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姉妹。

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光の球の中に重厚な武器が現れる。

エレンの目の前に、私がさっき手入れをしていたマシンガンだった。

・・アルテミスすごいな・・・。やっぱり偉大な神だった!!

最近の雑な言葉を反省・・!!


「え?これ・・・。」
エレンは泣いている顔で、慌てて武器を手にする。

「引き金を引いてエレン!!オーガが連れている敵の亡霊はその銃で撃てば
消滅できるの!!オーガは剣じゃないと駄目だけど・・。」

「エレン様、間違いや寂しさで周りが見えなくなる事は誰でもあります。
私もそうでした!!どうか、一人にならないでください。」

ロシナンテは、エレンに笑んだ。

「エレン、行こう!!お父様も待ってる・・!」

「アウリーテ・・・。ごめん・・ごめんなさい。私・・・。」

泣きながらこちらに抱き着いて来たエレンをしっかり抱きしめた。

先ほどの光に目を奪われ、目が開けないオーガを振り切り、
父であるフェルディナン王のいる王宮へと急いで戻った。

「・・・・エ、エレン!??お前、・・戻って来てくれたのか?」
エレンの姿を確認したフェルディナンは、驚いた顔でエレンを見つけて駆け付けて来た。

「お父様、ごめんなさい・・・。自分の弱さのせいで、皆を傷つけてしまいました。
謝って済む事じゃないのは分かっております。でも、どうか今はこの国のために
戦わせてください。」

アルテミスからもらった武器を装備したエレンを見て、父は涙を流し喜んでいた。

「お前に寂しい思いをさせていた事に気が付かなかった私が悪かった・・。
本当にすまない・・。もっとお前を大切にしなければならぬ・・。これからずっと!」

フェルディナン王は、エレンをしっかりと抱き寄せ共に涙を流した。

クラウスも笑顔で喜ぶ。

「アウネーテ、良かったね!
こちらも戦況はかなり攻勢だ。この武器で
殆どの敵兵・・亡霊は霧散させた!!後は・・・。」

「そうね、アスカロンを持ったオーガを倒すだけ・・ね。」

感動の再会の最中に、悍ましい声が王宮へと聞こえて来る。

「フェルデイナン!!!
14年前の決着を着けようぞ。私を追い出し、暗闇に住まわせた
この14年分の憎しみを食らえ!!!」

雷が落ちるような音が王宮に響き渡り、大地が大きく振動をする。

ガタガタと建物の中の壁や柱にヒビが走りだした。

「仕方ない、オーガとの決着を付けねばならぬな・・。表へと出る。」

「そんな・・・。お父様、ダメです!!
あっちは魔神を持っているのです、勝てる訳がないです!!」エレンは泣き叫ぶ。

「このまま、アクエリアを破壊しようと魔神を使えば・・。全てが消し飛ぶのだ。
いいか?!儂が外へ出たら、東の海藻の森から逃げるのだ・・。お前たちが生きていれば
きっとアクエリアはいつかまた蘇ることが出来る。
刺し違えても、オーガは止めてみせる。魔神具はまだこちらにもあるからな!」

「そうか、カラドボルト!!アスカロンの攻撃すら破る盾がございますね・・。
もしかしたら勝機はあるかもしれません!!」

ロシナンテは、ぱあっと明るい表情になる。

急いで皆を城から出す準備を始める。クラウスも、エレンも皆に退避準備を
促しに外へと向かう。

アスカロンを跳ね除ける盾・・・。
しかし、防御だけでは勝てない。

・・私は弓矢を持った。

「お父様、私も行きます。」

「何を??馬鹿なことを・・。お前にもしもの事があればクラウス様が悲しむぞ。」

「お父様、私、クラウス様の申し出をまだ受けてはおりません!」

「・・な・・なに??何故・・。お前、どう見ても・・・。」

フェルディナン王は、驚いた顔でこちらを見つめた。

「私はアクエリアの王女です。この国には泡エンド・・。
いや、納得出来る世界にするために来ました。
ここで、貴方が死ぬことは私は納得出来ません!!
私にはアルテミス様のご加護と、授けてくださった武器があります。
一緒に行きましょう!!」

金色の髪をふわりと輝き、海のようなアクアマリンの瞳がキラキラ煌く。

「お前は、本当にあいつに・・・そっくりじゃのう。」

嬉しそうに、父は笑った。

「必ず、お前は儂の前には死なさぬ!!勝つぞ、アウリーテ!!
お前の母を苦しめる毒を授けた、あの女だけは許せぬのだ。必ず葬る・・・!!」

王の威厳を見せる父、フェルディナンの後ろ姿は逞しく
頼りがいがある父であることが伺えた。

アウリーテ、アルテミス様・・。
どうか、アクエリアを守る力をください!!

フェルディナンと共に、アクエリアの防衛壁である膜のスレスレにまで急上昇する。

「来たか・・・。ほう、アウリーテを連れて来るとは!?
あははははは!!面白いのう。アウリーテはまるでドルテの生き写しの姫なのに・・。
また同じ姿を見たいのか?!」

「ドルテは儂を庇って毒を飲んだのじゃ・・。
人魚は人間の致死量程度では死なぬ。お前の知恵であのような毒を手に入れたのじゃろう・・。
カラムベルトじゃまずは考えられない!!」

「はははは!!そうだ!
カラムベルトは、銃を持ち込んだり、面白い武器を私に授けてくれて利用価値は高かった。

しかし、ドルテに恋をしてからは、もう愚かに成り下がり・・。お前を殺して自分の物に
しようと考えた・・・。馬鹿な男だった。

ドルテは別に魔神があるからお前を選んだ訳でもないのに・・。
それにも拘り、全部の世界を支配して、魔神を持てば心まで手に入れられると思うなど・・。
馬鹿馬鹿しかったよ!!
でも、そのお陰で、ドルテは私に落ちたのだ・・・。
さぁ、アウリーテ!!お前もこちらへ来い!!
・・・・・どちらの王子も選び放題だぞ。」


「そちらへ行かなければならぬのなら、どちらも要りません。」

キッパリと断ると、明らかにムッとしたオーガは、アスカロンを構えた。

父は、カラドボルトを呼び寄せ、手元に戻す。

・・・・良かった。皆、無事に避難出来たのだわ・・。

安心してオーガに向き直した途端、アスカロンが発動し、金色の雷のような光がこちらに向けられた。

「う・・ぐっ!!」

強力な光の閃光が放たれ目を開けているだけでもしんどい。

フェルディナンは咄嗟にカラドボルトで受け止めるも・・・ずずっと押しやられていく。
そう長くは持たない様子だった。

私は片目を瞑り、静かに弓を持って構えた。

ダイヤモンドの矢を構え・・・散弾連射でオーガの元へものすごい勢いで投射する。

ドシュ!!ドシュ!!!ドシュ!!!

矢が何かに刺さった音を確認し、顔を上げる。

アスカロンの重さを支えるだけで、精一杯だったオーガの体に全発命中した。

バシャン・・・。大きな水音と共にアスカロンが海の底の底・・。
アクエリアへと光り輝きながら沈んでいく。

首・胸・腕に刺さり、アスカロンを支えきれなくなったオーガはアスカロンを手放したのだった。

「アウリーテ・・。お前!?」驚いて父はこちらを見た。

鉄は魔術や、呪いに効く。
ダイアモンドは鋭利な鏃となり、どんな物でも貫く力のある矢。

私は咄嗟にそう考え、ダイアモンドを構えたのだった。

「おのれ・・おまえ・・アウリーテ!!!お前のせいで私はまたも・・・。
この世界の呪いは全てお前のせいだ!!
何故お前ばかり・・。ただの「人魚姫」、泡になって消えてしまえばいいものを!!!」

呪われたような・・皺がれた声で怒鳴りながら傷からは血が噴き出し、口からも血を吐く。
三か所が貫通し、姿勢を保つだけで精一杯なはずだ。

「お父様、・・・アスカロンを!!」

「ああ。分かった!!」海に潜り取りに行こうとした瞬間にオーガは胸に忍ばせた剣で
アウリーテに切りかかって来た。

「お前が邪魔なんだ!!死ねぇえぇ!!!!」

目の前にオーガが迫り、弓矢では咄嗟に対抗出来ない速度で襲い掛かられて
私は目を瞑る。

「・・・アウリーテ!!!危ない!!」

ドンッ。

いつまでも体を貫く痛みはなかった。
目を見開くと・・・。

一瞬私の目の前には、エレンの体があった。

「・・・エレン!!?」

「エレン?!どうして?」

オーガの体当たりを受けたままエレンは海面下へと落ちていく。

「エレン!!?どいてよオーガ・・!?・・・エレンを連れてかないで・・・!!」

全速力で追いかける。

アクエリアの王宮に、腹に短剣を受け静かに眠るエレンと、うつ伏せに横で息をしていないオーガを見つけ、
フェルディナンと真っ青な顔で急旋回をし向かった。

「エレン・・。エレン!!」

「お父様・・。ごめんなさい。アウレーテも、ごめんね・・。ロシナンテ様が好きだったの・・。
全部私の醜い嫉妬で・・あなたを苦しめてごめんね・・。姉と呼ばれて・・私の手を握ってくれて
愛しかった・・のよ。」

「エレン・・・。」涙がボロボロ零れてくる。

「アウリーテ・・気をつけ・・てね。アスカロン・・をオーガに・・渡したのは・・私じゃない・・。」

私とフェルディナンの目は大きく驚きに見開かれた。

「・・・えっ?!どういう・・エレン?!エレン・・!!」

「エレン!!ダメだ!!エレン・・・!!」

エレンは、目を閉じたまま眠るように息を引き取った。

静かな月が水面に映る。
揺れた月が泣いているようだった。

美しい眠り姫のように静かに目を閉じたエレンの姿に涙が止まらない・・。
私は彼女の気持ちが痛い程分かっていた。

皆がエレンを大切にしたい。心からそう思い、一緒に過ごす未来を想った。

エレンの気持ちに気づけなかったロシナンテや父や姉・・。クラウスも・・。
・・・皆が泣いていた。

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