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第4章 幸せの向こう側 ついに発見!ワタルの塔
エピソード29-1
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学園内 ドラゴン寮前――朝
ブーンッ
まるで不可視モードを解除した時の様に、上から実体化していく。
シュゥゥ
バギーのマフラーから、水蒸気のような煙が少し出た。
パシュウ
キャノピーが跳ね上がり、ヘルメットを被った静流が現れた。
「よし、到着」
ヘルメットを脱いで髪を搔き上げる静流。
「着きましたよ、萌さん」
「は? もう着いたの?」
静流は本から豹モードにロディを変身させ、小型バギーを収納させた。
「お疲れさま静流クン、萌、おはよう」
「おはようございます。澪先輩」
「いきなりで驚いたでしょう? 今朝、急に隊長が……」
「おう萌、来たか。向こうで退屈しておると思ってな。今日のミッションはお前も参加させる」
「は、はい! 了解しました!」
「良かったでありますね。萌殿?」
萌はやっと自分の仕事が出来たとワクワクしている。
◆ ◆ ◆ ◆
「幽霊騒ぎはもう解決しましたから、日中でも調査OKですよね?」ニコ
澪はニニちゃん先生に確認した。
「本当に解決したのですか? それでも、大きな音とかはなるべく立てないようにして下さいね?」
「了解しました」
ニニちゃん先生にまた結界を一部開けてもらい、中に入る。
ドラゴン寮の中に入る。夜と違い、明るくなった部屋は、やはり埃っぽかった。
「うひゃあ、クモの巣が張ってるわ。床も埃が積もってる」
「早く調理室に行くのだ」
「お姉様は、どこにいるのかなぁ?」
「はいはぁい、お姉さんはココにいまぁす!」
静流の呼び掛けに、すぐさま反応した薫子G。
「ふぇ、いきなり現われた。幽霊?」
萌は両手で口を押え、目の前の物体に驚愕している。
「あ、萌さん、大丈夫。僕のお姉様の薫子さんです」
「どうもぉ、薫子でぇす。『残留思念』でーす」
「はぁ、朝霧萌、です」
「お姉様、じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けるのよ? 静流」
調理室のオーブンを開ける。中を覗くと、真っ暗の中に網目状の模様がトンネルのようにずっと奥まで続いている。
「先ずは僕から行きます。男ですから!」キリッ
静流が首をオーブンに突っ込んだ時に、隊長が、
「急に男を上げたなぁ、静流よ」ドンッ
静流のお尻をはたいた勢いで、静流は落ちて行った。
「うわぁぁぁ」シュバ
少しの静寂があったあと、隊長は口を開いた。
「落ちたな。まあ大丈夫だろう。男だもんな。ハハハ」
「隊長ったら! もう」
「次は、隊長の番でありますよ、さあさあ」
佳乃は隊長をグリグリとオーブンの方に押しやった。
「わ、わかっとるわい、行くぞ、とうっ」シュバ
隊長は勢いよく中に滑り込んだ。
「よし、みんな、行くわよ」シュバ
「了解!」シュバ
◆ ◆ ◆ ◆
向こうの世界―― ゲート付近
「うわぁぁ、ん? ここは? 電話ボックス?」カチャ
扉を開け、着いた先は、昔の写真とかで見る、電話ボックスのようであった。
「お、狭いな。ウグェ」
隊長が着いたようだ。すると、
「ちょっと隊長、早く出て下さい! グエ」
「うわ。澪殿が下に、ゴフ」
「え? どうなってるのこれ」
間隔を開けずに飛び込んだせいで、四人はボックスにギュウギュウ詰めになっている。
「だずげでぐで、じずずぅ」
一番下の隊長は、必死に叫んだ。
「うひゃあ、どうやって助ければイイの?」
とりあえずドアを開け、上にいる萌から順に助け出していく。
「皆さん、大丈夫ですか?」
全員を引っ張り出し、安否を確認する静流。
「はぁ、死ぬかと思った。お前たち、もう少し痩せろ!」
「簡単に痩せられるなら、苦労しませんっ!」
「随分古風な電話ボックスでありますなぁ。ん? あれは?」
佳乃が見た建物は、この場所から相当先でも確認できる、おもちゃのブロックを適当に積み重ねたような、無茶苦茶な構造のマンションであった。
「まるでホンコンのスラム街みたいだ」
「ムフゥ、サイバーパンク好きにはたまらないであります」
静流が例えたのは、かつて香港にあったスラム街『クーロン城砦』であろう。
無法地帯に建てられたそれは、『悪の巣窟』と呼ばれていたとか。
「何でしょうね、あれ」
萌は、電話ボックスから少し離れた所にぽつんとある、小さい建物を指さした。
「メガネの倍率を上げて……ん? もしかして、あれが祠なのかな?」
静流は、メガネの望遠モードでそれを確認した。
「そうだ、伯母さんに念話してみよう!」
〔伯母さん、聞こえる?〕
〔静流?静流なの?〕
〔学園にあった【ゲート】を修復して、この世界に来た〕
〔まあ。もう辿り着いてしまったのね? ココに〕
〔直接会えないかな〕
〔そうね、私が位置を調べるから、そこからあまり離れてはダメよ?〕
〔今は電話ボックスみたいな所にいて、ちょっと先にポツンと小さい建物があって、もっと先に大きい建物が見える〕
〔祠の近くなのね? イイ?静流、祠には触らないで。絶対よ?〕
〔わかった。じゃあこの辺で待ってればイイんだね?〕
〔連絡が付いたら、薫をそちらに向かわせるわ〕
〔了解、ありがとう〕ブチ
「薫さん、あ、薫子お姉様のお兄さんが、連絡付き次第迎えに来てくれるみたいです」
「本当にココにいたのね? 静流クンの親戚」
「そうみたい。直接会うのって初めてなんだよな」
「やはり、『桃髪家』の方でありますか?」
「ええ。かなり、イケメンですよ?」
◆ ◆ ◆ ◆
数十分が経過し、待ちくたびれた隊長は、しびれを切らせた。
「うう、遅い、なあ、調べてみないか? あれ」
隊長は、数km程先の小さい建物が気になるようだ。
「近くで見るだけなら、大丈夫かな?」
「ちょっと行ってみましょうか」
「すぐ戻って来るでありますよ」
「と、言う事だ、萌、ここに待機」
「ええっ!? ……了解」
言いそびれた萌は、この場所で待機となった。
「補欠とか待機とか、そんなのばっかり。もう」
萌は、足元の石ころを蹴っ飛ばした。
ブーンッ
まるで不可視モードを解除した時の様に、上から実体化していく。
シュゥゥ
バギーのマフラーから、水蒸気のような煙が少し出た。
パシュウ
キャノピーが跳ね上がり、ヘルメットを被った静流が現れた。
「よし、到着」
ヘルメットを脱いで髪を搔き上げる静流。
「着きましたよ、萌さん」
「は? もう着いたの?」
静流は本から豹モードにロディを変身させ、小型バギーを収納させた。
「お疲れさま静流クン、萌、おはよう」
「おはようございます。澪先輩」
「いきなりで驚いたでしょう? 今朝、急に隊長が……」
「おう萌、来たか。向こうで退屈しておると思ってな。今日のミッションはお前も参加させる」
「は、はい! 了解しました!」
「良かったでありますね。萌殿?」
萌はやっと自分の仕事が出来たとワクワクしている。
◆ ◆ ◆ ◆
「幽霊騒ぎはもう解決しましたから、日中でも調査OKですよね?」ニコ
澪はニニちゃん先生に確認した。
「本当に解決したのですか? それでも、大きな音とかはなるべく立てないようにして下さいね?」
「了解しました」
ニニちゃん先生にまた結界を一部開けてもらい、中に入る。
ドラゴン寮の中に入る。夜と違い、明るくなった部屋は、やはり埃っぽかった。
「うひゃあ、クモの巣が張ってるわ。床も埃が積もってる」
「早く調理室に行くのだ」
「お姉様は、どこにいるのかなぁ?」
「はいはぁい、お姉さんはココにいまぁす!」
静流の呼び掛けに、すぐさま反応した薫子G。
「ふぇ、いきなり現われた。幽霊?」
萌は両手で口を押え、目の前の物体に驚愕している。
「あ、萌さん、大丈夫。僕のお姉様の薫子さんです」
「どうもぉ、薫子でぇす。『残留思念』でーす」
「はぁ、朝霧萌、です」
「お姉様、じゃあ、行ってくるよ」
「気を付けるのよ? 静流」
調理室のオーブンを開ける。中を覗くと、真っ暗の中に網目状の模様がトンネルのようにずっと奥まで続いている。
「先ずは僕から行きます。男ですから!」キリッ
静流が首をオーブンに突っ込んだ時に、隊長が、
「急に男を上げたなぁ、静流よ」ドンッ
静流のお尻をはたいた勢いで、静流は落ちて行った。
「うわぁぁぁ」シュバ
少しの静寂があったあと、隊長は口を開いた。
「落ちたな。まあ大丈夫だろう。男だもんな。ハハハ」
「隊長ったら! もう」
「次は、隊長の番でありますよ、さあさあ」
佳乃は隊長をグリグリとオーブンの方に押しやった。
「わ、わかっとるわい、行くぞ、とうっ」シュバ
隊長は勢いよく中に滑り込んだ。
「よし、みんな、行くわよ」シュバ
「了解!」シュバ
◆ ◆ ◆ ◆
向こうの世界―― ゲート付近
「うわぁぁ、ん? ここは? 電話ボックス?」カチャ
扉を開け、着いた先は、昔の写真とかで見る、電話ボックスのようであった。
「お、狭いな。ウグェ」
隊長が着いたようだ。すると、
「ちょっと隊長、早く出て下さい! グエ」
「うわ。澪殿が下に、ゴフ」
「え? どうなってるのこれ」
間隔を開けずに飛び込んだせいで、四人はボックスにギュウギュウ詰めになっている。
「だずげでぐで、じずずぅ」
一番下の隊長は、必死に叫んだ。
「うひゃあ、どうやって助ければイイの?」
とりあえずドアを開け、上にいる萌から順に助け出していく。
「皆さん、大丈夫ですか?」
全員を引っ張り出し、安否を確認する静流。
「はぁ、死ぬかと思った。お前たち、もう少し痩せろ!」
「簡単に痩せられるなら、苦労しませんっ!」
「随分古風な電話ボックスでありますなぁ。ん? あれは?」
佳乃が見た建物は、この場所から相当先でも確認できる、おもちゃのブロックを適当に積み重ねたような、無茶苦茶な構造のマンションであった。
「まるでホンコンのスラム街みたいだ」
「ムフゥ、サイバーパンク好きにはたまらないであります」
静流が例えたのは、かつて香港にあったスラム街『クーロン城砦』であろう。
無法地帯に建てられたそれは、『悪の巣窟』と呼ばれていたとか。
「何でしょうね、あれ」
萌は、電話ボックスから少し離れた所にぽつんとある、小さい建物を指さした。
「メガネの倍率を上げて……ん? もしかして、あれが祠なのかな?」
静流は、メガネの望遠モードでそれを確認した。
「そうだ、伯母さんに念話してみよう!」
〔伯母さん、聞こえる?〕
〔静流?静流なの?〕
〔学園にあった【ゲート】を修復して、この世界に来た〕
〔まあ。もう辿り着いてしまったのね? ココに〕
〔直接会えないかな〕
〔そうね、私が位置を調べるから、そこからあまり離れてはダメよ?〕
〔今は電話ボックスみたいな所にいて、ちょっと先にポツンと小さい建物があって、もっと先に大きい建物が見える〕
〔祠の近くなのね? イイ?静流、祠には触らないで。絶対よ?〕
〔わかった。じゃあこの辺で待ってればイイんだね?〕
〔連絡が付いたら、薫をそちらに向かわせるわ〕
〔了解、ありがとう〕ブチ
「薫さん、あ、薫子お姉様のお兄さんが、連絡付き次第迎えに来てくれるみたいです」
「本当にココにいたのね? 静流クンの親戚」
「そうみたい。直接会うのって初めてなんだよな」
「やはり、『桃髪家』の方でありますか?」
「ええ。かなり、イケメンですよ?」
◆ ◆ ◆ ◆
数十分が経過し、待ちくたびれた隊長は、しびれを切らせた。
「うう、遅い、なあ、調べてみないか? あれ」
隊長は、数km程先の小さい建物が気になるようだ。
「近くで見るだけなら、大丈夫かな?」
「ちょっと行ってみましょうか」
「すぐ戻って来るでありますよ」
「と、言う事だ、萌、ここに待機」
「ええっ!? ……了解」
言いそびれた萌は、この場所で待機となった。
「補欠とか待機とか、そんなのばっかり。もう」
萌は、足元の石ころを蹴っ飛ばした。
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