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青薔薇の誓い。

青薔薇の誓い。② アレクシアサイド

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「この花が僕の「運命」の相手を選んでくれるんだ・・。一緒にいるなら君みたいに
落ち着ける女性がいいな。大人になったら僕と結婚してくれる?」

その言葉に、私の大きな水色の瞳が激しく揺れていた。

「私、貴方と結婚出来ないわ・・。去年、婚約したばかりなのよ、クロードと・・。」

その言葉に、その男の子は驚いて後ずさった。

「君にはもう、既に相手がいるのか・・。」

「ええ・・。だから、貴方と一緒にはなることは出来ないわね・・。」

哀しそうに俯いた私に、ゴクリと息を飲んだ男の子がそっと私の手を取った。

その温かい体温に、私の胸がドキンと脈打った気がした。

美しい蒼い瞳は、私の水色を映して輝いていた。

さっきまでの涙は、何処かにいったように落ち着いた様子で私の手を握った。

「じゃあ、僕が大人になったら・・。君に会いにくるよ。君がその時、幸せだったなら君を諦める。」

「えっ・・。」

「だけど、君がその時に・・。もし、幸せでなかったら僕は君を僕の手で幸せにする。この薔薇に誓って・・。」


思いもよらなかった言葉に、私は大きく瞳を揺らしていた。

私は驚いたまま息を飲むと、その男の子は優しく微笑んで頬に柔らかい唇を落とした。

目を見開いた私の耳に、誰か私を呼ぶ声が響いてくる・・。

「シアーーっ、何処だ!!?シアっ・・。」

庭園の方から、兄が私を探している声がした。

「お兄様・・。あ、あの・・。ごめんなさい。私、もう行かなきゃ・・!!」

赤く潤んだ瞳で男の子を見ると、静かに頷いてそっと手を離した・・。

名残惜しく感じた体温に、少しだけ寂しさを感じた。

「僕の名前は、レオノール・・。君の名前は??」

「女神、レオノーラと一音違いだわ、素敵な名前・・。
私の名前は、アレクシアよ。アレクシア=グレース=ブランシュです!!」

私はその名を告げると、微笑みを浮かべた。

向かい合ったレオは、そっと抱えていた薔薇の鉢植えを私に手渡した。

「アレクシア・・。そうだ、これは約束のしるしだ。エターナルアプローズを受け取ってくれるかい??」

「いいの??こんな素敵なお花・・。有難う!!レオノール。」

瞳を細めて笑うと、向き合ったレオノールは恥ずかしそうに視線を反らして
頷いた。

「うん。早く大人になるよ。そしてアレクシアに会いに行く。」

優しく芳しい薔薇の香りが辺りを包んでいた。

女神のような強い光を瞳に宿した少年と目が合った。

ドキン・・。

始めて自分の心臓の音が耳に届いたような気がした。

大きく跳ねる心臓の音に私は、彼の瞳を揺れる瞳で見つめた。

レオノールのその言葉が、何故か嬉しかった。

「・・・うん。私も、いつかまたレオノールに会いたい。」

その言葉に満足そうにレオノールは微笑んだ。

その女神の微笑みに、私は神聖な物を見るようにその場から動けなかった。

クロードに感じる物とは違う、胸の鼓動に不思議に思いながらもレオノールを
見つめていた。

「シアっ・・!?シアー、おーーい何処行ったんだよー・・。」

クロードの声が間近に迫っていた。

「じゃあね・・レオノール。いつか、いつかまた会いましょう!!」

鉢植えを受け取った私は、兄とクロードの声のする庭園へと踵を返した。



その後ろ姿を、静かにレオノールは見つめていた。

私は、その青い薔薇を大切に育てた。

再び、レオノールが自分に会いにくる日を祈って・・。
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