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第二章 騎士祭までに噂なんて吹き飛ばしちゃえ!
サラスへの説得
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朝日が眩しくなんて素晴らしい一日の始まりなのでしょう。
窓ガラスから反射された陽の光が今日も頑張る気持ちにさせてくれる。
もうすでに着替えも終わって、わたくしは優雅に朝の紅茶を飲んでいる。
わたしくは紅茶のカップをゆっくりテーブルに置く。
辺りを見渡すと側近たちが緊張した面持ちで待っていた。
「ちょっとお腹が痛くなってきたから、リムミントしばらく任せるわね」
「マリアさま、リムミントは別の世界に行かれています」
アスカが苦笑気味に言うが、リムミントはどうやらかなりヤバイ状態のようだ。
下を向いてなにやらブツブツと喋っている。
どうやらサラスと真っ向から対立する勇気がないようだ。
もちろん私も恐い。
「そういえばホテルの件はどうですか?」
クロートも今日は助けてくれるみたいで同席している。
一応カジノに行ったことを知らない側近たちには、クロートが前から目を付けていたホテルを買い取って上級貴族向けに改装して金策をすることにしている。
もちろん、私が稼いだお金も収益として上がったことにするつもりだ。
「おおむね順調でございます。あと十日以内には開店もできるはずです」
「かなり早いのですね。家具を作ったりしたらかなり時間が掛かると思いましたのに」
「だいぶ前から準備を進めておりましたゆえ。姫さまの名前を宣伝に使っておりますので、予約も殺到しております」
わたし主導で行なっている事業ということになっているので、わたしと縁を持ちたい上級貴族たちがこぞって押し寄せたらしい。
だがわたしは一番気になるのはカジノをどうするのかだ。
「何か目玉があると、ずっと収益が見込めそうですね」
「ええもちろん用意しております。演劇場やダンス場などさまざまな遊びを取り入れております。日程に余裕ができた時に一度お越しください。ホテルも箔が付くでしょう」
「わかりました。シュティレンツの件が終わったら一度足を運びますね」
ちょうど外にいるラケシスからサラスが来たことを告げられた。
わたしはお腹に力を入れて気合を入れなおす。
心の準備をすぐ済ませて、入室の許可をする。
「おはようございます、姫さま」
「おはようサラス。忙しいのに朝早くお呼びして申し訳ございません」
「いいえ、姫さまの呼び出しなら何よりも優先するのは侍従の務めです。それで側近が一堂に会するなんて一体どうしたのですか?」
「実はしばらくシュティレンツへ向かおうと思っています。そのため、王国院を一月ほど空けます。シュティレンツの伝承を復活させて更なる財源を獲得します」
わたしが要件をさらっと告げるとサラスは目を瞑って何かを考えている。
懐から一枚の紙を取り出して、中身を熟読していた。
何を読んでいるかわからないが、すぐに大きなため息を吐いた。
「姫さま、貴方がここを離れるということはその間の勉強、社交が滞るのですよ? それはお分かりですね?」
「もちろんわかっております。しかし今行かないわけにはいきません。わたくしの勉強も大事ですが、特例を出した以上は少しでも領土をより良くするのはわたくしの役目です」
「いいえ、それはシルヴィの役目です。まだ姫さまは学生。いずれ当主になることが決まっている方とはいえ、その肩は未だ小さく支えきれるものではありません」
サラスも譲る気はないようで、わたしの言葉をはねていく。
だが側近たちも頑張って情報集めや根回しをしてくれているのだ。
簡単には引き下がれない。
「おとう……シルヴィの肩にも限界があるはずです。わたくしも色々と情報を集めましたが、苦境に立たされていると聞きます」
わたしの言葉に側近たちが息を飲むのがわかる。
今の発言は立場的にあまりよろしくない。
「それは現当主を批判するということですか? 心許せる側近しかいないとはいえ、たとえ姫さまといえども反逆と取られるかもしませんよ」
「別にわたくしはシルヴィの批判をするつもりはありません。これはシルヴィに仕える貴方を説得しているのです。シルヴィの肩の荷を少しでも軽くしたいならわたくしを頼りなさいと言っているのです」
わたしの発言にサラスの目が点となっていっている。
少しばかり驚いてくれたようだが、わたしを止めることを諦めたような顔となった。
「しょうがありませんね。クロートも今回は力を貸しているのでしょう?」
「はい、姫さまのお力を借りて噂の元から刈り取るつもりです」
「あなたがそう仰るのなら大丈夫でしょう。ただし姫さま、シュティレンツにはわたくしも同行します。姫さまの勉強をこれ以上遅らせることはできませんので、暇な時間があれば勉強していただきます」
わたしはそれだけは勘弁してほしいと思ったが、これ以上の譲歩は難しそうなので条件を飲んだ。
これで障害もなくなったと安堵していたら、出立の日までわたしと側近たちは寝る間も惜しんで勉強することとなった。
……死ぬぅぅぅ!
窓ガラスから反射された陽の光が今日も頑張る気持ちにさせてくれる。
もうすでに着替えも終わって、わたくしは優雅に朝の紅茶を飲んでいる。
わたしくは紅茶のカップをゆっくりテーブルに置く。
辺りを見渡すと側近たちが緊張した面持ちで待っていた。
「ちょっとお腹が痛くなってきたから、リムミントしばらく任せるわね」
「マリアさま、リムミントは別の世界に行かれています」
アスカが苦笑気味に言うが、リムミントはどうやらかなりヤバイ状態のようだ。
下を向いてなにやらブツブツと喋っている。
どうやらサラスと真っ向から対立する勇気がないようだ。
もちろん私も恐い。
「そういえばホテルの件はどうですか?」
クロートも今日は助けてくれるみたいで同席している。
一応カジノに行ったことを知らない側近たちには、クロートが前から目を付けていたホテルを買い取って上級貴族向けに改装して金策をすることにしている。
もちろん、私が稼いだお金も収益として上がったことにするつもりだ。
「おおむね順調でございます。あと十日以内には開店もできるはずです」
「かなり早いのですね。家具を作ったりしたらかなり時間が掛かると思いましたのに」
「だいぶ前から準備を進めておりましたゆえ。姫さまの名前を宣伝に使っておりますので、予約も殺到しております」
わたし主導で行なっている事業ということになっているので、わたしと縁を持ちたい上級貴族たちがこぞって押し寄せたらしい。
だがわたしは一番気になるのはカジノをどうするのかだ。
「何か目玉があると、ずっと収益が見込めそうですね」
「ええもちろん用意しております。演劇場やダンス場などさまざまな遊びを取り入れております。日程に余裕ができた時に一度お越しください。ホテルも箔が付くでしょう」
「わかりました。シュティレンツの件が終わったら一度足を運びますね」
ちょうど外にいるラケシスからサラスが来たことを告げられた。
わたしはお腹に力を入れて気合を入れなおす。
心の準備をすぐ済ませて、入室の許可をする。
「おはようございます、姫さま」
「おはようサラス。忙しいのに朝早くお呼びして申し訳ございません」
「いいえ、姫さまの呼び出しなら何よりも優先するのは侍従の務めです。それで側近が一堂に会するなんて一体どうしたのですか?」
「実はしばらくシュティレンツへ向かおうと思っています。そのため、王国院を一月ほど空けます。シュティレンツの伝承を復活させて更なる財源を獲得します」
わたしが要件をさらっと告げるとサラスは目を瞑って何かを考えている。
懐から一枚の紙を取り出して、中身を熟読していた。
何を読んでいるかわからないが、すぐに大きなため息を吐いた。
「姫さま、貴方がここを離れるということはその間の勉強、社交が滞るのですよ? それはお分かりですね?」
「もちろんわかっております。しかし今行かないわけにはいきません。わたくしの勉強も大事ですが、特例を出した以上は少しでも領土をより良くするのはわたくしの役目です」
「いいえ、それはシルヴィの役目です。まだ姫さまは学生。いずれ当主になることが決まっている方とはいえ、その肩は未だ小さく支えきれるものではありません」
サラスも譲る気はないようで、わたしの言葉をはねていく。
だが側近たちも頑張って情報集めや根回しをしてくれているのだ。
簡単には引き下がれない。
「おとう……シルヴィの肩にも限界があるはずです。わたくしも色々と情報を集めましたが、苦境に立たされていると聞きます」
わたしの言葉に側近たちが息を飲むのがわかる。
今の発言は立場的にあまりよろしくない。
「それは現当主を批判するということですか? 心許せる側近しかいないとはいえ、たとえ姫さまといえども反逆と取られるかもしませんよ」
「別にわたくしはシルヴィの批判をするつもりはありません。これはシルヴィに仕える貴方を説得しているのです。シルヴィの肩の荷を少しでも軽くしたいならわたくしを頼りなさいと言っているのです」
わたしの発言にサラスの目が点となっていっている。
少しばかり驚いてくれたようだが、わたしを止めることを諦めたような顔となった。
「しょうがありませんね。クロートも今回は力を貸しているのでしょう?」
「はい、姫さまのお力を借りて噂の元から刈り取るつもりです」
「あなたがそう仰るのなら大丈夫でしょう。ただし姫さま、シュティレンツにはわたくしも同行します。姫さまの勉強をこれ以上遅らせることはできませんので、暇な時間があれば勉強していただきます」
わたしはそれだけは勘弁してほしいと思ったが、これ以上の譲歩は難しそうなので条件を飲んだ。
これで障害もなくなったと安堵していたら、出立の日までわたしと側近たちは寝る間も惜しんで勉強することとなった。
……死ぬぅぅぅ!
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