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第8章 冬が来る前に
エピソード45-6
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五十嵐家 玄関―― 朝
薫子の『最終試験』当日、朝食を済ませた静流は、先ほど薫子と入れ替わった。
静流はシズムに変身し、ロディは本に戻し、静流のメッセンジャーバッグに入れてある。
玄関を出ると、真琴が待っていた。
「おはよう静流! 美千留ちゃん」
「おはよう、真琴、ちゃん」
「行って来ます。真琴ちゃん、しず兄を頼んだよ?」
「わかった。任せといて! 行ってらっしゃい」
美千留はそう言うと、三中の方に歩いて行った。
「じゃあ、行こっか、静流クン?」
「う、うん」
慣れないせいか、シズムがリードする形になってしまっている。
「真琴ちゃん、朝の静流って、どんな感じ?」
「そうですね。もっと猫背で、くたびれた感じですね。丁度あんな感じです」
真琴が差した方には、猫背でだるそうに歩いているシズムがいた。
「うー、だるぅ。しかし、この格好、久しぶりだなぁ……」
「ちょっと? シズムちゃんはもっと背筋ピーンとしてなきゃダメでしょ?」
「へいへい。ところで静流クン、クラスの奴らの顔と名前、覚えた?」
「うん。大丈夫だよ。前に授業風景を睦美に見せてもらったし、ロディちゃんから名簿を【ロード】させてもらったから」
「睦美先輩が? いつの間に?」
「い、イイじゃない、そんな事。さぁ、行くわよ!」
薫子が言っていたのは、いつぞやの衛星中継の事であろう。
「口調、オネエ言葉になってますよ?」
「うっ、いけない。気を付けなきゃ」
◆ ◆ ◆ ◆
国分尼寺魔導高校 2-B教室――
教室に着き、各々の席に座ろうとするが、シズムが静流の席に着くなり、机に突っ伏した。
「おはよ。あーだりぃ……」
前の席の達也が、不思議な顔をしてシズムを見ている。
「ちょっと、シズムさん? ココ、僕の席なんだけど?」
引きつった顔の静流が、机に突っ伏しているシズムをつつきながら言った。
「うん……? あ、いけね! ボクの席、ココじゃなかったんだ!」ガタッ
静流につつかれ、慌てて飛び起きるシズム。
「『ボク』って? どうしちゃったの? シズムちゃん?」
気が付くと周りの女子が、シズムを心配そうに見ている。
「何寝ぼけてるのよシズムちゃん? 役にハマり過ぎじゃないの?」
「え? そ、そうなの。今度ボクっ子の役やるんだ♪ エヘヘ」
真琴が機転を利かせて、助け船を出した。
シズムはにやけ顔で、後頭部を搔きながら自分の席に着く。
「なぁんだ、そうだったんだ。ボクっ子のシズムちゃんも、カワイイ~♡」
シズムは自分の席に着くなり、後ろから抱きしめられた。
「京子ばっかズルいぃ、私もぉ」
「ちょっと重いよぉ」
シズムにとっては日常茶飯事であったが、色んな意味で静流には荷が重かった。
そんな光景を眺め、達也は呟いた。
「なぁ静流? 何か変じゃないか? シズムちゃん」
「え? そ、そうかなぁ? いつもと変わらないと思うけど」
達也の問いに、静流は頬を指で掻く仕草でそう答えた。
「ねえ、五十嵐クン、いつもより、お肌スベスベじゃない?」
「うわ。ほんとだ。赤ちゃんみたい」
朋子の指摘に、周りの女子が数人近寄り、静流の頬をつついた。
「うわぁ。ずぅっと触っていたい……ムハァ」
「ち、ちょっと止めてよ。夕べ一杯寝たからじゃないかな?」
「睡眠か。やっぱお肌には睡眠よねぇ?」
静流の言葉に納得したのか、女子たちは自分の席に帰って行く。
「何なのよ……もう」
小さい声でそう言った静流は、少し乱れた髪を整えている。
「うん? 静流? どうしたんだお前」
「何だよ達也。僕の顔に何か付いてるの?」
達也にじぃーっと見られている静流は、手鏡を瞬時に出して容姿を確認している。
「何も付いてないじゃん、おかしなヤツだなぁ」
「おかしいのはお前だ、静流」
達也は神妙な顔つきでそう言った。
「僕が? ドコがおかしいって言うのさ?」
静流の額から、冷や汗が滴った。
「お前……ソッチの方に目覚めたのか?」
「な、何を言い出すかと思えば、怒るよ?」
達也の発言に、静流は困惑していた。
「そんなワケないでしょ? 静流は近いうち、顔アップのシーンがあるから、お肌には細心のケアを心掛ける様に事務所に言われてるのよ!」
「そうなのか? 静流?」
「う、うん。結構大変なんだぞ? ニキビでも出来たら、大目玉食らっちゃうよ」
またもや真琴のフォローで難を逃れた静流たち。
「そっかぁ。バイトとは言え、芸能界だもんな。ま、頑張れや」
「う、うん。サンキュー」
達也の疑念を晴らし、静流は疲れがどっと出たのか、机に突っ伏した。
「うぃー、疲れた……」
それは、通常の静流に戻ったかのような光景だった。
隣の真琴は、静流に親指を立てて見せた。
(ガンバです。薫子さん!)
◆ ◆ ◆ ◆
屋上―― 昼
午前の授業が終わり、すぐさま屋上に上がる静流たち。
屋上の鍵は生徒会長の左京に借りた。
薫子は静流のままで、ペットボトルのお茶をあおった。
「ゴクゴク……ぷはぁ、結構しんどいわね」
「お姉様、あまり無理しない方がイイんじゃない?」
「そうです薫子様。私にお任せを」
薫子の様子を見かねた静流は、グレーの猫に変身したロディと共に、声を掛けた。
「この位、問題無いわよ。その証拠に、後半は何も無かったでしょ?」
「確かに。上手くやれてた、とは思う」
「でしょう? 大丈夫だってば」
少しして、購買部でパンを買って来た真琴が屋上に来た。
「お待たせ。はい、みんなの分」
「サンキュー。今日は大活躍だな、真琴」
「そりゃあ、こう言う時に役に立たないとね。1マネとしてはね」
静流たちがパンを食べていると、誰かが屋上に上がって来た。
「やぁ静流キュン、ココにいたのかい?」
「睦美……先輩?」
睦美には昨日、薫子と入れ替わる事を伝えてあったが、薫子はそれを知らない。
睦美は静流の隣に当然のように座り、おもむろに弁当を広げ、食べ始めた。
「う~ん。青空の下で食べる弁当も、悪くないな」
「そ、そうですね……睦美先輩? ちょっと近くないですか?」
「そうかな? いつもこうして密着して食べているじゃないか。今更恥ずかしがる事もあるまいに」
静流は困った顔で、真琴とシズムを交互に見た。
「先輩、良くココにいるってわかりましたね?」
「簡単な事だ。左京から報告があった。頼んでもいないのに、律儀な奴だ。ハッハッハ」
「左京、アイツめぇ……」
「しょうがないよ。生徒会は先輩の庭だもんね」
「おやシズムちゃん? 口数が多いようだが、自我でも芽生えたか?」
「ノ、ノーコメントでぇす」
薫子の最終試験中なのをイイ事に、睦美はやりたい放題だった。
食べ終わった睦美は、静流の頭の匂いを嗅ぎ、手櫛で髪を撫で始めた。
「ところで静流キュン、いつものシャンプーじゃないな?変えたのかい?」
「間違って美千留のを使ったんだ。変かな?」
「イイ。実にイイと思う。フヒヒヒ」
「や、止めて下さい、先輩」
「ムフゥ。困った顔もカワイイね。目に入れても痛くないかもしれない。入れて見ようか? ゲヒヒヒ」
ずんずん迫って来る睦美に、静流は恐怖すら感じている。
「待ちわびたよ静流キュン、いつかこうなる事を……フゥー」
「あわわわ……あふっ」
睦美が静流の耳元に息を吹きかけると、静流は悶えた。
傍で見ていた真琴は、プルプルを小刻みに震えていたが、やがてキレた。
「睦美先輩!? いい加減にして下さい!!」
「何だね真琴クン? 今イイ所なんだ。放って置いてくれたまえ」
キレた真琴に対し、悪びれもせず微笑する睦美。
「いつまでこの茶番劇、続けるつもりですか!?」
「え? 茶番……劇!?」
真琴の発言に、一瞬戸惑う静流。するとシズムが言った。
「睦美先輩、いくら何でも悪ノリが過ぎます。その位で勘弁してあげて下さいよぉ……」
「……フフ。もう少しだったんだけどなぁ。可愛かったなぁ、お姉様のリアクション」
そう言って睦美は、ゆっくりと静流から離れた。
「ん? あ、知ってたなぁ? 睦美ぃ!」
「ムフゥ。最高でしたよ。お姉様と静流キュンの融合。ああ。たまらん」
静流は睦美を睨み、腕をクロスさせ、ガードした。
睦美は自分を抱きしめ、クネクネと左右に揺れている。
「いろいろ言いたい事はあるけど、どうなの? 私は合格?」
薫子は静流の格好で腕を組み、オネエ言葉でそう言った。
「概ね合格ですが、不意打ちにはお気を付けくださいね?」
「わかったわよ。もう、睦美のイジワル……」
そう言って顔を赤らめ、下を向く静流に、睦美は興奮しながら言った。
「イイ、いいなぁ。そうやって恥じらう静流キュン、うはぁ、至福だ……へぶぅ」
「睦美先輩、鼻血、出てますよ」
やがて昼休みが終わり、各々は教室に戻った。
薫子の『最終試験』当日、朝食を済ませた静流は、先ほど薫子と入れ替わった。
静流はシズムに変身し、ロディは本に戻し、静流のメッセンジャーバッグに入れてある。
玄関を出ると、真琴が待っていた。
「おはよう静流! 美千留ちゃん」
「おはよう、真琴、ちゃん」
「行って来ます。真琴ちゃん、しず兄を頼んだよ?」
「わかった。任せといて! 行ってらっしゃい」
美千留はそう言うと、三中の方に歩いて行った。
「じゃあ、行こっか、静流クン?」
「う、うん」
慣れないせいか、シズムがリードする形になってしまっている。
「真琴ちゃん、朝の静流って、どんな感じ?」
「そうですね。もっと猫背で、くたびれた感じですね。丁度あんな感じです」
真琴が差した方には、猫背でだるそうに歩いているシズムがいた。
「うー、だるぅ。しかし、この格好、久しぶりだなぁ……」
「ちょっと? シズムちゃんはもっと背筋ピーンとしてなきゃダメでしょ?」
「へいへい。ところで静流クン、クラスの奴らの顔と名前、覚えた?」
「うん。大丈夫だよ。前に授業風景を睦美に見せてもらったし、ロディちゃんから名簿を【ロード】させてもらったから」
「睦美先輩が? いつの間に?」
「い、イイじゃない、そんな事。さぁ、行くわよ!」
薫子が言っていたのは、いつぞやの衛星中継の事であろう。
「口調、オネエ言葉になってますよ?」
「うっ、いけない。気を付けなきゃ」
◆ ◆ ◆ ◆
国分尼寺魔導高校 2-B教室――
教室に着き、各々の席に座ろうとするが、シズムが静流の席に着くなり、机に突っ伏した。
「おはよ。あーだりぃ……」
前の席の達也が、不思議な顔をしてシズムを見ている。
「ちょっと、シズムさん? ココ、僕の席なんだけど?」
引きつった顔の静流が、机に突っ伏しているシズムをつつきながら言った。
「うん……? あ、いけね! ボクの席、ココじゃなかったんだ!」ガタッ
静流につつかれ、慌てて飛び起きるシズム。
「『ボク』って? どうしちゃったの? シズムちゃん?」
気が付くと周りの女子が、シズムを心配そうに見ている。
「何寝ぼけてるのよシズムちゃん? 役にハマり過ぎじゃないの?」
「え? そ、そうなの。今度ボクっ子の役やるんだ♪ エヘヘ」
真琴が機転を利かせて、助け船を出した。
シズムはにやけ顔で、後頭部を搔きながら自分の席に着く。
「なぁんだ、そうだったんだ。ボクっ子のシズムちゃんも、カワイイ~♡」
シズムは自分の席に着くなり、後ろから抱きしめられた。
「京子ばっかズルいぃ、私もぉ」
「ちょっと重いよぉ」
シズムにとっては日常茶飯事であったが、色んな意味で静流には荷が重かった。
そんな光景を眺め、達也は呟いた。
「なぁ静流? 何か変じゃないか? シズムちゃん」
「え? そ、そうかなぁ? いつもと変わらないと思うけど」
達也の問いに、静流は頬を指で掻く仕草でそう答えた。
「ねえ、五十嵐クン、いつもより、お肌スベスベじゃない?」
「うわ。ほんとだ。赤ちゃんみたい」
朋子の指摘に、周りの女子が数人近寄り、静流の頬をつついた。
「うわぁ。ずぅっと触っていたい……ムハァ」
「ち、ちょっと止めてよ。夕べ一杯寝たからじゃないかな?」
「睡眠か。やっぱお肌には睡眠よねぇ?」
静流の言葉に納得したのか、女子たちは自分の席に帰って行く。
「何なのよ……もう」
小さい声でそう言った静流は、少し乱れた髪を整えている。
「うん? 静流? どうしたんだお前」
「何だよ達也。僕の顔に何か付いてるの?」
達也にじぃーっと見られている静流は、手鏡を瞬時に出して容姿を確認している。
「何も付いてないじゃん、おかしなヤツだなぁ」
「おかしいのはお前だ、静流」
達也は神妙な顔つきでそう言った。
「僕が? ドコがおかしいって言うのさ?」
静流の額から、冷や汗が滴った。
「お前……ソッチの方に目覚めたのか?」
「な、何を言い出すかと思えば、怒るよ?」
達也の発言に、静流は困惑していた。
「そんなワケないでしょ? 静流は近いうち、顔アップのシーンがあるから、お肌には細心のケアを心掛ける様に事務所に言われてるのよ!」
「そうなのか? 静流?」
「う、うん。結構大変なんだぞ? ニキビでも出来たら、大目玉食らっちゃうよ」
またもや真琴のフォローで難を逃れた静流たち。
「そっかぁ。バイトとは言え、芸能界だもんな。ま、頑張れや」
「う、うん。サンキュー」
達也の疑念を晴らし、静流は疲れがどっと出たのか、机に突っ伏した。
「うぃー、疲れた……」
それは、通常の静流に戻ったかのような光景だった。
隣の真琴は、静流に親指を立てて見せた。
(ガンバです。薫子さん!)
◆ ◆ ◆ ◆
屋上―― 昼
午前の授業が終わり、すぐさま屋上に上がる静流たち。
屋上の鍵は生徒会長の左京に借りた。
薫子は静流のままで、ペットボトルのお茶をあおった。
「ゴクゴク……ぷはぁ、結構しんどいわね」
「お姉様、あまり無理しない方がイイんじゃない?」
「そうです薫子様。私にお任せを」
薫子の様子を見かねた静流は、グレーの猫に変身したロディと共に、声を掛けた。
「この位、問題無いわよ。その証拠に、後半は何も無かったでしょ?」
「確かに。上手くやれてた、とは思う」
「でしょう? 大丈夫だってば」
少しして、購買部でパンを買って来た真琴が屋上に来た。
「お待たせ。はい、みんなの分」
「サンキュー。今日は大活躍だな、真琴」
「そりゃあ、こう言う時に役に立たないとね。1マネとしてはね」
静流たちがパンを食べていると、誰かが屋上に上がって来た。
「やぁ静流キュン、ココにいたのかい?」
「睦美……先輩?」
睦美には昨日、薫子と入れ替わる事を伝えてあったが、薫子はそれを知らない。
睦美は静流の隣に当然のように座り、おもむろに弁当を広げ、食べ始めた。
「う~ん。青空の下で食べる弁当も、悪くないな」
「そ、そうですね……睦美先輩? ちょっと近くないですか?」
「そうかな? いつもこうして密着して食べているじゃないか。今更恥ずかしがる事もあるまいに」
静流は困った顔で、真琴とシズムを交互に見た。
「先輩、良くココにいるってわかりましたね?」
「簡単な事だ。左京から報告があった。頼んでもいないのに、律儀な奴だ。ハッハッハ」
「左京、アイツめぇ……」
「しょうがないよ。生徒会は先輩の庭だもんね」
「おやシズムちゃん? 口数が多いようだが、自我でも芽生えたか?」
「ノ、ノーコメントでぇす」
薫子の最終試験中なのをイイ事に、睦美はやりたい放題だった。
食べ終わった睦美は、静流の頭の匂いを嗅ぎ、手櫛で髪を撫で始めた。
「ところで静流キュン、いつものシャンプーじゃないな?変えたのかい?」
「間違って美千留のを使ったんだ。変かな?」
「イイ。実にイイと思う。フヒヒヒ」
「や、止めて下さい、先輩」
「ムフゥ。困った顔もカワイイね。目に入れても痛くないかもしれない。入れて見ようか? ゲヒヒヒ」
ずんずん迫って来る睦美に、静流は恐怖すら感じている。
「待ちわびたよ静流キュン、いつかこうなる事を……フゥー」
「あわわわ……あふっ」
睦美が静流の耳元に息を吹きかけると、静流は悶えた。
傍で見ていた真琴は、プルプルを小刻みに震えていたが、やがてキレた。
「睦美先輩!? いい加減にして下さい!!」
「何だね真琴クン? 今イイ所なんだ。放って置いてくれたまえ」
キレた真琴に対し、悪びれもせず微笑する睦美。
「いつまでこの茶番劇、続けるつもりですか!?」
「え? 茶番……劇!?」
真琴の発言に、一瞬戸惑う静流。するとシズムが言った。
「睦美先輩、いくら何でも悪ノリが過ぎます。その位で勘弁してあげて下さいよぉ……」
「……フフ。もう少しだったんだけどなぁ。可愛かったなぁ、お姉様のリアクション」
そう言って睦美は、ゆっくりと静流から離れた。
「ん? あ、知ってたなぁ? 睦美ぃ!」
「ムフゥ。最高でしたよ。お姉様と静流キュンの融合。ああ。たまらん」
静流は睦美を睨み、腕をクロスさせ、ガードした。
睦美は自分を抱きしめ、クネクネと左右に揺れている。
「いろいろ言いたい事はあるけど、どうなの? 私は合格?」
薫子は静流の格好で腕を組み、オネエ言葉でそう言った。
「概ね合格ですが、不意打ちにはお気を付けくださいね?」
「わかったわよ。もう、睦美のイジワル……」
そう言って顔を赤らめ、下を向く静流に、睦美は興奮しながら言った。
「イイ、いいなぁ。そうやって恥じらう静流キュン、うはぁ、至福だ……へぶぅ」
「睦美先輩、鼻血、出てますよ」
やがて昼休みが終わり、各々は教室に戻った。
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