110 / 135
2章 魔法使いとストッカー
45 ピンクちゃん再び
しおりを挟む
お兄様とロダンと夏休みでの私の過ごし方を話し合った。まさか例の人、ロッド先生がこんな辺境まで来ないだろうけど。念には念を!
と言うことで、領内では基本自由だが、部屋の外へ一歩でも出る際は護衛を必ず2人付けることになった。
「お兄様、私、やりたい事がたくさんあります! 魔法を使えるようになったので、まずは道路を整備したいのです!」
「道路? 他領への道の事か?」
「違います。馬車が通るような道ではなく、主に領民が使う道です」
「村と城下町を結ぶアレか……しかし必要か? 結構な距離があるが? どう整備するんだ? 今は作業員を雇う余裕はないぞ?」
えっへんと胸を張りながらずっと思っていた内容をレクチャーする。
「まずですね、私の魔力量を思い出して下さい。プラス家魔法の土魔法です!」
「はぁー? まさかとは思うがジェシーがするのか?」
「もちのろんです!」
お兄様とロダンは顔を見合わせて困り顔だ。
「いや~、出来ないことはないだろうが…… 何でそれをする必要が? つい最近魔力欠乏症で倒れたのを忘れたのか」
「ふっふっふっ。お兄様、心配には及びません。私は領民が使う道をきれいにならして、スルーボードを普及させたいのです!」
「あのおもちゃの乗り物か? おもちゃの為にやり過ぎじゃないか?」
「いえいえ。スルーボードが普及すれば村と城下町への行き来がとても楽になります。領民には必須です」
「……」
お兄様は眉間に皺を寄せて考えている。黙って聞いていたロダンが口を開く。
「お嬢様、具体的な計画書はあるんでしょうか? ご主人様、私はそれ次第と考えます」
「ロダン! お前まで!」
「ご主人様、よく考察なさって下さい。現在、領民は領の事業を担っています。作業員が効率よく動くのであれば領にとっては必要と言えるでしょう」
「う~ん。でもなぁ……本当に魔力は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。土をならすだけだもの。もし、一度に魔力が結構いるなら少しずつ道路整備すればいいんだし。夏はまだ始まったばかりよ?」
「……わかった。ロダンに計画書を渡すように」
「やった~!!!!」
むふふ、これでスルーボードでスイスイ出来る! ツーリングまでは行かないけど気分転換にお散歩できるぞ!
「まずやりたい事が道路整備とは……お前大丈夫か? 本当に年頃の女子だよな?」
「失礼な! ちゃんと女子です~だ!」
「あははは。ごめんごめん。では、本題だ。ロダン?」
ロダンは入り口の騎士に合図を送り、両手を後ろにし下を向いた少女を招き入れる。
「……」
アレってピンクちゃんだねぇ。う~ん。
「お嬢様、ルーベン様の案件です」
ロダンはピンクちゃんの斜め前で警戒しながら立つ。お兄様は『ふ~』と息を吐いてから立ち上がった。
「オーロラ、私はロンテーヌ領の領主のカイデールだ。この度、第一王子様よりそなたの身柄を引き継いだ。そして、今後だが我々の監視下に置かれることは承知しているな? あと、お前にはもう一人の主人がいる。私の妹のジェシカだ」
オーロラことピンクちゃんは鬱陶しそうに顔を上げると私を見た。
「あ、あんた!」
「勝手に話すな!」
ガシッと後ろ手を持っていた騎士がピンクちゃんの膝をつかせ抑え込んだ。
「お前はもう平民だ。私達と許可なく話すことは許されない」
「クッ……」
し~んとなった部屋に微妙な空気が流れる。
「お、お兄様。まぁまぁ。私が話しても?」
「ん? あぁ」
「お久しぶりね、オーロラさん」
ピンクちゃんはギラっと私を睨んで下唇を噛んでいる。
「なぜ怒っているかはわからないけど、今のあなたの状況はわかってるのかしら?」
ん? と尋ねるが話さない。あっ。
「話してもいいわよ。どうぞ」
すぐさま噛みついてくるかと思いきや、目を一度とじ落ち着いてから話し出した。
「わかってるわ。私は失敗して平民に落とされた。しかも魔法も封じられて、この先一生魔法が使えない。いろんな修道院をたらい回しにされて、どこにも行くあてがない。死んだも同然よ、こんな世界……どん底」
「……そこまでではないわ。もっと悲惨な人は五万といるわよ? 日本が平和すぎたせいもあるでしょうけど、あなたはこの世界でもまだマシな方よ?」
「マシって……私は前世でもどん底だったんだよ! 働かない、育児しないシンママの長女で、学校にも行かず年誤魔化して働いて、2人の弟の世話してたんだ! やっと幸せになると思っていたのに……ゲームの世界のように……しんどい毎日から抜け出したのに……」
「そう……苦労したのね。よく頑張ったわ。でもね、生まれ変わったから、しかもゲームの世界だからと好き勝手はよろしくなかったわ。それは、今ではわかるわよね?」
ピンクちゃんは渋々ながらも『うん』と頷いた。
「よかったわ。後悔はちゃんとしてるのね。罪悪感、人としてまだ心は死んでないようね」
悲壮な顔のピンクちゃんを見ながら考える。
「オーロラさん、あなたこのロンテーヌ領で生まれ変わりなさい。それこそ新しいゲームをスタートさせるの」
「何言ってんのオバはん?」
「あはは、オバはんって。そりゃ~確かに前世はおばさんだけど、今は? よく見て? 同じぐらいの歳よ?」
「……」
「まぁ、いいわ。あなたは領民になってもらいます。そうね、名前も変えちゃう? オーロラなんて平民にはあまりいないし……ローラはどう?」
「……ローラ」
少し口の端が笑っている。気に入ったのかな?
「決まりね。で、王子様は教会へ入れて欲しいと言っていたのだけど、ウチは領民登録って言うのがあるから教会に閉じ込めなくても、領内であれば自由に過ごしてもらっても問題ないと思うの。どうかしら、ロダン?」
「問題ないかと」
「でね、前世も含めてでいいから、やりたい事か得意な事ってない?」
「はっ? 自由にしてくれるの?」
「ん~。領内限定だけど。得意なものは?」
「スマホゲーム」
「じゃぁ、やりたい事は?」
「……DIY。ウチ貧乏だったからボロくて部屋を改造したかった」
「DIY? なかなか渋いわね、中学生だったのよね? う~ん。じゃぁ、サムの弟子になってもらおうかな」
「サムって?」
話を見守っていたお兄様がようやく口を挟む。
「スルーボードの制作者です。城下町に店を構えてるのよ。弟子が足りないと言っていたから」
ふ~んとお兄様は特に興味がないようだ。
「ロダン、この子の領民登録をお願いね。あと、私から3つ仕事を与えるわ。もちろん給与も出す。それで自活できるようになるでしょう」
「……ありがとう」
下を向いて悔しそうだが、お礼を言ってるところを見ると、この領で生活することには抵抗はないみたいでよかった。
「1つ目『冬の領民学校で先生になる事』。2つ目『以前のオーロラの記憶は封印する事』。3つ目『休日は教会へ行って子供たちの世話をする事』。以上よ」
「わかった。3つ目の子供たちって? もしかして孤児とか?」
「うん。事故や病気で両親を亡くした子が4人ほどいるの」
「……ねぇ、あんた」
「おい」
騎士がローラの両手を締め上げた。
「いいの。私はジェシカよ。ローラ、今の自分を受け入れて、周りをよく見なさい。もう一度言うわ、私は領主一族の一人、ジェシカ。ジェシカお嬢様と呼びなさい」
「ジェ、ジェシカお嬢様。その教会に住んでもいいですか?」
「え? いいけど。でも教会に閉じ込めるつもりはないのだけど?」
「私も監禁されるつもりはないわ。子供だけではかわいそうだから、世話役として住むわ。前世で弟たちの世話をしていたと言ったでしょ? 放っておけない。仕事もそこから通うわ」
「まぁ、あなたがそれでいいのなら」
お兄様に目で合図を送る。お兄様もそれでいいようで『うん』とロダンに合図を送った。
「最後に、ジェシカお嬢様。ありがとう。普通に扱ってくれて」
「では、お嬢様。この者は以降私が処理しておきます」
と、騎士に命じてローラは部屋を出て行った。
「いいの。第2の人生がんばってね」
と言うことで、領内では基本自由だが、部屋の外へ一歩でも出る際は護衛を必ず2人付けることになった。
「お兄様、私、やりたい事がたくさんあります! 魔法を使えるようになったので、まずは道路を整備したいのです!」
「道路? 他領への道の事か?」
「違います。馬車が通るような道ではなく、主に領民が使う道です」
「村と城下町を結ぶアレか……しかし必要か? 結構な距離があるが? どう整備するんだ? 今は作業員を雇う余裕はないぞ?」
えっへんと胸を張りながらずっと思っていた内容をレクチャーする。
「まずですね、私の魔力量を思い出して下さい。プラス家魔法の土魔法です!」
「はぁー? まさかとは思うがジェシーがするのか?」
「もちのろんです!」
お兄様とロダンは顔を見合わせて困り顔だ。
「いや~、出来ないことはないだろうが…… 何でそれをする必要が? つい最近魔力欠乏症で倒れたのを忘れたのか」
「ふっふっふっ。お兄様、心配には及びません。私は領民が使う道をきれいにならして、スルーボードを普及させたいのです!」
「あのおもちゃの乗り物か? おもちゃの為にやり過ぎじゃないか?」
「いえいえ。スルーボードが普及すれば村と城下町への行き来がとても楽になります。領民には必須です」
「……」
お兄様は眉間に皺を寄せて考えている。黙って聞いていたロダンが口を開く。
「お嬢様、具体的な計画書はあるんでしょうか? ご主人様、私はそれ次第と考えます」
「ロダン! お前まで!」
「ご主人様、よく考察なさって下さい。現在、領民は領の事業を担っています。作業員が効率よく動くのであれば領にとっては必要と言えるでしょう」
「う~ん。でもなぁ……本当に魔力は大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。土をならすだけだもの。もし、一度に魔力が結構いるなら少しずつ道路整備すればいいんだし。夏はまだ始まったばかりよ?」
「……わかった。ロダンに計画書を渡すように」
「やった~!!!!」
むふふ、これでスルーボードでスイスイ出来る! ツーリングまでは行かないけど気分転換にお散歩できるぞ!
「まずやりたい事が道路整備とは……お前大丈夫か? 本当に年頃の女子だよな?」
「失礼な! ちゃんと女子です~だ!」
「あははは。ごめんごめん。では、本題だ。ロダン?」
ロダンは入り口の騎士に合図を送り、両手を後ろにし下を向いた少女を招き入れる。
「……」
アレってピンクちゃんだねぇ。う~ん。
「お嬢様、ルーベン様の案件です」
ロダンはピンクちゃんの斜め前で警戒しながら立つ。お兄様は『ふ~』と息を吐いてから立ち上がった。
「オーロラ、私はロンテーヌ領の領主のカイデールだ。この度、第一王子様よりそなたの身柄を引き継いだ。そして、今後だが我々の監視下に置かれることは承知しているな? あと、お前にはもう一人の主人がいる。私の妹のジェシカだ」
オーロラことピンクちゃんは鬱陶しそうに顔を上げると私を見た。
「あ、あんた!」
「勝手に話すな!」
ガシッと後ろ手を持っていた騎士がピンクちゃんの膝をつかせ抑え込んだ。
「お前はもう平民だ。私達と許可なく話すことは許されない」
「クッ……」
し~んとなった部屋に微妙な空気が流れる。
「お、お兄様。まぁまぁ。私が話しても?」
「ん? あぁ」
「お久しぶりね、オーロラさん」
ピンクちゃんはギラっと私を睨んで下唇を噛んでいる。
「なぜ怒っているかはわからないけど、今のあなたの状況はわかってるのかしら?」
ん? と尋ねるが話さない。あっ。
「話してもいいわよ。どうぞ」
すぐさま噛みついてくるかと思いきや、目を一度とじ落ち着いてから話し出した。
「わかってるわ。私は失敗して平民に落とされた。しかも魔法も封じられて、この先一生魔法が使えない。いろんな修道院をたらい回しにされて、どこにも行くあてがない。死んだも同然よ、こんな世界……どん底」
「……そこまでではないわ。もっと悲惨な人は五万といるわよ? 日本が平和すぎたせいもあるでしょうけど、あなたはこの世界でもまだマシな方よ?」
「マシって……私は前世でもどん底だったんだよ! 働かない、育児しないシンママの長女で、学校にも行かず年誤魔化して働いて、2人の弟の世話してたんだ! やっと幸せになると思っていたのに……ゲームの世界のように……しんどい毎日から抜け出したのに……」
「そう……苦労したのね。よく頑張ったわ。でもね、生まれ変わったから、しかもゲームの世界だからと好き勝手はよろしくなかったわ。それは、今ではわかるわよね?」
ピンクちゃんは渋々ながらも『うん』と頷いた。
「よかったわ。後悔はちゃんとしてるのね。罪悪感、人としてまだ心は死んでないようね」
悲壮な顔のピンクちゃんを見ながら考える。
「オーロラさん、あなたこのロンテーヌ領で生まれ変わりなさい。それこそ新しいゲームをスタートさせるの」
「何言ってんのオバはん?」
「あはは、オバはんって。そりゃ~確かに前世はおばさんだけど、今は? よく見て? 同じぐらいの歳よ?」
「……」
「まぁ、いいわ。あなたは領民になってもらいます。そうね、名前も変えちゃう? オーロラなんて平民にはあまりいないし……ローラはどう?」
「……ローラ」
少し口の端が笑っている。気に入ったのかな?
「決まりね。で、王子様は教会へ入れて欲しいと言っていたのだけど、ウチは領民登録って言うのがあるから教会に閉じ込めなくても、領内であれば自由に過ごしてもらっても問題ないと思うの。どうかしら、ロダン?」
「問題ないかと」
「でね、前世も含めてでいいから、やりたい事か得意な事ってない?」
「はっ? 自由にしてくれるの?」
「ん~。領内限定だけど。得意なものは?」
「スマホゲーム」
「じゃぁ、やりたい事は?」
「……DIY。ウチ貧乏だったからボロくて部屋を改造したかった」
「DIY? なかなか渋いわね、中学生だったのよね? う~ん。じゃぁ、サムの弟子になってもらおうかな」
「サムって?」
話を見守っていたお兄様がようやく口を挟む。
「スルーボードの制作者です。城下町に店を構えてるのよ。弟子が足りないと言っていたから」
ふ~んとお兄様は特に興味がないようだ。
「ロダン、この子の領民登録をお願いね。あと、私から3つ仕事を与えるわ。もちろん給与も出す。それで自活できるようになるでしょう」
「……ありがとう」
下を向いて悔しそうだが、お礼を言ってるところを見ると、この領で生活することには抵抗はないみたいでよかった。
「1つ目『冬の領民学校で先生になる事』。2つ目『以前のオーロラの記憶は封印する事』。3つ目『休日は教会へ行って子供たちの世話をする事』。以上よ」
「わかった。3つ目の子供たちって? もしかして孤児とか?」
「うん。事故や病気で両親を亡くした子が4人ほどいるの」
「……ねぇ、あんた」
「おい」
騎士がローラの両手を締め上げた。
「いいの。私はジェシカよ。ローラ、今の自分を受け入れて、周りをよく見なさい。もう一度言うわ、私は領主一族の一人、ジェシカ。ジェシカお嬢様と呼びなさい」
「ジェ、ジェシカお嬢様。その教会に住んでもいいですか?」
「え? いいけど。でも教会に閉じ込めるつもりはないのだけど?」
「私も監禁されるつもりはないわ。子供だけではかわいそうだから、世話役として住むわ。前世で弟たちの世話をしていたと言ったでしょ? 放っておけない。仕事もそこから通うわ」
「まぁ、あなたがそれでいいのなら」
お兄様に目で合図を送る。お兄様もそれでいいようで『うん』とロダンに合図を送った。
「最後に、ジェシカお嬢様。ありがとう。普通に扱ってくれて」
「では、お嬢様。この者は以降私が処理しておきます」
と、騎士に命じてローラは部屋を出て行った。
「いいの。第2の人生がんばってね」
23
お気に入りに追加
6,243
あなたにおすすめの小説
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
三年目の離縁、「白い結婚」を申し立てます! 幼な妻のたった一度の反撃
紫月 由良
恋愛
【書籍化】5月30日発行されました。イラストは天城望先生です。
【本編】十三歳で政略のために婚姻を結んだエミリアは、夫に顧みられない日々を過ごす。夫の好みは肉感的で色香漂う大人の女性。子供のエミリアはお呼びではなかった。ある日、参加した夜会で、夫が愛人に対して、妻を襲わせた上でそれを浮気とし家から追い出すと、楽しそうに言ってるのを聞いてしまう。エミリアは孤児院への慰問や教会への寄付で培った人脈を味方に、婚姻無効を申し立て、夫の非を詳らかにする。従順(見かけだけ)妻の、夫への最初で最後の反撃に出る。
この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。
レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。
【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。
そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
転生騎士団長の歩き方
Akila
ファンタジー
【第2章 完 約13万字】&【第1章 完 約12万字】
たまたま運よく掴んだ功績で第7騎士団の団長になってしまった女性騎士のラモン。そんなラモンの中身は地球から転生した『鈴木ゆり』だった。女神様に転生するに当たってギフトを授かったのだが、これがとっても役立った。ありがとう女神さま! と言う訳で、小娘団長が汗臭い騎士団をどうにか立て直す為、ドーン副団長や団員達とキレイにしたり、旨〜いしたり、キュンキュンしたりするほのぼの物語です。
【第1章 ようこそ第7騎士団へ】 騎士団の中で窓際? 島流し先? と囁かれる第7騎士団を立て直すべく、前世の知識で働き方改革を強行するモラン。 第7は改善されるのか? 副団長のドーンと共にあれこれと毎日大忙しです。
【第2章 王城と私】 第7騎士団での功績が認められて、次は第3騎士団へ行く事になったラモン。勤務地である王城では毎日誰かと何かやらかしてます。第3騎士団には馴染めるかな? って、またまた異動? 果たしてラモンの行き着く先はどこに?
※誤字脱字マジですみません。懲りずに読んで下さい。
異世界で捨て子を育てたら王女だった話
せいめ
ファンタジー
数年前に没落してしまった元貴族令嬢のエリーゼは、市井で逞しく生きていた。
元貴族令嬢なのに、どうして市井で逞しく生きれるのか…?それは、私には前世の記憶があるからだ。
毒親に殴られたショックで、日本人の庶民の記憶を思い出した私は、毒親を捨てて一人で生きていくことに決めたのだ。
そんな私は15歳の時、仕事終わりに赤ちゃんを見つける。
「えぇー!この赤ちゃんかわいい。天使だわ!」
こんな場所に置いておけないから、とりあえず町の孤児院に連れて行くが…
「拾ったって言っておきながら、本当はアンタが産んで育てられないからって連れてきたんだろう?
若いから育てられないなんて言うな!責任を持ちな!」
孤児院の職員からは引き取りを拒否される私…
はあ?ムカつくー!
だったら私が育ててやるわ!
しかし私は知らなかった。この赤ちゃんが、この後の私の人生に波乱を呼ぶことに…。
誤字脱字、いつも申し訳ありません。
ご都合主義です。
第15回ファンタジー小説大賞で成り上がり令嬢賞を頂きました。
ありがとうございました。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。