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7話 OLですけど神は見通すのに神にも祝詞しないと分からないのは矛盾してませんか?

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 私は全知全能の神様代行6日目のミカです。

 今日は審判をほったらかして、地獄に遊びに来ました。
 『キャパがヤバイ』って報告を鬼達から受けて、どんなもんかと見に来たんですが、地獄ってアトラクションみたいですね。ネズミーランドみたいです。

 8つのアトラクションがあるみたいなので順番に見ていこうと思います。一つ目は『等活地獄』。

「オラァ!!」
「ギィヤァア」

 有名な映画に出てくるウル○リンのように、手に鉤爪をつけて互いに闘う、ちょっと変わったチャンバラ場ね。
 色々ステージがあるみたいだけど今は割愛。

 次は『黒縄地獄』こくじょうじごくと言うらしいわ。熱々の鉄縄でジューっと焼かれるみたい。ドMの最上級コースね。

 お次は『衆合地獄』しゅごうじごくと読むわ。
 浮気した不埒な人が、左右の山に押し潰されるところよ。迫りくる壁ってテーマパーク感あるわよね。

 そして、ここまでで汗をかいたら『叫喚地獄』でひとっ風呂浴びれるわ。グツグツに煮立った釜風呂に入れるけど、そのお湯を飲む変態もいるから注意ね。

 サッパリできたら『大叫喚地獄』で、声が出なくなるまで絶叫する事ができるらしいわ。
 舌に針治療よろしく、ぶすぶす刺されて、きっと早口言葉が言えるようになるのよ。

 『灼熱地獄』はサウナみたいなものよ。皆で身を寄せ合っておしくらまんじゅうができるわ。
 続く『大焦熱地獄』も似たようなものね、熱さが物足りない人の辛口コースよ。

 そして極め付けは『阿鼻地獄』。
 真っ逆さまに落ちていく紐なしバンジーを体験しながら、鳥や犬、牛などの動物とも触れ合える、超癒しスポット。デートで来るならここは外せないわね。

「と、まあ解釈はちょっと違いますが、どれもこれも地獄に来たことを喜んで頂けるように、我々鬼一同、精一杯のもてなしを用意しております」
「うーん……なんだか、どれもこれも1プレイ2000年とか4000年とか掛かるのが、納得いかないわ」

 各地獄にはクリアするまでの時間が設定されていて、それが何千年単位となっていた。
 そりゃ、こんだけ時間かかればすぐキャパオーバーするわな、と私は呆れてしまった。
 すぐに改善案を提示する。

「どの地獄も1プレイ5分までにしなさい。ネズミーランドのジェットコースターでさえ、長くてそれぐらいよ」
「そ、そんな短さでは、奴らは自分の罪を償えませんよ……」
「長ければいいってもんじゃない、ここに来た事を考え、反省し生まれ変わってから、来世で罪を償えばいいのよ。そのほうがよっぽど献身的だと思わない?」

 私の適当な言葉を並べただけのセリフに、鬼は『なるほど』とかいって意味を深掘りしようと考えている。勝手に肉付けして、勝手な解釈で納得したらしい。

 これからは地獄での滞在時間は2万年ほどだったのがたったの30分になった。これで回転率は上がる事間違いないだろう。牛丼チェーン店もびっくりの回転率だ。

「じゃあ私は帰るけど、これからも地獄の管理お願いね」
「はい! かしこまりました!」

 深々と頭を下げる鬼が、今までの絵本で出てきたことがあるだろうか。
 本当の地獄は、私たちが思っていたよりもずっと、会社っぽいところだった。

「ただいまー」
「あ! お帰りなさいミカ神様。地獄はどうでした?」
「ちょっと運営方針を変えてきたわ。これで、とやかく文句言ってくることもなくなるでしょうね」

 ガブリエルが出してくれたアールグレイを嗜む。うーん仕事終わりの優雅なひと時だ。

 ホッと一息ついていると、お昼寝中のラファたんが騒ぎ始めた、夜泣きかな? 泣いてるラファたんも可愛いよ。

「げーんーせーがーたーいーへーんーだー」
「現世が大変? どういうことだ、ラファエル」

 大慌てするラファたんの話では、現世での出生率がとんでもなく跳ね上がっているらしい。少子化は終わったのか? いい事じゃないか。え? 地獄の滞在時間が減って、すぐに生まれ変わるようになった? あれれ、雲行きが怪しくなってきたなぁ。

「ミーカー……お前また何かやったんだろ!!」
「何もしてないわよ、失礼ね。地獄の滞在時間が長すぎたから短くしただけよ」
「どれくらい」
「2万年を30分にしたわ。劇的ビフォーアフターでしょ」

 ゴン

 またミカエルに殴られてしまった。これ以上殴られると頭がパーになってしまう。
 天使のくせに、すぐ暴力に頼るのは悪い癖だ。ミカエルは私を雲の隙間に放り込んで叫んでいる。

「元に戻してこい!! 今すぐ!!」
「せっかくの組織大改革だったのに……」

 地獄に逆戻りした私は、元の時間より数千年だけ短くなるように設定を変更したのだった。これぐらいなら少子化にはならないかな?

 バタバタしていた地獄騒動も終わり、今日もお勤め終了が近づいていた時、一本の矢が雲の床に突き刺さった。

 なにやら紙が巻きつけてあって矢文のようだ。
 紙を開くとおっさん神様から手紙のだった。

『拝啓、休みが終わりに近付いている頃、ミカさんやガブリエルは如何お過ごしでしょうか。我はだんだん憂鬱になってきておる。働きたくないでござる。なんなら、神様にだって定年があってもいいと思うんだが、そのあたり天界労働組合にでも進言してみようか。話が逸れてしまったが、明日の夕刻には帰るので、あと少しがんばってね(^_^)神より」

 読み終わると同時にビリビリに破いてやった。なんなんだ最後の古臭い顔文字は。JKにSNSで絡む中年かよ。寒すぎる。ガブリエルも幻滅したような顔してるし。

「あー、思ったより早かったなー。なんでも出来て、楽しかったんだけど。出来すぎてつまらない感じもする」
「クスクス、なんですかそれは」

 ガブリエルやミカエルと、こうして話が出来るのもあと1日。
 最後は神様らしくしてみようかな。
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