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最後の円舞は君と・・。
最後の円舞は君と・・。⑥
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卒業式は、レオの上手すぎるスピーチに感銘を受けた。
先生や、友人、親などにスラスラと感謝の意を述べるレオの腹黒・・じゃなかった!!
時折ブラックジョークを混ぜる、ユーモラスなスピーチにみんなが歓喜して拍手の中、無事に式を終えた。
「クロード・・。お久しぶりね。もう帰るの??」
アッシュブロンドの髪は少しだけ艶がなく、まだ残る傷跡が痛々しい。
暗い雰囲気のクロードは、涙目で私を見上げた。
「シア・・。色々、心配かけてごめんね・・。僕に会えなくなって辛い思いをさせてると
思うんだけど、大丈夫かい?」
「あら、辛いって私が??私の生活は何ら変わりはないわよ??」
満面の笑顔の私に、顔面が蒼白になった。
「シ、シア・・。だって、寂しくないの??婚約者の僕がいなくて!?」
・・ハッ、お笑いかしら。
まだ言うのね。
どの面下げて、そんなセリフを言えるのかしら!!
クロードの神経細胞がどうなっているのか、研究したら愚鈍な人間の
思考様式が解るかもしれないわ。
「どうしてそう思うの??
貴方の行いは、一生かけて償っても足りないと思うんだけど。
はっきり言って、冷めたわ・・!!」
そもそも最初から、熱してもいないけど・・!!
その言葉に、クロードの切れ長の瞳が大きく見開かれた。
「じゃあ、シ、シアは・・。もう僕のこと好きじゃないの?」
「あんな光景を見せられて、私が貴方を好きだとでも??
結婚したら、他の女とあんなことしたら目に物を見せてやるわよ・・。
今度こそ、半殺しでは済まないから!!」
まずは好意の無い事をアピール・・!!
後は、脅しを入れるっと・・。
「そんな・・。僕は、明日・・。
好かれてない君と結婚式を挙げるのか??
そ、それで、君はいいの??」
さて・・。
トドメへと行かせてもらいましょうか・・。
「今更何を言ってるのかしら?私達は元々、家同士の政略結婚でしょう?
結婚に恋だの愛だのは必要ないと、私は思っているけど・・違うのかしら!?」
くらりと眩暈を覚えた様子のクロードは、涙を浮かべて私を見ていた。
「そんな冷めた結婚で、幸せなのか?シアの人生は・・。それでいいの??」
「いいんじゃないかしら・・。
でも、結婚は永遠の誓約よ・・。誓ったら、命がけで守らないとね?
二度と浮気することは許されないわよ。」
「クロード様、父上が馬車の中でお待ちです。
宜しければ、アレクシア様も、一緒にご自宅までお送りしましょうか?」
「私は、父と兄と帰りますわ・・。
明日は宜しくね。ご機嫌よう、クロード!!」
私は踵を返すと、父の方へと歩き出した。
まだ呆然とその場に立ち竦んでいるクロードは、私の背中を
不安気に見つめていた・・。
「僕は、僕を愛してくれない彼女と結婚するのか・・。
それは、僕にとっても・・。彼女にとっても幸せじゃないんじゃないのかな・・。」
ボソッと芝生の上で呟いた言葉は、風に乗って消えた。
「あれで良かったのかしらね・・。上手く揺れてくれるといいんだけど。」
私は温室にいた。
蒼く色づいた薔薇の花をそっと手に取った・・。
右手には、以前のアレクシアの付けていた日記を手にしていた。
「この花が、エターナルアプローズ・・・。
アレクシア・・。今夜、咲き誇ったこの花を付けてプロムに行くわよ。
どうか、私を守ってね。」
そう呟くと、メイドが数時間かけて仕上げた夜会の装いのまま屈んだ。
シルクタフタのベージュのドレスを身に着けて
緩く巻いたプラチナブロンドの髪にそっと差した。
「お嬢様、ご注文の太めのヒールで固い踵裏の物をご用意したのですが・・。」
「有難う、その靴を穿いていくわ。エントランスのスツールの前に用意しておいてね。」
その言葉に、恭しい礼でメイドは静かに温室を出て行った。
一般知識は戻るのに、戻らない部分の記憶があった。
だけど、少しづつは鮮明になって来ていた・・。
先生や、友人、親などにスラスラと感謝の意を述べるレオの腹黒・・じゃなかった!!
時折ブラックジョークを混ぜる、ユーモラスなスピーチにみんなが歓喜して拍手の中、無事に式を終えた。
「クロード・・。お久しぶりね。もう帰るの??」
アッシュブロンドの髪は少しだけ艶がなく、まだ残る傷跡が痛々しい。
暗い雰囲気のクロードは、涙目で私を見上げた。
「シア・・。色々、心配かけてごめんね・・。僕に会えなくなって辛い思いをさせてると
思うんだけど、大丈夫かい?」
「あら、辛いって私が??私の生活は何ら変わりはないわよ??」
満面の笑顔の私に、顔面が蒼白になった。
「シ、シア・・。だって、寂しくないの??婚約者の僕がいなくて!?」
・・ハッ、お笑いかしら。
まだ言うのね。
どの面下げて、そんなセリフを言えるのかしら!!
クロードの神経細胞がどうなっているのか、研究したら愚鈍な人間の
思考様式が解るかもしれないわ。
「どうしてそう思うの??
貴方の行いは、一生かけて償っても足りないと思うんだけど。
はっきり言って、冷めたわ・・!!」
そもそも最初から、熱してもいないけど・・!!
その言葉に、クロードの切れ長の瞳が大きく見開かれた。
「じゃあ、シ、シアは・・。もう僕のこと好きじゃないの?」
「あんな光景を見せられて、私が貴方を好きだとでも??
結婚したら、他の女とあんなことしたら目に物を見せてやるわよ・・。
今度こそ、半殺しでは済まないから!!」
まずは好意の無い事をアピール・・!!
後は、脅しを入れるっと・・。
「そんな・・。僕は、明日・・。
好かれてない君と結婚式を挙げるのか??
そ、それで、君はいいの??」
さて・・。
トドメへと行かせてもらいましょうか・・。
「今更何を言ってるのかしら?私達は元々、家同士の政略結婚でしょう?
結婚に恋だの愛だのは必要ないと、私は思っているけど・・違うのかしら!?」
くらりと眩暈を覚えた様子のクロードは、涙を浮かべて私を見ていた。
「そんな冷めた結婚で、幸せなのか?シアの人生は・・。それでいいの??」
「いいんじゃないかしら・・。
でも、結婚は永遠の誓約よ・・。誓ったら、命がけで守らないとね?
二度と浮気することは許されないわよ。」
「クロード様、父上が馬車の中でお待ちです。
宜しければ、アレクシア様も、一緒にご自宅までお送りしましょうか?」
「私は、父と兄と帰りますわ・・。
明日は宜しくね。ご機嫌よう、クロード!!」
私は踵を返すと、父の方へと歩き出した。
まだ呆然とその場に立ち竦んでいるクロードは、私の背中を
不安気に見つめていた・・。
「僕は、僕を愛してくれない彼女と結婚するのか・・。
それは、僕にとっても・・。彼女にとっても幸せじゃないんじゃないのかな・・。」
ボソッと芝生の上で呟いた言葉は、風に乗って消えた。
「あれで良かったのかしらね・・。上手く揺れてくれるといいんだけど。」
私は温室にいた。
蒼く色づいた薔薇の花をそっと手に取った・・。
右手には、以前のアレクシアの付けていた日記を手にしていた。
「この花が、エターナルアプローズ・・・。
アレクシア・・。今夜、咲き誇ったこの花を付けてプロムに行くわよ。
どうか、私を守ってね。」
そう呟くと、メイドが数時間かけて仕上げた夜会の装いのまま屈んだ。
シルクタフタのベージュのドレスを身に着けて
緩く巻いたプラチナブロンドの髪にそっと差した。
「お嬢様、ご注文の太めのヒールで固い踵裏の物をご用意したのですが・・。」
「有難う、その靴を穿いていくわ。エントランスのスツールの前に用意しておいてね。」
その言葉に、恭しい礼でメイドは静かに温室を出て行った。
一般知識は戻るのに、戻らない部分の記憶があった。
だけど、少しづつは鮮明になって来ていた・・。
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