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異世界。
アルベルトの初恋②
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「お母さまは、同性から見ても恰好いいもの!
お父様も素敵なのよ?・・・お似合いの2人なの!!
素直で、自分に正直なお二人はいつも幸せそうに笑っていたわ。」
その言葉に、サフィールと、エリカは嬉しそうに微笑んだ。
数日前、サフィールと父の最期の時の話を聞いた私は、
涙ながらに謝罪した彼に微笑んだのだった。
イギリスに住んでいた頃、家の近くで父と真っ青に広がる空を見上げていた。
父の瞳と同じ、空色・・・。
私の大好きな青空。
「父は、大切な人に苦しい役割を背負わせてしまった・・。その人が今、幸せでいるのか
いつもふと不安になってしまう。
同じ空の下で、僕の残した言葉を聞いた彼が、どうか笑ってくれているといい。
彼は、本当は誰よりも、幸せになるべき人だから・・・。」
いつか、父が空を見上げながら呟いた言葉を思い出した。
あの言葉は、サフィールを思って呟いた言葉だったのだと思った。
いつか聞いた、その言葉を思い出してサフィールに伝えた。
金色の美しい琥珀のような瞳から涙が溢れて、苦しそうに眉を下げて泣いていた。
隣にいたエリカは、その言葉を伝えた私に優しい微笑みで「有難う。」と言った。
エリカから聞いたサフィールの人生を思うと胸が痛んだ。
そんな彼を救ったのは、エリカと、アルベルトの存在だったと聞いて胸が一杯になった。
父と母の軌跡の物語は、こんなにも広く深く、この世界の人々に大きな影響を齎していた
ことに、驚いたのだった。
「・・・どうした?やはり、家族が恋しいか?」
アルベルトが、心配そうに私をブルーサファイアのような瞳で見下ろしていた。
「違いますよ・・。嬉しかっただけです!!
父と母が、この世界でとても愛されていることを知れて・・。」
「そうか・・。なら、いい。私は幼少からアルベルト王子や、エリカの話を聞いて育った。
理想の二人だった・・。そんな運命の出会いが羨ましく思った。
子供の頃は、同じ名前のアルベルト王子によく嫉妬したものだったよ。」
思い出すように、天を仰いだアルベルトの横顔を見た私は何故か口から素直じゃない言葉が零れた。
「可愛いらしいですね・・。今もその位、素直で可愛い殿下だったら良かったのに・・。」
「一言多いぞ・・。僕だってあのエリカの娘が、大食いで、
騎士達を寝込ませる程のお転婆なご令嬢だったなんて正直、・・がっかりしたけどな!!」
「あははは・・。完璧な王子と呼ばれている貴方が、腹黒似非王子だと知ったら・・。
この世界のご令嬢たちはショックすぎて、卒倒してしまうんじゃないんですか!?
私の世界なら、詐欺罪で捕まりそうなものですけど!!」
横の席で睨み合った私たちは、お互い思い切りそっぽを向いた。
「「・・フンッ!!」」
私は、サラダが盛られた料理の皿へとフォークをグサッと深く突き刺した。
アルベルトは、メインディッシュにナイフを落として美しい所作で食事を続けた。
「本当に素直じゃないよな・・。二人とも・・・。」
クレイドルは、苦笑いを浮かべてそんな2人の様子に肩を震わせていた。
お父様も素敵なのよ?・・・お似合いの2人なの!!
素直で、自分に正直なお二人はいつも幸せそうに笑っていたわ。」
その言葉に、サフィールと、エリカは嬉しそうに微笑んだ。
数日前、サフィールと父の最期の時の話を聞いた私は、
涙ながらに謝罪した彼に微笑んだのだった。
イギリスに住んでいた頃、家の近くで父と真っ青に広がる空を見上げていた。
父の瞳と同じ、空色・・・。
私の大好きな青空。
「父は、大切な人に苦しい役割を背負わせてしまった・・。その人が今、幸せでいるのか
いつもふと不安になってしまう。
同じ空の下で、僕の残した言葉を聞いた彼が、どうか笑ってくれているといい。
彼は、本当は誰よりも、幸せになるべき人だから・・・。」
いつか、父が空を見上げながら呟いた言葉を思い出した。
あの言葉は、サフィールを思って呟いた言葉だったのだと思った。
いつか聞いた、その言葉を思い出してサフィールに伝えた。
金色の美しい琥珀のような瞳から涙が溢れて、苦しそうに眉を下げて泣いていた。
隣にいたエリカは、その言葉を伝えた私に優しい微笑みで「有難う。」と言った。
エリカから聞いたサフィールの人生を思うと胸が痛んだ。
そんな彼を救ったのは、エリカと、アルベルトの存在だったと聞いて胸が一杯になった。
父と母の軌跡の物語は、こんなにも広く深く、この世界の人々に大きな影響を齎していた
ことに、驚いたのだった。
「・・・どうした?やはり、家族が恋しいか?」
アルベルトが、心配そうに私をブルーサファイアのような瞳で見下ろしていた。
「違いますよ・・。嬉しかっただけです!!
父と母が、この世界でとても愛されていることを知れて・・。」
「そうか・・。なら、いい。私は幼少からアルベルト王子や、エリカの話を聞いて育った。
理想の二人だった・・。そんな運命の出会いが羨ましく思った。
子供の頃は、同じ名前のアルベルト王子によく嫉妬したものだったよ。」
思い出すように、天を仰いだアルベルトの横顔を見た私は何故か口から素直じゃない言葉が零れた。
「可愛いらしいですね・・。今もその位、素直で可愛い殿下だったら良かったのに・・。」
「一言多いぞ・・。僕だってあのエリカの娘が、大食いで、
騎士達を寝込ませる程のお転婆なご令嬢だったなんて正直、・・がっかりしたけどな!!」
「あははは・・。完璧な王子と呼ばれている貴方が、腹黒似非王子だと知ったら・・。
この世界のご令嬢たちはショックすぎて、卒倒してしまうんじゃないんですか!?
私の世界なら、詐欺罪で捕まりそうなものですけど!!」
横の席で睨み合った私たちは、お互い思い切りそっぽを向いた。
「「・・フンッ!!」」
私は、サラダが盛られた料理の皿へとフォークをグサッと深く突き刺した。
アルベルトは、メインディッシュにナイフを落として美しい所作で食事を続けた。
「本当に素直じゃないよな・・。二人とも・・・。」
クレイドルは、苦笑いを浮かべてそんな2人の様子に肩を震わせていた。
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