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最終章 希望を託されし女神

神の復活

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 いつの間にかマリアーマーから降りていた。
 辺りを見渡すと、外も同じように時間が経っており、混沌はどんどん増していた。
 しかし大きな変化もあったようだ。

「マリアさまが帰還したぞ!」

 わたしは懐かしい声に気付いて振り返った。
 そこには騎士を連れてきたステラがわたしの帰還を報告していた。
 彼女が来てくれるならこれほど心強いものはない。
 わたしの魔力が空に上ったことで、全員がわたしの魔力に一時釘付けになっていたようだ。

「あーあ」

 大男に担がれたヨハネは恨めしくわたしを見た。

「もうアンラマンユにも裏切りがバレちゃったし、味方が誰も居ないわね。わたしを殺す?」

 ヨハネの過去は想像を絶するものだった。
 彼女はあまりにも賢かったために神に利用された。
 だが神は彼女を見誤っていたのだ。
 ずっと反撃の機会を待っていたことを。

「その必要はないわ。シャクだけど貴女の希望通りになったでしょ?」

 ヨハネは理解できてないようだった。
 だがわたしはしっかり彼女から受け継いだ。

「あとは任せなさい。わたしが神を討つ。王は成った」

 わたしの決意は決まった。
 本当に倒すべき相手も。
 ヨハネはわたしの言葉を聞いて涙を流した。
 ガーネフがやってきて大男から彼に彼女を預ける。

「義姉上、こちらで休みましょう」
「ええ、わたしは王のいない側近だったけど、しっかり育てたわ。わたしの王を。わたしはやっと王を得たのね」

 ヨハネはガーネフに運ばれていく。
 わたしは神を倒す。
 今日、すべてに決着を付ける。

「マリアさま!」
「マリア姉さま!」

 下僕とアリアがわたしのところへやってくる。
 二人とも少し疲れている。

「ガイアノスはどうしました?」
「しばらく眠ってもらっています」

 特に騎士として鍛えていないガイアノスなら、下僕が魔力で並べば勝つのはそう難しくはない。
 しかし二人の鎧はかなり傷付いているので、楽な相手ではなかったのだろう。

「マリア姉さま、先ほどの魔法は……」
「アンラマンユに一発放ってあげました」

 二人は口をあんぐりと開けて驚いた。
 しかし今はあまり時間もない。

「クロートは?」
「まだデアハウザーを抑えています」

 クロートと仮面の戦士がデアハウザーへ攻撃を続けている。
 しかし、高い魔力を持つデアハウザーの防御をなかなか突破できないようだ。
 しかしクロートがいないと神を呼び起こせない。

「クロート、あっちへ向かえ」
「一人で大丈夫ですか?」
「こいつを足止めするくらいなら一人で十分だ」
「なら頼みます」

 仮面の戦士がわたしに察して、クロートを送り出してくれた。
 クロートがやってきたことでこれで四人の魔力が揃う。

「四人いれば神を起こせるのですよね?」
「いえ、本来は五人いないといけません」


 ……ちょっと、仮面の戦士!

 あの仮面の戦士は確かに四人と言った。
 偽情報はやめてほしい。
 だが、わたしはあることに気付いた。

「でも五人って、あと一人だれかいましたっけ?」
「もう一人は仮面の女性にお願いしようと思ったのですが、どうやらここには来ていないようです」

 そういえば彼女も伝承を解いていたので、わたしとアリアのように髪を持った者なのだろう。
 だがいつ来るか分からない者をこれ以上待てはしない。

「なら四人で試しみましょう」

 わたしの提案にみんなが了承した。
 神を起こすための祝詞をすぐに覚えた。

「ではやりましょう」

 わたしたちは四人で同調を開始する。
 空に魔力が上がり始め、少しずつ魔力を上げていく。

「水の神オーツェガット、火の神シュベツーガット、風の神シェイソーナガットはこの世を生み出した神なり。我々は三神に誠実な想いを届け、誠実な行いをし、そして誠実に生きた。どうか我々に導きを与えたまえ。光の神ラムガット、闇の神ドウンケルガット、二神はこの世に統治を生み出した神なり。我々は国を作り、民を育て、永遠の繁栄を望んだ。どうか我々の願いを叶えたまえ」

 わたしたちの魔力に方向性を与えた。
 四人の超魔力が混ざり合って天を突き破る。
 突如として天が割れた。
 ジョセフィーヌ、ゼヌニム、リーベルビラン、ノヴァルディオンから光の柱が空へと上っていく。

「ウガァぁぁあ!」

 突如として、デアハウザーが苦しみ出した。
 体が溶け始めて、人間の皮膚が落ちていく。
 そしてとうとう泥のような皮膚を持ち、目玉を六個持つ化け物の姿に戻った。


「これを見よ! ドルヴィは人間ではない! 魔物が化けていた偽物の王だ! これを見て本当にお前らは忠義を尽くすのか!」


 仮面の戦士が声を上げると、一斉に騎士たちがデアハウザーを見た。
 誰もがドルヴィだと思っていたものが偽物だったのだ。
 一人はトライードを落として、一人は膝をついていた。
 ヴェルダンディと戦っていた騎士団長も唖然としており、戦いをやめて騎士たちに命令をする。


「全員、戦いをやめよ!」

 騎士団長の言葉で騎士たちは動きを止めた。
 魔物たちも一斉に苦しみ出して、その姿を灰にしていく。

「成功……ですよね?」

 下僕は恐る恐る聞いてくる。
 クロートも少し嬉しそうに肯定する。

「ええ、これで本当の敵がハッキリしたはずです」

 魔物は消え去り、残ったのはデアハウザーのみ。
 しかし、わたしは楽観的に見られなかった。

「アンラマンユが姿を現さない」

 わたしの言葉にみんなハッとなる。
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