても好ましいと思えるくらいだった。最後まで我が身を挺して私を守ってくれたのに、それを元婚約者が殺した。
「どうして……そんなにひどいことができますの」
だがあちらは心外という顔をする。
「ひどい? ひどいだって? 君が最初に僕を裏切ったからそうなったんだろ!」
たしかに私から婚約破棄をした。それは仕方が無かったからだ。私が魔女だと分かったら彼は確実に私との関係を終わらせたはずだ。
結局は早いか遅いかの差でしかない。
だけどその未来の結末を知らない彼には唐突だと感じたのだろう。
彼は怒りの顔から一転してこちらを小馬鹿にする顔に変わった。
「それにしてもこんな大きな爆発があったのにその程度で済んだということは、やはり君には魔法の痕跡が追えるんだね」
どうしてそれを、と思ったがどうにか口に出さなかった。
すると彼は懐から奇妙な手袋を取り出して右手にはめた。
「この聖遺物で触ると、魔女である場合には赤く光るようにできている。これで君が嘘を吐いているかすぐに分かる。魔女でないのならいいよね?」
言ったとおりの効果があるのならバレる可能性が高い。だが本来は聖遺物を所持できるのは司祭以上のはずだ。だが私の知る限り彼にそんな知り合いはいないはず。
それにそんなのがあれば聖女がわざわざ異端審問なんてしなくていいはずだ。
それなのにそれがあるということは……。
「触られる前にお聞きしたいのですが、それはどなたからお借りしたのですか? ガハリエから……ということはないですよね?」
私の言葉を聞いて黙り出す。そしてこれまでため込んだ笑いを全て出すように、腹を抱えて大笑いする。
「ははっ、やっと気付いたのか? これは元大司教からお借りしたものだ。そして君が魔女だと教えてくれたのは元大司教だよ」
どうしてこれほどまで私が魔女だと断定できるのか気がかりだったが、やはり裏があったのだ。
そうなると先ほどの爆発はたまたまではない……。
さらに背中が冷たくなった。
「教えてください……お父様達が亡くなったのは……貴方があちらへ情報を渡したからですか?」
「よく分かったね。こちらの陣形を教えてタイミングになったら一斉に爆発してもらうようにしてもらった。僕にとって汚点を全て消し去るチャンスだったからね」
その言葉を聞いてもう躊躇わない。歯を食いしばって全力で駈けた。
剣を全力で振ったが相手にやすやすと止められる。
動くと自分の体も強くぶつけたことで痛みがあったことがわかった。
でも止まるわけにはいかない。
「許さない!」
「それは僕のセリフだ! それにこれはれっきとした王家への反逆罪! 周りを見たまえ!」
タイミング良く周りから王家の騎士達が現れた。先ほどまで居なかったはずなのに、どこに姿を隠していたのだ。
そこで思い至った。ガハリエの力で何かしらの不可視かをしたのだと。
意識が別に向いたせいで油断してしまい、私の首が掴まれた。
「うぐっ……」
強い力で絞められ、息が出来ない。視界の端で手袋が赤く光るのが分かった。
「ほら、やっぱりそうだ! 君は魔女じゃないか!」
ざわっと周りもざわつき、その言葉に信憑性が増していた。
逃げたいが強い力に全く抵抗できない。
急に体が浮くとそのまま地面に叩きつけられた。
「うぐっ!」
背中を強く打ち付け、その痛みを我慢する。
容赦の無い一撃に体が痛くてたまらない。
「これは僕からの情けだ」
剣を振り上げられ、咄嗟に目を閉じた。
痛みで逃げられず、黙って受けるしかない。
……ごめんなさい、クリス……。
「お嬢様!」
私を呼ぶ声が聞こえた同時にふわりと体が浮いた。馬蹄の音もいまさら聞こえ、私は持ち上げられたのだ。
「お嬢様ご無事ですか!」
「リタ!?」
どうして前線にリタがいるのだ。だがおかげで間一髪で救い出されたのだ。
「大きな爆発音が聞こえたので駆けつけたのですよ」
「でもそれだと貴女が危ない!」
見逃してくれるほど優しくはない。いつも利己的な彼女がどうしてこんな危険なことに首を突っ込むのだ。
リタもまたいつものような無表情ではなく、死を覚悟した顔をしていた。
「これは別料金を頂かなければ割に合いませんね」
馬をぐんぐんと加速させて逃げる。彼女がここまで馬を操れるとは知らなかった。
だけど敵に包囲されていては逃げるのは至難の業だった。
「何をしている! 反逆者を逃がすな! 矢を放て!」
「し、しかし……」
「早くしろ! 僕の命令が聞けないのか!」
「は、はい! 全兵、矢を放て!」
後ろから一斉に矢が飛んでくる。するとリタが私を覆うように被さった。
「お嬢様! 私の陰に隠れてください! んぐっ」
「リタ! だめ!」
ザシュザシュっとリタの背中に刺さっていく音が聞こえる。
リタの口から血がこぼれだし、前にいる私にもたれかかるような姿勢になっていた。
「せっかく猊下から……たくさんのお金をいただいたのに……余生が台無しですね……」
「リタ、喋らないで! 私を降ろして――」
馬が突然暴れ出す。何かに怯えるように。それはおそらく私の魔女の力であろう。
気持ちの変化によって、抑えられている魔女の刻印が刻みだしたのだ。
「お嬢様!」
馬から落とされるときにリタが私を抱きかかえて地面へのクッション代わりになった。
だがその代わりに彼女はもう助からないと分かるほどボロボロだ。
「逃げ……て」
リタは言葉をどうにか絞り出す。目も閉じ閉じになり私を見ていない。
だけどこんな状態の彼女を置いてはいけない。
「だめだよ……やっとまた会えたのに……私のせいでまた……」
涙が溢れながら、布で彼女の止血をする。だけどどんどん血が流れて止まらないのだ。
未来でも彼女が私を救い、今もまた自分の命を犠牲にして私を助けようとしたのだ。
「どうしていつもみたいに損得で動かないのよ! 死んだら何も残らないのに……」
苛立ちは自分にあった。またもや私のせいで彼女は命を落とす。
それなのに何もできない。
いや、何もしなかったのだ……。
自分に甘さがあったから……。
覚悟を決めていなかったから……。
化け物を倒すには、自分も化け物にならないといけない。
リオネスは馬を私の横まで近づかせ、剣を首元へ添えた。
「手間を取らせたがもう逃げられないぞ」
リタはもう目を開けることもせず、息も途絶えた。
ずっと側に居た彼女は、こんな最低な男によってまた殺されたのだ。
「逃げる?」
悲しいはずなのに笑いが込み上がってきた。
顔を上げるとリオネスは一瞬怯えるように顔を引きつらせた。
涙も出るし笑いもする私はどんな顔をしているのだろうか。
「そんなにわたくしが魔女であるか大事でしたら、その身で味わってはどうでしょう」
懐から薬品瓶を取り出して飲んだ。お母様が私に託した魔女の力を覚醒させる薬だ。
飲んだ直後にドクンっと心臓が高鳴った。
頭が焼けるようで、痛いとか苦しいとか、そんな生やさしいものではない。
「あああああ!」
声が自分の意思を離れて勝手に出る。頭が沸騰しそうに痛み、直後に快楽が押し寄せてきた。
「何を飲んだ! 返事をしろ!」
「うるさい!」
手をかざすと私の周り一帯が大爆発を起こし、周辺は草木も残らず燃え尽くした。
「ぎゃああ!」
「熱い……水……!」
「あぐっ……ああ!」
うるさい声が聞こえてくる。さらに何度も爆発を起こしてやっと周りが静かになっていく。
さっきまで誰かが側に居た気がしたが何も思い出せない。
「あははははは!」
自分が誰か分からない。だけど同じ気配を遠くで感じる。
この苦しみを、この痛みをそれにぶつけなくては気が済まない気がした。
全てを破壊しなければいけない。
色々あったとはいえ、今では心を入れ替えた彼に前のような忌避感はない。
それどころか人は変われるのだと彼が証明してくれて、最近ではとても好ましいと思えるくらいだった。最後まで我が身を挺して私を守ってくれたのに、それを元婚約者が殺した。
「どうして……そんなにひどいことができますの」
だがあちらは心外という顔をする。
「ひどい? ひどいだって? 君が最初に僕を裏切ったからそうなったんだろ!」
たしかに私から婚約破棄をした。それは仕方が無かったからだ。私が魔女だと分かったら彼は確実に私との関係を終わらせたはずだ。
結局は早いか遅いかの差でしかない。
だけどその未来の結末を知らない彼には唐突だと感じたのだろう。
彼は怒りの顔から一転してこちらを小馬鹿にする顔に変わった。
「それにしてもこんな大きな爆発があったのにその程度で済んだということは、やはり君には魔法の痕跡が追えるんだね」
どうしてそれを、と思ったがどうにか口に出さなかった。
すると彼は懐から奇妙な手袋を取り出して右手にはめた。
「この聖遺物で触ると、魔女である場合には赤く光るようにできている。これで君が嘘を吐いているかすぐに分かる。魔女でないのならいいよね?」
言ったとおりの効果があるのならバレる可能性が高い。だが本来は聖遺物を所持できるのは司祭以上のはずだ。だが私の知る限り彼にそんな知り合いはいないはず。
それにそんなのがあれば聖女がわざわざ異端審問なんてしなくていいはずだ。
それなのにそれがあるということは……。
「触られる前にお聞きしたいのですが、それはどなたからお借りしたのですか? ガハリエから……ということはないですよね?」
私の言葉を聞いて黙り出す。そしてこれまでため込んだ笑いを全て出すように、腹を抱えて大笑いする。
「ははっ、やっと気付いたのか? これは元大司教からお借りしたものだ。そして君が魔女だと教えてくれたのは元大司教だよ」
どうしてこれほどまで私が魔女だと断定できるのか気がかりだったが、やはり裏があったのだ。
そうなると先ほどの爆発はたまたまではない……。
さらに背中が冷たくなった。
「教えてください……お父様達が亡くなったのは……貴方があちらへ情報を渡したからですか?」
「よく分かったね。こちらの陣形を教えてタイミングになったら一斉に爆発してもらうようにしてもらった。僕にとって汚点を全て消し去るチャンスだったからね」
その言葉を聞いてもう躊躇わない。歯を食いしばって全力で駈けた。
剣を全力で振ったが相手にやすやすと止められる。
動くと自分の体も強くぶつけたことで痛みがあったことがわかった。
でも止まるわけにはいかない。
「許さない!」
「それは僕のセリフだ! それにこれはれっきとした王家への反逆罪! 周りを見たまえ!」
タイミング良く周りから王家の騎士達が現れた。先ほどまで居なかったはずなのに、どこに姿を隠していたのだ。
そこで思い至った。ガハリエの力で何かしらの不可視かをしたのだと。
意識が別に向いたせいで油断してしまい、私の首が掴まれた。
「うぐっ……」
強い力で絞められ、息が出来ない。視界の端で手袋が赤く光るのが分かった。
「ほら、やっぱりそうだ! 君は魔女じゃないか!」
ざわっと周りもざわつき、その言葉に信憑性が増していた。
逃げたいが強い力に全く抵抗できない。
急に体が浮くとそのまま地面に叩きつけられた。
「うぐっ!」
背中を強く打ち付け、その痛みを我慢する。
容赦の無い一撃に体が痛くてたまらない。
「これは僕からの情けだ」
剣を振り上げられ、咄嗟に目を閉じた。
痛みで逃げられず、黙って受けるしかない。
……ごめんなさい、クリス……。
「お嬢様!」
私を呼ぶ声が聞こえた同時にふわりと体が浮いた。馬蹄の音もいまさら聞こえ、私は持ち上げられたのだ。
「お嬢様ご無事ですか!」
「リタ!?」
どうして前線にリタがいるのだ。だがおかげで間一髪で救い出されたのだ。
「大きな爆発音が聞こえたので駆けつけたのですよ」
「でもそれだと貴女が危ない!」
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リタもまたいつものような無表情ではなく、死を覚悟した顔をしていた。
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馬をぐんぐんと加速させて逃げる。彼女がここまで馬を操れるとは知らなかった。
だけど敵に包囲されていては逃げるのは至難の業だった。
「何をしている! 反逆者を逃がすな! 矢を放て!」
「し、しかし……」
「早くしろ! 僕の命令が聞けないのか!」
「は、はい! 全兵、矢を放て!」
後ろから一斉に矢が飛んでくる。するとリタが私を覆うように被さった。
「お嬢様! 私の陰に隠れてください! んぐっ」
「リタ! だめ!」
ザシュザシュっとリタの背中に刺さっていく音が聞こえる。
リタの口から血がこぼれだし、前にいる私にもたれかかるような姿勢になっていた。
「せっかく猊下から……たくさんのお金をいただいたのに……余生が台無しですね……」
「リタ、喋らないで! 私を降ろして――」
馬が突然暴れ出す。何かに怯えるように。それはおそらく私の魔女の力であろう。
気持ちの変化によって、抑えられている魔女の刻印が刻みだしたのだ。
「お嬢様!」
馬から落とされるときにリタが私を抱きかかえて地面へのクッション代わりになった。
だがその代わりに彼女はもう助からないと分かるほどボロボロだ。
「逃げ……て」
リタは言葉をどうにか絞り出す。目も閉じ閉じになり私を見ていない。
だけどこんな状態の彼女を置いてはいけない。
「だめだよ……やっとまた会えたのに……私のせいでまた……」
涙が溢れながら、布で彼女の止血をする。だけどどんどん血が流れて止まらないのだ。
未来でも彼女が私を救い、今もまた自分の命を犠牲にして私を助けようとしたのだ。
「どうしていつもみたいに損得で動かないのよ! 死んだら何も残らないのに……」
苛立ちは自分にあった。またもや私のせいで彼女は命を落とす。
それなのに何もできない。
いや、何もしなかったのだ……。
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覚悟を決めていなかったから……。
化け物を倒すには、自分も化け物にならないといけない。
リオネスは馬を私の横まで近づかせ、剣を首元へ添えた。
「手間を取らせたがもう逃げられないぞ」
リタはもう目を開けることもせず、息も途絶えた。
ずっと側に居た彼女は、こんな最低な男によってまた殺されたのだ。
「逃げる?」
悲しいはずなのに笑いが込み上がってきた。
顔を上げるとリオネスは一瞬怯えるように顔を引きつらせた。
涙も出るし笑いもする私はどんな顔をしているのだろうか。
「そんなにわたくしが魔女であるか大事でしたら、その身で味わってはどうでしょう」
懐から薬品瓶を取り出して飲んだ。お母様が私に託した魔女の力を覚醒させる薬だ。
飲んだ直後にドクンっと心臓が高鳴った。
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「うるさい!」
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「ぎゃああ!」
「熱い……水……!」
「あぐっ……ああ!」
うるさい声が聞こえてくる。さらに何度も爆発を起こしてやっと周りが静かになっていく。
さっきまで誰かが側に居た気がしたが何も思い出せない。
「あははははは!」
自分が誰か分からない。だけど同じ気配を遠くで感じる。
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