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1章 ロンテーヌ兄妹
82 大司教様の目覚め
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「お招きありがとうございます。改めまして、ロンテーヌ領のジェシカでございます」
今日私は、大司教様のお誘いで大聖堂の応接室にお邪魔している。メンバーは付き添いのケイトとロダン、護衛はアークとランドだ。手土産はいつものへちまん&サボンセットだ。
「ええ。お呼び立てして申し訳ありません。私はジェミニー・フォン・グランドです。あれから一月ほど経ちましたが心穏やかにお過ごしでしょうか?」
凛とした美人大司教様は席に座るように勧めてくれて、紅茶に口をつけた。
「ええ。ありがとうございます。皆のおかげで幾分か心が癒えました。もう大丈夫です。あと、お礼が遅れて申し訳ございませんでした。あの日、大司教様に助けて頂かなければ、今の私はございません。本当にありがとうございました」
「いえ。あの事件は私の姪がしでかした事。お礼は結構ですよ。当然の事をしたまでです。王より保証か治療費の話が出るかと思いますが、私には必要ありませんからね。ご安心下さい。こちらこそ、この度は多大なご迷惑をおかけしました。王族の一員としてお詫びします」
「そんな!顔をお上げくださいまし。大司教様は関係ないではないですか。私は何ともないのですから。。。」
真面目だね。。。でも治療費がタダなのはありがたい。
「本日は、お話をしたくてお呼びいたしました。あぁ、そうだ、ジェシカ嬢とお呼びしても?私の事はジェミニーとお呼び下さい」
すると、大司教様は侍女に目配せをしその場を下がらせた。
???なぜに?ケイトとロダンはドアの前に立ったままだ。こっちの侍女とかはいいのかな?てか、ジェミニーなんて呼ばないよ。
「ジェシカ嬢。私はあなたを治療した際に見てしまったのです」
???何を?何かあった?
「何でしょう?思いあたる事が全くありませんが?」
「はい。。。それは。。。」
と、目の前の美人大司教様がモジモジして赤くなっている。
ん?何?何か恥ずかしい事したの?え?何?
「えっと?何でしょう?」
「はい。。。あなたの肌を見てしまったのです。全て」
頬を薔薇色に染めこちらを見つめてくる大司教様。
。。。肌って?
「ちょっと、よくわからないのですが?」
と、ロダンに助けてのサインを送る。ロダンはさっとこちらに来てくれて耳打ちして説明してくれた。
『あの時、お嬢様の治療で服を全部脱がせる必要があったのです。それで。。。下着以外を着けていない状態でして。。。でも、あれは治療ですので。私も見ましたし。。。すみません』
!!!
バッと両手で顔を覆ってしまう。恥ずかしい。多分ゆでダコのように真っ赤になっているに違いない。顔が熱い。
「ですので、私は責任を取って結婚を申し込もうかと思いまして」
はぁぁぁぁぁぁ?医者じゃないけど、治療で仕方なくですよね?恥ずかしいけどさ~。
「失礼しました。しかし、治療の一環ですよね?そんな事。。。そうなると、大司教様は皆に求婚しなければいけないんじゃないでしょうか?ダメですよ。早まっては。私なら平気ですので。お忘れ下さい」
おいおい、冗談じゃないよ。そりゃ~恥ずかしいけど。どんだけだよ!
「いえ。。。いつもは服を着た状態で治療をするのです。騎士や兵士などは脱いでもらう場合はありますが。。。ご令嬢の裸。。。肌を見せた方はいません。いえ、肌を見せるような大怪我の方は今までいませんでしたので。それに、今まで女性の肌を全て見た事もございませんし」
美人は真剣に熱弁している。いつの時代だよ!って、ここは前世と違うか。何だよ、チェリーかよ!
勘弁して、こんな美人、毎日横にいたら落ち着かない。
「義務感でおっしゃっているなら、私は大丈夫です。本当にお忘れ下さい。ロダン?他に誰がいたの?」
「はい。大司教様、口を挟む事をお許しください。お嬢様、あの時は、王様、宰相様、第一騎士団長、ご主人様、カイ様、私、ミラン、そして大司教様です」
。。。全部男じゃん。仕方ないか。。。てか、ほぼ身内だし。王様やアダム様、グレン様はおっさんだから問題ないとして。この人。。。裏がある?いや考えすぎか?
「。。。ほぼ身内ですし。本当に大司教様、お気になさらず。当の本人は記憶さえないのですから。あとは、大司教様が忘れて下されば問題は解決いたします」
言ってる自分が恥ずかしいよ。。。裸か。。。あの日ってどんなパンツだったっけ?
「。。。しかし、責任を取らなければ王族として、いえ、男として気が済みません」
結構しつこいな。思い込んだら一直線ってタイプ?
「いえ。本当にお忘れ下さって結構です。こんな事を初対面の紳士に申し上げるのはアレなんですが。。。私は、我が一族は、代々恋愛結婚をして幸せな家庭を築いてきました。私もそれに習いたい気持ちがあるのです。ですので、義務感から結婚など。。。申し訳ございません。大司教様のお心を無下にしてしまいますが、双方、義務だけでは幸せにはなれないと思うのです」
ここでようやく大司教様は目を見開き驚いている。遅っ!
「恋愛結婚ですか?失礼ですが、21領主、公爵家のご令嬢ですよね?」
あ~、そこか。。。あっ、そっか。大司教様は王族か。政略結婚の感覚が普通なのか。
「ええ。しかし、我が領は昔から慎ましやかな税収で暮らしてきた弱小領地。ですので、愛情と絆が他より深い一族なのです。父や母の仲睦まじい様子を見て育ちましたから、私も恋愛結婚がしたく。。。」
と、私はしゅんとしてみせる。どう?効いたかな?
「。。。そうですか。わかりました。少し考えます」
考えるんか~い。もう、じゃぁいいやって思わないの?
「いえ。王様にはご相談されました?きっと反対されると思いますよ。結婚は人生の一大イベントですよ?しかも王族ですよね?それに大司教様ならお相手はいくらでも居るでしょうに」
「ええ。兄には相談済みです。好きにしろと言われています。それに目の色が変わったご令嬢達は昔から苦手で。。。」
はぁぁぁ?エド様、絶対めんどくさいか面白がってるよ!悪魔め!
「それでは『忘れる』という方向で、大司教様の好きになさったらいかかです?」
めんどくさいな~。早く終わってこの話題。
「そうですね。。。しかし、ジェシカ嬢は私と結婚はしたくはないのでしょうか?」
。。。これだからイケメンは。。。誰でもOKすると思ってる?はんっ。
「そうですね。私はしたくないですね」
ニコッと笑顔で紅茶を飲む。ロダンはさっと壁際に戻って行った。もう大丈夫と思ったのだろう。
「そうですか。。。わかりました。今回の事は保留にして下さい。お願いいたします」
美人さんはそう言って一礼してくるけど、お門違いだよね?わかってないのかな?
「大司教様、お顔をお上げ下さい」
「ジェシカ嬢、ジェミとお呼び下さい」
。。。嫌。
「いえ、ジェミニー様」
「ジェミです。ジェシカ嬢」
。。。だから嫌だって。
ニコニコニコニコの大司教様。美人の笑顔の圧が怖い。思わず顔を逸らしてしまった。。。負けた。
「。。。ジェ、ジェミ様。保留はいささか変ですよ。今回の事は、あなたが丸っと忘れれば解決なのです。私の為にもあなたの為にも」
「そうしておきましょうか。私の中では求婚する方向で考えを保留します」
「ええ。ですから、聞いてます?」
「はい」
と、キラキラエフェクトかかりまくりの笑顔で私の手を取ってきた。さっと避けるのが遅かった。すでに包まれた両手は引っ張るが離してくれない。
「て、手を離しましょうか?ジェミニー様」
「ジェミです。ジェシー」
さっきから、ロダンからバンバン殺気が飛んでくる。怖い。
「ジェシカです。恐れながらジェシー呼びは許しておりません。ジェミニー様」
「あなたも頑固ですね。そんな怒った顔もかわいらしいですよ」
何がどうなってこうなった?何かツボにはまるような事を言った?言ってないよね?何なのこの残念な美人は。
「ジェミニー様、他の女性を当たって下さい。切に願います」
「ふふふふふ。また会いましょうね。だんだん慣れていきますからね。そうしたら私とジェシーの間に恋の花が咲くかもしれません!」
うっとりにっこりしている話を全然聞かない残念美人は、私が次の約束に『はい』と言うまで手を離してくれなかった。
。。。ロダンを見るが目をつむって天を仰いでいる。ケイトはオロオロとドキドキが入り混じった顔でこちらを見ていた。
助けて。誰か。
今日私は、大司教様のお誘いで大聖堂の応接室にお邪魔している。メンバーは付き添いのケイトとロダン、護衛はアークとランドだ。手土産はいつものへちまん&サボンセットだ。
「ええ。お呼び立てして申し訳ありません。私はジェミニー・フォン・グランドです。あれから一月ほど経ちましたが心穏やかにお過ごしでしょうか?」
凛とした美人大司教様は席に座るように勧めてくれて、紅茶に口をつけた。
「ええ。ありがとうございます。皆のおかげで幾分か心が癒えました。もう大丈夫です。あと、お礼が遅れて申し訳ございませんでした。あの日、大司教様に助けて頂かなければ、今の私はございません。本当にありがとうございました」
「いえ。あの事件は私の姪がしでかした事。お礼は結構ですよ。当然の事をしたまでです。王より保証か治療費の話が出るかと思いますが、私には必要ありませんからね。ご安心下さい。こちらこそ、この度は多大なご迷惑をおかけしました。王族の一員としてお詫びします」
「そんな!顔をお上げくださいまし。大司教様は関係ないではないですか。私は何ともないのですから。。。」
真面目だね。。。でも治療費がタダなのはありがたい。
「本日は、お話をしたくてお呼びいたしました。あぁ、そうだ、ジェシカ嬢とお呼びしても?私の事はジェミニーとお呼び下さい」
すると、大司教様は侍女に目配せをしその場を下がらせた。
???なぜに?ケイトとロダンはドアの前に立ったままだ。こっちの侍女とかはいいのかな?てか、ジェミニーなんて呼ばないよ。
「ジェシカ嬢。私はあなたを治療した際に見てしまったのです」
???何を?何かあった?
「何でしょう?思いあたる事が全くありませんが?」
「はい。。。それは。。。」
と、目の前の美人大司教様がモジモジして赤くなっている。
ん?何?何か恥ずかしい事したの?え?何?
「えっと?何でしょう?」
「はい。。。あなたの肌を見てしまったのです。全て」
頬を薔薇色に染めこちらを見つめてくる大司教様。
。。。肌って?
「ちょっと、よくわからないのですが?」
と、ロダンに助けてのサインを送る。ロダンはさっとこちらに来てくれて耳打ちして説明してくれた。
『あの時、お嬢様の治療で服を全部脱がせる必要があったのです。それで。。。下着以外を着けていない状態でして。。。でも、あれは治療ですので。私も見ましたし。。。すみません』
!!!
バッと両手で顔を覆ってしまう。恥ずかしい。多分ゆでダコのように真っ赤になっているに違いない。顔が熱い。
「ですので、私は責任を取って結婚を申し込もうかと思いまして」
はぁぁぁぁぁぁ?医者じゃないけど、治療で仕方なくですよね?恥ずかしいけどさ~。
「失礼しました。しかし、治療の一環ですよね?そんな事。。。そうなると、大司教様は皆に求婚しなければいけないんじゃないでしょうか?ダメですよ。早まっては。私なら平気ですので。お忘れ下さい」
おいおい、冗談じゃないよ。そりゃ~恥ずかしいけど。どんだけだよ!
「いえ。。。いつもは服を着た状態で治療をするのです。騎士や兵士などは脱いでもらう場合はありますが。。。ご令嬢の裸。。。肌を見せた方はいません。いえ、肌を見せるような大怪我の方は今までいませんでしたので。それに、今まで女性の肌を全て見た事もございませんし」
美人は真剣に熱弁している。いつの時代だよ!って、ここは前世と違うか。何だよ、チェリーかよ!
勘弁して、こんな美人、毎日横にいたら落ち着かない。
「義務感でおっしゃっているなら、私は大丈夫です。本当にお忘れ下さい。ロダン?他に誰がいたの?」
「はい。大司教様、口を挟む事をお許しください。お嬢様、あの時は、王様、宰相様、第一騎士団長、ご主人様、カイ様、私、ミラン、そして大司教様です」
。。。全部男じゃん。仕方ないか。。。てか、ほぼ身内だし。王様やアダム様、グレン様はおっさんだから問題ないとして。この人。。。裏がある?いや考えすぎか?
「。。。ほぼ身内ですし。本当に大司教様、お気になさらず。当の本人は記憶さえないのですから。あとは、大司教様が忘れて下されば問題は解決いたします」
言ってる自分が恥ずかしいよ。。。裸か。。。あの日ってどんなパンツだったっけ?
「。。。しかし、責任を取らなければ王族として、いえ、男として気が済みません」
結構しつこいな。思い込んだら一直線ってタイプ?
「いえ。本当にお忘れ下さって結構です。こんな事を初対面の紳士に申し上げるのはアレなんですが。。。私は、我が一族は、代々恋愛結婚をして幸せな家庭を築いてきました。私もそれに習いたい気持ちがあるのです。ですので、義務感から結婚など。。。申し訳ございません。大司教様のお心を無下にしてしまいますが、双方、義務だけでは幸せにはなれないと思うのです」
ここでようやく大司教様は目を見開き驚いている。遅っ!
「恋愛結婚ですか?失礼ですが、21領主、公爵家のご令嬢ですよね?」
あ~、そこか。。。あっ、そっか。大司教様は王族か。政略結婚の感覚が普通なのか。
「ええ。しかし、我が領は昔から慎ましやかな税収で暮らしてきた弱小領地。ですので、愛情と絆が他より深い一族なのです。父や母の仲睦まじい様子を見て育ちましたから、私も恋愛結婚がしたく。。。」
と、私はしゅんとしてみせる。どう?効いたかな?
「。。。そうですか。わかりました。少し考えます」
考えるんか~い。もう、じゃぁいいやって思わないの?
「いえ。王様にはご相談されました?きっと反対されると思いますよ。結婚は人生の一大イベントですよ?しかも王族ですよね?それに大司教様ならお相手はいくらでも居るでしょうに」
「ええ。兄には相談済みです。好きにしろと言われています。それに目の色が変わったご令嬢達は昔から苦手で。。。」
はぁぁぁ?エド様、絶対めんどくさいか面白がってるよ!悪魔め!
「それでは『忘れる』という方向で、大司教様の好きになさったらいかかです?」
めんどくさいな~。早く終わってこの話題。
「そうですね。。。しかし、ジェシカ嬢は私と結婚はしたくはないのでしょうか?」
。。。これだからイケメンは。。。誰でもOKすると思ってる?はんっ。
「そうですね。私はしたくないですね」
ニコッと笑顔で紅茶を飲む。ロダンはさっと壁際に戻って行った。もう大丈夫と思ったのだろう。
「そうですか。。。わかりました。今回の事は保留にして下さい。お願いいたします」
美人さんはそう言って一礼してくるけど、お門違いだよね?わかってないのかな?
「大司教様、お顔をお上げ下さい」
「ジェシカ嬢、ジェミとお呼び下さい」
。。。嫌。
「いえ、ジェミニー様」
「ジェミです。ジェシカ嬢」
。。。だから嫌だって。
ニコニコニコニコの大司教様。美人の笑顔の圧が怖い。思わず顔を逸らしてしまった。。。負けた。
「。。。ジェ、ジェミ様。保留はいささか変ですよ。今回の事は、あなたが丸っと忘れれば解決なのです。私の為にもあなたの為にも」
「そうしておきましょうか。私の中では求婚する方向で考えを保留します」
「ええ。ですから、聞いてます?」
「はい」
と、キラキラエフェクトかかりまくりの笑顔で私の手を取ってきた。さっと避けるのが遅かった。すでに包まれた両手は引っ張るが離してくれない。
「て、手を離しましょうか?ジェミニー様」
「ジェミです。ジェシー」
さっきから、ロダンからバンバン殺気が飛んでくる。怖い。
「ジェシカです。恐れながらジェシー呼びは許しておりません。ジェミニー様」
「あなたも頑固ですね。そんな怒った顔もかわいらしいですよ」
何がどうなってこうなった?何かツボにはまるような事を言った?言ってないよね?何なのこの残念な美人は。
「ジェミニー様、他の女性を当たって下さい。切に願います」
「ふふふふふ。また会いましょうね。だんだん慣れていきますからね。そうしたら私とジェシーの間に恋の花が咲くかもしれません!」
うっとりにっこりしている話を全然聞かない残念美人は、私が次の約束に『はい』と言うまで手を離してくれなかった。
。。。ロダンを見るが目をつむって天を仰いでいる。ケイトはオロオロとドキドキが入り混じった顔でこちらを見ていた。
助けて。誰か。
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