18 / 48
月夜の抱擁。
しおりを挟む
「ロシナンテ・・・。何処へ行っていたのだ?」
尋常ではない、彼の様子から何かあったのではないかと不安だった。
「アウリーテ様と・・・お話しをして来ました。姫には身の危険が迫って
いる事も伝えましたが・・・。
真実を知りたいので、自分の目で人間を確かめるのだと仰っておりました。
私には、もう・・・どうにも出来ないのですね。」
「そうか・・・。アルテミス様のお考えがあっての今の出来事なのだ。
あの方は、アウリーテを通して、海の王国と、地上の王国を試しておる
ような気がする。どちらにしても、神のご意志なのじゃ・・。」
ロシナンテは、静かに黙って王宮を出ていく。
行く場所は一つ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私はあまりに衝撃な事を聞いた為、何も考えられずに海辺の丸太の上に座っていた。
夕焼けの赤い空は紺碧の海の色と同じように深い青に染まり、三日月が輝いていた。
海中都市「アクエリア」を出て、地上に戻ってから何時間が過ぎたのだろう・・・。
フィヨルド王子が私を殺した・・・。
そう青い髪の人魚が言っていた。
そしてその現場を見た・・と。
「一体どういう事なんだろう・・・。私は、何故殺されなければいけないの?
しかも、自分が泡にされる対象である王子に・・・。」
宙に浮いた言葉に、誰かの視線を感じ振り向く。
「フレイア、こんな所でどうしたの?」
満面の笑顔のフィヨルドがこちらに歩み寄って来る。
・・・・・怖い・・・。
今まで、よく相手の言葉を流して聞いてきたが、この男の笑顔の裏には
冷たい感情が見て取れるのだ。
「君は、クラウスを避けてここに居たの?エリーネも、クラウスもずっと探していたよ?
僕も心配で・・・。」
「フィヨルド様、・・・貴方は・・・私を・・殺したいですか?」
「・・・・フレイア?どうしたの??何故、そんな事を言うの?」
フィヨルドの顔が苦痛の表情で歪められる。
こちらに厳しい表情で近づいて来る。砂の音はザッザッと激しい靴音だけが
響き渡る。
フィヨルドは、私の顔の側まで顔を寄せ言った。
「君を殺したいと言ったら・・・死んでくれるの?私は、二度も君を殺したくないよ。
今度君が死ぬときは、私も一緒に行く・・・。クラウスになんか君に触れてほしくない!!」
・・・この人は一体さっきから・・何を・・・?!
私は本当にこの人に殺されたの?
何故だか、フィヨルドの瞳には殺意ではない、別の感情が宿っているように見える。
でも、そうだとすると・・・。
「フィヨルド様は・・、エリーネ姫に好意を寄せて・・・らしたんですよね・・??」
震える声で問う。
「そうだね。そうだった。 君は、人間になって私の前に現れてくれたけれど・・・。
私との約束は覚えていないようだね?」
「約束?・・・・私は・・・・。」フィヨルドが歩みる寄る度に、一歩ずつ後退していた私は何かにぶつかる。
ガッ。
後ろに下がって行きながら丸太の近くまで来ていた私は足を取られ、砂浜に頭から倒れた。
青い紺碧の海の色が目の前で激しく揺れていた。
丸太に頭を打ち、痛みに耐えていると
フィヨルドは、私に馬乗りになっていた。
月の金色の光が、彼の髪を美しく照らしていた。
私を抱きしめ「愛している・・・。」と呟いた。
目の前の事態が理解出来ない私を、夜の海のように切なそうな目で見る彼の姿に心が揺れた・・・。
尋常ではない、彼の様子から何かあったのではないかと不安だった。
「アウリーテ様と・・・お話しをして来ました。姫には身の危険が迫って
いる事も伝えましたが・・・。
真実を知りたいので、自分の目で人間を確かめるのだと仰っておりました。
私には、もう・・・どうにも出来ないのですね。」
「そうか・・・。アルテミス様のお考えがあっての今の出来事なのだ。
あの方は、アウリーテを通して、海の王国と、地上の王国を試しておる
ような気がする。どちらにしても、神のご意志なのじゃ・・。」
ロシナンテは、静かに黙って王宮を出ていく。
行く場所は一つ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私はあまりに衝撃な事を聞いた為、何も考えられずに海辺の丸太の上に座っていた。
夕焼けの赤い空は紺碧の海の色と同じように深い青に染まり、三日月が輝いていた。
海中都市「アクエリア」を出て、地上に戻ってから何時間が過ぎたのだろう・・・。
フィヨルド王子が私を殺した・・・。
そう青い髪の人魚が言っていた。
そしてその現場を見た・・と。
「一体どういう事なんだろう・・・。私は、何故殺されなければいけないの?
しかも、自分が泡にされる対象である王子に・・・。」
宙に浮いた言葉に、誰かの視線を感じ振り向く。
「フレイア、こんな所でどうしたの?」
満面の笑顔のフィヨルドがこちらに歩み寄って来る。
・・・・・怖い・・・。
今まで、よく相手の言葉を流して聞いてきたが、この男の笑顔の裏には
冷たい感情が見て取れるのだ。
「君は、クラウスを避けてここに居たの?エリーネも、クラウスもずっと探していたよ?
僕も心配で・・・。」
「フィヨルド様、・・・貴方は・・・私を・・殺したいですか?」
「・・・・フレイア?どうしたの??何故、そんな事を言うの?」
フィヨルドの顔が苦痛の表情で歪められる。
こちらに厳しい表情で近づいて来る。砂の音はザッザッと激しい靴音だけが
響き渡る。
フィヨルドは、私の顔の側まで顔を寄せ言った。
「君を殺したいと言ったら・・・死んでくれるの?私は、二度も君を殺したくないよ。
今度君が死ぬときは、私も一緒に行く・・・。クラウスになんか君に触れてほしくない!!」
・・・この人は一体さっきから・・何を・・・?!
私は本当にこの人に殺されたの?
何故だか、フィヨルドの瞳には殺意ではない、別の感情が宿っているように見える。
でも、そうだとすると・・・。
「フィヨルド様は・・、エリーネ姫に好意を寄せて・・・らしたんですよね・・??」
震える声で問う。
「そうだね。そうだった。 君は、人間になって私の前に現れてくれたけれど・・・。
私との約束は覚えていないようだね?」
「約束?・・・・私は・・・・。」フィヨルドが歩みる寄る度に、一歩ずつ後退していた私は何かにぶつかる。
ガッ。
後ろに下がって行きながら丸太の近くまで来ていた私は足を取られ、砂浜に頭から倒れた。
青い紺碧の海の色が目の前で激しく揺れていた。
丸太に頭を打ち、痛みに耐えていると
フィヨルドは、私に馬乗りになっていた。
月の金色の光が、彼の髪を美しく照らしていた。
私を抱きしめ「愛している・・・。」と呟いた。
目の前の事態が理解出来ない私を、夜の海のように切なそうな目で見る彼の姿に心が揺れた・・・。
0
お気に入りに追加
311
あなたにおすすめの小説
18禁の乙女ゲームの悪役令嬢~恋愛フラグより抱かれるフラグが上ってどう言うことなの?
KUMA
恋愛
※最初王子とのHAPPY ENDの予定でしたが義兄弟達との快楽ENDに変更しました。※
ある日前世の記憶があるローズマリアはここが異世界ではない姉の中毒症とも言える2次元乙女ゲームの世界だと気付く。
しかも18禁のかなり高い確率で、エッチなフラグがたつと姉から嫌って程聞かされていた。
でもローズマリアは安心していた、攻略キャラクターは皆ヒロインのマリアンヌと肉体関係になると。
ローズマリアは婚約解消しようと…だが前世のローズマリアは天然タラシ(本人知らない)
攻略キャラは婚約者の王子
宰相の息子(執事に変装)
義兄(再婚)二人の騎士
実の弟(新ルートキャラ)
姉は乙女ゲーム(18禁)そしてローズマリアはBL(18禁)が好き過ぎる腐女子の処女男の子と恋愛よりBLのエッチを見るのが好きだから。
正直あんまり覚えていない、ローズマリアは婚約者意外の攻略キャラは知らずそこまで警戒しずに接した所新ルートを発掘!(婚約の顔はかろうじて)
悪役令嬢淫乱ルートになるとは知らない…
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】悪役令嬢を犯して罪を償わせ性奴隷にしたが、それは冤罪でヒロインが黒幕なので犯して改心させることにした。
白濁壺
恋愛
悪役令嬢であるベラロルカの数々の悪行の罪を償わせようとロミリオは単身公爵家にむかう。警備の目を潜り抜け、寝室に入ったロミリオはベラロルカを犯すが……。
騎士団長の欲望に今日も犯される
シェルビビ
恋愛
ロレッタは小さい時から前世の記憶がある。元々伯爵令嬢だったが両親が投資話で大失敗し、没落してしまったため今は平民。前世の知識を使ってお金持ちになった結果、一家離散してしまったため前世の知識を使うことをしないと決意した。
就職先は騎士団内の治癒師でいい環境だったが、ルキウスが男に襲われそうになっている時に助けた結果纏わりつかれてうんざりする日々。
ある日、お地蔵様にお願いをした結果ルキウスが全裸に見えてしまった。
しかし、二日目にルキウスが分身して周囲から見えない分身にエッチな事をされる日々が始まった。
無視すればいつかは収まると思っていたが、分身は見えていないと分かると行動が大胆になっていく。
文章を付け足しています。すいません
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】いてもいなくてもいい妻のようですので 妻の座を返上いたします!
ユユ
恋愛
夫とは卒業と同時に婚姻、
1年以内に妊娠そして出産。
跡継ぎを産んで女主人以上の
役割を果たしていたし、
円満だと思っていた。
夫の本音を聞くまでは。
そして息子が他人に思えた。
いてもいなくてもいい存在?萎んだ花?
分かりました。どうぞ若い妻をお迎えください。
* 作り話です
* 完結保証付き
* 暇つぶしにどうぞ
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる