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最後の円舞は君と・・。

最後の円舞は君と・・。④

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「これ・・。飲んで倒れた・・。
カロライナジャスミンが入っていた小瓶と、同じ物だわ!!」

小瓶には、明確な印が入っていた。

二本の交差された薔薇の花の上に、大きな王冠が載せてあった・・。

「カロライナ・・。シアも、飲んだのか??だが、この香りは媚薬の部類だが。
君の飲んだ花の液は毒だろ?」

驚いた表情のレオは、不安気に私を見た。

小瓶のマークを確認したレオが、眉をピクリと動かして渋い顔をする。

「このマーク・・。知ってるの??」

「・・・これは、薔薇の栄光ローゼングローリーの物だ。最近、この媚薬と、廃人に
なったり、興奮して暴れるような薬が王立学院で出回ってるようなんだ。」

薔薇の栄光ローゼングローリー??・・。ジャスミンが使われていることは
間違いなさそうね。あとは、それぞれ調合が違うのかもしれない・・。」

鼻腔に甘く馴染むこの薬を飲んだクロードは、性的興奮を覚えて事に及んだ・・。

としたら・・。

この小瓶、めちゃくちゃ使えるんじゃないかしら・・!?


最後のトドメの最強アイテムを入手した私は、
凄惨に破壊された部屋の中でほくそ笑んでいた。

「シア・・。」

そこに、ボロボロの服装で登場した兄が、ロナウンに支えられて歩いて来た。

「お前、クロードとのこと・・。こんな婚約・・、破棄したほうがいいんじゃないか??」

「お兄様・・。でも、アルスタイン侯爵のほうが格上でしょ??
こちらから、破棄することは難しいわよね??」


「すぐに父上に報告しに行く・・。あいつ、高級娼婦なんか呼びやがってたんだぞ?
こんな結婚、僕は認めない!!」

すぐに帰宅して計画通りに激怒した兄が、父に言いつけたことから・・。

クロードの父であるアルスタイン侯爵も憤慨して大激怒し、
残りの結婚式までの期間、学校を含む、外出禁止処分に処した。


私の元に飛んできた、アルスタイン侯爵と奥様は私に平謝りをするばかりだった。

卒業式には、参加を許したが・・。

盛大に執り行われる予定の卒業パーティプロムの参加は不可とした厳しい物だった。

ジュリーは残り少ない学院生活の中で、寂しそうに時折クロードの机を見ながらため息をついていた。

「ねぇ・・。ジュリー。きっと、クロードは誰とも会えずに寂しがっているだろうから・・。
お手紙でも書いて差し上げたらいいんじゃない?」

私の声がけに驚いたような表情で、私を見た。

「でも、シアは・・。嫌じゃないの?自分の結婚相手に、女性からお手紙が・・。」

「そうね、でもジュリーは親友だもの!!
ずっと一緒だった生徒会の仲間でしょ・・??私的には、全然問題ないわ。」

「ありがとう、シア・・!!
貴方、本当に優しい人なのね・・。」

茶色い瞳を大きく見開いて嬉しそうな表情を浮かべたジュリーは、大きく頷いて私に抱き着いてきた。

そんな貴方が一番怖いけどね・・。

私は心の中で、猜疑心一杯の目線で笑顔のジュリーを見下ろしていた。


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