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第9章 冬の……アナタ、どなた?

エピソード51-31

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インベントリ内 プレイルーム――

 睦美が静流たちの様子を見に来た。
 傍らにはロコ助が付いて来ていた。

「やぁ! 調子はどうだい? 静流キュン?」
「睦美先輩! 聞いて下さいよ……」

 静流はオーダーシートを睦美に見せ、思いの内をぶつけた。

「……問題は、僕以外はノリノリだって事なんです!」
「キミはノリノリじゃないと?」
「当り前です! 大体失礼でしょう? にわかの僕が二次元キャラを演じるなんて……」

 静流は先ほどの右京たちの言った事を気にしているようだ。

「ならば学習すればイイ。ロディ、静流キュンに薄い本の素晴らしさを教えて差し上げろ」
「御意」

 睦美に指示され、ロディは横にあった数十冊の薄い本を口に入れた。

「あーん。【リード】」 ベー

 ロディは薄い本を【リード】したのち、口からイジェクトした。 
 そして豹モードだったロディは、何故か静流に変身した。

「静流様、準備完了です」
「わ、わかったよ……でも何で僕の格好?」

 静流は目の前にいる自分に扮したロディから、薄い本の情報を【ロード】すべく、おでこを押し当てようとした。
 その時、ロディが動いた。

「隙あり!です! はむ」むちゅうぅ
「んぐっ、んむぅ!」

 【ロード】パァァ

 ロディが静流の唇を奪うと、口元が淡い光に包まれた。
 静流の頭をがっちり固定し、ロディは静流の唇をこじ開け、舌をねじ込んでいる。
 数十秒続いたのち、淡い光が消えた。

「ちゅぽん。 ロード完了、です」

 ロディは唇を離し、満足げにそう言った。
 それを見ていたルリたちが、若干引き気味にツッコミを入れた。

「ぬはぁ、かなりディープな接吻でしたね……ムフ」
「見せつけてくれるなぁロディ、えげつないでジブン」

 睦美は静流の顔を覗き込み、状況を確認した。

「どうかな? しっかり頭に入ったかい?」
「う……うわぁぁ!」

 静流は動物園のヒグマの様に頭を抱え、悶え始めた。

「ぐわぁ、いかがわしい光景が頭の中を……」

 悶えている静流が静かになったのを見て、睦美が声をかけた。

「静流キュン、役になりきれそうかい?」
「……一応内容は入りました。こうなりゃヤケだ。やってみます」
「結構。準備を始めてくれ」
 
 満足いく返事に安心した睦美に、静流は少し悪びれた口調で言った。

「でも、バトルが長引いて遅れたせいで、あと30分しか出来ないんですよね? いやぁ、残念だなぁ」

 結局開始時間が1時間遅れている事を指摘し、不幸中の幸いとばかりに安堵している静流。

「静流キュン、何か、勘違いしているみたいだね?」
「へ? 何がです?」

 静流は睦美の言っている事が理解出来ないでいた。

「インベントリの特徴を思い出すんだ」
「インベントリの、特徴?」

 静流は首を傾げて、ロコ助を見た。

「シズル様、ココの時間は自由に設定出来るって前に説明したニャ?」
「はっ!……そうだった……」

 ロコ助に言われ、見る見る顔が青くなっていく静流。

「そう言う事だ! 時間については気にする事は無いぞ? ハッハッハ!」

 睦美は織り込み済みだったのだ。インベントリが外の空間とは違う時間設定が出来る事を。

「一体何時間やらされるんだ!? ここは地獄ですか?」
「取り敢えず、予定時間を取り戻す為、外界の三倍にセットしてある」
「さ、三倍!?……くぅぅ」

 それを聞いた静流は、がっくりと肩を落とした。



              ◆ ◆ ◆ ◆


インベントリ内 仮眠室――

 検閲が終わったユーザーたちは、次々と仮眠室に案内された。
 仮眠室には30基近くの睡眠カプセルが並んでいた。

「へぇ……まるでSFだね」

 ナンシー関サバが呟いた。
 係の部員に、何かを渡される関サバ。

「はい、これ。あちらのボックスで事前に穿き替えておいて下さいね? ムフ」
「へ? 何コレ? 大人用の……紙オムツ?」

 部員が指差したのは、電話ボックス程の大きさの部屋が5基並んでいる所だった。

「そうきたか……この私ををオギャらせるつもりか?」
「拙者、ホラーは得意ではないのでござる……」

 ユーザーたちは困惑しながらボックスに入って行く。

「穿き替えた方からカプセルにお入りください!」

 オムツに穿き替えた者たちがカプセルに入って行く。
 関サバも促され、カプセルに入った。

「うわ……益々SFだね。期待度MAXだわ」

 それぞれが睡眠カプセルに入ると、忍がオーダーシートを見ながら設定していく。
 やがて全てのカプセルが埋まり、1回目の稼働となった。

「では皆さん、イイ夢を。お願いします!」パチ 

 部員の指パッチンを合図に、カプセルが稼働を始めた。

 ブゥゥーン

 カプセルの蓋が閉まり、角度がゆっくり鈍角になっていく。
 関サバはものの数秒で眠りに落ちた。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



 時刻が次の日に変わろうとしている頃、ローカル線の無人駅から一人の大男が出て来た。

「ふぁーあ。疲れた……」(ん?アタシ? 声低う……)

 軽く伸びをして、自宅と思われる方向に歩いて行く。
 数分で二階建てのいかにもなボロアパートに着く。
 外階段で二階に上がり、角の部屋に入る。

「ただいまぁ……」

 大男がそう言って靴を脱いでいると、廊下をパタパタと掛けて来る気配がした。

「鉄男! おかえりぃ♡」
「なんだ静流、まだ寝て無かったのか?」(テツオ? アタシが?)
「うん♡ お疲れ様」

 静流と呼ばれた青年は、背が大男の頭一個分低い華奢な体格の、桃色の髪が特徴のまだあどけなさが残る青年だった。
 エプロン姿の静流は、にこやかに微笑み、大男の胸に飛び込んだ。 

「こら、まとわりつくな」
「ガマンしろ! こちとら一日、寂しかったんだぞぉ? ぷぅ」(か、かわええ……)

 鉄男が抱き付いている静流を引きはがすと、エプロンの下は全裸だった。

「静流!? お、お前……何考えてんだ!」
「何を今更。鉄男のリクエストだろ?」

 その言葉を聞いた瞬間、鉄男の理性が飛んだ。

「静流ぅ!」
「あ、こら、急に欲情するな!」
「お前が! そんな恰好するからだろ!」

 鉄男は静流を抱きしめ、首筋に舌を這わせた。
 突然豹変した鉄男に最初は抵抗していたが、やがてされるがままになっていた。

「ベッドに、連れてって……」

 鉄男は静流をお姫様抱っこしてベッドに行き、静流をベッドに放り投げた。
 
「ぎゃん!」

 服を脱ぎ散らかし、全裸になると、鉄男は静流に飛び込み、エプロンを剥ぎ取った。

「静流ぅ!」ガバッ
「ぐっ! 重い……鉄男、溜まってるの?」

 一心不乱に静流を貪る鉄男に、静流は鉄男の頭を優しく撫で、ささやいた。

「僕が、ヌイてあげるよ」

 そう言って静流は鉄男をベッドに寝かせ、鉄男のギンギンにいきり立っているイチモツを、舌で弄び始めた。

「ちゅぱ、ちゅぽっ……」
「う、うう……」


  Φ Ψ Φ Ψ Φ Ψ Φ Ψ


「お、おおっ、もうダメだ! で、出るぅぅっ♡♡♡」
「あ、ダメだよまだイッちゃ……」

 静流の巧みな舌使いに、程なく鉄男は果てた。

「んぐっ…………もう、出ちゃったの? しょうがないなぁ……」
「す、済まん。我慢出来なかった……」

 静流は鉄男の分泌物を綺麗に舐め取り、イチモツをしごき始めた。

「今夜はやけに敏感なんだな。『疲れ○○』ってやつ?」
「おい……今イッたばかりなんだ、勘弁してくれよ」

 鉄男はいわゆる『賢者タイム』に突入したのだろう。
 急激に興奮が覚め、まだ自分のイチモツを弄んでいる静流をうっとおしくあしらった。
 静流は小悪魔的な笑みを浮かべ、鉄男にささやいた。

「ヤダね。ほら。もうこんなに硬くなってる」

 その後も鉄男は、静流にこってり搾り取られ、夜は更けていった。

「鉄男……来て♡」
「静流ぅぅぅ!!」


  Φ Ψ Φ Ψ Φ Ψ Φ Ψ
  Ψ Φ Ψ Φ Ψ Φ Ψ Φ



「あっひぃぃぃぃん♡♡♡」



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇



「ピピピピピ」

 時間となり、電子音が鳴った。

  ブゥゥーン

 睡眠カプセルの蓋が開き、角度がゆっくり鋭角になっていく。

「お疲れ様でした!」

 眠りから覚めた者たちは、心ここに在らずと言った状態で、暫くボーッと天井付近を虚ろなまなざしで見ていた。

「私の腕枕で甘える静流様……可愛かったなぁ……ぐふっ」
「拙者のS属性が開花したのでござる……ブフゥ」

 関サバも夢から目覚め、首を左右に振った。

「あ、あの感覚が『射精』なの? スゴかったぁ……」

 関サバは夢で見た感覚を思い出し、ぶるっと身震いした。
 それと同時に、自分の股間に異常を感じた。

「うへぇ、こりゃ大変だ……」

 関サバはこの時、紙オムツのありがたさを思い知った。

「やけにリアルな夢だったわね……これが『夢精』ってやつなの?」
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