上 下
84 / 187
裏切りの結婚式は薔薇色に染まる・・。

裏切りの結婚式は薔薇色に染まる・・。⑰

しおりを挟む
ぽすん・・。

気づくとレオの胸の中に、納まっていた私は甘いレオの香りに驚いて目をぱちくりしていた。

「シア、これで君は俺の物だ・・。父も納得しているし、我がアルトハルトは君を「ファーマシスト」
としても、僕の婚約者としても歓迎する。」

落ち着いた低い声で告げられた言葉に、私は心臓が早鐘を打ち過ぎて気絶してしまいそうだった。

「ブランシュ伯爵、アレクシア嬢をアルトハルトにお連れすることについては・・。」

エヴァンが、薄く笑って父のほうへと視線を向けた。

「は、はい。その・・。正直驚いていますが、想い合う2人の為ならば恐縮ですが謹んでお受けさせて頂きます!!」


「違う・・!!
想い合った覚えはないし、謹まないでいいわよ。
むしろ受けない、で結構です・・!!」

レオは満面の笑みで頷いていた。

「寂しくはなりますが・・。シアの幸せを遠くから祈らせて頂きます。レオノール様、妹を頼みます!!」

「お兄様、祈らなくていいのよ!?寂しいなら、これから末永-く、実家にいても良くてよ?・・イタッ。」

腰を強く抱きしめられた私は、頭上のレオを睨んだ。

「ちょっと・・。何なのよ、この流れ・・!!
私は、薬草医学に興味はあっても、貴方の婚約者になるのは・・。」

「シア、お前が好きだ・・。薬草医学は好きなら、好きなだけ研究してもいい。
クロードとの婚約が駄目でも、今度は他の男といつかは結婚しなければならないだろう?それなら、俺を選んでくれ。」

くうっ・・。

悔しながら、超絶イケメンだわ。

蛍光灯王子とは目を合わせてはいけないわ・・。

みんな孕まされるわ・・!!

凪いだ蒼い瞳に見下ろされて、私は頬の熱が冷めやらぬまま瞳は激しく揺れていた。

「・・・っつ!!辞めてよ、レオっ!!そんな目で私を見ないで・・!!
腹立つぐらい心臓に悪いのよっ。」

ジュリーの言っていた、私が好きだった人が本当にレオだとしたなら・・。

この抗えない熱も・・。
高鳴る胸の鼓動も私の物ほんものなのかもしれない・・。

「素直に喜べばいいだろ?顔が赤いとさっきから言ってる・・。」

「チークだって言ってるでしょう??もう、レオは耳に難があるのよ。耳鼻科行きなさいよ!!」

「なんだ・・。レオノールと花嫁殿は仲良しだな!!レムリアと儂のような仲ではないか。」

豪快に笑っているアルトハルトの天帝は、うちの家族と笑顔で談笑していた。


「・・一体、どんな夫婦だったの?」

訝し気に聞くと、レオは嬉しそうに笑っていた。

「俺たちみたいな夫婦だったぞ?
2人を見本に育った俺には、シアが最高のパートナーかもな。」

カイルががばっと立ち上がって、レオを睨みつけた。

「やっぱり、こんなの嫌だよ!!僕だってシアが好きなのに・・。」

「これは、女神レオノーラの意志だ・・。他国では逆らえないだろう、カイル?」

エヴァンが、落ち着いた声で諭していた。

このままじゃ不味いわ・・。

・・逃げるわよ!!

幸い、両開きのドアは帝の入場で開かれたままになっていた。

チラりと視線を向けて、ヒールの靴を脱ぎ捨てた。

私はドレスの裾を両手で掴むと、一目散に駆けだした。

「勘弁してよ・・!!再度人生プランの練り直しをしなくちゃ・・!!!」

ガッ・・。

「ぬおっ!!」

「あっ、シア‥!!危ない!!!」


つま先に激痛が走って、身体ががくっと宙に浮いた。


兄の大きな声が聞こえて、私はドアの前に転がっていた看板に足を滑らせて気絶した。

「アレクシア・・っ!!」

最後に聞こえたのは、レオの声だった・・。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。

白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

孕ませねばならん ~イケメン執事の監禁セックス~

あさとよる
恋愛
傷モノになれば、この婚約は無くなるはずだ。 最愛のお嬢様が嫁ぐのを阻止? 過保護イケメン執事の執着H♡

転生したら冷徹公爵様と子作りの真っ最中だった。

シェルビビ
恋愛
 明晰夢が趣味の普通の会社員だったのに目を覚ましたらセックスの真っ最中だった。好みのイケメンが目の前にいて、男は自分の事を妻だと言っている。夢だと思い男女の触れ合いを楽しんだ。  いつまで経っても現実に戻る事が出来ず、アルフレッド・ウィンリスタ公爵の妻の妻エルヴィラに転生していたのだ。  監視するための首輪が着けられ、まるでペットのような扱いをされるエルヴィラ。転生前はお金持ちの奥さんになって悠々自適なニートライフを過ごしてたいと思っていたので、理想の生活を手に入れる事に成功する。  元のエルヴィラも喋らない事から黙っていても問題がなく、セックスと贅沢三昧な日々を過ごす。  しかし、エルヴィラの両親と再会し正直に話したところアルフレッドは激高してしまう。 「お前なんか好きにならない」と言われたが、前世から不憫な男キャラが大好きだったため絶対に惚れさせることを決意する。

悪役令嬢なのに王子の慰み者になってしまい、断罪が行われません

青の雀
恋愛
公爵令嬢エリーゼは、王立学園の3年生、あるとき不注意からか階段から転落してしまい、前世やりこんでいた乙女ゲームの中に転生してしまったことに気づく でも、実際はヒロインから突き落とされてしまったのだ。その現場をたまたま見ていた婚約者の王子から溺愛されるようになり、ついにはカラダの関係にまで発展してしまう この乙女ゲームは、悪役令嬢はバッドエンドの道しかなく、最後は必ずギロチンで絶命するのだが、王子様の慰み者になってから、どんどんストーリーが変わっていくのは、いいことなはずなのに、エリーゼは、いつか処刑される運命だと諦めて……、その表情が王子の心を煽り、王子はますますエリーゼに執着して、溺愛していく そしてなぜかヒロインも姿を消していく ほとんどエッチシーンばかりになるかも?

淫らなお姫様とイケメン騎士達のエロスな夜伽物語

瀬能なつ
恋愛
17才になった皇女サーシャは、国のしきたりに従い、6人の騎士たちを従えて、遥か彼方の霊峰へと旅立ちます。 長い道中、姫を警護する騎士たちの体力を回復する方法は、ズバリ、キスとH! 途中、魔物に襲われたり、姫の寵愛を競い合う騎士たちの様々な恋の駆け引きもあったりと、お姫様の旅はなかなか困難なのです?!

処理中です...