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4章 友達はいかがでしょうか
28 冬の布選び
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フーガ族に捕まったシリウス達を助けに行ったが、色々と成り行きに任せすぎた。
今回のフーガ族のことは、シリウスとハロルドもしばらくは様子見という形になったのだ。
ヴィヴィの両親からも謝罪を受け、フーガ族の監視を彼らに任せることになる。
私は早速と家に戻って、国の薬剤師たちと新薬作りを行っていく。
「あとはレシピ通りにお願いしますね」
私は国の薬剤師達と共同で感染症の薬の開発に取り組んだ。
薬剤師達は一応は私の言うことを聞いてくれるので、どうにか少しずつ前に進んでいる。
しかしこの国ではあまり薬剤師たちへの予算が与えられておらず問題は山積みだった。
「かしこまりました。しかし、お金の方は大丈夫でしょうか?」
「それはわたくしがどうにかします。予算も私が今後上げるようにしますので、有能な者が居ましたら、どんどん登用してください。しばらくはわたくしの予算で給与も保障しますので」
「本当ですか! 大変助かります! では早速作業に取り掛かります」
最初は薬剤師達も敵意を持っていたが、少しずつ信用を勝ち取っている。
今の医術レベルでは、大きな流行り病が起きたら対処し切れない。
少しずつでも今の状況を良くしていくのが私の役目だ。
「エマ、今日の予定を教えてくださる?」
部屋に戻りながらエマへ尋ねた。
彼女も待っていたかのようにスラスラと答える。
「はい! 今日は、これからお茶会で染色の布を皆様でご覧頂く予定です。冬の衣装で使われますから、商人達も張り切っています」
帝国との交流も増えてきているので、少し遅れて帝国の流行がやってくるだろう。
私は元々帝国で流行については常にチェックしていたことで、他の誰よりも詳しい。
事前に私と懇意にしてくれる商人達にはその情報を差し出しているのだ。
「なら良かったわ」
「あとは夜会ですね。こちらはギルド長と大店の主人達にも招待状を送っております」
「返事がない人はいましたか?」
「一応全員参加頂けるようです。ただ……」
エマの顔が少しだけ曇った。
その理由に思い当たることがあった。
「ヒルダ様から何かあったのね」
「はい……少しだけ圧力があるそうです。一応、今回は仮面舞踏会ですので、参加者達の素性については分からないようにしております」
「こればかりは私次第ね」
私は一度自室へ戻ってからお茶会用のドレスへ着替えた。
多くの令嬢達がやってくるので、なるべく部屋も大きな場所を借りた。
令嬢達がどんどん入ってきて、私へ挨拶をしていく。
「カナリア様、本日のお茶会を楽しみにしてましたの」
「ありがとう存じます。こちらこそ今日は本当に楽しみでしたの」
「カナリア様は本当にお綺麗で、落ち着いた姿が気品があって素敵です」
「ふふ、お世辞が上手いわね」
久々に褒められると嬉しくなるものだ。
たとえ少しばかりの下心があろうとも許せそうだった。
しばらくは上品さを演出するのもいいかもしれない。
「カナリー呼んでくださってありがとうございます!」
ひときわ大きな声でヴィヴィが入ってきた。
そういえばみんなの前では愛称で呼ばないでと言うのを忘れていた。
これはまずい。
「カナリーって……もしかしてカナリア様のことを愛称で!?」
「あの方は中級貴族のはずよ。そのような態度を許されるわけありませんわ」
「そうよ、おそらく馴れ馴れしいだけね」
周りからヴィヴィへの態度について少しばかり不満が出ている。
ここはちょっと一言注意しておかないといけない。
「ヴィヴィアンヌさん、今日は──」
「カナリー、もうヴィヴィって呼んでくれませんの?」
悲しい顔で言われ、何だか罪悪感が湧いてきた。
だがそれ以上に──。
「お互いに愛称で呼び合っているの!?」
「もしかして──」
これはあらぬ方向で誤解されている気がする。
──お願い、ヴィヴィ、もうやめて!
だけど私の願いは聞き入れてもらえなかった。
他の令嬢が恐る恐るヴィヴィに尋ねる。
「あのぉ、ヴィヴィアンヌ様、カナリア様がそのように愛称を呼び合うことを許可されたのですか?」
「もちろんですわよ! カナリーはものすごく優しいのですわよ! 前も私を助けるためにフーガァァア!」
何を暴露しようとしているのかと慌てて彼女の口を塞いだ。
小声でヴィヴィに伝える。
「フーガ族とのことを言ったら貴女は危ないでしょうが!」
「はっ!? 忘れてしましたわ」
お願いだからもう少ししっかりしてほしい。
泣きたくなるほど思わぬ事態へ進んでいく。
ふと、周りからの視線が突き刺さっていることに気づいた。
「カナリア様はどなたでも本当に差別無く接してくださるのね」
「もしよろしければわたくしも愛称で呼んで構いませんでしょうか!」
「ちょっと抜け駆けはやめなさい!」
「なら貴女もお願いすればいいではありませんか!」
「えっ! わたくしも呼んでもいいのでしょうか?」
「「それならわたくしも!」」
我先にとどんどんお構いなしに手を挙げて私に許可を求めてくる。
ここまで来ると誰かを断るだけで角が立つ。
「ええ、構いませんわよ。ははっ」
私の気品溢れる風格も短い間だった。
もうどうにでもなれと思う。
気を取り直して、商人達が流行になるであろう染色の布をテーブルの上に広げるので、まずは私が確認する。
「これは綺麗ね……あらっ、こちらも綺麗な色合いですこと」
あまりすぐに決めてはいけないという帝国での暗黙の了解があり、私は心の中で決まっている布があったが、わざと悩むふりをして時間が経つのを待った。
「カナリア様ですら、あんなに悩むと言うことはどれも一級品ということかしら」
「わたくしはさっきお取りになった布を選ぼうかしら」
令嬢達は私が手に取った布を自分の衣装のメインにしようかと考えているようだ。
さて、そろそろ一番のお気に入りを手に取ろうとした時、バーッンとドアが急に開かれた。
こんな無礼なことが出来る人物に一人しか思い当たらなかった。
「ごめんあそばせ。カナリア様、今日は染色の布が見られると聞いて来ましたのよ」
シリウスの兄の妻であるヒルダがやってきた。
嫌なタイミングで来るなと私は心の中で舌打ちをする。
たくさんの取り巻きを引き連れて来て、この茶会を台無しにするつもりだろう。
「ヒルダ様……まさか来られるなんて、もしよろしければ後日腕の良い職人を紹介致しますわよ」
早く帰ってください、と暗に伝えたがわざと気付かないようにしているようで、私の顔を見て笑みが深まった。
「あら、それはいいわね!」
私が手に取ろうとした布を横から掠め取られた。
ヒルダは少しだけ色を凝視して、うんうん、と頷いて私へ言うのだった。
「ねえ、カナリア様。もしよろければこれ頂いてもよろしいですか?」
絶対にあげません、と言えたらいいのだが、この場では彼女の方が私より立場も上なため、絶対に拒否してはいけないのだ。
「ええ……ヒルダ様ならお似合いだと思います」
顔が引き攣るのを我慢しながらどうにか言葉を出せた。
だがヒルダはもっと厄介なことを企んでいた。
「もしよろしければわたくしが選んで差し上げましょうか?」
これはもっとも嫌な展開になった。
彼女は絶対に誰も着ないような地味な布を選ぶつもりだ。
だがどうやっても断る術がない。
こんな女にお茶会が邪魔されることが屈辱だ。
その時、シリウスが走ってこのお茶会の会場へ走ってきた。
「はぁはぁ……カナリア、もう布は選んだのか?」
「し、シリウス様!? どうしたのですか、そんなに息を切らして……」
今日は仕事で忙しいから参加はしないと言っていたのに、どうして彼がここに来たのか分からなかった。
彼も息を整えると、ヒルダの存在にも今気付いたようだ。
「義姉上……何かあったのか、カナリア?」
「シリウス様、カナリア様が私に染色の布を譲ってくださいましたのよ」
奪ったと言い直してほしい。
だが私も今回は相手が悪かったと諦めようとした時──。
「そうか、もうカナリアは次の布は決めたのか?」
「いいえ……これからどれにしようかと……」
「なら一緒に選ぶのはどうだ?」
「えっ……」
シリウスは私の腕を取って、一緒に染色の布を見て回る。
周りからも黄色の声が聞こえ、何だか恥ずかしくなってきた。
「どれも綺麗な布だな」
「選別は前もって行ってましたので……」
「カナリアは全部似合いそうだから選ぶのに時間が掛かりそうだな」
ははっ、シリウスは朗らかに笑うが、素でそのようなことを言わないで欲しい。
顔が赤くなっていくのが自分でも感じた。
「まあ、素敵ですわ……」
「あれが理想の恋人ですね」
周りからも微笑ましく見られており、どんどん私の威厳が無くなっている気がした。
そういえばといまさらにヒルダの事を思い出したが、こっちを忌々しそうに睨んでいた。
どうやら私に恥をかかせる作戦は失敗したようだ。
「あら、用事が出来ましたのでこれで失礼します!」
「えっ、もうお帰りなるのですか?」
ヒルダの取り巻き達も驚きの声を上げるが、ヒルダは答えずに部屋から出て行った。
それに従うようにヒルダの取り巻きは全員居なくなったのだった。
今回のフーガ族のことは、シリウスとハロルドもしばらくは様子見という形になったのだ。
ヴィヴィの両親からも謝罪を受け、フーガ族の監視を彼らに任せることになる。
私は早速と家に戻って、国の薬剤師たちと新薬作りを行っていく。
「あとはレシピ通りにお願いしますね」
私は国の薬剤師達と共同で感染症の薬の開発に取り組んだ。
薬剤師達は一応は私の言うことを聞いてくれるので、どうにか少しずつ前に進んでいる。
しかしこの国ではあまり薬剤師たちへの予算が与えられておらず問題は山積みだった。
「かしこまりました。しかし、お金の方は大丈夫でしょうか?」
「それはわたくしがどうにかします。予算も私が今後上げるようにしますので、有能な者が居ましたら、どんどん登用してください。しばらくはわたくしの予算で給与も保障しますので」
「本当ですか! 大変助かります! では早速作業に取り掛かります」
最初は薬剤師達も敵意を持っていたが、少しずつ信用を勝ち取っている。
今の医術レベルでは、大きな流行り病が起きたら対処し切れない。
少しずつでも今の状況を良くしていくのが私の役目だ。
「エマ、今日の予定を教えてくださる?」
部屋に戻りながらエマへ尋ねた。
彼女も待っていたかのようにスラスラと答える。
「はい! 今日は、これからお茶会で染色の布を皆様でご覧頂く予定です。冬の衣装で使われますから、商人達も張り切っています」
帝国との交流も増えてきているので、少し遅れて帝国の流行がやってくるだろう。
私は元々帝国で流行については常にチェックしていたことで、他の誰よりも詳しい。
事前に私と懇意にしてくれる商人達にはその情報を差し出しているのだ。
「なら良かったわ」
「あとは夜会ですね。こちらはギルド長と大店の主人達にも招待状を送っております」
「返事がない人はいましたか?」
「一応全員参加頂けるようです。ただ……」
エマの顔が少しだけ曇った。
その理由に思い当たることがあった。
「ヒルダ様から何かあったのね」
「はい……少しだけ圧力があるそうです。一応、今回は仮面舞踏会ですので、参加者達の素性については分からないようにしております」
「こればかりは私次第ね」
私は一度自室へ戻ってからお茶会用のドレスへ着替えた。
多くの令嬢達がやってくるので、なるべく部屋も大きな場所を借りた。
令嬢達がどんどん入ってきて、私へ挨拶をしていく。
「カナリア様、本日のお茶会を楽しみにしてましたの」
「ありがとう存じます。こちらこそ今日は本当に楽しみでしたの」
「カナリア様は本当にお綺麗で、落ち着いた姿が気品があって素敵です」
「ふふ、お世辞が上手いわね」
久々に褒められると嬉しくなるものだ。
たとえ少しばかりの下心があろうとも許せそうだった。
しばらくは上品さを演出するのもいいかもしれない。
「カナリー呼んでくださってありがとうございます!」
ひときわ大きな声でヴィヴィが入ってきた。
そういえばみんなの前では愛称で呼ばないでと言うのを忘れていた。
これはまずい。
「カナリーって……もしかしてカナリア様のことを愛称で!?」
「あの方は中級貴族のはずよ。そのような態度を許されるわけありませんわ」
「そうよ、おそらく馴れ馴れしいだけね」
周りからヴィヴィへの態度について少しばかり不満が出ている。
ここはちょっと一言注意しておかないといけない。
「ヴィヴィアンヌさん、今日は──」
「カナリー、もうヴィヴィって呼んでくれませんの?」
悲しい顔で言われ、何だか罪悪感が湧いてきた。
だがそれ以上に──。
「お互いに愛称で呼び合っているの!?」
「もしかして──」
これはあらぬ方向で誤解されている気がする。
──お願い、ヴィヴィ、もうやめて!
だけど私の願いは聞き入れてもらえなかった。
他の令嬢が恐る恐るヴィヴィに尋ねる。
「あのぉ、ヴィヴィアンヌ様、カナリア様がそのように愛称を呼び合うことを許可されたのですか?」
「もちろんですわよ! カナリーはものすごく優しいのですわよ! 前も私を助けるためにフーガァァア!」
何を暴露しようとしているのかと慌てて彼女の口を塞いだ。
小声でヴィヴィに伝える。
「フーガ族とのことを言ったら貴女は危ないでしょうが!」
「はっ!? 忘れてしましたわ」
お願いだからもう少ししっかりしてほしい。
泣きたくなるほど思わぬ事態へ進んでいく。
ふと、周りからの視線が突き刺さっていることに気づいた。
「カナリア様はどなたでも本当に差別無く接してくださるのね」
「もしよろしければわたくしも愛称で呼んで構いませんでしょうか!」
「ちょっと抜け駆けはやめなさい!」
「なら貴女もお願いすればいいではありませんか!」
「えっ! わたくしも呼んでもいいのでしょうか?」
「「それならわたくしも!」」
我先にとどんどんお構いなしに手を挙げて私に許可を求めてくる。
ここまで来ると誰かを断るだけで角が立つ。
「ええ、構いませんわよ。ははっ」
私の気品溢れる風格も短い間だった。
もうどうにでもなれと思う。
気を取り直して、商人達が流行になるであろう染色の布をテーブルの上に広げるので、まずは私が確認する。
「これは綺麗ね……あらっ、こちらも綺麗な色合いですこと」
あまりすぐに決めてはいけないという帝国での暗黙の了解があり、私は心の中で決まっている布があったが、わざと悩むふりをして時間が経つのを待った。
「カナリア様ですら、あんなに悩むと言うことはどれも一級品ということかしら」
「わたくしはさっきお取りになった布を選ぼうかしら」
令嬢達は私が手に取った布を自分の衣装のメインにしようかと考えているようだ。
さて、そろそろ一番のお気に入りを手に取ろうとした時、バーッンとドアが急に開かれた。
こんな無礼なことが出来る人物に一人しか思い当たらなかった。
「ごめんあそばせ。カナリア様、今日は染色の布が見られると聞いて来ましたのよ」
シリウスの兄の妻であるヒルダがやってきた。
嫌なタイミングで来るなと私は心の中で舌打ちをする。
たくさんの取り巻きを引き連れて来て、この茶会を台無しにするつもりだろう。
「ヒルダ様……まさか来られるなんて、もしよろしければ後日腕の良い職人を紹介致しますわよ」
早く帰ってください、と暗に伝えたがわざと気付かないようにしているようで、私の顔を見て笑みが深まった。
「あら、それはいいわね!」
私が手に取ろうとした布を横から掠め取られた。
ヒルダは少しだけ色を凝視して、うんうん、と頷いて私へ言うのだった。
「ねえ、カナリア様。もしよろければこれ頂いてもよろしいですか?」
絶対にあげません、と言えたらいいのだが、この場では彼女の方が私より立場も上なため、絶対に拒否してはいけないのだ。
「ええ……ヒルダ様ならお似合いだと思います」
顔が引き攣るのを我慢しながらどうにか言葉を出せた。
だがヒルダはもっと厄介なことを企んでいた。
「もしよろしければわたくしが選んで差し上げましょうか?」
これはもっとも嫌な展開になった。
彼女は絶対に誰も着ないような地味な布を選ぶつもりだ。
だがどうやっても断る術がない。
こんな女にお茶会が邪魔されることが屈辱だ。
その時、シリウスが走ってこのお茶会の会場へ走ってきた。
「はぁはぁ……カナリア、もう布は選んだのか?」
「し、シリウス様!? どうしたのですか、そんなに息を切らして……」
今日は仕事で忙しいから参加はしないと言っていたのに、どうして彼がここに来たのか分からなかった。
彼も息を整えると、ヒルダの存在にも今気付いたようだ。
「義姉上……何かあったのか、カナリア?」
「シリウス様、カナリア様が私に染色の布を譲ってくださいましたのよ」
奪ったと言い直してほしい。
だが私も今回は相手が悪かったと諦めようとした時──。
「そうか、もうカナリアは次の布は決めたのか?」
「いいえ……これからどれにしようかと……」
「なら一緒に選ぶのはどうだ?」
「えっ……」
シリウスは私の腕を取って、一緒に染色の布を見て回る。
周りからも黄色の声が聞こえ、何だか恥ずかしくなってきた。
「どれも綺麗な布だな」
「選別は前もって行ってましたので……」
「カナリアは全部似合いそうだから選ぶのに時間が掛かりそうだな」
ははっ、シリウスは朗らかに笑うが、素でそのようなことを言わないで欲しい。
顔が赤くなっていくのが自分でも感じた。
「まあ、素敵ですわ……」
「あれが理想の恋人ですね」
周りからも微笑ましく見られており、どんどん私の威厳が無くなっている気がした。
そういえばといまさらにヒルダの事を思い出したが、こっちを忌々しそうに睨んでいた。
どうやら私に恥をかかせる作戦は失敗したようだ。
「あら、用事が出来ましたのでこれで失礼します!」
「えっ、もうお帰りなるのですか?」
ヒルダの取り巻き達も驚きの声を上げるが、ヒルダは答えずに部屋から出て行った。
それに従うようにヒルダの取り巻きは全員居なくなったのだった。
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