217 / 259
第五章 王のいない側近
導く者
しおりを挟む
シュトラレーセからライヘンまでは馬車だとかなりの日数を使うことになる。
そんな悠長な時間はなく、わたしたちは当然のように騎獣での移動をしなければならない。
本来だと冬に空へ昇るのはあまりにも危険だ。
あまりにも寒く、しっかりした防寒具を着てもなお寒い。
そのため小さな杖の魔道具を握りしめる。
暖かな空間をわたしの周りにだけ作るものだ。
魔法で似たようなことはできるが、魔法効率は魔道具を使ったほうがいいので魔力の節約ができる。
わたしたちは、クロート、ヴェルダンディ、ルキノ、下僕を連れていく。
戦闘になる可能性もあるので、他の側近達は安全のため残ってもらう。
ガシャガシャと黒い鎧を着たアビ・グレイルヒューケンがやってくる。
「お待たせした。念のために持ってきて正解でした」
わたしたちのために付いてきてくれるらしく、すぐに着替えてきてくれた。
数人の私兵を連れており、立ち振る舞いからかなりの手練れなのがわかった。
わたしたちは早速ライヘンまで飛び立つ。
シュトラレーセの東側に隣接する領土のため、鐘一つ分も掛からずに到着するだろう。
境界線を越え、ライヘン領に辿り着く。
わたしたちは祭壇のある場所へ直進する。
城の近くに大神殿があり、わたしたちはすぐにそこが分かった。
何故なら大きな煙が上がっていたからだ。
「遅かったか!」
アビ・グレイルヒューケンは舌打ちをした。
相手の行動があまりにも早すぎてわたしたちは遅れを取っている。
襲撃者が何を思ってこのような行動をしているのか分からないが、このような蛮行を許すわけにはいかない。
大神殿の前に行くと、大多数の騎士たちが倒れ伏している中、入り口を守っている一人の仮面を付けた戦士がいた。
目が開いているのか閉じているのか分かりづらい顔をしたアビ・ライヘンは後ろで指揮をしているが、攻めあぐねているようだった。
「おお、マリアさまが来て下さったぞ!」
アビ・ライヘンがこちらに気付いて騎士たちの士気を上げる。
わたしたちはすぐさま降りて、アビ・グレイルヒューケンが話をする。
「遅れて申し訳ございません。あれが化け物戦士ですか」
「左様。マリアさまがこちらにおられるのなら、あれはやはり別物か。あの戦士の話なら聞いていたがもう一人いる女の魔力まで聞いていなかった」
「どれほどの魔力なんですか?」
わたしが聞くと、倒れている騎士たちを指差した。
「全員が一撃の魔法で倒れ伏した。あまりにも強い水の魔法で受けた者は気を失った」
耐魔力があるはずの鎧であっても防げない魔力となると、領主候補生以上が使える魔法くらいしかない。
だが倒れている騎士は五百を超える。
そんな魔法は領主にだって無理だ。
「その女は何処へ?」
「大聖堂の中へ入っていった。祭壇は我らの宝だ。あの戦士をすぐさま倒したいのに、何人で掛かろうともトライードで力任せに振り回されただけで防がれる。技量が全く違うのだ。遠距離から攻めても相手の持っている魔道具で防がれるので、このような馬鹿げた戦術しか取れん」
口惜しそうにアビ・ライヘンは舌打ちをした。
クロートを相手に不意打ちだが一発で倒したほどだ。
任せられる人物は一人しかいない。
「あの者の相手はわたしがしましょう」
クロートがトライードを出して自ら名乗り出てくれた。
正直彼で押さえられないのならどうにもならない。
「俺も戦う!」
ヴェルダンディも戦いたくてうずうずしているようで、クロートは特に何も言わない。
彼もずっと訓練を重ねているので、任すことのできる腕前になってきている。
「ええ、二人で抑えて。その間にわたくしが中へ入ります。ルキノと下僕はわたくに付いてきてください」
クロートたちが攻めている間にわたしはルキノの騎獣に乗って、隙が出来た時に大神殿の中へと入るのだ。
まずはクロートとヴェルダンディが騎士たちが開けた道を通っていく。
「どこの誰かは分かりませんが、祭壇への道を開けてもらいましょうか」
「いいだろう。マリア・ジョセフィーヌだけは通す」
クロートの独白に近い言葉だったにも関わらず、謎の戦士はすんなりと許可を出した。
あまりに簡単に許可を出すので、わたしたちは耳を疑うしかない。
「姫さまは通していい?」
「ああ、あの方もお待ちだ。ただし他の者はダメだ。もし通るのなら、命の保証はできん。手加減できる相手でもないからな」
殺気が吹き荒れる。
他の騎士たちが恐怖で足が竦んでいる。
だがこれはチャンスかもしれない。
このような騎士と戦わなくてもいいのなら、それに越したことはない。
「分かりました。全員、ここで待機してなさい……合図が出たら飛び出しなさい」
わたしはコソッとクロートに命令した。
他の人を置いてわたしだけは先へと進む。
謎の戦士の元へ近付いていき、わたしは腰にあるトライードへとさり気なく手をやった。
その突如、空から大群の騎士たちがこちらに向かってきていた。
その見慣れたマントは金と黒が中央で分かれている、すなわちドルヴィの騎士団だ。
先頭にはヨハネがいる。
わたしを捕まえに来たのは明白だ。
「本当に来たか」
謎の戦士がぼやいていた。
そして謎の戦士が声を出さずに仮面を少しずらして口を動かした。
中へ急げ
わたしは大きな声を出した。
「クロート今よ!」
わたしの合図と共にクロートたち三人は騎獣を出して突進してくる。
分かりやすい演技で謎の戦士が倒れた。
だが進むしかない。
ここにいればヨハネに捕まる。
わたしはこの大神殿で待つ謎の女に会うしか方法はない。
そのままで大神殿に入り、大きな祭壇が奥にある。
大部屋しかないためこの大神殿全てが見通せる。
そして祭壇の上には、前に図書館で襲ってきた謎の女がこちらを待ち構えていた。
「よく来たわね。しっかり五人いるわね」
……五人?
わたしとクロート、ヴェルダンディ、ルキノしかいないはずだ。
後ろを振り向いて確認してみると、ヴェルダンディの騎獣にアビ・グレイルヒューケンがしがみついていた。
「何かすると思っていたら案の定だ。マリアさまだけ入ったら疑われるかもしれないから、何がなんでも付いていくつもりだった」
恐ろしい執念だが、彼がここまで付いてきてくれるのは助かる。
わたしは再度謎の女を見た。
「一体何が目的なの! 貴女たちのせいで伝承が潰えるのよ!」
「ここは伝承の場所ではない」
謎の女はきっぱり答える。
だがおかしな話だ。
しっかり祭壇もあるし、ここが伝承の場所ではないのならここはなんだ。
「貴女の幸運は何よりもかけがえのないもの。四つの領土でここだけだった。そしてライヘンと交流のあるアビと仲良くなっている。これほどの幸運はない」
「一体何を言っていますの?」
どこか不気味な女だ。
何だか鳥肌も立ってくる。
まるでヨハネを前にしているような威圧感がこの女からしてくる。
「真実はこの先にある。来なさい」
謎の女はいきなり踊りを始めた。
わたしのよく知る踊りだった。
わたしたちの魔力が自然と吸い上げられる。
わたしとクロートは何ともないが、他の者は膝を付いて魔力が失われる脱力に襲われていた。
そしてこれは伝承を解く時にも似たようなことがあった。
祭壇の横にある地面が吹き飛んだ。
突然不思議な柱が数本現れた。
まるでその柱を潜れといっているように真ん中だけ空いている。
「では行きましょう」
後ろから走ってくる誰かがいた。
わたしたちが振り向くと、謎の戦士が全速力でこちらに向かってきて、大きな跳躍でわたしたちを追い抜いていく。
謎の女を抱き抱えてその柱の中央に向かうと消え去った。
「一体どういうこと?」
この先に何があるのか。
わたしが迷っているとクロートが急かせる。
「後ろから大勢の足音が聞こえます。このままだと、ヨハネさまに捕まってしまいます。これはあの方たちを信じるしか逃げる術がありません」
どっちへ行こうが危険であることには変わりはない。
ならまだ可能性のある方へ向かうしかない。
「行きます!」
わたしは先頭で全員を率いて、柱の奥へと進んだのだった。
そして進んだ先は、辺り一帯が城壁で囲まれていた。
そんな悠長な時間はなく、わたしたちは当然のように騎獣での移動をしなければならない。
本来だと冬に空へ昇るのはあまりにも危険だ。
あまりにも寒く、しっかりした防寒具を着てもなお寒い。
そのため小さな杖の魔道具を握りしめる。
暖かな空間をわたしの周りにだけ作るものだ。
魔法で似たようなことはできるが、魔法効率は魔道具を使ったほうがいいので魔力の節約ができる。
わたしたちは、クロート、ヴェルダンディ、ルキノ、下僕を連れていく。
戦闘になる可能性もあるので、他の側近達は安全のため残ってもらう。
ガシャガシャと黒い鎧を着たアビ・グレイルヒューケンがやってくる。
「お待たせした。念のために持ってきて正解でした」
わたしたちのために付いてきてくれるらしく、すぐに着替えてきてくれた。
数人の私兵を連れており、立ち振る舞いからかなりの手練れなのがわかった。
わたしたちは早速ライヘンまで飛び立つ。
シュトラレーセの東側に隣接する領土のため、鐘一つ分も掛からずに到着するだろう。
境界線を越え、ライヘン領に辿り着く。
わたしたちは祭壇のある場所へ直進する。
城の近くに大神殿があり、わたしたちはすぐにそこが分かった。
何故なら大きな煙が上がっていたからだ。
「遅かったか!」
アビ・グレイルヒューケンは舌打ちをした。
相手の行動があまりにも早すぎてわたしたちは遅れを取っている。
襲撃者が何を思ってこのような行動をしているのか分からないが、このような蛮行を許すわけにはいかない。
大神殿の前に行くと、大多数の騎士たちが倒れ伏している中、入り口を守っている一人の仮面を付けた戦士がいた。
目が開いているのか閉じているのか分かりづらい顔をしたアビ・ライヘンは後ろで指揮をしているが、攻めあぐねているようだった。
「おお、マリアさまが来て下さったぞ!」
アビ・ライヘンがこちらに気付いて騎士たちの士気を上げる。
わたしたちはすぐさま降りて、アビ・グレイルヒューケンが話をする。
「遅れて申し訳ございません。あれが化け物戦士ですか」
「左様。マリアさまがこちらにおられるのなら、あれはやはり別物か。あの戦士の話なら聞いていたがもう一人いる女の魔力まで聞いていなかった」
「どれほどの魔力なんですか?」
わたしが聞くと、倒れている騎士たちを指差した。
「全員が一撃の魔法で倒れ伏した。あまりにも強い水の魔法で受けた者は気を失った」
耐魔力があるはずの鎧であっても防げない魔力となると、領主候補生以上が使える魔法くらいしかない。
だが倒れている騎士は五百を超える。
そんな魔法は領主にだって無理だ。
「その女は何処へ?」
「大聖堂の中へ入っていった。祭壇は我らの宝だ。あの戦士をすぐさま倒したいのに、何人で掛かろうともトライードで力任せに振り回されただけで防がれる。技量が全く違うのだ。遠距離から攻めても相手の持っている魔道具で防がれるので、このような馬鹿げた戦術しか取れん」
口惜しそうにアビ・ライヘンは舌打ちをした。
クロートを相手に不意打ちだが一発で倒したほどだ。
任せられる人物は一人しかいない。
「あの者の相手はわたしがしましょう」
クロートがトライードを出して自ら名乗り出てくれた。
正直彼で押さえられないのならどうにもならない。
「俺も戦う!」
ヴェルダンディも戦いたくてうずうずしているようで、クロートは特に何も言わない。
彼もずっと訓練を重ねているので、任すことのできる腕前になってきている。
「ええ、二人で抑えて。その間にわたくしが中へ入ります。ルキノと下僕はわたくに付いてきてください」
クロートたちが攻めている間にわたしはルキノの騎獣に乗って、隙が出来た時に大神殿の中へと入るのだ。
まずはクロートとヴェルダンディが騎士たちが開けた道を通っていく。
「どこの誰かは分かりませんが、祭壇への道を開けてもらいましょうか」
「いいだろう。マリア・ジョセフィーヌだけは通す」
クロートの独白に近い言葉だったにも関わらず、謎の戦士はすんなりと許可を出した。
あまりに簡単に許可を出すので、わたしたちは耳を疑うしかない。
「姫さまは通していい?」
「ああ、あの方もお待ちだ。ただし他の者はダメだ。もし通るのなら、命の保証はできん。手加減できる相手でもないからな」
殺気が吹き荒れる。
他の騎士たちが恐怖で足が竦んでいる。
だがこれはチャンスかもしれない。
このような騎士と戦わなくてもいいのなら、それに越したことはない。
「分かりました。全員、ここで待機してなさい……合図が出たら飛び出しなさい」
わたしはコソッとクロートに命令した。
他の人を置いてわたしだけは先へと進む。
謎の戦士の元へ近付いていき、わたしは腰にあるトライードへとさり気なく手をやった。
その突如、空から大群の騎士たちがこちらに向かってきていた。
その見慣れたマントは金と黒が中央で分かれている、すなわちドルヴィの騎士団だ。
先頭にはヨハネがいる。
わたしを捕まえに来たのは明白だ。
「本当に来たか」
謎の戦士がぼやいていた。
そして謎の戦士が声を出さずに仮面を少しずらして口を動かした。
中へ急げ
わたしは大きな声を出した。
「クロート今よ!」
わたしの合図と共にクロートたち三人は騎獣を出して突進してくる。
分かりやすい演技で謎の戦士が倒れた。
だが進むしかない。
ここにいればヨハネに捕まる。
わたしはこの大神殿で待つ謎の女に会うしか方法はない。
そのままで大神殿に入り、大きな祭壇が奥にある。
大部屋しかないためこの大神殿全てが見通せる。
そして祭壇の上には、前に図書館で襲ってきた謎の女がこちらを待ち構えていた。
「よく来たわね。しっかり五人いるわね」
……五人?
わたしとクロート、ヴェルダンディ、ルキノしかいないはずだ。
後ろを振り向いて確認してみると、ヴェルダンディの騎獣にアビ・グレイルヒューケンがしがみついていた。
「何かすると思っていたら案の定だ。マリアさまだけ入ったら疑われるかもしれないから、何がなんでも付いていくつもりだった」
恐ろしい執念だが、彼がここまで付いてきてくれるのは助かる。
わたしは再度謎の女を見た。
「一体何が目的なの! 貴女たちのせいで伝承が潰えるのよ!」
「ここは伝承の場所ではない」
謎の女はきっぱり答える。
だがおかしな話だ。
しっかり祭壇もあるし、ここが伝承の場所ではないのならここはなんだ。
「貴女の幸運は何よりもかけがえのないもの。四つの領土でここだけだった。そしてライヘンと交流のあるアビと仲良くなっている。これほどの幸運はない」
「一体何を言っていますの?」
どこか不気味な女だ。
何だか鳥肌も立ってくる。
まるでヨハネを前にしているような威圧感がこの女からしてくる。
「真実はこの先にある。来なさい」
謎の女はいきなり踊りを始めた。
わたしのよく知る踊りだった。
わたしたちの魔力が自然と吸い上げられる。
わたしとクロートは何ともないが、他の者は膝を付いて魔力が失われる脱力に襲われていた。
そしてこれは伝承を解く時にも似たようなことがあった。
祭壇の横にある地面が吹き飛んだ。
突然不思議な柱が数本現れた。
まるでその柱を潜れといっているように真ん中だけ空いている。
「では行きましょう」
後ろから走ってくる誰かがいた。
わたしたちが振り向くと、謎の戦士が全速力でこちらに向かってきて、大きな跳躍でわたしたちを追い抜いていく。
謎の女を抱き抱えてその柱の中央に向かうと消え去った。
「一体どういうこと?」
この先に何があるのか。
わたしが迷っているとクロートが急かせる。
「後ろから大勢の足音が聞こえます。このままだと、ヨハネさまに捕まってしまいます。これはあの方たちを信じるしか逃げる術がありません」
どっちへ行こうが危険であることには変わりはない。
ならまだ可能性のある方へ向かうしかない。
「行きます!」
わたしは先頭で全員を率いて、柱の奥へと進んだのだった。
そして進んだ先は、辺り一帯が城壁で囲まれていた。
0
お気に入りに追加
116
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
冤罪から逃れるために全てを捨てた。
四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
私はただ一度の暴言が許せない
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
厳かな結婚式だった。
花婿が花嫁のベールを上げるまでは。
ベールを上げ、その日初めて花嫁の顔を見た花婿マティアスは暴言を吐いた。
「私の花嫁は花のようなスカーレットだ!お前ではない!」と。
そして花嫁の父に向かって怒鳴った。
「騙したな!スカーレットではなく別人をよこすとは!
この婚姻はなしだ!訴えてやるから覚悟しろ!」と。
そこから始まる物語。
作者独自の世界観です。
短編予定。
のちのち、ちょこちょこ続編を書くかもしれません。
話が進むにつれ、ヒロイン・スカーレットの印象が変わっていくと思いますが。
楽しんでいただけると嬉しいです。
※9/10 13話公開後、ミスに気づいて何度か文を訂正、追加しました。申し訳ありません。
※9/20 最終回予定でしたが、訂正終わりませんでした!すみません!明日最終です!
※9/21 本編完結いたしました。ヒロインの夢がどうなったか、のところまでです。
ヒロインが誰を選んだのか?は読者の皆様に想像していただく終わり方となっております。
今後、番外編として別視点から見た物語など数話ののち、
ヒロインが誰と、どうしているかまでを書いたエピローグを公開する予定です。
よろしくお願いします。
※9/27 番外編を公開させていただきました。
※10/3 お話の一部(暴言部分1話、4話、6話)を訂正させていただきました。
※10/23 お話の一部(14話、番外編11ー1話)を訂正させていただきました。
※10/25 完結しました。
ここまでお読みくださった皆様。導いてくださった皆様にお礼申し上げます。
たくさんの方から感想をいただきました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただける場であって欲しいと思いますので、
今後はいただいた感想をを非承認とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる