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第一章

06、異星人の子作りは容赦がない

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(こんな……好きな人でもないのに……無理やりされてるのに、きもちいい……きもちいいよぉ……)

 アクアは忍者のなすがままに凌辱されているという情けなさと、自分の貞操観念の低さから涙を流す。
 それでも身体の方はすでに仕上がっていて、達してしまったにも関わらず、アクアの疼きはまだまだ治まりそうにない。  

(く……薬って、どれぐらい効果が続くの……? もしかして、一生このまま……?)

 絶頂を味わってなお沸き起こる性欲に、そんな考えが頭を過ぎる。
 もしもこのまま年がら年中、発情し続けるようなことになったらどうしよう。正義の味方どころか、普通の人間としても生きていけなくなってしまう。
 心はそんな恐怖に支配されているのだが、肉襞は変わらず忍者の肉棒にびっちりと絡みついていて、はやく動いてくれと勝手に激しくうねって催促している。

「……っ、処女というのは本当だったようだが……その割にはひどい乱れっぷりだ。なんだ、俺の精液を搾り取るようなこの動きは」

 忍者は形のよい眉根を強く歪ませて、アクアを咎めた。けれども頬はわずかに紅潮していて、漏れ出る息も甘く熱く、嗜虐的な笑みを浮かべている。

 その口が、そっとミラの耳朶をんで、鼓膜を揺さぶった。

「淫乱」

 艶がたっぷり含まれた忍者の低い美声に嬲られて、アクアの全身が粟立っていく。

 淫乱──それは、アクアも自覚している。媚薬を含まされたとはいえ、初めて貫かれたというのに破瓜の痛みを一切感じずに快感だけ貪っていては、そういわれても致し方ない。それに、忍者の無慈悲な指摘にすら全身が悦んでいるのだから、反論のしようがなかった。

 それでもそんな自分を認めきれなくて、アクアは潤んだ瞳で忍者を睨みつける。

「ひぅっ……ひどいこと言わないで……あんっ!」

 しかしその反発が、かえって忍者の加虐心を煽ってしまったらしい。忍者は喘ぐことしか許さないと言わんばかりに、思いっきり腰を打ちつけてきた。十二分に長い陰茎が、アクアの肉襞を引き摺りながら膣口のぎりぎりまで引き抜かれる。抜けきれるかきれないかといったところで、熱い肉槍に慈悲もなく最奥まで貫かれた。それが何度も何度も繰り返される。

 一突きごとに、パァンッという肉と肉の激しくぶつかりあう音がフロアに響く。

「あんっ、あんっ、あぁんっ……やっ……やめて、おねがい……んんっ……!」

 容赦のない抽挿が、アクアのなけなしの理性を肉欲へと書き換えていった。思考の深さだけが唯一の取り柄なのに、その思考回路のほとんどが肉棒の熱さで焼け落ちていく。
 このまま続けられたら、きっと今までの生活には戻れなくなる。雁首で膣内の肉襞を強く擦られるのは、そう予期させるほど気持ち良くてたまらなかった。

「あんっ、あっ、あっ……ぁあっ、ひんっ……やらぁ……、こわいっ、こわいよぉ……たすけてっ、ルビーさん、たすけてぇ……」

 身も心も快楽へと堕ちていく甘美な恐怖に、アクアは泣きながらルビーに助けを求めていた。今まではどんな危険な目にあっても、最後にはルビーが助けてくれた。こんな風に乙女の純潔を散らされる前に、必ず。その純潔もついに破られてしまったが、これ以上の責め苦には耐えられないとアクアはルビーを呼ぶ。

「ルビーさんっ、ルビーさんっ……ひぐっ!」

 いきり立った肉塊が、いっそう力強くアクアの膣を抉った。互いの脚の付け根が隙間なく合わさったところで、忍者がアクアを責めるように腰をぐりぐりと押しつけてくる。まるで膣内に納まる陰茎の存在を知らしめるように、強く強く。

「ああっ! いやぁ……ゆるしてっ、おかしくなっちゃう……あぁっ、あぁんっ……ああぁ──!」

 その攻め立てで、アクアは三回目の絶頂を味わった。つま先をぴんと伸ばして快感から逃がれようとするのだが、忍者に腰をがっちり掴まれていて、それも叶わない。むしろ、快感を上塗りするように押さえつけられて悶えることしかできなかった。言い知れない陶酔感が、出口のない全身で彷徨い続けている。

「情事の最中に他の男の名を口にするとは、礼儀がなってないな」

 忍者の声には、明らかな怒気が籠っていた。
 どういうわけか、この忍者はルビーのことを男だと勘違いしているようだった。勝手に勘違いして怒りを募らせるなど、どうかしている。
 いや、そもそもどうして怒っているのだろうか。忍者からしてみれば、アクアは子を成すための道具に過ぎないはず。
 それなのにまるで──ルビーに嫉妬しているかのような口振りだ。

「んんっ! ふ……ふあぁっ……」

 突然、忍者はアクアの両手首をビリヤード台に押さえつけて、覆いかぶさってきた。力強い腰使いもそのままに、唇に吸いつき、いばみ、舌を絡めて口内を犯してくる。

「……セルジュ」

 唇を離すと、忍者はアクアの目を見つめたまま呟いた。その瞳もまた、冷たい銀色をしているのにも関わらず妬けていて、ひどく熱い。

「お前を孕ませる男の名だ。唱えながら受精しろ」

「だっ、だめっ……なかに出しちゃだめっ……! おねがいっ、やめてっ、あかちゃんつくらないでっ、セルジュさんっ……! ああっ……!」

 アクアがその名を呼びながら懇願すると、セルジュは満足げに微笑んで腰の律動を速めた。頑丈な造りのビリヤード台が、ガタガタと激しく揺れる。

 陰嚢から迫り上がってきた精子で、セルジュの陰茎が太さと硬さを増し、果てが間近なのがわかった。アクア自身の子宮が、それを受け入れようと降りてきてしまっているのも。

 子宮の入り口を何度となく突かれて、ついに怒張の先が捩じ込まれた。今ここで精を吐き出されたら、確実に子宮が満たされてしまうだろう。そう想像したら、また膣全体が勝手にうねって、肉棒をぎゅっぎゅっと締めつけていた。

「ぐっ……好き者が、孕めッ……!」

 ふたりの腰が寸分の隙間もなく密着し、セルジュがアクアの最奥を穿ったのを最後に、すべての音が止む。しかし次の瞬間、膣の中で肉棒が爆ぜ、ビューッビューッという派手な射精音が聞こえてきた。

「────ッッ、んあぁぁぁぁんっっ」

 そして遅れることコンマ数秒後。アクアも全身と膣全体を盛大に痙攣させて、絶頂の向こう側に到達してしまった。肌膚きふがびくんびくんと脈打つ度、目の奥がチカチカと白く点滅する。
 肉棒が引き抜かれ、ごぽっという濁った水音がした。
 膣の入り口から、愛液と精液の混ざった白濁の液が零れ、ビリヤード台を汚す。

(ああ……中に、いっぱい……)

 取り返しのつかないことをされたという絶望感よりも、女の一番気持ち良いところを嬲り尽くされた高揚感でアクアは満たされていた。
 しかしそれもほんの束の間のことで、次第に頭の中が鮮明になってくる。

 快楽の余韻で身体はまだ痺れているが、砂漠で水を求めるがごとき淫欲への強烈な渇望が、わずかに治まった。

 冷静になってみると、あまりにも惨めな有り様に涙が込み上げてきた。正義の味方なのに、敵に好き勝手嬲られて悦んでしまうなんて。
 アクアはそんな自分を恥じながらも、泣いている場合ではないと己を無理やり鼓舞して身を起こす。

 すでに拘束は解かれた、セルジュも達してしまっているのだから、しばらくの間は動けまい。今こそ逃げ出す好機だ。

 本当に異星人セルジュの子を身籠ったらどうしよう、と軽く絶望もしているのだが、いまは自分のことよりも誘拐された女性たちの救出を優先しなければ。
 彼女たちは牢に囚われていたものの、衣服に乱れは見られず身なりも綺麗なものだった。その状況から考えるに、おそらくまだセルジュの手にかかっていないはずだ。
 誘拐された彼女たちに、自分の二の舞を演じさせてはならない。

 しかし無情にも、アクアの決死の思いは呆気なく蹴散らされてしまう。

「──えっ……? あんっっ!」

 起こした身体が意図せぬ方向に引っ張られた、と思った時にはすでに、アクアはセルジュの怒張に再び貫かれていた。

 衝撃で、治まりつつあった肉欲が呼び覚まされていく。何度も達してしまった秘膣に、滾った肉杭を拒めるわけもない。またも一突きで奥深いところまで潜り込まれてしまったアクアの花襞は、セルジュを歓迎するかのようにうごめいている。

「んっ、あんっ……ど、どうして……? あ、かたっ……」

 一度射精したにも関わらず、セルジュの陰茎は硬い。アクアをもう一度絶頂に導くには、十分なほどに。

「……ああ、一回で終わるとでも思っていたのか? 地球の脆弱な男と同列に扱われるなど、不快極まる」

 憤怒で膨れ上がった肉塊が加速する。息を吐かせぬほど速く細かな打ちつけなのに、その一突き一突きが強烈で、アクアはあっという間に快楽の波へと引き戻されてしまった。

「んんっ、あぅっ、あっ、あっ、あんっ……! やめてっ、セルジュさん……!」

「超大国ジェバイデッドの民がどれほど優れた遺伝子を持っているか、お前の身をもって証明するがいい。有能で、丈夫な子を産めることを光栄に思え」

 セルジュはアクアを嘲笑うかのように腰を大きく旋回し、怒張の張り詰め具合を知らしめてくる。アクアを確実に孕ませるまで、この昂ぶりは決して鎮まらないのだと。

「やだぁっ……! もう出さないでっ、おねがい……あんっ、赤ちゃん作っちゃだめなの……!」

 そう何度も精を注がれては、本当に妊娠してしまう。アクアは快楽の海に溺れかけながら、こんな蛮行はやめるようにと必死に訴える。しかしそれでやめるようなら、セルジュとて薬を無理やり飲ませたりはしなかっただろう。

「あんっ、あぁんっ……セルジュさん、セルジュさんっ……! やめてぇ……!」

 しばらくの間、遊戯場フロアはアクアの蕩けた嬌声と、肉のぶつかり合う音に支配された。
 
 
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