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第6章 時の過ぎゆくままに
エピソード39-11
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薄木航空基地 第7格納庫――
格納庫二階の事務所に、郁が帰って来た。
澪はすくっと立ち上がり、郁の方を向く。
「聞かせてもらえます? 上の回答を」
「澪、先ほどの件だが、上から圧力が掛かった」
「何です? 圧力って?」
「ポスターを静流めには見せるな。少なくとも貼り出すまではな」
「何ですって? 黙ってろ、って事ですか?」
「貼り出す枚数は刷ってしまったらしい。挿し替えは出来ん」
「だからって、何も言わないんですか?」
怒りに打ち震えている澪に、郁は穏やかに言った。
「まあ待て。もう一人の静流めのキャラクターは、二次元だろ?」
「それが、どうしたっていうんです?」
「ポスターの静流は、創作だと一筆入れる事で手を打っておいた。見ろ」
郁が見せたのは、ポスターにシールで追加する為のコメントだった。内容は、
『このキャラクターはフィクションです。実在の人物・団体等とは、全く関係ありません』
と言う、ドラマ等でよく見る文言のようであった。
「つまり、静流クンは実在しないって事ですか? それじゃあ静流クンが可哀そうです!」
「わからんのか? だから二次元なのだ。 静流めを守る為だ。致し方なかろう?」
澪はギリッと奥歯を噛んだ。
「薄い本も、たまには役に立つって事でありますよね? 隊長?」
「見直しましたよ隊長。少しは頭が回るんですね?」
「失敬な。私にとっても静流めは可愛いヤツだ。その位上にねじ込むさ」
みんなに評価され、郁も少し照れている。
「隊長、ご尽力頂き、ありがとうございました」
「少しは冷えたか?頭」
「はい。隊長」
「ポスターの件はわかったな。では会いに行くぞ、静流めに」
「「「「はい!」」」」
◆ ◆ ◆ ◆
ワタルの塔―― 2階 応接室
静流たちは余った時間で記念写真を撮ったりしていた。
「静流クン、この中で一番イイと思う相手を選んで、ツーショット写真を撮りましょうよ」
「さっき散々撮りましたよね、ツーショット」
「違うの。選ばれた子は静流クンに『お姫様抱っこ』されて、ほっぺにチューしてもらうのよ!」フーフー
「うぇ? 僕が選ぶんですか? 独断と偏見でイイんですか?」
「全然OKよ! 恨みっこなしだからね? みんな!」
「「「「「はぁーい!」」」」」
「題して、『静流クンが選ぶ、第1回フォトジェニック賞』!」
静流を中央に立たせ、国尼側3人と学園側6人でそれぞれ並ぶ。
「みんな! 思いっきりアピールするのよ? いいわね? せーの!」
「「「「「「「うっふーん!」」」」」」」
みんなは、思い思いの悩殺ポーズで静流にアピールする。
「望む所です! 負けませんよ? 真琴さん!」
「返り討ちにしてくれるわ。ヨーコさん!」
ヨーコと真琴が張り合っている。
「ほれほれ、たわわに実ったグレープフルーツが、落っこちそうだべぇ?」
「大きさより張りよ! この弾力、試してガッテン?」
アンナとナギサが、自分の胸を静流に見せ、自己陶酔している。
「むむ、なかなかやるわね? 熟女のなめらかな肢体、とくと見なさい」
「カチュア先生? なんてハレンチな……」
カチュアのなまめかしい動きに、ニニちゃん先生は顔を赤くしている。
「そんなに見ないで下さい、ミスター・イガラシ」
ニニは、静流の視線を感じ、胸の前で手をクロスさせ、上体を後ろにひねった。
「ニニちゃん先生、それで片足を後ろに蹴り上げるんです!」フーフー
「こ、こうですか? 睦美さん?」
ニニは、睦美の言う通りにポーズを取った。
「あ! まいっちんげポーズだ!」パァ
今まで照れ照れだった静流の顔が、ニニの『まいっちんげポーズ』を見た途端、歓喜の声を上げた。
「完璧ですニニ先生! はっ、いかん、ついうっかりやってしまった……」
睦美は思わずニニをアシストしてしまった事を、今更ながら悔しがった。
「美千留ちゃん、手伝ってくれます?」
「イイけど? 何するの? サラちゃん先生?」
サラは椅子を二つくっ付け、美千留と並んで座り、お互いの太ももを交差し、手を相手の腰に置く、百合系の絡みポーズを披露する。
「エロいポーズなら任せて下さい。ヌフゥ、イイ匂い」
「ふぇ。変な気分になっちゃうぅ」
さすがはエロ漫画家。サラの絡みポーズは絵になっている。
「ぶうっ! 素晴らしい。 最高だ二人共! 脳内ストレージに保管せねば!」フーフー
「うわ。見ちゃイケナイものを見てる感じだな……って睦美先輩、鼻血出てますよ!」
◆ ◆ ◆ ◆
アピールタイムが終わり、いよいよ結果発表であった。
「さぁ静流クン? 誰が一番良かった? 言ってみなさい?」
静流が端からみんなをひとりずつ見ていく。ヨーコはゴクリと生唾を飲んだ。
「僕がカワイイって思ったのは、ニニちゃん先生です!」
静流が右手を差し出したのは、何とニニだった。
「「「「ええ~っ!?」」」」
一同は意外な結果に、驚きを隠せない。
「理由、聞いてもイイ?」
不服そうなカチュアが、静流に聞いた。
「ニニちゃん先生、完璧でしたよ、まいっちんげポーズ! 嬉しかったなぁ」パァァ
「何よ、まいっちんげポーズって?」
「少年マンガにあるんですよ。ちょっとエッチなギャグ漫画が、ね」
意味がわからないカチュアに、睦美がフォローを入れた。
「恥じらう感じとか、確かにソレでしたよ。私も思わずアシストしてしまった」
「僕、好きだったんですよね、『まいっちんげ!マチャコ先生』。あとは、」
「あとはって、何よ?」
「僕と価値観が似ている……って所、かな?」
確かに、エロには厳しい所や、いささかカタめの思考回路は、静流に似ている、とも言える。
「完敗よ、ニニ」
「さすがに価値観まではすぐには変えられないですわね」
「静流様の今日イチの笑顔だったベな。敵わねえべよ」
カチュア、ナギサ、アンナは、素直に負けを認めた。
「クッ、今日の所はこの位にしておいてあげます。真琴さん!」
「とりあえず、引き分けって事で手を打ちましょう、ヨーコさん!」
ヨーコと真琴は、仲がイイのか悪いのか、よくわからなかった。
「美千留ちゃんのお陰で、新しいマンガのプロット、思いついちゃった」
「楽しみにしてるね。先生」
いつの間にか、真琴や美千留も、学園側の者と仲良くなっていた。
「じゃあ、撮りましょうか」
「本当に、私でイイのですか? ミスター・イガラシ?」
「先生が、イイんです!」
そう言うと静流は、ふぁさっとニニを抱き抱えた。
「きゃ! ……重いでしょう? 私」カァァ
「全然。ムムちゃんよりはかなり軽いですよ?」パチ
静流のウィンク入りのニパを軽く浴び、意識が飛びそうになるニニ。
「ひゃう、は、早く撮りなさい!」
「シズム、写真お願い」
「はぁーい、かしこまりぃ」
位置取りを終え、撮影に入る。
「イイ? イクよ! はい、ポーズ!」
「失礼します。むちゅ」
静流はニニの頬にキスをした。
「はひぃぃぃぃん!」
ニニの目が♡マークになり、軽くのけ反った。気を失っているようだ。
「ニニ? もしかしてアナタ、イッたの?」
「だ、大丈夫ですか? ニニちゃん先生?」
程なくニニの目が開く。
「……早く、降ろしなさい」
「あ、すいません。立てます?」
「こ、この位、大丈夫……です」カァァ
静流に顔を覗き込まれ、顔を真っ赤にするニニ。
「うぶな子ね? 惚れちゃたのかしら? 静流クンに」
そう言ってカチュアは、ニニを小突いた。
「み、認めませんからね? 私は!」チャ
「はいはい。そう言う事にしておきましょうね」
じゃれ合っている二人の先生を、静流は嬉しそうに見ていた。
「楽しんでくれたみたいで、良かった」パァァ
「「「「「「ふぁふぅぅぅん」」」」」」
一同は、静流のニパを浴び、大きくのけ反った。
するとブラムが、
「シズル様ぁ、もうすぐ時間だよ?」
「そっか。みんな、申し訳ないけど、これから電源室のメンテが入るんだ。宴もたけなわって事で今日は終わりにしよっか?」
「「「「ええー!?!?」」」」
一同は名残惜しそうに言った。
格納庫二階の事務所に、郁が帰って来た。
澪はすくっと立ち上がり、郁の方を向く。
「聞かせてもらえます? 上の回答を」
「澪、先ほどの件だが、上から圧力が掛かった」
「何です? 圧力って?」
「ポスターを静流めには見せるな。少なくとも貼り出すまではな」
「何ですって? 黙ってろ、って事ですか?」
「貼り出す枚数は刷ってしまったらしい。挿し替えは出来ん」
「だからって、何も言わないんですか?」
怒りに打ち震えている澪に、郁は穏やかに言った。
「まあ待て。もう一人の静流めのキャラクターは、二次元だろ?」
「それが、どうしたっていうんです?」
「ポスターの静流は、創作だと一筆入れる事で手を打っておいた。見ろ」
郁が見せたのは、ポスターにシールで追加する為のコメントだった。内容は、
『このキャラクターはフィクションです。実在の人物・団体等とは、全く関係ありません』
と言う、ドラマ等でよく見る文言のようであった。
「つまり、静流クンは実在しないって事ですか? それじゃあ静流クンが可哀そうです!」
「わからんのか? だから二次元なのだ。 静流めを守る為だ。致し方なかろう?」
澪はギリッと奥歯を噛んだ。
「薄い本も、たまには役に立つって事でありますよね? 隊長?」
「見直しましたよ隊長。少しは頭が回るんですね?」
「失敬な。私にとっても静流めは可愛いヤツだ。その位上にねじ込むさ」
みんなに評価され、郁も少し照れている。
「隊長、ご尽力頂き、ありがとうございました」
「少しは冷えたか?頭」
「はい。隊長」
「ポスターの件はわかったな。では会いに行くぞ、静流めに」
「「「「はい!」」」」
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ワタルの塔―― 2階 応接室
静流たちは余った時間で記念写真を撮ったりしていた。
「静流クン、この中で一番イイと思う相手を選んで、ツーショット写真を撮りましょうよ」
「さっき散々撮りましたよね、ツーショット」
「違うの。選ばれた子は静流クンに『お姫様抱っこ』されて、ほっぺにチューしてもらうのよ!」フーフー
「うぇ? 僕が選ぶんですか? 独断と偏見でイイんですか?」
「全然OKよ! 恨みっこなしだからね? みんな!」
「「「「「はぁーい!」」」」」
「題して、『静流クンが選ぶ、第1回フォトジェニック賞』!」
静流を中央に立たせ、国尼側3人と学園側6人でそれぞれ並ぶ。
「みんな! 思いっきりアピールするのよ? いいわね? せーの!」
「「「「「「「うっふーん!」」」」」」」
みんなは、思い思いの悩殺ポーズで静流にアピールする。
「望む所です! 負けませんよ? 真琴さん!」
「返り討ちにしてくれるわ。ヨーコさん!」
ヨーコと真琴が張り合っている。
「ほれほれ、たわわに実ったグレープフルーツが、落っこちそうだべぇ?」
「大きさより張りよ! この弾力、試してガッテン?」
アンナとナギサが、自分の胸を静流に見せ、自己陶酔している。
「むむ、なかなかやるわね? 熟女のなめらかな肢体、とくと見なさい」
「カチュア先生? なんてハレンチな……」
カチュアのなまめかしい動きに、ニニちゃん先生は顔を赤くしている。
「そんなに見ないで下さい、ミスター・イガラシ」
ニニは、静流の視線を感じ、胸の前で手をクロスさせ、上体を後ろにひねった。
「ニニちゃん先生、それで片足を後ろに蹴り上げるんです!」フーフー
「こ、こうですか? 睦美さん?」
ニニは、睦美の言う通りにポーズを取った。
「あ! まいっちんげポーズだ!」パァ
今まで照れ照れだった静流の顔が、ニニの『まいっちんげポーズ』を見た途端、歓喜の声を上げた。
「完璧ですニニ先生! はっ、いかん、ついうっかりやってしまった……」
睦美は思わずニニをアシストしてしまった事を、今更ながら悔しがった。
「美千留ちゃん、手伝ってくれます?」
「イイけど? 何するの? サラちゃん先生?」
サラは椅子を二つくっ付け、美千留と並んで座り、お互いの太ももを交差し、手を相手の腰に置く、百合系の絡みポーズを披露する。
「エロいポーズなら任せて下さい。ヌフゥ、イイ匂い」
「ふぇ。変な気分になっちゃうぅ」
さすがはエロ漫画家。サラの絡みポーズは絵になっている。
「ぶうっ! 素晴らしい。 最高だ二人共! 脳内ストレージに保管せねば!」フーフー
「うわ。見ちゃイケナイものを見てる感じだな……って睦美先輩、鼻血出てますよ!」
◆ ◆ ◆ ◆
アピールタイムが終わり、いよいよ結果発表であった。
「さぁ静流クン? 誰が一番良かった? 言ってみなさい?」
静流が端からみんなをひとりずつ見ていく。ヨーコはゴクリと生唾を飲んだ。
「僕がカワイイって思ったのは、ニニちゃん先生です!」
静流が右手を差し出したのは、何とニニだった。
「「「「ええ~っ!?」」」」
一同は意外な結果に、驚きを隠せない。
「理由、聞いてもイイ?」
不服そうなカチュアが、静流に聞いた。
「ニニちゃん先生、完璧でしたよ、まいっちんげポーズ! 嬉しかったなぁ」パァァ
「何よ、まいっちんげポーズって?」
「少年マンガにあるんですよ。ちょっとエッチなギャグ漫画が、ね」
意味がわからないカチュアに、睦美がフォローを入れた。
「恥じらう感じとか、確かにソレでしたよ。私も思わずアシストしてしまった」
「僕、好きだったんですよね、『まいっちんげ!マチャコ先生』。あとは、」
「あとはって、何よ?」
「僕と価値観が似ている……って所、かな?」
確かに、エロには厳しい所や、いささかカタめの思考回路は、静流に似ている、とも言える。
「完敗よ、ニニ」
「さすがに価値観まではすぐには変えられないですわね」
「静流様の今日イチの笑顔だったベな。敵わねえべよ」
カチュア、ナギサ、アンナは、素直に負けを認めた。
「クッ、今日の所はこの位にしておいてあげます。真琴さん!」
「とりあえず、引き分けって事で手を打ちましょう、ヨーコさん!」
ヨーコと真琴は、仲がイイのか悪いのか、よくわからなかった。
「美千留ちゃんのお陰で、新しいマンガのプロット、思いついちゃった」
「楽しみにしてるね。先生」
いつの間にか、真琴や美千留も、学園側の者と仲良くなっていた。
「じゃあ、撮りましょうか」
「本当に、私でイイのですか? ミスター・イガラシ?」
「先生が、イイんです!」
そう言うと静流は、ふぁさっとニニを抱き抱えた。
「きゃ! ……重いでしょう? 私」カァァ
「全然。ムムちゃんよりはかなり軽いですよ?」パチ
静流のウィンク入りのニパを軽く浴び、意識が飛びそうになるニニ。
「ひゃう、は、早く撮りなさい!」
「シズム、写真お願い」
「はぁーい、かしこまりぃ」
位置取りを終え、撮影に入る。
「イイ? イクよ! はい、ポーズ!」
「失礼します。むちゅ」
静流はニニの頬にキスをした。
「はひぃぃぃぃん!」
ニニの目が♡マークになり、軽くのけ反った。気を失っているようだ。
「ニニ? もしかしてアナタ、イッたの?」
「だ、大丈夫ですか? ニニちゃん先生?」
程なくニニの目が開く。
「……早く、降ろしなさい」
「あ、すいません。立てます?」
「こ、この位、大丈夫……です」カァァ
静流に顔を覗き込まれ、顔を真っ赤にするニニ。
「うぶな子ね? 惚れちゃたのかしら? 静流クンに」
そう言ってカチュアは、ニニを小突いた。
「み、認めませんからね? 私は!」チャ
「はいはい。そう言う事にしておきましょうね」
じゃれ合っている二人の先生を、静流は嬉しそうに見ていた。
「楽しんでくれたみたいで、良かった」パァァ
「「「「「「ふぁふぅぅぅん」」」」」」
一同は、静流のニパを浴び、大きくのけ反った。
するとブラムが、
「シズル様ぁ、もうすぐ時間だよ?」
「そっか。みんな、申し訳ないけど、これから電源室のメンテが入るんだ。宴もたけなわって事で今日は終わりにしよっか?」
「「「「ええー!?!?」」」」
一同は名残惜しそうに言った。
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