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マルダリア王国の異変。
アレクシアが宿すもの。④
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「・・カキィンッ!!」
ミリアに向かって凄まじい速さでエーテルから繰り出された氷の剣先をいとも簡単にミリアの持つ銀色の短剣が受け止めた。
驚いているエーテルに、ミリアが鼻先で笑うような嘲笑を浮かべた。
「・・・ふふっ。
私がこの国でかなりの戦闘力を持つと名高い貴方の側でただぼーっと過ごしていたと思って??
敵を欺くには、まずはその敵の懐に入れってね。
技のパターンや特性を見なければあっさり勝てないでしょう!?」
その光景に私はゾッとした。
「まさか!?
神獣無双先輩の一手が簡単に・・・!?」
ミリアは元気な町娘上がりの侍女設定だったので、私の驚きといったら・・。
「・・くっ、この裏切り者!!
・・小癪な真似をっ!!」
流石のエーテルも唇をぎりっと噛むと
一瞬で数歩下がった位置へと軽々と飛んだ。
エーテルがミリアと距離を取ると、ミリアがニヤッと薄ら笑いを浮かべた。
「氷柱よ、貫け!!
裏切りの罪を犯した者を氷の獄へと閉じ込めよ!!!」
エーテルの紅い瞳がカッと輝いて、銀色の髪が大きく広がった。
「・・・駄目だ。エーテル、危ない!!」
ハッとした表情を浮かべたエリアスは顔色を変えて大声を上げた。
エリアスが何かを察して、エーテルを制したが次の瞬間に氷の礫が薄ら笑いを浮かべたままのミリア目掛けて飛んで行った。
「エリアス・・!?」
私は驚いてエリアスの方を見た瞬間だった。
「ふふふ、エーテルってば。
馬鹿な子ねぇ!?・・・鏡よ開け!!」
大きく目を見開いたミリアの声と共に、大きな黒い鏡がミリアの腹部から現れてエーテルの
攻撃を飲み込んだ。
「エーテルの攻撃が丸ごと消えた!?何なの!?
・・ブラックホール的な!?」
パニックに陥っている私は驚きすぎて状況が全く掴めてなかった。
攻撃を仕掛けたエーテルが戸惑いを浮かべた瞬間だった。
「その大きな鏡面に映りし神力を元の主へと返し賜え。鏡面反射・・!!」
その言葉と共に、沢山の氷の礫がエーテル目掛けて降り注いだ。
私の足が勝手に動き出して、エーテルの側へと駆けた。
「・・エーテルっ!!危ないっ!!」
青ざめた表情で私を見たエーテルは、一瞬で私と彼女との間に大きな氷の壁で阻んだ。
ドガガガガンン・・・・。
降り積もるような轟音が響き渡った。
もくもくと冷たく、霧のような煙が広がる。
ミリアの攻撃の衝撃を受けて私は吹き飛ばされていた。
氷の壁に阻まれたまま身動きができなかった私は
悲痛な叫びと共に立ち上がった。
「・・エ、エーテル?・・。エーテル無事なの!?」
エーテルの震えるような紅い瞳は信じられない物でも見るように真っすぐに目の前にあるルカの背中を見つめていた。
「おっとぉ、いけねぇ・・!!
ギリギリだったなぁ。シールド解除。」
呆然としたまましゃがみ込んでいたエーテルの前にはルカと、バイコーンのアヴァが白い光を放って立ち塞がっていた。
「よぉ、エーテル・・・、無事かぁ?
お前、真面目なのはいいけど朝から派手な音だしちゃってぇ。全力の朝稽古はよぉ、遠征中ぐらいは辞めとけってなぁ・・。」
「朝稽古な訳ないだろう?状況を見て物を言ったらどうだ、ルーカス。」
そこに輝くような金色の髪が私の眼前に現れた。
「アレクシア・・・!?大丈夫か!??」
レオが私の身体を支えるように腕を力強く掴んだ。
安心感のあるレオの笑顔に私は少しだけホッとした。
「私は無事よ。
エーテルが助かって良かった・・。」
一瞬のことで何が起こったのか解らなかったけど、エーテルの攻撃を跳ね返したミリアの途轍もない力にただ驚くばかりだった。
「レオ、ミリアは神力も戦闘の腕もエーテルに引けを劣らぬようだ。」
「そのようだな・・。
ミリアは青薔薇の栄光の一員で間違いないな。
神力をも普段から隠して生活するなど、徹底した完璧な変装だったな。
王立学院にいた雑魚且つお粗末な連中とは大違いのようだ・・。組織の幹部連中の力は計り知れないってことか。」
エリアスが、そっとレオに伝えるとレオは軽く頷いて吐き捨てるように言った。
「あらぁ・・。ファーマシストのコンダクターと、天子様までご登場ですか??
ちょっと派手にやりすぎたかしら??」
いつもは、明るい太陽のような笑顔を向けていたミリアが嘲るような表情で周りを見回した。
さっきの攻撃に吹き飛んだテントの屋根から朝焼けが差し込んできた。
「何故だ・・。お前達組織はどうして薬を用いて人々を混乱に陥れる?
お前達の真の狙いは何なのだ!?」
「ミリア・・。
まさか貴方までが組織の人間だったなんて・・。」
蹲ったままのエーテルが真っ赤な顔でルカに抱きかかえられて身体を起こすと不安そうにミリアを見つめていた。
ミリアに向かって凄まじい速さでエーテルから繰り出された氷の剣先をいとも簡単にミリアの持つ銀色の短剣が受け止めた。
驚いているエーテルに、ミリアが鼻先で笑うような嘲笑を浮かべた。
「・・・ふふっ。
私がこの国でかなりの戦闘力を持つと名高い貴方の側でただぼーっと過ごしていたと思って??
敵を欺くには、まずはその敵の懐に入れってね。
技のパターンや特性を見なければあっさり勝てないでしょう!?」
その光景に私はゾッとした。
「まさか!?
神獣無双先輩の一手が簡単に・・・!?」
ミリアは元気な町娘上がりの侍女設定だったので、私の驚きといったら・・。
「・・くっ、この裏切り者!!
・・小癪な真似をっ!!」
流石のエーテルも唇をぎりっと噛むと
一瞬で数歩下がった位置へと軽々と飛んだ。
エーテルがミリアと距離を取ると、ミリアがニヤッと薄ら笑いを浮かべた。
「氷柱よ、貫け!!
裏切りの罪を犯した者を氷の獄へと閉じ込めよ!!!」
エーテルの紅い瞳がカッと輝いて、銀色の髪が大きく広がった。
「・・・駄目だ。エーテル、危ない!!」
ハッとした表情を浮かべたエリアスは顔色を変えて大声を上げた。
エリアスが何かを察して、エーテルを制したが次の瞬間に氷の礫が薄ら笑いを浮かべたままのミリア目掛けて飛んで行った。
「エリアス・・!?」
私は驚いてエリアスの方を見た瞬間だった。
「ふふふ、エーテルってば。
馬鹿な子ねぇ!?・・・鏡よ開け!!」
大きく目を見開いたミリアの声と共に、大きな黒い鏡がミリアの腹部から現れてエーテルの
攻撃を飲み込んだ。
「エーテルの攻撃が丸ごと消えた!?何なの!?
・・ブラックホール的な!?」
パニックに陥っている私は驚きすぎて状況が全く掴めてなかった。
攻撃を仕掛けたエーテルが戸惑いを浮かべた瞬間だった。
「その大きな鏡面に映りし神力を元の主へと返し賜え。鏡面反射・・!!」
その言葉と共に、沢山の氷の礫がエーテル目掛けて降り注いだ。
私の足が勝手に動き出して、エーテルの側へと駆けた。
「・・エーテルっ!!危ないっ!!」
青ざめた表情で私を見たエーテルは、一瞬で私と彼女との間に大きな氷の壁で阻んだ。
ドガガガガンン・・・・。
降り積もるような轟音が響き渡った。
もくもくと冷たく、霧のような煙が広がる。
ミリアの攻撃の衝撃を受けて私は吹き飛ばされていた。
氷の壁に阻まれたまま身動きができなかった私は
悲痛な叫びと共に立ち上がった。
「・・エ、エーテル?・・。エーテル無事なの!?」
エーテルの震えるような紅い瞳は信じられない物でも見るように真っすぐに目の前にあるルカの背中を見つめていた。
「おっとぉ、いけねぇ・・!!
ギリギリだったなぁ。シールド解除。」
呆然としたまましゃがみ込んでいたエーテルの前にはルカと、バイコーンのアヴァが白い光を放って立ち塞がっていた。
「よぉ、エーテル・・・、無事かぁ?
お前、真面目なのはいいけど朝から派手な音だしちゃってぇ。全力の朝稽古はよぉ、遠征中ぐらいは辞めとけってなぁ・・。」
「朝稽古な訳ないだろう?状況を見て物を言ったらどうだ、ルーカス。」
そこに輝くような金色の髪が私の眼前に現れた。
「アレクシア・・・!?大丈夫か!??」
レオが私の身体を支えるように腕を力強く掴んだ。
安心感のあるレオの笑顔に私は少しだけホッとした。
「私は無事よ。
エーテルが助かって良かった・・。」
一瞬のことで何が起こったのか解らなかったけど、エーテルの攻撃を跳ね返したミリアの途轍もない力にただ驚くばかりだった。
「レオ、ミリアは神力も戦闘の腕もエーテルに引けを劣らぬようだ。」
「そのようだな・・。
ミリアは青薔薇の栄光の一員で間違いないな。
神力をも普段から隠して生活するなど、徹底した完璧な変装だったな。
王立学院にいた雑魚且つお粗末な連中とは大違いのようだ・・。組織の幹部連中の力は計り知れないってことか。」
エリアスが、そっとレオに伝えるとレオは軽く頷いて吐き捨てるように言った。
「あらぁ・・。ファーマシストのコンダクターと、天子様までご登場ですか??
ちょっと派手にやりすぎたかしら??」
いつもは、明るい太陽のような笑顔を向けていたミリアが嘲るような表情で周りを見回した。
さっきの攻撃に吹き飛んだテントの屋根から朝焼けが差し込んできた。
「何故だ・・。お前達組織はどうして薬を用いて人々を混乱に陥れる?
お前達の真の狙いは何なのだ!?」
「ミリア・・。
まさか貴方までが組織の人間だったなんて・・。」
蹲ったままのエーテルが真っ赤な顔でルカに抱きかかえられて身体を起こすと不安そうにミリアを見つめていた。
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