【R18】女囚体験

さき

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5.逮捕

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 いよいよ明日が逮捕される日となった。先程、最後の確認の電話があり、予定通りお願いしますと伝えた。もう後戻りはできない。そわそわして、なかなか寝付けなかった。

 逮捕当日は家に迎えが来て逮捕される。ただ具体的な時間は伝えられていなかった。日付が変わったら可能性があると申し込みセンターの人が話していた。気持ちが高ぶってどうにもならない。

 申し込みが終わってから色々な準備をした。まず家族、知人などへの連絡をした。もちろん奴隷となって収監されると伝えたわけではなく、奴隷刑プランを申し込んだ際に薦められた電波の通じないアフリカの奥地へボランティアをやりに行くので連絡ができなくなるといった嘘を伝えた。学生によく勧める方法らしい。

    その説明に家族からは心配されたけど反対はされなかった。サークルも春休み中は休むと先輩に伝え、アルバイトも長期の休みを取ると伝えている。

    荷物の準備もできている。もっとも準備するように言われたものはほとんどなく、かばんに財布とスマホだけ入れている。出所した後は釈放された場所から自宅まで自力でたどり着かないといけないらしく、多少の現金を用意しておくように受付センターの人が話していた。
 
 なかなか眠れず、ウトウトしながら、このベッドで寝られるのも今日で最後なんだなあと寂しい気持ちになっていると突然、ピンポーンとインターホンが鳴りドキッとした。この時間の来訪だ。間違いなく私を逮捕しに来た人達だろう。

  ベッドから起きてモニターに
「何か用ですか?」
と話すと、

「警察です。ここを開けなさい」
と返事があった。ついに逮捕される時が来た。これからの長く苦しい生活を考えると身が竦む。とても複雑な気持ちだった。

 大人しく指示に従いドアのロックを外した。すぐに、男性2人、女性2人の警察官の格好をした人が室内に入って来た。

「大沢咲希さんですか?」

「はい。そうです」

「先日のひき逃げ事件であなたに逮捕状が出ています。同行をお願いします」

「…わかりました」

 警察官が提示した逮捕状には私の名前が書かれていた。拒否したらどうなるんだろう。無理やり拘束されるのかなあと思いながら室内に戻り着替えを始めた。男性警察官は室外で待ったままだ。一応まだ未決囚なのでそういった配慮はしてもらえるらしい。女性の警察官に監視されながら寝間着を脱ぎ、よそ行きの服に着替え、用意していたかばんを持った。

 準備ができたので警察官に
「大丈夫です。準備できました」
と伝えた。すると警察官の1人が私の正面に立ち、手錠を取り出した。

「大沢咲希。1月25日 午前1時15分 自動車運転過失致死と救護義務違反の容疑で逮捕する」

 私の右手にガチャリと手錠がはめられた。続いて反対側が左手にも。両手に手錠がかけられ私は逮捕された。鉄製の手錠は冷たく、いつも楓ちゃんとのプレイで使っている安物の手錠より数倍重い。さらにもう1人の警察官がロープを取り出し手錠に結んでいく。それが済むと腰にロープが巻かれた。

「逃走防止の為の腰縄です。これよりあなたを連行します。指示に従うように」

 腰縄の縄先を持ちながら警察官が話す。有無を言わせぬ口振りに、
「はい」
と従順に答えるしかなかった。

 拘束は手錠と腰縄だけだった。これだけだったら普段、楓ちゃんとやっているプレイの拘束の方が厳重だ。だけど男性を含む4人もの知らない大人に監視されながら連行されるという状況に私は絶対に逃げる事はできないのだと感じた。もう私に自由はない。手錠、腰縄は私が重罪人だと知らしめるアイテムのようだった。

 監視されながら靴を履き室外に連れ出された。しばらくの間、ここに戻ってくることはできないと思うと感傷的な気持ちになってしまう。家に別れを告げてドアを閉めると1人暮らしをしているアパートの前には中型の窓のないマイクロバスが1台、停まっていた。バスに乗り込むまで僅かな距離だけど手錠、腰縄姿で屋外を歩かされる。警察官はテレビのドラマのように手錠を布で隠してはくれなかった。 さすがに深夜で通行人は居なかったけれど誰かに見られてしまうんじゃないかと思うと緊張の瞬間だった。誰にも見られることなく無事にバスの中に入れた時は安堵した。

 バスに乗り込むと、すでに何人かの女性が手錠にアイマスクを付けられた姿で座っていて、楓ちゃんも乗っていた。まあ、アイマスクで視界を奪われているので彼女は私が乗ってきたことには気づいていないだろう。

「到着までこれを付けなさい」

 指示された座席に座ると通路側の席に座った私の腰縄を持つ警察官が私の顔にもアイマスクを付ける。私の視界も奪われるようだ。何も見えなくなった。

 その後もバスは何度か停まり、追加で何人かの人を逮捕しているようだった。時々新たに逮捕され乗ってくる人に警察官が話す声が聞こえた。移動中のバスの中は、無言で誰も喋らず静かだった。
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