581 / 587
第9章 冬の……アナタ、どなた?
エピソード57-31
しおりを挟む
聖ドドリア魔導女学院 会議室――
シスターから『裁きの書』を借りる事に成功したマイルド7たち。
するとローラがサチウスの像にも興味を示した。
「サチウスの像に触らせてもらえないかしら?」
ローラは自分が持つサイコメトリー能力を駆使してサチウス像を調べる旨を説明すると、シスターは意外にも快く応じた。
「物に触れる事でどのような事がわかるのか、 私も興味がありますね」
「では、 協力して頂けるのですか?」
「詳しく調べたいのあれば、お貸しする事もやぶさかではありません」
「ありがとうシスター、 アナタが話が分かる人で良かった」
ローラはそう言って何度も頷いた。
やけにあっさりと受け入れられたので、千葉は訝し気にシスターに聞いた。
「このような事、 上層部に相談も無しに即決してよろしいので?」
「何を仰います! こうしている間にも子供たちに不安な思いを強いているのでしょう?」
「うう……た、 確かに」
若干声を荒げるシスターに、千葉はシスターを疑った自分を戒めた。
エリカは身を引き締めてシスターにお礼を言った。
「シスター、 ご協力感謝します!」
「ミス西園寺、 一刻も早く解決する様に祈っていますよ?」
「はい! 全力を尽くします!」
エリカはシスターに敬礼した。
その後、借用に関する手続きを終え、校舎を出た一同は駐車場に向かった。
力自慢のバタピーが、5、60cm程の風呂敷の様な布にくるまれた物体を抱えている。
恐らくそれが『サチウス像』であろう。
「おいバタピー、 丁重に頼むぞ?」
「お、 重ぉ……」
同じく布でくるまれた『裁きの書』を持った国領が、心配そうにバタピーの後をついて行く。
「ふいーっ……しかし何でこんなに重いんだ!?」
「知らんがな。 そこに置いて。 そぉっとね」
「わかってるって。 祟りでもあったらシャレになんねぇからな……」
こうして『裁きの書』と『サチウス像』は、国領のサイドカーに無事に収納された。
「みんな! 本部に戻るわよ!」
「「「「「イエス! マム!」」」」」
千葉の号令に、マイルド7のメンバーたちは背筋を伸ばし、気を引き締めた。
◆ ◆ ◆ ◆
ヨンリオ・ビュートランド 2階 制御室――
郁によって魔法キャンセラーの修復が終わり、警察からの指示を待つだけとなったココナたち。
机に両肘を突き、顔の前で手を組んでいるココナに、静流は心配そうに聞いた。
「ココナさん、 僕に何か出来る事はありますか?」
「気持ちだけ受け取っておく。 静流殿はあくまでもゲスト。 ゲストを危険にさらすような事は出来ないだろう?」
「そうですけど……どう思う? 薫子お姉さま?」
「そうねぇ……いざとなったら私が静流を守るけど。 ね? 忍?」
「当然。 静流は私が守る!」
そう言って姉たちは静流に拳を見せた。
そんな静流たちを見て、郁は若干苛立ちながらココナに聞いた。
「おいココナ、 いつまで警察の言いなりになってるんだ?」
郁にそう言われ、ココナは奥歯を噛みしめた。
「こちらとて手をこまねいているつもりは毛頭ない……」
ココナがポツリと呟くと、郁が反応した。
「何か策があるのか?」
「まぁな……」
ココナはスタッフに目くばせした。
「逆探知、 出来たか?」
「バッチリです! 場所も特定出来ましたっ!」
スタッフはドヤ顔で親指を立てた。
「配信の際にウチのサーバーを経由した痕跡があったので、即席のプログラムを使って追跡したんです」
「でかした。 して、 その場所は?」
ココナの問いに、スタッフは得意げに答えた。
「驚かないで下さいね? 実は……1Fのレストルームなのですっ!」
「何と、 あそこか……」
ココナはPCの画面をレストルームの防犯カメラに切り替え、 眉間にしわを寄せた。
「むぅ? こ、 これは静止画だっ!」
何と防犯カメラの前に、空のレストルームの写真を貼り付けていたらしい。
沖田は呆れ顔で画面を見つめた。
「何て原始的な……姑息な手を使う」
◆ ◆ ◆ ◆
ヨンリオ・ビュートランド 1階 レストルーム
ドアに『仮眠中』の表示がされているレストルーム。
部屋の中には黒装束をまとい、顔に仮面をつけている者たちがいた。
部下の一人が伸びをしながら呟いた。
「はぁーあ……待ってるだけでイイなんてよ、 楽な仕事だよな?」
「そりゃあ上手くいけばな……」
それを聞いたもう一人の部下が反応した。
「結構ヤバイぜ? ココにいる事がバレるのも時間の問題だろうし」
「そうだな……こんな初歩的なトリックにいつまでも騙されているほどバカじゃないからな……」
そして部下たちはリーダーを見た。
「わかってるわよ。 いざとなればコイツでドロンすればイイんだからねっ♪」
リーダーは部下たちに得意げに何かを見せた。
「「ま、 そりゃそうだっ♪」」
それを見て納得した部下たちは二カッと笑った。
シスターから『裁きの書』を借りる事に成功したマイルド7たち。
するとローラがサチウスの像にも興味を示した。
「サチウスの像に触らせてもらえないかしら?」
ローラは自分が持つサイコメトリー能力を駆使してサチウス像を調べる旨を説明すると、シスターは意外にも快く応じた。
「物に触れる事でどのような事がわかるのか、 私も興味がありますね」
「では、 協力して頂けるのですか?」
「詳しく調べたいのあれば、お貸しする事もやぶさかではありません」
「ありがとうシスター、 アナタが話が分かる人で良かった」
ローラはそう言って何度も頷いた。
やけにあっさりと受け入れられたので、千葉は訝し気にシスターに聞いた。
「このような事、 上層部に相談も無しに即決してよろしいので?」
「何を仰います! こうしている間にも子供たちに不安な思いを強いているのでしょう?」
「うう……た、 確かに」
若干声を荒げるシスターに、千葉はシスターを疑った自分を戒めた。
エリカは身を引き締めてシスターにお礼を言った。
「シスター、 ご協力感謝します!」
「ミス西園寺、 一刻も早く解決する様に祈っていますよ?」
「はい! 全力を尽くします!」
エリカはシスターに敬礼した。
その後、借用に関する手続きを終え、校舎を出た一同は駐車場に向かった。
力自慢のバタピーが、5、60cm程の風呂敷の様な布にくるまれた物体を抱えている。
恐らくそれが『サチウス像』であろう。
「おいバタピー、 丁重に頼むぞ?」
「お、 重ぉ……」
同じく布でくるまれた『裁きの書』を持った国領が、心配そうにバタピーの後をついて行く。
「ふいーっ……しかし何でこんなに重いんだ!?」
「知らんがな。 そこに置いて。 そぉっとね」
「わかってるって。 祟りでもあったらシャレになんねぇからな……」
こうして『裁きの書』と『サチウス像』は、国領のサイドカーに無事に収納された。
「みんな! 本部に戻るわよ!」
「「「「「イエス! マム!」」」」」
千葉の号令に、マイルド7のメンバーたちは背筋を伸ばし、気を引き締めた。
◆ ◆ ◆ ◆
ヨンリオ・ビュートランド 2階 制御室――
郁によって魔法キャンセラーの修復が終わり、警察からの指示を待つだけとなったココナたち。
机に両肘を突き、顔の前で手を組んでいるココナに、静流は心配そうに聞いた。
「ココナさん、 僕に何か出来る事はありますか?」
「気持ちだけ受け取っておく。 静流殿はあくまでもゲスト。 ゲストを危険にさらすような事は出来ないだろう?」
「そうですけど……どう思う? 薫子お姉さま?」
「そうねぇ……いざとなったら私が静流を守るけど。 ね? 忍?」
「当然。 静流は私が守る!」
そう言って姉たちは静流に拳を見せた。
そんな静流たちを見て、郁は若干苛立ちながらココナに聞いた。
「おいココナ、 いつまで警察の言いなりになってるんだ?」
郁にそう言われ、ココナは奥歯を噛みしめた。
「こちらとて手をこまねいているつもりは毛頭ない……」
ココナがポツリと呟くと、郁が反応した。
「何か策があるのか?」
「まぁな……」
ココナはスタッフに目くばせした。
「逆探知、 出来たか?」
「バッチリです! 場所も特定出来ましたっ!」
スタッフはドヤ顔で親指を立てた。
「配信の際にウチのサーバーを経由した痕跡があったので、即席のプログラムを使って追跡したんです」
「でかした。 して、 その場所は?」
ココナの問いに、スタッフは得意げに答えた。
「驚かないで下さいね? 実は……1Fのレストルームなのですっ!」
「何と、 あそこか……」
ココナはPCの画面をレストルームの防犯カメラに切り替え、 眉間にしわを寄せた。
「むぅ? こ、 これは静止画だっ!」
何と防犯カメラの前に、空のレストルームの写真を貼り付けていたらしい。
沖田は呆れ顔で画面を見つめた。
「何て原始的な……姑息な手を使う」
◆ ◆ ◆ ◆
ヨンリオ・ビュートランド 1階 レストルーム
ドアに『仮眠中』の表示がされているレストルーム。
部屋の中には黒装束をまとい、顔に仮面をつけている者たちがいた。
部下の一人が伸びをしながら呟いた。
「はぁーあ……待ってるだけでイイなんてよ、 楽な仕事だよな?」
「そりゃあ上手くいけばな……」
それを聞いたもう一人の部下が反応した。
「結構ヤバイぜ? ココにいる事がバレるのも時間の問題だろうし」
「そうだな……こんな初歩的なトリックにいつまでも騙されているほどバカじゃないからな……」
そして部下たちはリーダーを見た。
「わかってるわよ。 いざとなればコイツでドロンすればイイんだからねっ♪」
リーダーは部下たちに得意げに何かを見せた。
「「ま、 そりゃそうだっ♪」」
それを見て納得した部下たちは二カッと笑った。
0
お気に入りに追加
62
あなたにおすすめの小説
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今日の授業は保健体育
にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり)
僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。
その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。
ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる