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ファーマーズラボラトリー。

ファーマーズラボラトリー②

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レオが敵認定されているけど・・。
一応エーテルの親族で雇い主でもあるんだけど。ま、いっか・・!!

「そうね・・、目に見えるトラップ類は結構よ。
そうだ、あのエーテルの得意な神力を込めた物がいいわ!!
触れたら凍る仕様を施した南京錠を5つほど、部屋の扉に追加しておいてね?」

何度か男性が氷漬けにされてるシーンを見たことがあった。

どれも、エーテルの近くに転がっていたから彼女の仕業でしょう・・。

私は身支度を済ませて、白衣を羽織ると笑顔で侍女に指示を仰いだ。

「なるほどですわ。それでは、直ちに手配いたします。」

ミリアは、艶のある金色の髪を1つにまとめ、
少し編み込んだ物を絡ませた可愛い髪型にしてくれていた。

「アレクシア様、今日もお美しいですわ!!
髪型の方はこちらで如何でしょう?」

「まぁ、可愛い。本当、助かるわ!!
いつも良くしてくれて感謝してるのよ?
2人がいてくれて、とっても、心強いわ!!」

着心地の良い白衣を身に纏い、ルンルンの私は笑顔で2人に向きなおした。

この国に来た時は、本当にどうなるかと思ったけど・・。

「アレクシア様の為なら尽くさせていただきますわ!
アレクシア様の作られた見たこともないお菓子や、
肌のツルツルになるクリーム。
口の中が爽やかになる歯磨き粉などなど。
どれも、不思議で最高ですもの!!
私たち、アレクシア様の作品の大ファンです!!」


キラキラした瞳でミリアが見つめ、エーテルも深く頷いた。

この国のミントとか、ハーブったら最高の舌触りにしちゃう歯磨き粉や、
つるつるになる化粧水が出来てたりする。

これは前世からの趣味の一つだった。


天然資源と、神力の力が宿った世界で育った物には食べ物や、草にも力があると言う。

侍女達ともすっかり仲良くなった。

この国に来て、もうすぐ一か月が経とうとしている。



アルトハルト神聖国は、大陸の中央に位置している。

連なるカレンツィ山脈に囲まれた城塞国家だ。

水の資源が豊富で、サラム湖とシラクサム海の恵みが豊かな国だ。

隣国、マルダリア王国や、エルメダ共和国、ザード公国、アレクシリア王国など
巨体国を統べる国であり、女神レオノーラを冠する神教の総本山である。

他の国は、火や木材などを使うんだけど
この国の資源は、神力を使った特殊な錬金術で他国へ薬や、道具の輸出を行っている。


特に、薬草学で有名であり、万病の治癒が可能な「ファーマシスト」の地位は
特権階級である天族のすぐ下の地位ほど高い。

現代で言えば、血を重んじたカースト制が色濃く残る国って感じ。

さっきも言ったように、特殊な国なので神力で守られてるせいなのか
空気も、食べ物も不思議な力を持っているみたい。


神教の神殿「ピレウサリア」には、神官達が500人以上暮らしていて
聖地巡礼の信者も多く通う。

世界の始まりの国として、これは現代では考えられないんだけど
特殊国家として世界を纏める権力と、力を持った天帝が君臨している。

女神レオノーラの降臨の血として、その血統を継いで神力を生まれながらに持つ天族達と、
その最高位には天帝リオルグが。

そして王太子として、その地位につく天子レオノールが
私の婚約者なんだけど・・。(納得はしてないけど。)


水の離宮と呼ばれる荘厳なアルトハルトの天上宮殿はマルダリア王国の王宮の
大きさのざっと5倍はあって、初めて見た時顎が外れそうになったのだった。

天上宮殿には、天宮騎士団詰所と、ファーマシストのラボラトリーが入っている。

ファーマシストは男性のみ約70人程がラボにいる。

その中で、元々強い神力を持った天族や、一般でもの特殊能力者が数名いる。
力を持った人たちは、医薬品ではなく、他の医薬品と異なる特殊な薬を調合している。


薬草に更に神力を加えるだけで、若返りや、治癒力にも大きく差が出るために
神力を更に引き出す鍛錬も能力者には施している。



私はまだ、自分に神力があるのかを見てもらっていなかったので
今日は、神力と自分を守護する新獣の確認テストを行うらしい。

ファーマシストであり、天族の神力を特に強く授かったファーマシストの
コンダクターである、クリステンと、ルーカスの2人に見てもらうことになっている。




ピピッ・・・。


ファーマシスト用のラボは何とクリスタル製のドアと窓で囲まれた球体なのだ。

出入口は、ペンダントに記された特殊な職業印をドアの前で翳すだけ。

下手したら現代より、安全なセキュリティ構造ではないのかしら?

3階へと階段で登った所で、長身の男性がラボの前に立っていた。

スタイルの良いシャツと、トゥザーズ姿に白衣纏った男性だった。

「お早う、シア。」

柔らかな声に、ドキッとした。

長い栗色の髪を一つに纏めて白衣姿のユヴェールが目の前に現れた。

碧眼を細めて、嬉しそうに笑った。
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