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第12話 試合開始
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闘技場につくと、そこには数人の生徒がすでにいた。
「毎年のことだが今年もすでに何人か来てるな~」
「そうなんですか?」
「去年もはやくから何人かいたんだ」
「やる気のある人が多いんですね」
「それもあるけど皆緊張している生徒ばかりだよ」
バジル先輩に言われ表情をみてみると確かにすでに来ている一年生と思われる生徒たちの表情は険しいものだった。
「あら~バジル君、君の隣にいるのは噂の生徒会の新人さんかしら?」
突然俺たちはゆったりとした口調で話しかけられた。
「オルティア先輩、驚かさないでください」
「そんなつもりはなかったのだけれど、驚かせてしまったならごめんね~。それで、そっちの子は新人さんかしら?」
「そうですよ。新しく会計補佐になったラフォス君です」
話しかけられたほうを見るとそこには一人の女子生徒がいてバジル先輩が俺を紹介すると嬉しそうな表情になった。
「あの~そちらのかたはどちら様ですか?」
訳がわからず恐る恐る俺がたずねるとバジル先輩がハッとした表情をして答えてくれた。
「すまないラフォス君。オルティア先輩が来て驚いてしまってな。こちらは保健委員長のオルティア先輩だ。」
「保健委員長?」
「そうだよ~。私は保健委員会の委員長のオルティアです。よろしくね~。ラフォス君」
「よろしくお願いします。あのバジル先輩、委員会というのは…」
「そういえばラフォス君にはまだ教えていなかったね。委員会というのはこの学校において生徒会と同程度の権限がある『委員総連』の組織の一つだよ。そのなかでもオルティア先輩が所属する保健委員会は主に生徒たちの治療や衛生管理を担当している委員会なんだ」
「そう。私の所属する保健委員会は生徒の健康を第一に考える委員会なの。その特性上、回復魔法を得意とする生徒が集まる委員会でもあるのよ~。私も回復魔法が得意だけどね~。それでね~ラフォス君、君の得意魔法は水属性と光属性の魔法が得意って聞いたんだけど回復魔法は使えるの~?」
「はい。回復魔法も中級の魔法までなら使えます」
「あら~それならちょうど良いわ~。ねえラフォス君、あなたさえ良ければ「ちょっと待ってください」」
いきなりバジル先輩がオルティア先輩の言葉を遮ったのだった。
俺は驚いてバジル先輩のほうを見るとそこには慌てた様子のバジル先輩がいた。
「ラフォス君は生徒会の一員です。引き抜きはやめてください」
「あらあら~そんなに怒らなくても良いでしょ~。それにこれは勧誘よ。あなたに止める権利はないと思うんだけど~」
「確かに止める権利はありませんが、ラフォス君は会計補佐、直接関わりがある後輩です。ましてやまだ学校にすら馴れていない状況なんですからいきなり勧誘されても困ります」
「それもそうね~。でも一年生の魔武大会が終わったらすぐに他の委員会や部活も勧誘を始めるわよ~。そうなったらもっと大変になると思うわよ~。まあ今は諦めるけどまた勧誘はするからね~。あと、呪属性の魔法を習いたくなったら教えてあげるから気が向いたらきてね~。あと、私は今回ここの担当だから二人ともよろしくね~」
そう言って手を降りながらオルティア先輩は闘技場の中に入っていった。
「のんびりとした方でしたね。それにしてもここの担当ってどういうことなんですか?」
「それはな、この魔武大会中はトラブルが発生することが多いんだ。だからそのために保健委員会と問題が発生したときに問題を起こした生徒を取り締まる風紀委員会、そして大会中にアナウンスを行う情報委員会がそれぞれ数人ずつ各会場に配置されるんだ」
「そうなんですか。風紀委員会と情報委員会はどのような委員会なんですか?」
「風紀委員会は完全な武闘派集団だ。身体強化系の魔法を得意とし、今回みたいな警備を必要とする際には武器の携帯も許可されているんだ。卒業後には騎士として働く生徒が多い委員会でもある。情報委員会は今回みたいな行事のアナウンスや校内の情報を新聞として発行したりしている。情報委員は隠密系の魔法や音系の魔法を得意としているんだ。特に情報委員長は三年生の12階聖の一人でな、情報収集能力はもちろん、戦闘能力も高いことで有名だ。だから敵に回したくない生徒として有名なんだ」
「その言い方はひどいんじゃなねぇか」
バジル先輩から委員会について教えてもらっているといきなり後ろから声をかけられた。
「ミスティア先輩!すでに闘技場の中にいらっしゃったんですか」
どうやらミスティア先輩というらしい男子生徒は面白いものを見つけたような表情をしてこちらを見ていた。
「おう。早く準備しておけばすぐに仕事ができるからな。ところでバジル、お前面白そうな話してたじゃないか。俺もまぜてくれよ。俺がなんだって」
「いや先輩のことなんて何も言ってませんよ」
バジル先輩はかなりしどろもどろになりながら受け答えをしている。
「まあいいか。で、そっちのやつは誰だ?」
ミスティア先輩が話を移したことで明らかにほっとしたバジル先輩は表情をもとに戻すと質問に答えだした。
「彼は新しく会計補佐についたラフォス君ですよ」
「ラフォスです。よろしくお願いします」
「ほお~お前が委員総連で噂になっていたラフォスか。っても俺はお前のことを知っていたがな」
「知っていたなら質問されなくてもわかったじゃないですか」
「いいじゃねぇか。別に困ることでもないわけだし」
「それはそうですけど。それでラフォス君が噂になっていたとはどういうことですか?」
バジル先輩がたずねるとミスティア先輩は当然だという表情をして答えた。
「当たり前だろ。入学してこんなに早く補佐とはいえ、生徒会入りしたってことは今の会長のシルビアと同じ事をやってのけたということだからな。ただしシルビアは補佐じゃなく正規の役員だったが今回は補佐役員だからどこの委員会も相性さえ良ければ自分の委員会にいれるつもりなんだよ」
「やめてください。ラフォス君は生徒会の一員ですよ」
「確かにそうだ。そして俺たち委員総連と生徒会は仲が悪いわけではないが、決して良いわけでもないからな。だが、前例がないわけでもないわけじゃない。我が情報委員会の記録によれば十六年前にある生徒が実際に生徒会組織と委員総連を掛け持ちしていたって記録もあるしな。それでどうだラフォス君、君さえ良ければ情報委員会に入らないか?」
何故か本人そっちのけで勝手に話が進んでいるようだが、まず俺はどうしても質問したいことが一つあったので質問した。
「あの、すみません。ミスティア先輩はいったい…」
「あ~悪いな。自己紹介がまだだったな。俺は三年のミスティアだ。情報委員会の委員長をしているんだ。よろしくね」
「ミスティア先輩は情報委員長という立場上、隠密系の魔法と音系の魔法も得意なんだ」
「確かにそうだが、俺は闇属性や火属性が得意だし、さらにいえば剣のほうが得意なんだかな。そういえばラフォスも闇属性が得意だよな。なんだったら教えてやろうか?」
「それはありがたいのですが、なぜミスティア先輩が俺が闇属性を得意だと知っているんですか?」
確かに俺は闇属性も得意魔法ではあるが、闇属性が得意であることはこの学校に来てからはまだ数人にしか話しておらず、また光属性や氷属性を中心に魔法を使っていたので闇属性が得意であると知られているとは思わなかったためかなり驚かされた。
「情報委員会は情報を集めるのが得意な委員会でもあるんだよ」
そう言ってミスティア先輩は闘技場に入っていった。
「さて、ラフォス君そろそろ受付の仕事をやりにいこうか」
バジル先輩に闘技場の受付まで案内された。
「ラフォス君の選手登録をやりながら受付のやりかたを教えるから覚えてくれ」
「わかりました」
「まず、選手が来たらこの名簿にある名前と照らし合わせて見つけたら用紙にチェックをつけていくんだ」
そう言ってバジル先輩は生徒の名前の書かれた紙を取り出して、ラフォスと書かれている部分にチェックを着けた。
「次にこの選手登録用紙に名前と使用する武器を記入してもらう。ちなみに武器は防具も含めて二つまでになっているから気を付けるように伝えるんだ」
「これで問題ないですか?」
バジル先輩に言われた通りに用紙に記入し終えると確認の意味も込めて渡した。
「ラフォス君は剣とこれは十手?を使うのか?」
「そうですよ。剣は普通のものですけど、十手は実家にあるものをモチーフに作ったものなんですよ。だから少し細工もしてあります」
「そうなのか。見たことない武器だし、実際に闘っているとこれをみるのは楽しみだな。それじゃあ受付の仕事に戻るがわからないところはないか?」
「問題ないです」
説明を終えると俺たちは仕事に移った。
まずはすでに闘技場に来ている選手の登録を行っていった。
それと同時平行で次々にやってくる選手の登録を行っていった。
「お、ラフォスだ。なんでお前そんなとこにいるんだ?」
「レイ、これは生徒会の仕事で俺は生徒会の補佐役員でもあるからだよ」
「そうなのか。大変だな」
「レイはこの闘技場で試合をするの?」
「そうだ。もしかするとラフォスとも闘うかもな」
「そのときはよろしくね。それで出場選手の登録をしに来たんじゃないの?」
「あ、そうだった。えっと生徒会役員に頼めばいいんだよな。ってラフォスも役員だったよな。お願いできるか?」
「問題ないよ。今、名簿にチェックをするからちょっと待ってね。チェックは終わったからこの用紙に必要事項を書いてくれない」
「わかった。この用紙に書けばいいんだな」
レイは用紙を書き終えると確認してから俺に渡した。
「これで良いか?」
「問題ないよ。じゃあ試合頑張ろうな」
「おう。お互いにな」
レイが闘技場に入っていったあと、バジル先輩がこの闘技場、最後の選手の登録を終えたところだった。
「それじゃあ登録も終わったし、中に入るぞ」
「わかりました。俺は選手の控え室に行けば良いんですよね」
「そうだ。部屋を間違わないようにな」
俺が控え室に着くとほぼ同時に大会のアナウンスが流れ始めた。
「さぁお前ら今年もこの時期がやって来たぞ!これより学年別魔武大会一年生本選を開始する。この第三闘技場のアナウンスを担当する情報委員会委員長ミスティアだ。よろしくな!まず、大会のルールを説明する。この大会はトーナメント方式で行われ各会場ベスト4が決まり次第第一闘技場で決勝トーナメントが行われる。出場する選手は12階聖と昨日の予選を勝ち上がった一年生だ。試合は闘技場に張られた結界の中で一対一で行われ、どちらかの選手がリタイアか魔道具によって結界の外に出された時点で試合終了だ。選手は試合前に身代わりの魔道具が渡されるから着け忘れないようにしろよ。使用可能な武器は事前に申請したもののみとする。ただし学校から借りる生徒は試合前にきちんと借りておけよ。ちなみに身代わりの魔道具は痛みはなくならないから注意しておくようにな。それじゃあ第一試合を開始する。選手の生徒が入場だ~!」
ミスティア先輩のアナウンスが終了すると同時に二人の生徒が闘技場の中央に現れた。
「雷属性の使い手、その斧から振るわれる一撃が相手を沈めるか~アルキス。対するは12階聖第七聖にして光属性の使い手、さらには十手の使い手でもある、ラフォス~」
第一試合は俺が出場する試合だったんだ。
しかも控え室についたらすぐに呼ばれたから控え室に入ることすらできなかったりもする。
「両者準備は良いか?それでは試合開始!」
ミスティア先輩の合図とともに俺は『身体強化』を発動させてアルキスに斬りかかるが斧で防がれた。
しかしその斬撃とほぼ同時に放った『ライトニングブレス』の下位互換である光属性中級魔法『ライトブレス』を放ったところそれが直撃してしまいアルキスはそのまま場外に送られたのだった。
「瞬殺だ~。12階聖第七聖ラフォス、第一試合からいきなり瞬殺で試合を終えた~」
観客が盛り上がる中、次の試合のアナウンスを聴きながら俺はそのまま控え室に戻っていった。
「毎年のことだが今年もすでに何人か来てるな~」
「そうなんですか?」
「去年もはやくから何人かいたんだ」
「やる気のある人が多いんですね」
「それもあるけど皆緊張している生徒ばかりだよ」
バジル先輩に言われ表情をみてみると確かにすでに来ている一年生と思われる生徒たちの表情は険しいものだった。
「あら~バジル君、君の隣にいるのは噂の生徒会の新人さんかしら?」
突然俺たちはゆったりとした口調で話しかけられた。
「オルティア先輩、驚かさないでください」
「そんなつもりはなかったのだけれど、驚かせてしまったならごめんね~。それで、そっちの子は新人さんかしら?」
「そうですよ。新しく会計補佐になったラフォス君です」
話しかけられたほうを見るとそこには一人の女子生徒がいてバジル先輩が俺を紹介すると嬉しそうな表情になった。
「あの~そちらのかたはどちら様ですか?」
訳がわからず恐る恐る俺がたずねるとバジル先輩がハッとした表情をして答えてくれた。
「すまないラフォス君。オルティア先輩が来て驚いてしまってな。こちらは保健委員長のオルティア先輩だ。」
「保健委員長?」
「そうだよ~。私は保健委員会の委員長のオルティアです。よろしくね~。ラフォス君」
「よろしくお願いします。あのバジル先輩、委員会というのは…」
「そういえばラフォス君にはまだ教えていなかったね。委員会というのはこの学校において生徒会と同程度の権限がある『委員総連』の組織の一つだよ。そのなかでもオルティア先輩が所属する保健委員会は主に生徒たちの治療や衛生管理を担当している委員会なんだ」
「そう。私の所属する保健委員会は生徒の健康を第一に考える委員会なの。その特性上、回復魔法を得意とする生徒が集まる委員会でもあるのよ~。私も回復魔法が得意だけどね~。それでね~ラフォス君、君の得意魔法は水属性と光属性の魔法が得意って聞いたんだけど回復魔法は使えるの~?」
「はい。回復魔法も中級の魔法までなら使えます」
「あら~それならちょうど良いわ~。ねえラフォス君、あなたさえ良ければ「ちょっと待ってください」」
いきなりバジル先輩がオルティア先輩の言葉を遮ったのだった。
俺は驚いてバジル先輩のほうを見るとそこには慌てた様子のバジル先輩がいた。
「ラフォス君は生徒会の一員です。引き抜きはやめてください」
「あらあら~そんなに怒らなくても良いでしょ~。それにこれは勧誘よ。あなたに止める権利はないと思うんだけど~」
「確かに止める権利はありませんが、ラフォス君は会計補佐、直接関わりがある後輩です。ましてやまだ学校にすら馴れていない状況なんですからいきなり勧誘されても困ります」
「それもそうね~。でも一年生の魔武大会が終わったらすぐに他の委員会や部活も勧誘を始めるわよ~。そうなったらもっと大変になると思うわよ~。まあ今は諦めるけどまた勧誘はするからね~。あと、呪属性の魔法を習いたくなったら教えてあげるから気が向いたらきてね~。あと、私は今回ここの担当だから二人ともよろしくね~」
そう言って手を降りながらオルティア先輩は闘技場の中に入っていった。
「のんびりとした方でしたね。それにしてもここの担当ってどういうことなんですか?」
「それはな、この魔武大会中はトラブルが発生することが多いんだ。だからそのために保健委員会と問題が発生したときに問題を起こした生徒を取り締まる風紀委員会、そして大会中にアナウンスを行う情報委員会がそれぞれ数人ずつ各会場に配置されるんだ」
「そうなんですか。風紀委員会と情報委員会はどのような委員会なんですか?」
「風紀委員会は完全な武闘派集団だ。身体強化系の魔法を得意とし、今回みたいな警備を必要とする際には武器の携帯も許可されているんだ。卒業後には騎士として働く生徒が多い委員会でもある。情報委員会は今回みたいな行事のアナウンスや校内の情報を新聞として発行したりしている。情報委員は隠密系の魔法や音系の魔法を得意としているんだ。特に情報委員長は三年生の12階聖の一人でな、情報収集能力はもちろん、戦闘能力も高いことで有名だ。だから敵に回したくない生徒として有名なんだ」
「その言い方はひどいんじゃなねぇか」
バジル先輩から委員会について教えてもらっているといきなり後ろから声をかけられた。
「ミスティア先輩!すでに闘技場の中にいらっしゃったんですか」
どうやらミスティア先輩というらしい男子生徒は面白いものを見つけたような表情をしてこちらを見ていた。
「おう。早く準備しておけばすぐに仕事ができるからな。ところでバジル、お前面白そうな話してたじゃないか。俺もまぜてくれよ。俺がなんだって」
「いや先輩のことなんて何も言ってませんよ」
バジル先輩はかなりしどろもどろになりながら受け答えをしている。
「まあいいか。で、そっちのやつは誰だ?」
ミスティア先輩が話を移したことで明らかにほっとしたバジル先輩は表情をもとに戻すと質問に答えだした。
「彼は新しく会計補佐についたラフォス君ですよ」
「ラフォスです。よろしくお願いします」
「ほお~お前が委員総連で噂になっていたラフォスか。っても俺はお前のことを知っていたがな」
「知っていたなら質問されなくてもわかったじゃないですか」
「いいじゃねぇか。別に困ることでもないわけだし」
「それはそうですけど。それでラフォス君が噂になっていたとはどういうことですか?」
バジル先輩がたずねるとミスティア先輩は当然だという表情をして答えた。
「当たり前だろ。入学してこんなに早く補佐とはいえ、生徒会入りしたってことは今の会長のシルビアと同じ事をやってのけたということだからな。ただしシルビアは補佐じゃなく正規の役員だったが今回は補佐役員だからどこの委員会も相性さえ良ければ自分の委員会にいれるつもりなんだよ」
「やめてください。ラフォス君は生徒会の一員ですよ」
「確かにそうだ。そして俺たち委員総連と生徒会は仲が悪いわけではないが、決して良いわけでもないからな。だが、前例がないわけでもないわけじゃない。我が情報委員会の記録によれば十六年前にある生徒が実際に生徒会組織と委員総連を掛け持ちしていたって記録もあるしな。それでどうだラフォス君、君さえ良ければ情報委員会に入らないか?」
何故か本人そっちのけで勝手に話が進んでいるようだが、まず俺はどうしても質問したいことが一つあったので質問した。
「あの、すみません。ミスティア先輩はいったい…」
「あ~悪いな。自己紹介がまだだったな。俺は三年のミスティアだ。情報委員会の委員長をしているんだ。よろしくね」
「ミスティア先輩は情報委員長という立場上、隠密系の魔法と音系の魔法も得意なんだ」
「確かにそうだが、俺は闇属性や火属性が得意だし、さらにいえば剣のほうが得意なんだかな。そういえばラフォスも闇属性が得意だよな。なんだったら教えてやろうか?」
「それはありがたいのですが、なぜミスティア先輩が俺が闇属性を得意だと知っているんですか?」
確かに俺は闇属性も得意魔法ではあるが、闇属性が得意であることはこの学校に来てからはまだ数人にしか話しておらず、また光属性や氷属性を中心に魔法を使っていたので闇属性が得意であると知られているとは思わなかったためかなり驚かされた。
「情報委員会は情報を集めるのが得意な委員会でもあるんだよ」
そう言ってミスティア先輩は闘技場に入っていった。
「さて、ラフォス君そろそろ受付の仕事をやりにいこうか」
バジル先輩に闘技場の受付まで案内された。
「ラフォス君の選手登録をやりながら受付のやりかたを教えるから覚えてくれ」
「わかりました」
「まず、選手が来たらこの名簿にある名前と照らし合わせて見つけたら用紙にチェックをつけていくんだ」
そう言ってバジル先輩は生徒の名前の書かれた紙を取り出して、ラフォスと書かれている部分にチェックを着けた。
「次にこの選手登録用紙に名前と使用する武器を記入してもらう。ちなみに武器は防具も含めて二つまでになっているから気を付けるように伝えるんだ」
「これで問題ないですか?」
バジル先輩に言われた通りに用紙に記入し終えると確認の意味も込めて渡した。
「ラフォス君は剣とこれは十手?を使うのか?」
「そうですよ。剣は普通のものですけど、十手は実家にあるものをモチーフに作ったものなんですよ。だから少し細工もしてあります」
「そうなのか。見たことない武器だし、実際に闘っているとこれをみるのは楽しみだな。それじゃあ受付の仕事に戻るがわからないところはないか?」
「問題ないです」
説明を終えると俺たちは仕事に移った。
まずはすでに闘技場に来ている選手の登録を行っていった。
それと同時平行で次々にやってくる選手の登録を行っていった。
「お、ラフォスだ。なんでお前そんなとこにいるんだ?」
「レイ、これは生徒会の仕事で俺は生徒会の補佐役員でもあるからだよ」
「そうなのか。大変だな」
「レイはこの闘技場で試合をするの?」
「そうだ。もしかするとラフォスとも闘うかもな」
「そのときはよろしくね。それで出場選手の登録をしに来たんじゃないの?」
「あ、そうだった。えっと生徒会役員に頼めばいいんだよな。ってラフォスも役員だったよな。お願いできるか?」
「問題ないよ。今、名簿にチェックをするからちょっと待ってね。チェックは終わったからこの用紙に必要事項を書いてくれない」
「わかった。この用紙に書けばいいんだな」
レイは用紙を書き終えると確認してから俺に渡した。
「これで良いか?」
「問題ないよ。じゃあ試合頑張ろうな」
「おう。お互いにな」
レイが闘技場に入っていったあと、バジル先輩がこの闘技場、最後の選手の登録を終えたところだった。
「それじゃあ登録も終わったし、中に入るぞ」
「わかりました。俺は選手の控え室に行けば良いんですよね」
「そうだ。部屋を間違わないようにな」
俺が控え室に着くとほぼ同時に大会のアナウンスが流れ始めた。
「さぁお前ら今年もこの時期がやって来たぞ!これより学年別魔武大会一年生本選を開始する。この第三闘技場のアナウンスを担当する情報委員会委員長ミスティアだ。よろしくな!まず、大会のルールを説明する。この大会はトーナメント方式で行われ各会場ベスト4が決まり次第第一闘技場で決勝トーナメントが行われる。出場する選手は12階聖と昨日の予選を勝ち上がった一年生だ。試合は闘技場に張られた結界の中で一対一で行われ、どちらかの選手がリタイアか魔道具によって結界の外に出された時点で試合終了だ。選手は試合前に身代わりの魔道具が渡されるから着け忘れないようにしろよ。使用可能な武器は事前に申請したもののみとする。ただし学校から借りる生徒は試合前にきちんと借りておけよ。ちなみに身代わりの魔道具は痛みはなくならないから注意しておくようにな。それじゃあ第一試合を開始する。選手の生徒が入場だ~!」
ミスティア先輩のアナウンスが終了すると同時に二人の生徒が闘技場の中央に現れた。
「雷属性の使い手、その斧から振るわれる一撃が相手を沈めるか~アルキス。対するは12階聖第七聖にして光属性の使い手、さらには十手の使い手でもある、ラフォス~」
第一試合は俺が出場する試合だったんだ。
しかも控え室についたらすぐに呼ばれたから控え室に入ることすらできなかったりもする。
「両者準備は良いか?それでは試合開始!」
ミスティア先輩の合図とともに俺は『身体強化』を発動させてアルキスに斬りかかるが斧で防がれた。
しかしその斬撃とほぼ同時に放った『ライトニングブレス』の下位互換である光属性中級魔法『ライトブレス』を放ったところそれが直撃してしまいアルキスはそのまま場外に送られたのだった。
「瞬殺だ~。12階聖第七聖ラフォス、第一試合からいきなり瞬殺で試合を終えた~」
観客が盛り上がる中、次の試合のアナウンスを聴きながら俺はそのまま控え室に戻っていった。
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