転生伯爵令嬢は、裏切り者からの寵愛に戸惑う。

目覚めたら、伯爵令嬢・・！？

目が覚めたら、伯爵令嬢・・！？③

「お前とクロードの結婚式に着るドレスだろ！？
あと、半年後にイーストハンプトン教会で式を挙げる予定じゃないか・・。
変だぞ！？具合でも悪いのか・・！？＿」

「半年後に、私・・。結婚・・するの！？」

呆然とした私に、更に呆然とした兄が口を開けて見下ろしていた。

「そうだ。昔から決まってた婚約じゃないか・・。一体、お前はどうしたんだ？」

メイド服を着た女性は、サッと私のおでこに手を当てると首を傾げた。

「お熱はございませんね・・。」

実験中に、後輩の男の子が調合した薬の濃度と、薬剤の香りに違和感はあった。

まさか爆発するなんて思っても見なかったけど・・。

止めに入った瞬間に、辺りは真っ白になっていた。

ちょっと待てよ・・。

私、あの時・・・。

「てゆーか・・。
私、もしかして死んじゃったの・・！？」

大きな声で叫ぶと、くらりと立ち眩みが襲う。

自分の長いプラチナブロンドの髪が横眼に映る。

誰やねん・・。

私は生粋の日本人で、黒髪黒目のアジアンビューティーな容貌だったのに・・。

アレクシアに比べたら、劣るけど。


「何を・・。シア・・！！？シアっ。おい！！」


遠くで金髪イケメンの声が聞こえる・・。

夢であることを祈りながらも、耳元ではメイドが慌てて駆け寄る靴音が聞こえる。

さっきの口の中にあったあのジャスミンもどきは何だったんだろう・・。

薄れゆく意識の中で、ナイトテーブルの上に置かれた小瓶が視界に入る。

あれは・・。

確か、私はあれを飲んで・・。


ぐにゃりと視界が歪んだ。


私は、再度意識を手放した。